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KLX230のスペック!待望の新型オフロードバイクの性能はいかに!

カワサキの新型KLX230をスペックシートの数値をもとに徹底検証します。新型のオフロードバイクが国内で新発売されるのはCRF250L以来の7年ぶり。KLX230のスペックを検証すると、カワサキ初の思いもよらぬ冒険的な結果が!KLX230Rや250ccの2019年現行モデルとも比較しました。
2020年8月27日
hosokawa_taka
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カワサキの新型KLX230のスペックは?

2019年8月1日、カワサキの新型オフロードバイクKLX230のスペックが正式に公開されました。販売の開始は2019年10月1日。250ccクラスのオフロードバイクが新発売されるのはホンダのCRF250L(2012年5月14日)以来7年ぶりですので、気になっているオフロードバイクファンは多いはず。ここでは、新型KLX230のスペックを検証し、全貌を明らかにしていきます。

KLX230Rやインドネシア仕様と比較

出典: https://www.goobike.com/catalog/detail/photo/1040421_00_2019_10.jpg

カワサキKLX230

KLX230と同時に発表されたエンデューロレーサーKLX230Rも気になるところ。また、先行して発表されたインドネシア仕様との違いも気になりますね。エンジンやフレームの外観を見ると共通点が多いので、KLX230とKLX230Rやインドネシア仕様との比較もしていきます。なお、この記事は2019年8月7日現在のスペックをもとに検証していきますことをご了承ください。

KLX230のスペック:車体サイズ

カワサキの新型オフロードバイクを比較

【KLX230のスペック:車体サイズ】

  KLX230
国内仕様
KLX230
IDN仕様
250cc
現行MT車
平均値
KLX230R
国内仕様
全長
(mm)
2,015 2,080.7 2,045
全幅
(mm)
835 783.9 840
全高
(mm)
1,165 1,180.9 1,200

※IDNはインドネシアの略。

カワサキの新型KLX230の車体サイズに関するスペックを見ると、非常にコンパクトなオフロードバイクであることがわかります。オフロードバイクは林道走行を想定して大柄なのですが、250cc現行モデルの平均値と比較すると一目瞭然。全長が短いので、駐車スペースを確保しやすいですね。ハンドル長を表す全幅は広いのですが、歴代のオフロードバイクと比較すると平均的。気になるシート高や足つき性については街乗り性の項で後述します。

インドネシア仕様やKLX230Rと比較:車体サイズ

KLX230の車体サイズをインドネシア仕様と比較すると全く同じです。発表される前は国内向けに変更されることも考えられました。しかし、車体サイズを変更すると無駄なコストがかかるので、カワサキはインドネシア仕様のまま国内販売したと考えられます。KLX230Rはサイズが大きいですね。エンデューロレーサーとしての正常進化だと考えられます。

KLX230のスペック:エンジン

カワサキの新型オフロードバイクを比較

【KLX230のスペック:エンジン】

  KLX230
国内仕様
KLX230
IDN仕様
250cc
現行MT車
平均値
KLX230R
国内仕様
最高速度1
(km/h)
117.5 140.7 108.7
最高速度2
(km/h)
94.3 115.08 87.3
トルクウェイト
レシオ
(kg/Nm)
7.192 6.730 7.971 -

※最高速度1:最高出力発生回転数での理論上の速度(6速)
※最高速度2:最大トルク発生回転数での理論上での速度(6速)
※IRCのGP-21、GP-22を装着したと仮定
※KLX230Rの理論上の最高速度はKLX230のエンジン回転数で仮定
※IDNはインドネシアの略。

カワサキの新型KLX230のエンジンに関するスペックを見ると、最高速度はやや低めに設定されています。林道走行での粘り強い低中速域を重視したエンジンですね。バイクのエンジンは排出ガス規制をクリアするためにショートストローク化が進んでいますが、KLX230のボア×ストロークは67×66mmとスクエアエンジンに近い構成です。トルクウェイトレシオも良好ですので、林道ツーリングでの扱いやすさや加速感に期待できます。

インドネシア仕様やKLX230Rと比較:エンジン


KLX230のエンジンをインドネシア仕様と比較すると、最高速度は同じなのですが、トルクウェイトレシオが違います。これは、インドネシア仕様の車両重量が2kg軽く、最大トルクが1Nm大きいからです。車両重量の差はABSを標準装備したことが原因。最大トルク差の原因は見当たりませんでしたが、排気系の可能性がありますね。KLX230Rとは前後スプロケットの歯数(二次減速比)に違いがあり、より低中速での加速感を重視した設計です。

KLX230のスペック:足回り

カワサキの新型オフロードバイクを比較

【KLX230のスペック:足回り】

    KLX230
国内仕様
KLX230
IDN仕様
KLX230R
国内仕様
フロ
ント
サスペン
ション
インナーチューブ径Φ37mm
正立フォーク
タイヤ
サイズ
2.75-21 80/100-21
リヤ サスペン
ション
ニューユニトラック
可(段数未公開)
タイヤ
サイズ
4.10-18 100/100-18

※IDNはインドネシアの略。

カワサキの新型KLX230の足回りに関するスペックを見ると、エンジンのスペックとばね下重量のバランスを意識した仕様だといえます。フロントサスペンションは挙動がしなやかな正立フォークですので、インナーチューブ径は標準的です。リアサスペンションはリンク式のモノサスですので路面追従性に期待できます。注目すべきはアルミリムの採用!軽量なリムはサスペンションの動作がスムーズです。

インドネシア仕様やKLX230Rと比較:足回り

【KLX230のスペック:ストローク長】

  KLX230
国内仕様
KLX230
IDN仕様
KLX230R
国内仕様
フロント 220mm 250mm
リヤ 223mm 251mm

※IDNはインドネシアの略。

KLX230の足回りのスペックをインドネシア仕様と比較すると、全く同じだといえます。KLX230Rとは仕様が同じながら、ストローク長が長いですね。気になるのがリヤスイングアームの材質。カワサキのホームページでは、アルミ製のリムについては記載されているものの、スイングアームについては材質を明記していませんので、3車ともスチール製だと考えられます。

KLX230のスペック:街乗り性

カワサキの新型オフロードバイクを比較

【KLX230のスペック:街乗り性】

  KLX230
国内仕様
KLX230
IDN仕様
250cc
現行MT車
平均値
KLX230R
国内仕様
シート高
(mm)
885 794.7 925
車両重量
(kg)
134 132 157.7 115

※IDNはインドネシアの略。

カワサキの新型KLX230の街乗りに関するスペックを見ると、シート高の高さに足つき性の悪さを感じます。車両重量が軽いのでバランスを崩して立ちゴケする心配は少ないものの、街乗りを考えると足つき性はカスタムの余地ありです。おそらく、足つき性を改善するためのローダウンリンクロッドに期待。250ccクラスのバイクは実用性を求められることが多いので、足つき性の悪さは販売台数に影響するかもです。

インドネシア仕様やKLX230Rと比較:街乗り性

KLX230をインドネシア仕様と比較すると、車両重量に違いがありますが、体感できるほどの差ではありません。国内仕様はABSを標準装備しているために車両重量が2kg重いのですが、安全性を考えるとおつりがくるほどです。カワサキはKLX230の林道走破性を優先し、街乗りでの足つき性について妥協したと考えられます。KLX230はKLX230Rのサスペンションを詰めて、公道モデルへと進化させたのです。

KLX230のスペック:高速道路

カワサキの新型オフロードバイクを比較

【KLX230のスペック:高速道路】

  KLX230
国内仕様
KLX230
IDN仕様
250cc
現行MT車
平均値
6速
100km/h
エンジン回転数 6,469rpm 6,916rpm
最大トルク比 106.0% 89.9%
5速
100km/h
エンジン回転数 7,898rpm 7,945rpm
最大トルク比 129.5% 103.8%
5速
80km/h
エンジン回転数 6,318rpm 6,356rpm
最大トルク比 103.6% 83.1%

※250cc現行モデル5速車は5速を6速、4速を5速で計算
※IDNはインドネシアの略。


カワサキの新型KLX230での高速道路走行はあまり余裕がありません。巡航速度100km/hでのエンジン回転数を見ると、最大トルク発生回転数を超えるものの最高出力発生回転数は超えないので、走行可能な範囲。しかし、5速100km/h、5速80km/hのエンジン回転数を見ると、高速道路での追い越し加速は鈍いといえます。高速道路経由での林道ツーリングでは疲労を溜めない走り方に徹したいですね。

250cc現行モデルと比較:高速道路

KLX230での高速道路走行に関するスペックを250ccの2019年の現行モデルと比較すると、大きな差があるといえます。KLX230は最大トルクや最高出力を発生させるエンジン回転数が低いので、限界付近で高速道路を走行することになるのです。KLX230で高速道路を走行する機会が多いなら、ドライブスプロケットを15丁に変更するカスタムをしたいもの。6速100km/h時のエンジン回転数を最大トルク発生回転数比99%まで抑えられます。

KLX230のスペック:ツーリング

カワサキの新型オフロードバイクを比較

【KLX230のスペック:ツーリング】

  KLX230
国内仕様
KLX230
IDN仕様
250cc
現行MT車
平均値
6速
60km/h
エンジン回転数 3,623rpm 4,149rpm
最大トルク比 59.4% 53.9%
5速
60km/h
エンジン回転数 4,423rpm 4,767rpm
最大トルク比 72.5% 62.3%
4速
60km/h
エンジン回転数 5,362rpm 5,633rpm
最大トルク比 87.9% 74.0%

※250cc現行モデル5速車は5速を6速、4速を5速で計算
※IDNはインドネシアの略。

60km/h時のエンジン回転数の変化を見ると、カワサキの新型KLX230はエンジンが元気な回転数を維持しながらツーリングを楽しめることがわかります。高速道路走行で不利な分、一般道巡行やワインディングロードがKLX230のメインステージ!軽量な車体やよく動くサスペンションも味方してくれるでしょう。WMTCモード値33.4km/Lの燃費と燃料タンク容量7.4から計算した航続距離は247kmですので、給油タイミングの心配もありません。

250cc現行モデルと比較:ツーリング

一般道でのエンジン回転数を250ccの2019年現行モデルと比較すると、KLX230は低い回転数での速度が楽しいオフロードバイクだといえます。低中速で粘るエンジンは楽しいだけでなく、ツーリング先での路地裏散策で安定感に期待できます。気になるのはやはり高いシート高による足つき性。街乗り性を含め、低い速度が楽しいオフロードバイクには似つかわしくない足つき性です。

KLX230のスペック:林道走行

カワサキの新型オフロードバイクを比較

KLX230のスペックを振り返り、林道ツーリングの適応性について検証します。KLX230は軽量でコンパクトな車体や低中速で粘るエンジンが林道ツーリング向きです。最低地上高は265mmですので、少々のガレ場でも全く問題ない範囲。しかし、二輪二足でのやぶ漕ぎやアタックツーリングでは足つき性に不安が残ります。KLX230はセロー250と比較されることになりますので、足つき性をどうとらえるかが評価の分かれ目です。

KLX230Rや250cc現行モデルと比較

Klx230をKLX230Rと比較すると、デフォルトはKLX230Rで、サスペンションを詰めて公道走行可能にしたのがKLX230だといえます。そう考えると、シート高ほどサスペンションのストローク長に長さを感じられません。つまり、KLX230は低い速度域で粘り強く路面を追従するタイプのオフロードバイクだといえます。であれば、もう少し足つき性が良ければと感じるオフロードファンは多いでしょう。

KLX230のデザインは賛否両論

Klx230のデザインに関する評価を見ると賛否両論。特にライトカウルの形状に意見が集中しています。「光量を確保するならセロー250のような丸目がいいのでは?」「ボンバーマンのようでかわいい」「ライトカウルが気に入らなければカスタムすればいい」など、アジア市場向けのデザインはカワサキらしくないですね。初の海外生産モデルであったニンジャ250Rのように、日本市場で受け入れられるデザインが必要だったかもです。


デザインは実車を見なければわからない!

カワサキの公式ホームページが発表した画像を見るとライトカウル周りに違和感があります。しかし、海外のユーチューブ動画を見ると、思いのほか自然な雰囲気のデザインだといえます。アジア市場向けのデザインで話題となったスズキのジクサーやGSR250などは「実車は思いのほかボリューム感があって、シルエットがかっこいい」と評価されました。画像だけで判断せず、実車を確認してからデザインを評価したいですね。

250ccオフロード初のABSや安全性について

カワサキの新型KLX230にはボッシュ社と共同開発されたデュアルパーパスABSが標準装備されています。バイクの安全性を高めるためにABSやコンバインドブレーキの装備が新型車に義務化され、KLX230はオフロードバイクの先陣を切ってABSを装備。林道ツーリングでリヤをスライドさせながらコーナーに突っ込むのは常識を超えていますので、歓迎すべき装備だといえます。しかし、コース走行を想定すれば、ABSをキャンセルしたくなりますね。

ABSの装備からデザインを考える!

デザイン上で賛否両論となっているライトカウルの大きさも安全性を高めるためにサイズアップされたもの。オフロードバイク全盛期に人気だったKLX250SRやXLR250Rの光量不足に悩んだオジサマも多いはず。250ccクラスのオフロードバイクは走行性能と同じくらい実用性を求められるので、明るいライトは歓迎すべきですね。ABSの義務化からもわかるように、バイクにとって必要なものが変わってきていることを認識すべきではないでしょうか。

カワサキの新型KLX230のスペックは?まとめ

カワサキの新型KLX230のスペックを徹底検証しました。軽量でコンパクトな車体や低中速で粘るエンジンは林道ツーリングにおすすめです。その反面、シート高の高さによる足つき性が街乗りやアタックツーリングでどう評価されるかが気になるところ。これでホンダ、ヤマハ、カワサキとオフロードバイクが揃いました。次はスズキからジクサーのエンジンを搭載したジェベル150が登場してもいいのでは?そう考えるオフロードバイクファンも多いことでしょう。

KLXが気になる人はこちらをチェック!

KLX230はKLX250とKLX125をブレンドして誕生した印象があります。闘う4ストと呼ばれたKLX250や、小回りの良さがアタックツーリングで人気のKLX125の記事もチェックしてください。KLX250やKLX125とKLX230を比較すると、KLX230はカワサキ初の低中速重視のエンジンを搭載したオフロードバイクであることがわかります。