薔薇(バラ)の種類をご紹介!
ベランダや庭などのガーデニングでバラを育ててみたいと考えてらっしゃる方、バラにはどのような品種があって、どんなバラにしたらいいのか、迷ってしまいます。せっかくバラを育ててみるのであれば、有名なバラだけではなく、珍しい種類のバラや新種のバラなど、特徴的なバラを育ててみたいもの。さらにいえば、そんなバラの花言葉や意味、美しい色や珍しい色から品種を選んでみたいものです。今回は、そんなさまざまなバラの名前や特徴などをご紹介したいと思います。
薔薇(バラ)の系統的な種類から品種を知る
一説によると、2万種類以上もの品種があるというバラ。古代ペルシア時代から栽培されていたとされ、現在も品種改良が進められているバラの種類をすべて知るというのは不可能に近いことかもしれません。バラを分類する際、さまざまな分類方法がありますが、ここでは一般的に使われる系統別の分類方法で品種をご紹介します。
原種か園芸種なのか
バラの種類を分類する際、自生種である原種か、交配などして作り出した園芸種なのかで、まず系統を分類する方法があります。古くからの園芸種であるオールドローズ、その後に生み出されたモダンローズと発展し、青色のバラといった新種も登場するなど、バラの種類は日進月歩で増えています。
有名な自生種の薔薇(バラ)は8種類
バラ科バラ属の植物であるバラ。自生している原種は、180種ほどが北半球に存在し、その多くが一季咲きの半つる性かつる性のバラです。自生している場所によって、その樹形や特質などもそれぞれで、原種のバラは、品種改良されたゴージャスなバラとは異なり、シンプルで素朴なバラもたくさんあります。まずは、品種改良された園芸種の元になっている主要な自生種のバラを8種ご紹介します。
自生種の薔薇(バラ)の種類①ロサ・ガリカ
西洋では古くから薬用としても用いられたロサ・ガリカ。古代から栽培されていたとも言われるバラの種類で、ガリカの名前はイタリア北部からフランスに至る地域の呼称であるガリアを意味することからも明らかなように、ヨーロッパ中部以南、トルコやコーカサス地方などが原産とされています。花びらは赤色~ピンク色で、花びらは一重の5弁花のほか、花びらの枚数が多い園芸種もたくさんあります。樹高は2m以上にもなり、トゲが鋭く、芳香があります。
有名な園芸種オールド・ローズの一種
ヨーロッパで有名な園芸種であるオールド・ローズのひとつであるガリカ系統。この系統は、ロサ・ガリカから品種改良されたものです。中世ヨーロッパで起こった百年戦争の後、英国で発生した内乱であった薔薇戦争では、赤薔薇の紋章であったランカスター家の紋章のモデルとなったのが、このロサ・ガリカとか。
自生種の薔薇(バラ)の種類②ロサ・キネンシス
中国中部を原産とするバラの種類、ロサ・キネンシス。バラの原種の中では珍しく四季咲きという特徴を持ち、樹高は1~2mまで大きくなります。中国での名前は庚申薔薇d、干支の庚申、つまり57日ごとに花が咲くバラという意味の名前がついています。日本でも古くから栽培され、花びらの色はピンク色~赤色、白色などもあります。
漢方薬としても使われている
ロサ・キネンシスは、いにしえより花と実が漢方薬として使われていたと言われています。おもな効能として、女性の月経不純をはじめ、月経による腹痛、甲状腺の腫れなどにも効果が期待できるとしています。
自生種の薔薇(バラ)の種類③ロサ・ギガンティア
その名前が意味するように、ロサ・ギガンティア(giganteusの語源は巨大なを意味するラテン語)は非常に大きな種類のバラです。原産はインドやミャンマーの北部や中国の南西部で、するどいトゲを使ってかなりの高さまでつるを伸ばして生長する事ができます。花びらの色が白やクリーム色、黄色などの一重咲きで、品種改良によってモダン・ローズのハイブリッド・ティー系のバラが産声を上げました。
バラの香りに大きく貢献した種類
バラの品種改良の歴史の中で、オールド・ローズと呼ばれる系統の後に生まれたモダン・ローズでは、バラの香りによってティー系とダマスク系というふたつの系統に分類することができます。このふたつの香りの系統のうち、ティー系の香りの元となっているのがこのロサ・ギガンティアで、紅茶に似た気高い香りで知られています。
自生種の薔薇(バラ)の種類④ロサ・ダマスケナ
ダマスク・ローズという別の名前でも知られるロサ・ダマスケナ。香りが強く、香料のために栽培されている原種に似ている交雑種です。厳密には原種ではありませんが、バラの品種改良に利用され、さかのぼること紀元前のメソポタミア文明のころから栽培されていたと考えられています。ちなみに、ダマスクやダマスケナといった名前は、シリアの首都であるダマスカスが語源とされ、かつて大規模なバラ栽培を行ってきと言われています。
クレオパトラが愛したバラ
香り高き種類のバラ、ロサ・ダマスケナ。世界三大美女のひとりに数えられるクレオパトラが愛したバラであると推定されていることでも有名です。花びらの色はピンク色で、半八重咲きのゴージャスな花をつけるのが特徴。バラの香りの2系統のひとつであるダマスク系統の元となっている人気の品種です。
自生種の薔薇(バラ)の種類⑤ロサ・フェティダ
東ヨーロッパに位置するグルジアを原産とするロサ・フェティダ。フェティダとは悪臭のあるという意味ですが、これは不快臭ともいえる香りを放つ黄色い花であることからこの名前がつきました。とはいえ、ロサ・フェティダは、モダン・ローズの品種改良で歴史上重要な役割を果たした種類のバラでもあります。
栽培する上で黒星病に注意が必要
ロサ・フェティダは、育てていく上で黒星病には注意しなければなりません。これは、葉に黒い斑点のようなシミができていく病害で、見つけ次第除去するのが一般的です。この性質を受け継いでいるのがロサ・フェティダから品種改良された種類のバラです。もしもロサ・フェティダ系のバラを育てる方はこの特徴的な病害には留意しましょう。
自生種の薔薇(バラ)の種類⑥ロサ・ムルティフロラ
沖縄以外の全国に自生するロサ・ムルティフロラ。日本ではノイバラと呼ばれる代表的なバラの種類です。1本の茎に房状の花を咲かせる房咲きのバラで、世界中に房咲きのバラを生み出した原種のバラとしても有名です。ロサ・ムルティフロラとはMulrifloraと書きますが、たくさんの花というラテン語の意味を示します。
赤い実は薬としても利用される
ロサ・ムルティフロラは樹高が2mほどに生長し、花びらの色は白や淡い紅色で一重、花が終わるころには赤い実がなります。この赤い実ですが、実は営実と呼ばれ、日本では下剤として利用されます。ちなみに、現在の中国の漢方ではロサ・ムルティフロラの実はほとんど使われませんが、花びらを暑気払いとして使うことはあります。
自生種の薔薇(バラ)の種類⑦ロサ・モスカータ
じゃ香を表すモスクがその名前の由来であるロサ・モスカータ。北アフリカから南ヨーロッパ一帯で自生し、古くから栽培されてきました。花びらの色は白、小ぶりで一重、房状に咲きます。原種改良に使われる原種として知られ、ロサ・ダマスケナの元になった品種としても有名です。
花後も楽しめる品種
ロサ・モスカータは、枝を大きく伸ばしながら生長していきます。つる性であるため、樹高も大きくなりますが、花が終わり、秋ごろになると、実をたくさんつけるため、秋ごろまで楽しめる品種としてもおすすめです。なお、この品種から作られた品種がハイブリッド・ムスク系で、じゃ香が特徴的な種類のバラがたくさんあります。
自生種の薔薇(バラ)の種類⑧ロサ・ルキアエ
ラテン語で光を意味する「lux」に由来するロサ・ルキアエ。和名も照葉(てりは)ノイバラと、その光沢のある特徴的な葉が名前にも現れています。日本が原産で、全国に自生しているこの品種は、つる性の園芸種を作り出したことでも知られています。花びらは白色で、枝先の3cmほどの5弁の花をつけます。また、秋には赤い実をつけるため、花が終わってからもその姿を鑑賞することができます。
さまざまな種類のつる性のバラの親
つる性のバラを生み出した品種といえばロサ・ルキアエです。このロサ・ルキアエのつる性という特徴を受け継いで生まれた系統に、ランブラーローズ系と呼ばれるオールド・ローズがあります。この品種は、モダン・ローズに至ってはつるバラ系と呼ばれる系統へと発展し、さまざまな色のバリエーションが生まれ、四季性を持った大型の花びらのバラも生まれていきました。
有名な園芸種の薔薇(バラ)の種類①オールド・ローズ
オールド・ローズとは、自生する原種のバラから品種改良されたバラの系統のひとつで、モダン・ローズ以前の品種のバラの系統を分類した呼び名です。19世紀中頃、ラ・フランスという名前のバラがフランスで生まれました。このバラは四季咲きの特徴を持つバラで、このバラの誕生以前には、バラの花は一季咲きの品種しか存在しませんでした。
オールド・ローズの主要な系統とは?
オールド・ローズを大別すると、ヨーロッパで生み出された系統と、中国から受け継がれたバラの系統があります。前者には、アルバ系統、ガリカ系統、ダマスク系統、ケンティフォリア系統、モス系統などがあり、後者にはブルソール系統、ポートランド系統、ブルボン系統、ノワゼット系統、ハイブリッド・ムスク系統、ハイブリッド・パーペチュアル系統などがあります。すべてをご紹介するのはむずかしいため、人気の品種をいくつかご紹介しましょう。
カーディナル・ドゥ・リシュリュー(Cardinal de Richelieu)
ガリカ系統を代表する品種で、トゲは少なく、花弁が球を描くのが特徴です。花びらの色は赤色から青紫色へと変り、春に花がつきます。花つきがとてもよいため、庭の片隅やベランダなどでも栽培が可能です。
コントゥ・ドゥ・シャンボール(Comte de Chambord)
ポートランド系統では代表格に位置する品種です。香りが豊かで、薄紫色を帯びた瓶食い炉の美しい花が咲きます。半つる性に枝葉が伸び、トゲはあまり鋭くないため、扱いやすい品種です。秋頃にも返り咲くため楽しむことができます。
ラ・レーヌ・ビクトリア(La Reine Victoria)
ブルボン系統を代表する品種で、ヴィクトリア女王の名前を持っています。ダマスク香が見事で、非常に人気の高い品種で、つるがよく伸びるため、存在感のある美しい花を咲かせることができます。
有名な園芸種の薔薇(バラ)の種類②モダン・ローズ
モダン・ローズは、オールド・ローズ以降に品種改良されて生まれた系統のバラのことで、店頭で販売されているバラの多くがこれに分類されます。さまざまな品種があり、花びらの形がとても美しく、多様な色のバラが生まれました。
モダン・ローズの系統とは?
モダン・ローズの系統には、ハイブリッド・ティー系統、フロリバンダ系統、ミニチュア系統、シュラブ系統(イングリッシュ・ローズ系統も含まれます)、クライミング系統、など、さまざまな系統があります。モハイブリッド・ティー系統のバラは大輪の花を、そして、フロリバンダ系統のバラは中輪の花をつけ、シュラブ系統のバラは半ツル性とも呼ばれ、幹が伸びて弓状になるなど、それぞれの系統にはそれぞれの特徴があります。
ラ・フランス(La France)
ハイブリッド・ティー系統のバラとして有名なラ・フランス。幾重にもなる大輪のバラで、香りがよく、トゲが少ないのが特徴です。花びらの色は淡いピンク色で、ふんわりと柔らかい印象を与えます。四季咲きの品種で、このバラの誕生がきっかけとなって、モダン・ローズという系統ができるようになりました。
グラハム・トーマス(Graham Thomas)
イングリッシュ・ローズを代表するバラといえばグラハム・トーマスです。印象的な黄色の花びらは、中輪とはいえゴージャスな印象を与え、半つる性のバラとして樹勢もよく、たくさんの花をつけます。初心者でも育てやすい人気の品種としても有名です。
珍しい新種の薔薇(バラ)の種類①アプローズ
サントリーフラワーズが、オーストラリアの企業と開発した青いバラ、アプローズ。不可能とされていた青い色のバラを実現し、青みがかった紫色の花びらが印象的です。新種のバラであるため、希少価値も高く、非常に人気が高い品種です。
喝采という名前が示す意味
珍しい新種である「アプローズ」というその名前は、英語のApplauseが由来で、喝采という意味があります。不可能と言われていたバラを作った喜び、すなわち、夢に向かって突き進んでいく気持ちに対して喝采を送りたいという思いが込められています。ちなみに、花言葉は「夢かなう」です。何かに打ち込んでいる大切な人に贈りたい花のひとつだと言えます。
珍しい新種の薔薇(バラ)の種類②ブラック・バカラ
黒に近い赤色のビロードのような花びらが特徴のブラック・バカラ。その珍しい色が印象的な新種のバラとして非常に高い人気を誇ります。枝だが長く、花びらがしっかりとしているため、切り花としてもおすすめ。ただし、珍しい新種のバラであることから、入手が難しいので、気長に待ちましょう。
ハイブリッド・ティー系統の品種
ブラック・バカラは、2000年、フランスで誕生した珍しい新種のバラです。ハイブリッド・ティー系統のバラで、小さめの大輪の花をつけます。黒系の色の花は、一般に、日焼けするトラブルを引き起こしますが、この品種は花弁がしっかりとしているため、さほど日焼けをしないことでも知られています。花びらの色は真っ黒ではありません。黒みがかった赤色です。ちなみに、黒色のバラの花言葉には「永遠の愛」というものがありますが、同時に「憎しみ」や「恨み」という花言葉もありますので、だれかに贈る際は注意が必要です。
珍しい新種の薔薇(バラ)の種類③わかな
ライム系の緑色の花びらが特徴の珍しい新種であるわかな。ハイブリッド・ティー系統のバラで、中輪の花をつけます。開花期が長いため、切り花としても人気が高く、花びらの中心がわずかにピンク色に染まり、新鮮ですがすがしい印象を与えてくれます。日本で生まれた品種ですが、なかなか店頭で目にするのはむずかしい人気種です。
緑色のバラには特別な花言葉がある
緑色のバラは、なかなか目にしない珍しさや、青々しい植物の新鮮な姿にすがすがしさを感じさせます。こんな珍しい色のバラの花言葉には、「希望を持ち得る」や「穏やか」というやさしさあふれるものがあります。困難に立ち向かっている相手へ贈るメッセージとして最適です。ぜひかわいらしいブーケを贈ってみてはいかがでしょうか。
薔薇(バラ)の花言葉と色による意味のちがいって?
バラの花言葉は、花びらの色などによって、意味が異なります。バラの種類を決めたら、花言葉によって色を選んでみてはいかがでしょうか。自分への言葉として、大切な相手への言葉として、気に入った花言葉の色のバラをぜひ贈りましょう。
赤い色のバラの花言葉は?
赤いバラの花言葉は、色の印象からも想像が容易なように「情熱」や「美」です。エネルギーがあふれ、凜とした美しさを持つ赤いバラは、愛しいパートナーをはじめ、パートナーになってほしい相手に贈りたい花です。愛の気持ちを伝えるのはなかなかむずかしいことなので、さりげなく赤いバラを手渡して気持ちを伝えてみたいです。
白い色のバラの花言葉は?
白いバラの花言葉には、「純潔」、「深い尊敬」、「私はあなたにふさわしい」など、その純潔で可憐な印象からも想像できるようなものがあります。結婚式のとき、白いバラが一面に飾られるのも、こういった花言葉ゆえと言えます。また、尊敬している先生や先輩、上司などに日頃のお礼としてさりげなく渡すのもステキです。
黄色いバラの花言葉は?
黄色いバラの花言葉は、プラスとマイナスの意味が混在しています。「平和」、「献身」、「友情」といった花言葉に加えて、「嫉妬」や「薄らぐ愛」など、愛のむずかしさを示す花言葉もあります。友だちや家族など、信頼できる身近な相手に渡すにはおすすめですが、恋人やパートナーには注意して贈りたいです。
紫色のバラの花言葉は?
紫色には大人っぽさや上品なイメージがあります。花言葉も「気品」、「誇り」、「尊敬」で、自分よりも目上の相手に渡す際に選びたい花でもあります。紫色には赤が強い紫色から青が強い紫色までバリエーションがあります。相手の印象に合わせて、微妙な色の違いも選びたいです。
さまざまな種類の薔薇(バラ)を育ててみよう!
バラにはさまざまな種類があって、自生している原種から数多くの品種が生まれて現在に至ります。バラを育ててみたいと思ったら、どんなバラがいいのか、歴史を振り返り、その特徴などを知り、花びらの色や花言葉についても考えると、さらにバラを育てる楽しみが増えてきます。さっそく数多くの種類の中から、オンリーワンのバラを選んで育ててみましょう。
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数多くの種類の中から、気に入った品種のバラを選んだら、次はバラの育て方について気になるものです。そんなとき、以下の記事を参考にしてみてください。きっとあなたの大切なバラを育てていく手助けになるはずです。

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