ハマダイコンとは
野生化した大根と思われていた野草
ハマダイコンは漢字で書くと浜大根となり、浜(海辺などの砂地)が主な群生地です。
現在おでんやみぞれ鍋として食べられているアオクビダイコン(青首大根)が野生化したものと言われていましたが、近年科学が発達しDNAを詳しく調べられるようになり調査が行われた結果、ハマダイコンと食用として現在食べられている大根は全く違う種類ということがわかりました。ただし完全に種類が違ういというわけではなく、同じアブラナ科の仲間です。
ハマダイコンの基本情報
ハマダイコンは別名野大根とも入れることがりますが、ハマダイコンと野大根は別の種類になります。しかしどちらもアブラナ科ダイコン属になります。ハマダイコンの変わっている性質としては根が張りやすく水持ちがよく栄養が溜まりやすい土ではなく砂地を好みます。
砂は元をたどると小さな石なので水もすぐに染み込み乾きやすく栄養も流れていく環境になります。こうして考えると大根とは違う種類の植物と思えるかもしれませんね。
ハマダイコンの生態
大根のように立派な根にはならない
ハマ「ダイコン」なので大きく太い根を想像してしまいますが、根はごぼうのように細長く人参よりも短いものが多いです。地域によりますが基本的には菜の花のように開花する季節は春になります。
ただし野草なので環境によっては根の部分が太くなり立派な大根のように見える個体もいます。畑のように人が栄養状態を管理していないので群生している場所によって個体差が大きいです。
実がなる
農家でない限り大根の種を見たことがある方は少ないでしょう。さや大根として実も食べられるのですが根と比べると流通量が少ないです。実の中には種があり農家は種から大根を育てています。
ハマダイコンも同じで花が咲く暖かい季節が終わり初夏に近づいてくると実ができ中には種ができます。この種からハマダイコンを栽培することもできますが、野草なのであまり一般的ではありません。
ハマダイコンのサイクル
ハマダイコンは4月~5月に紫の花を付け5月以降に実ができます。やがて秋ごろになると青かった実も茶色くなり中の種ができます。同じ場所で群生することも多くアブラナ科に多い連作障害の影響を受けにくいと言われています。
明るくいつでも日差しがある場所を好み、複数株まとまって自生することが多いです。
ハマダイコンの花について
アブラナ科の花が咲く
アブラナ科の植物なので付ける花は菜の花やほうれん草などと同じで小さな花びら4枚で構成されている花を春にたくさんつけます。食用として食べられている大根は白い花ですが、ハマダイコンの花は外側は薄い紫で中心に向かうほど白っぽくなり雌しべなどは黄色です。
稀に白い花を付ける個体もいます。また花の彩度も個体差あり、群生している場所によって色合いが異なることが多いです。
エディブルフラワーになる
小さくて紫のかわいい花はエディブルフラワーとしてサラダを彩ることもあります。エディブルフラワーとは食用花のことです。パーティーなどで料理を出す時に添えると華やかになるためおすすめです。
花ですがしっかり風味があり、味は少し辛味があり歯ごたえがあると言われています。同じアブラナ科の菜の花のように少しだけ苦味もありますよ。開花時期は菜の花と同じ春で3月~5月です。
ハマダイコンの根について
根の旬の季節は春
基本的に繊維質が多く美味しくない部分と言われていますが、ダイコン属なので根も可食部です。食べられる季節は花が開花するまでと言われているので、早春から3月末ぐらいが一番美味しい旬の時期といえます。
おろすと暑い季節の辛味のある大根おろしより、さらに辛味のある大根おろしになると言われていて刺激的な風味がします。辛味成分のイソチオシアネートは空気にさらしておいたり、加熱すると抜けるので食べやすくなりますよ。
鎌倉大根
鎌倉野菜として一風変わった野菜が並ぶ神奈川県鎌倉市とその周辺では、ハマダイコンを鎌倉大根として発売していて徐々に定着しつつあります。美味しいことで知られてる鎌倉野菜として認められると、ハマダイコンの価値も一気に高まるかもしれません。
しかし基本的にはあまり根は生のままでは美味しいものではないとされていて、サラダに使うのは不向きです。詳しい食べ方は後述しますが、火を通したほうが食べやすいですよ。
ハマダイコンの茎や葉っぱについて
葉や茎の旬の季節も春
ハマダイコンの葉っぱは畑で育てられている大根の葉っぱとよく似ている形状をしています。特有のくびれがある葉っぱが放射線状に伸びていて一見すると同じですが、葉っぱや茎をよく見ると小さな棘があります。
小さいですが危ないので茎に関してはあまり食用にしない部位になります。若芽のように柔らかい状態の茎と葉っぱを食べるので一般的に旬は春になりますが、葉は茎や根に比べいつでも食べられる食材です。
茎に棘がないものもある
バラのように鋭い棘が生えているというわけではなく、群生している環境などで比較的個体差があると言われています。茎も食べてみたいという方はできるだけ棘のない個体を探してみましょう。
日当たりがいい砂浜などに自生しているので、河原や海辺で簡単に見つけられますよ。サラダ感覚で生で食べれるものではないので、根と同じように加熱したほうがいいでしょう。葉っぱにも小さな棘がありますが、茎ほど気にしなくても大丈夫です。
ハマダイコンの実・種について
旬の季節は実ができて大きくなる頃
前述したように実も食べられる部位になります。根と同じでいつでも食べられるというわけではなく、食べられる季節は初夏だけとなります。開花後徐々に実ができ始め、大きくなった頃がおすすめです。
実の見た目は唐辛子のように見えますが、数珠つなぎのように凸凹としていて、秋に近づくとだんだんと褐色に変わり実もコルク質のようなスカスカの状態に変わってきます。色が変わっても大豆のように食べられるといいのですが食べられません。
生でも食べやすい
ハマダイコンの実は生でも食べられると言われていて、シャキシャキとした食感に大根の風味がするということで一番美味しいです。
他の部位と比べると生でも食べやすいですが、実が大きくなっていると硬いのであまり美味しくないともいわれているので、数珠のように凸凹とした実ではなく唐辛子のようなフォルムをしている小さな実がおすすめです。そのままでも食べられますが、辛味が強いので茹でるとより美味しくなります。
ハマダイコンを使ったレシピ・料理
【実】
茹でるだけ
実は茹でることで辛味がなくなり食べやすくなるので、茹でて食べましょう。さやえんどうのように筋が残る場合もありますが、野菜ではなく野草なのでしかたがありません。長く茹でなくても1分ほど茹でたら完成です。
あとは好みでマヨネーズや塩などで食べられます。この食べ方は通常の大根の実でも同じで、さや大根を食べたことがある方のなかでは最も一般的な料理です。少し固いですが、実の食べ方はだいたいさや大根と同じになります。
大根の実とベーコンの炒め物
材料 (2~3人分) 大根の実120g ベーコン80g 塩少々 こしょう少々 ブラックペッパー少々 マヨネーズ6g(大1/2)
本来は通常の大根の実(さや大根)を使用しますが、似ているのでハマダイコンの実にも応用できます。固さなどが違うので味見をしながら炒める時間を調整してみてください。
作り方はよく洗った大根の実はヘタを切り落としてき、ベーコンを細長く切りってフライパンで炒めていきます。ベーコンに焼き色がついたらハマダイコンの実を入れて炒めていき胡椒で味をつけてから好みでマヨネーズを追加して完成です。
【葉っぱ・茎】
大根の葉と同じレシピで大丈夫
少しゴワゴワしているとも言われていますが、油炒めなど火を通すと一般的に食べられている白首大根の葉と大きな違いはないと言われているので同じ食べ方、同じレシピで美味しい料理にできます。
実と同じようにさっと湯がいてポン酢など好きな調味料をかけて食べてみてください。茎はできるだけ棘のないものを選んで葉より長めにゆでると美味しく食べられます。柔らかい茎なら葉と同じ湯で時間で大丈夫です。
ハマダイコンの葉の即席漬け
材料 (5人分) ハマダイコンの花芽3本ほど 塩小匙1~2杯
色が鮮やかな新芽、若い葉があればいつでも作れるハマダイコンの料理です。シンプルに漬物にする食べ方なので簡単にできるところが便利なレシピです。
作り方は葉っぱや花芽をよく洗ってから食べやすい大きさに切っていきます。塩を混ぜると小さくなるのでざく切り程度で大丈夫です。切り終わったら塩を振り揉み込んで完成です。きゅうりなど他の野菜で作る漬物と同じ感覚で作れますよ。
【根】
工夫すれば料理になる
他の部位と比べると少し工夫が必要な部分です。水分量が少ない大根と言われていて下ろす時も手動ではかなり大変と言われています。根も個体下がり美味しいものは青首大根以上と言われていいます。大根おろしの作り方は皮をむいておろすだけなので、青首大根と違いはありません。
ハマダイコンのキンピラ
材料 (ハマダイコン。あるだけ) ハマダイコンの先端6、7本分 きび砂糖大1 特選丸大醤油大1.5 料理酒大3 胡麻油大1 白胡麻好きなだけ
普段食べている大根にはない硬めの食感を生かした食べ方がハマダイコンのキンピラです。普通の大根ではできないので注意しましょう。
作り方はハマダイコンの先端部分をキンピラになるようにささがきするかのように切り、胡麻油と一緒に炒めます。そこへ各種調味料をいれて焦げないように炒めていき火が通りしんなりしてきたらごまを振って完成です。他の食べ方と比べるとハマダイコンの特性が生かされたレシピになっています。
ハマダイコンの育て方・有効利用
種が発売されている
ハマダイコンといえば無人島を開拓しているテレビ番組で登場するほどそのへんに生えている食べられる野菜です。育ててみたいという方は種を自生しているハマダイコンから採ってくる方法もありますが、なんと通販で種だけの販売や苗としての販売もされていて育てるという方も多いです。
実はハマダイコンは大きくなったものだけではなく、双葉の頃に収穫するかいわれ大根としても食べられると言われています。
ハマダイコンの育て方
秋に種を蒔きます。日当たりを好むというところだけ注意すれば痩せた土地でも育ちやすい植物です。肥料を与えてちゃんと管理すると根が青首大根のようにふとくなりますよ。開花時期は4月~5月前後、実ができるのは種が咲き終えて9月~11月です。
プランターでの栽培だと土の表面が乾くと水やりが必要です。暑さにも強く越冬するので特に手入れなどしなくても育つのでガーデニング初心者向きの植物となります。
ハマダイコンのまとめ
ハマダイコンの生態は基本的には大根と同じです。春に花が咲くことも、花が咲いてしまうと根が食べにくくなることも通常の大根と同じです。葉っぱも食べられますが茎と葉には棘があるのでこの点だけは注意しましょう。
花の形状は似ていますが色が青首大根と異なるので見分けやすいです。至るところに自生している身近な食べられる野草になります。
野草が気になる方はこちらもチェック!
暮らし~のには野草に関する記事がたくさんあります。よかったらチェックしてくださいね。
山野草「ショウジョウバカマ」とは?植物としての特徴や育て方を解説!
登山家やガーデナーなどから幅広い人気を持っている山野草。今回は、春の訪れを知らせるショウジョウバカマについて詳しく解説していきたいと思います...
【季節別】食べられる野草をご紹介!ただの雑草だと思ってない?
近年人気になっている食べられる野草。春夏秋冬ごとに食用になる野草とその調理方法をご紹介します。身近にあふれる食べられる野草の多さに驚くはず!...