チカラシバ(力芝)の特徴を解説!
道端や草原にいくと群生しているイネのような植物のチカラシバについて解説します。道端や草原などに群生しているので雑草としか見ていなかったあの植物はチカラシバという植物だったのだと、初めてその名前がわかった方も多いかもしれません。チカラシバという名は、その特徴が由来し、そしてこんな植物だったのです。ということで、さっそくチカラシバの特徴を解説していきましょう。
チカラシバ(力芝)とは?
雑草と思われているチカラシバ
日当たりの良い道端とか畑のわき道に群生しているチカラシバ。道端に生育していることで、別名「ミチシバ」とも呼ばれています。チカラシバは北海道の南西部から九州、沖縄まで日本の幅広い地域に生育している植物ですが、これといって綺麗な花が咲くわけでもなく、ススキのように秋の風物詩としても取り上げられもしない植物で、ただの雑草としか思われていないことも多く、ましてや名前なぞ知らない人もたくさんいることと思います。雑草のような植物ですが、この植物はチカラシバという名前を持ち、立派なイネ科の植物で、秋になると黒紫の穂のような花も咲かせます。
チカラシバ(力芝)の名前の由来
「なかなか抜けない」からチカラシバという!
チカラシバは漢字で「力芝」と表記します。チカラシバは根がとても強くて、なかなか抜けない特徴が由来となり、「チカラシバ」とよばれ、和名は「力芝」と表記されます。チカラシバが近所に生育されている方は名前の由来を聞くと、チカラシバ(力芝)という名に納得されたことでしょう。
思いっきり引っ張っても簡単に抜けない!
何年もかけて大きな株になり、がっしりと力強く根を張ることが、チカラシバ(力芝)の特徴で、その特徴が名前の由来にもなっています。確かに思いっきり引っ張っても抜けませんし、茎や葉も強く、引っ張っても簡単にちぎれないのがチカラシバです。
学名はPennisetum alopeculoides
雑草のように思われているチカラシバ(力芝)は、日本の原産の植物で、道端や草原や畑のわき道などに生育しています。チカラシバはイネ科の多年草の被子植物で、学名は Pennisetum alopeculoides、英名はChinese fountain grassといいます。夏の終わりから秋にかけ、ちょうどグラスを洗うブラシのような、ブラシ状の穂を次から次に出します。ブラシ状の毛の部分は、暗紫色をしているのが一般的ですが、稀に黄緑色のものもあります。
チカラシバ(力芝)の植物としての特徴
チカラシバ(力芝)の特徴
チカラシバ(力芝)の特徴は、名前の由来の通り、非常に強いヒゲ根を地中に下ろし、茎も強く、引き抜こうとしてもなかなか引き抜けないのが特徴。乾燥した道端や草原や荒れ地に群生して生育していることが多く、雑草同様に扱われることもあります。踏みつけられても強い植物ですが、ススキなどの背の高い植物と一緒になって生えていることは少なく、具合のよい環境を見つけて生育しています。夏の終わりにブラシ状の穂をつけ、秋には穂のような形の花を咲かせます。開花後は種が熟し、そっくりそのまま軸から外れて脱落。冬は軸だけが残ってツンとした姿をしているが特徴です。
チカラシバ(力芝)の葉
チカラシバ(力芝)は、強靱で根の張りが強く、力を入れても簡単に抜けません。茎や葉も手でちぎろうとしてもなかなかちぎれません。チカラシバ(力芝)の茎は直立して、高さ50~80cmになり、葉は長さ30〜70cm、幅4〜7mmの堅い葉をしています。手で引きちぎろうとしても引きちぎれるものではなく、ハサミで切らないと上手に切ることはできません。また葉の形は線形で、表面はざらざらとしていて、硬い葉っぱです。
チカラシバ(力芝)も花が咲く!
開花時期について
チカラシバの穂は、9月頃から翌年の1月頃まで見ることができます。雑草のように思われがちなチカラシバですが、8月から11月に、穂のような形で花を咲かせます。このような咲き方を園芸用語で花穂(かすい)といいますが、円柱形で直立した10cmから15cmの穂のような形となり、暗紫色の小花を集団に咲かせます。
軸の先に円柱状の花序を出す
チカラシバの花は、軸の先に長さ10cmから20cmくらいに渡り、円柱状に幅約2cmくらいの花の集団つけて花を咲かせます。イネ科の花の特徴的な構造どおり、複数の花が鱗片状に重なり合って花を咲かせます。この構造を園芸用語では小穂(しょうすい)と言いますが、イネ科の植物やカヤツリグサ科の植物の花と同様に、ブラシのような穂の先に長さ7mmくらいの披針形の小花を咲かせます。黒っぽい紫色で1cmから3cmの剛毛があり、咲き終わると穂と一緒に落ちてしまいます。
花の咲き方の豆知識
チカラシバのようなイネ科の植物などは複数の花が鱗片状に重なって花を咲かせますが、その花の集団を園芸用語で「花序(かじょ)」と言います。たとえばヒマワリやアジサイのように、1本の茎から何個も花が咲くものも、その花の集団を表す言葉に「花序」という言い方をします。ちなみに茎の先に一つだけ花を咲かせるチューリップのような花のことを「単項花序」といいます。花の用語として覚えておくと花探しの時に便利です。
チカラシバの花序の上部は結実する
チカラシバの花は、ヒマワリなどの花より、とても小さい花ですが、チカラシバは小さな「花序」の花を咲かせる植物です。チカラシバの花序の下の方の小花は雌しべが退化して雄しべ3枚だけの雄花です。そして花序の上の方小花は雄しべと雌しべがあり結実します。
チカラシバ(力芝)のふえ方
種は動物などにくっついて運ばれる
群生で生育しているチカラシバですが、一体どのようにあちらこちらに増えるのか。結果から話すと、チカラシバの種が猫や犬などの体について運ばれて、そして違う場所で生育するのです。花が咲き種が熟すと、種の付いた小穂がそのまま落ちてしまいます。そこについていた種が動物の体や、人間の洋服に刺さるように付き、種が運ばれ違う地に根付くのです。チカラシバの種は、発芽力が高く、20℃くらいの温度で高発芽し、きわめて早く大きくなります。よく鳥などが種を運ぶ役割をする植物もありますが、チカラシバは犬や猫などの体について種が運ばれてます。
「ひっつき虫」などというあだ名もあるわけ
チカラシバの小穂の毛は剛毛で、花が終わって小穂が落ちるときに一緒に落ちてしまいます。小穂の毛は刺状の毛で、そのため動物の体や人の洋服などにくっつきます。そして種子が運ばれるのです。チカラシバはこんなことから「ヒッツキ虫」などと呼ばれ、昔から馴染まれている草です。
チカラシバ(力芝)は食べることができるか?
イネ科の植物なら食べることができる?
チカラシバはイネ科の植物で結実もしますが、その実は米や麦のように美味しく食べることができるわけではありません。イネ科の植物は基本的には毒はありません。だからチカラシバが食べることができないわけではありません。でも結実した小さな実は食べることができるようでも、実際食べた人の口コミでは美味しくないと投稿されています。興味本位で食べることに挑戦しても毒性はありませんが、イネ科の植物だから美味しく食べることができるわけではなく、またあえて食べる人はいないようです。
チカラシバ(力芝)の活用法
自然保護のPRに利用されています
秋に草原へでかけ、群生しているチカラシバを見るとブラシ状の穂が美しく、シンプルな日本の自然を感じ癒されます。しかし都会では道端などを好んで生育することや、引き抜きずらいので雑草扱いされて除草剤を撒いて駆除されることもしばしばです。しかし見た目はありふれた草ですが、ドクダミなどのように独特な匂いがあるわけでもなく、目の敵にもならないため、環境省では都会の中の緑地スポットである新宿御苑内に、自然環境舗保護のPRとして、チカラシバを苑内に植えて活用しているそうです。
ドライフラワーや生け花にも活用!
草原でみかけるチカラシバの群生は、シンプルですがススキのような葉と、ブラシのような穂状の花に趣を感じる景観に癒されます。チカラシバは管理の仕方によっては、庭のアクセントにもなり、ドライフラワーにしても楽しめます。またアレンジメントのグリーン代わりに利用してり、シンプルな葉や穂状の花の素朴な風合いから茶花などにも利用されます。雑草扱いされがちなチカラシバですが、実は、アレンジをきかせ楽しめる植物なのです。
チカラシバ(力芝)は万葉集にも登場している植物!
チカラシバは古くから日本に馴染みのある草!
チカラシバは、おじいちゃんやおばあちゃんの時代よりもっと昔から日本に馴染みのある草です。昔に人は道端のチカラシバの小穂をちぎっては、小穂の毛が毛虫のようだと面白がってよく遊んだそうです。昔から馴染みのあるチカラシバは、日本最古の和歌集「万葉集」の中にも登場しています。詠まれている歌の内容から、奈良時代からチカラシバは、日本人の目に留まっていた植物だったことが伺われます。
「立ち易り 古き都と なりぬれば 道のしば草 長く生ひにけり」
「立ち易り 古き都と なりぬれば 道のしば草 長く生ひにけり」。この歌の意味は繁盛していた時代と立ち代わり、古い都となってしまったので道に生える芝草(チカラシバのこと)も伸びてしまったという意味、慣れ親しんだ奈良の都が荒れ果ててゆく様を、ふと通りかかった道端に生えていたチカラシバに例えて詠まれた内容です。
チカラシバ(力芝)を上手に活用してみよう!
引き抜くことができないほど強く地に根を張ることから「チカラシバ(力芝)」と呼ばれるこの植物は、時には抜きにくい雑草のように思われる時もありますが、風情のあるブラシのような穂が美しい草です。上手にガーデニングにアレンジしたり、アレンジメントや、茶花として活用してみてください。
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