はじめに
こごみやぜんまいの違い・旬や食べ方は
こごみなど山菜と呼ばれる植物は自然界では非常に旬の短いもので、また雑草や他の雑木などにまぎれていることもありなかなか初めての方には見分け方も難しく見つけるのに難儀します。スーパーなどでも水煮になったものなら通年を通して売られていますが、フレッシュな旬のおいしいこごみ・ぜんまいを味わってみたい方も多いでしょう。まずはこの山菜類の違いを知り、その採れる場所を探してみましょう。収穫したものを下ごしらえから食べ方レシピまでをご紹介していきます。
こごみ・ぜんまい・わらびなど山菜について
山菜とは
山菜は野山で取れた食用になる植物のこと。山菜という名前ですが採れる場所は山に限らず野や海岸沿いで採れるものでも野生の食用植物であれば山菜という言い方をしています。主にやわらかい若芽の状態で食べる習慣が多く、それは野生のものであるため成長すると硬く食べにくいせいでしょう。そのため旬といわれる美味しい時期は短く山菜採りには時期や場所を見極める慣れが必要とされているものも少なくありません。
こごみ・ぜんまい・わらびという植物
その山菜の中でも特に代表的なものとしてぜんまいやわらび・こごみといった山で採れるものがあげられます。ぜんまいやこごみは珍重され美味しい自然の作物として昔から愛されています。旬の時期には山に入って山菜採りをすることが季節の大きなイベントともなっていたのです。
野草との違い
その一方でらっきょうのような根を酢味噌でいただくと美味しいノビロ(ノビルとも)や草餅の材料ともなるヨモギも野で採れる野菜ではありますがこれらは山菜とは呼ばず単に野草と呼ぶのは、先程も申し上げたように旬の時期が短く珍しさから食用植物としてランク分けのような意味もあるのでしょう。
こごみの見た目・旬の時期・採れる場所
こごみの見た目・見分け方
こごみはクサソテツというシダ植物が地面から出たばかりの若い芽で知らない人からみたらぜんまいとの見分け方がわからずよく間違えて採ってくることも多い山菜のひとつ。茎の上にくるりと巻いた部分があり、それが人がかがんで(コゴんで)いるように見(ミ)えることからこごみと呼ばれています。巻いているのはこれから育って葉になる部分。食用になる若く柔らかいうちは葉が開く前に限られるでしょう。
旬の時期と採れる場所
こごみが採れる場所は雑木に囲まれた山ではなく里に近い比較的明るい野原に近いところ。陽が好きなので木の下などの日陰には生えにくいのが特徴です。時期は地方にもよりますが早くて5月初旬、遅い地域でも6月初旬くらいまでが美味しい時期で葉が伸びてしまうと食用には向かないため出たらすぐに摘んでしまわないといけないので、出そうな場所や過去に大きなクサソテツを見かけた場所で若芽が伸びてくるのを待ち伏せして採取しないといけないでしょう。
ぜんまいの見た目・旬の時期・採れる場所
ぜんまいの見た目・見分け方
ぜんまいの名前の由来はぐるぐると巻いたねじ巻きゼンマイに由来します。この植物の見た目がそんな形をしているからです。こごみとの見分け方は毛が生えているかいないか。こちらもゼンマイ科のシダ植物で大きくなると葉の形はよく似ています。
ぜんまいも緑色の植物
山菜の保存方法として水煮にする他、乾燥させて長期間日持ちさせる方法もあります。ぜんまいは特にこの乾燥させる方法が発達しているため、茶色いものがぜんまいだと思っておられる方も多いでしょうが、地面から生えてくるときはこちらも緑色。まったく茶色(どちらかというと赤褐色)の部分がないわけではありませんが、よく見かける調理されたぜんまいのあの茶色の姿ではありませんのでご注意を。
旬の時期と採れる場所
生えている場所も前者とは違いがあり陽の光が好きなこごみに対してぜんまいは水が好き。山の中のきれいな川のそばに生えることが多いのでそんな場所を探してみましょう。旬の時期はこごみよりも少し早くて3月末から6月初旬くらい。本州であればゴールデンウィークあたりがこの時期にあたるでしょう。
わらびの見た目・旬の時期・採れる場所
わらびの見た目・見分け方
わらびも食べる時期は若い芽なので茎の上に小さな丸い葉がついた状態のものを摘みます。見た目はぜんまいやこごみとは大きく違い、丸まった葉は小さいのが特徴。山菜採りで採取するものは主に茎を食べる野草となっています。
わらびは有名で希少な山菜
わらびも有名な山菜である同時に、わらびという呼び名自体に山菜という意味ももっている植物です。〇〇わらびと呼ばれる野草が多いのはそのためです。また根の部分はデンプンの材料ともなり関西方面では有名なわらび餅は元々はこのわらび粉(デンプン)から作られるお菓子のこと。
旬の時期と採れる場所
わらびの旬はぜんまいとほぼ同時期。3月末から5月いっぱいくらいまで。幼い芽のうちは前者2つとは大きな違いがありますが、同じシダ植物であることから成長すると似たような葉になるため違いがわからず見分け方も難しくなるでしょう。採れる場所は日当たりのよい酸性の土。
こごみ・ぜんまい・わらびの食べ方1
こごみの下ごしらえからお浸しレシピ
同じ山菜でもアクの強さが違うので下処理の方法も少しずつ違いがでてくるのが特徴。まずはアクが少ないこごみの下処理の方法から見ていきます。アク抜き処理はほうれん草並の簡単さです。食べ方もお浸しにするならそのまますぐにしょうゆなど調味料をかけていただくこともできてしまう手軽な山菜といえます。
こごみ20本位 塩(下処理用)小さじ1 水たっぷり
詳しい食べ方レシピはこちら
屋外で自然に生えていたものですので、汚れなどが気になります。下処理から調理をする前には必ずきちんと葉の中も丁寧に洗った方が良いでしょう。塩いりのお湯で茹でるのではなく、こごみ自体にひと塩をして数分放置してから茹でてください。
こごみ・ぜんまい・わらびの食べ方2
ぜんまいの下ごしらえから乾燥保存レシピ
ぜんまい200g 7束 重曹 小さじ4杯 水4ℓ
ぜんまいになるとこごみのように塩だけでアク抜きというわけにはいかなくなるでしょう。ぜんまいの場合は保存食として乾燥させるところまで下処理としてご紹介します。アク抜きには重曹と水それだけでできるので手軽です。道具はぜんまい全体がしっかり浸かるような大きさのボール(大きなタッパーでも)を用意してください。重しになるものもあると良いですね。
詳しい食べ方レシピはこちら
ぜんまいのアク抜きには重曹を入れた水を使います。火を入れますが10秒程度熱しすぎず重曹を溶かすのがポイントです。ぜんまいは全部がしっかり浸かるようにするのがふたつめのコツ。浮いてきてしまわないよう重しをして一晩おいたらアク抜きは完成です。乾燥させたい人はそのあと天日干しをおこなってください。
こごみ・ぜんまい・わらびの食べ方3
わらびの下ごしらえレシピ
わらびひとつかみ 塩小さじ1 重曹 小さじ1/2 茹でるお湯適量
わらびのアク抜きはこごみとぜんまいを合わせたような方法でおこないます。用意するのは塩と重曹・水と大きなお鍋。じょうずにアク抜きすることで、青々としてとても美しくえぐみもないアク抜きわらびができあがるでしょう。
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塩と重曹を分量の水に入れ、まずは沸騰させます。そこにわらびを入れて2-3分。茹ですぎて食感をそこなわないよう注意しながら火を通します。すぐに流水で洗い流してからきれいな水になったらそのまま数時間から半日程度水につけ完成です。
こごみ・ぜんまい・わらびの食べ方4
山菜のおすすめレシピ1.
アク抜きした蕨(ID : 5614269)1単位(生300g分) 厚揚げ(ID : 2316430)2枚(300g) 好みの油小さじ1 ■ 調味料 ●酒大さじ1 ●本みりん 大さじ2 ●砂糖小さじ2(好みで) ◎たまり醤油(イチビキ【株】)or 醤油大さじ2弱(好みで) かつお削り節ひと握り
下処理をした山菜のおいしい食べ方を3つご紹介します。まずはごはんがすすむ甘辛い炒めもの。一緒に合わせる食材として厚揚げを用意します。おかかを入れるとダシが出てうまみがアップするでしょう。
山菜のおすすめレシピ2.
お米1合 もち米2合 わらび1束 だし昆布1〜3枚 松山あげ1/2枚 ★料理酒 大さじ2 ★醤油大さじ2 ★みりん 大さじ2
山菜の人気メニューの中に炊き込みご飯があります。こちらは米ともち米を1:2で合わせたおこわ風の炊き込みご飯でしっかりとしたもちもちとした噛みごたえがあり山菜の香りが噛むたびに口の中に広がります。研いで1時間くらい置いた米に材料を分量どおり入れ炊くだけ。作り方はとっても簡単。
山菜のおすすめレシピ3.
ぜんまい(水煮)1袋(200g) 油あげ1枚 ごま油 小さじ2 ★砂糖小さじ1 ★酒・みりん・醤油各大さじ1 いりごま(白)少量
乾燥させたぜんまいを戻して常備食にもなるおいしいきんぴらを作ってみましょう。箸休めやおべんとうのおかずの他に酒のあてにも向いています。冷蔵庫に入っていると何かと使えるおかずです。油揚げもぜんまいも一度茹でて食べやすい大きさに切って下ごしらえしておきましょう。あとは通常のきんぴらの味付け・作り方と同様です。昔ながらの素朴な味に箸が進みます。
こごみ・ぜんまい・わらびは勝手に採ってもいい?
こごみ・ぜんまい・わらびは取る場所を選んで
最後になりますが、このような山菜狩りをはじめてする際の注意についてご説明します。山は危険なこともありますし、山菜は人気の期間限定の食材ですのでなかなか見つからないことも多いでしょう。野生動物やへびなどに注意ししっかり山に入る準備を整えてでかけてください。
採っても良い場所
山菜は山ならどこでも採ってよいわけではありません。山には所有者があるのでその山が自分(や、家族)の持ち物であればいくら山菜を採っても誰にも文句はいわれないでしょう。または山菜が生えてくる山を持っている知人に頼んで採らせてもらえば安心です。
採ってはいけない場所
それがたとえ国や市町村の土地であっても勝手に入って作物を採ったら犯罪に問われます。木の実など落ちているものを拾うのは良いのですが、山菜はそうはいきませんので勝手に入って採れる場所というのは存在しません。また、川のそば山の奥深い場所など危険がともなう場所に分け入るのも危険ですのでやめましょう。
まとめ
旬の山菜は見分けて下処理!おいしく食べよう
代表的で似ている山菜3つの見た目の違いから見分け方やその下処理・おすすめレシピを紹介してきました。短い時期だけフレッシュなものが食べられる山菜。てんぷらやおひたしなどが有名な食べ方ですが、きんぴらや炊き込みご飯もとても美味。ぜひ旬のこごみやぜんまいが手に入ったら試してみてくださいね。
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