ぶどうの剪定は時期と方法が重要
せっかくぶどうを育てているのであれば美味しい実を食べたいと思うのは当然のこと。
そのためにも、正しい時期にしっかりと剪定しておく必要があります。時期をまちがえると、剪定した切り口がなかなかふさがらなくなって大変なことになることも。
今回は、ぶどうの育て方でも重要な剪定とその時期についてを中心に、挿し木などのぶどうの植え方、樹形の仕立て方、誘引の方法、肥料の施し方をはじめとする管理方法、摘果などについてご紹介したいと思います。
ぶどうの剪定の時期はいつ?
ぶどうを剪定する時期は、実の収穫が終わり、葉っぱが枯れ落ちた後の1月ごろです。この時期になると、葉がないため剪定しやすいというメリットのほか、樹液が出にくい時期でもあるため、樹勢をキープしつつ、ぶどうを剪定することができるのです。
このため、年が明けた1月の間に剪定を終わらせておくのが理想とされています。
時期をまちがえるとトラブルが起こりやすい
ぶどうの剪定は1月中が望ましいといわれていますが、2月に入っても早めに剪定を済ませてしまえば問題ありません。
ただし、春が近づいてから剪定を行うと、樹勢を弱めてしまったり、剪定した切り口から樹液が流れ、切り口がふさがりにくくなってしまったりと、さまざまなデメリットがあります。
こうなると、美味しい実をつけるのも難しくなってきますので、ぶどうの剪定の時期は間違えないようにしたいです。
ぶどうの剪定の方法①植え付け1年目
ぶどうの剪定方法で留意したい点は、ぶどうを植え付けてから何年経つのかを確認することです。植え付けて間もないぶどうは、植木の生長を促すために剪定します。
植え方の違いによって樹勢もそれぞれ異なりますが、鉢植えで植え付けた場合、枝の中でも元気のいい枝を主枝として、その主枝から伸びている脇枝は、数葉残して剪定します。
庭植えの場合の剪定方法は?
庭植えしたぶどうの剪定は、主枝を残してすべての枝を切り落としてしまいます。さらに、主枝も切り戻し、翌年の生長を促します。大胆に主枝を剪定するのはかなり勇気が必要となる作業です。
失敗するのではないかと心配になるものですが、思い切り切り戻すことで、春の芽吹きが促されます。
ぶどうの剪定の方法②植え付け2年目
植え付けてから2年目の冬の剪定では、樹形を仕立てていきます。鉢植えの場合、あんどん仕立てを作っていくのが一般的です。庭植えの場合、支柱を建てて一文字仕立てにしていくほか、ぶどう棚へと導いていく方法などもあります。
樹形を整えるため、枝を誘引していき、不要なつるや枝は冬の間に剪定していきます。
思い切って剪定することが大切
剪定の時期を迎えたぶどうは思い切り剪定していくべきです。ぶどう栽培の初心者は、切りすぎてしまって失敗したくないと考えがちですが、その植木の生きる力を伸ばしてあげるためには、切り過ぎると思われるまで剪定したほうがいいとも言われています。
ぶどうは、前年に出た芽が生長し、その枝に実をつけていくため、剪定の時期には前年の枝を数芽残して切っていきます。カットしてしまいたい古い枝は、この時期に切ってしまいましょう。
ぶどうの剪定の方法③植え付け3年目以降
植え付けから3年経った植木はすでに樹形は仕立てられているため、必要に応じた剪定のをしていきます。ぶどうの品種に応じて、長梢剪定をしていくべきもの、中梢剪定が適している木、短梢剪定を行うべきものなどがありますので、育てている品種も確認して剪定方法も変えていきます。
長梢剪定
樹木に勢いのある品種や、温暖な地域で育っていった品種におすすめしたいのが長梢剪定です。十分に生長した枝や、樹勢が強い枝、実をつけた枝を選び、9芽前後残して剪定していきます。
ただ、切るべき枝をしっかりと見定める必要があるため、短梢剪定よりも切る枝を選ぶのがむずかしいと言われているため、植木の様子をしっかりと観察しながら行っていきましょう。ちなみに、巨峰やピオーネなどの品種のぶどうでよく使われる剪定方法です。
中梢剪定
前年に実がついた枝を4~5芽ほど残して剪定するのが中梢剪定です。樹勢があって元気な木であるほか、新梢が生育旺盛な品種、たとえばナイアガラなどに適した剪定方法だと言われています。適した品種の木を育ててらっしゃる方はぜひ挑戦してみましょう。
短梢剪定
短梢剪定は、樹勢が弱い品種のぶどうで有効な剪定方法です。一般に、デラウェア、シャインマスカット、マスカットベリーAなどの品種に有効な剪定方法とされ、前年に生長した2~3芽だけ残して残りをすべて剪定してしまいます。
短梢剪定は、どの剪定方法よりも作業しやすいため、樹勢の弱い品種の木を育てるのであれば、ぜひこの剪定方法を取り入れてみてください。
ぶどうの剪定のポイントって?
ぶどうを剪定するにあたって意識したいポイントは、育てている品種に応じて、剪定の仕方を使い分けていくことです。品種を確認してから、剪定するようにしましょう。また、カットする場所ですが、芽と芽の節で切るようにします。
これを犠牲芽剪定といい、これによって木が枯れないようになりますので、ぶどうを剪定する際は十分に留意するようにしましょう。
ぶどうの剪定で実のなり方が決まる
ぶどうの実は、春から伸びた新梢に実っていきます。このため、冬の間に剪定することがとても重要になってきます。品種、樹勢などを確認して、切り詰めておくべき枝はしっかりと切り詰め、春以降、木が元気よく生長していくように促してあげましょう。
大きく生長した場合、ぶどうが収穫しやすい高さに調整することも重要です。ぶどう棚を作りたいと考えてらっしゃる方は、場所や高さなどを考えて、木を育てていくようにしたいです。
ぶどうの剪定で注意したいことって?
ぶどうの剪定は、プロでも悩む難しい作業のひとつです。品種はもちろん、木の樹勢などを考慮して剪定の仕方を見極めていくのはとても難しいことですので、まずは基本に忠実に剪定し、木の様子をしっかりと観察していくことが大切です。
また、剪定で使う道具も大切で、剪定しやすい剪定ばさみを購入して無理なく作業するようにしたいです。
育てやすい木からはじめてみる
どの品種のぶどうを育てていくか悩んでらっしゃる初心者の方は、剪定などの作業がさほど難しくはない品種からはじめてみるというのも手です。
長梢剪定は、どの枝を残していくのかがとても重要であり、専門家であっても労力を伴うことですので、剪定で悩むことのない樹勢の弱い品種からぶどう栽培をはじめ、コツを覚えていくのがおすすめです。
ぶどうを剪定するまでの育て方①苗木の植え方
ぶどうの植え方で大切なのは植え付けの時期を間違えないこと。ぶどうの植え付けは12月~2月ごろの休眠期が適期です。この時期まで待ってから植え付けましょう。植え方には、苗木を購入する方法のほか、挿し木による植え方もあります。
初心者の方は苗木からはじめることをおすすめします。
植え方の注意点は?
ぶどうの植え方で大切なのは植え付ける場所です。水はけがいい場所を選びましょう。庭植えの場合、植え付けの後に場所を移動することが難しくなりますので、大きくなった後のことも考えて場所を選びましょう。
苗木の植え方としては、根をほぐし、根を広げて植えるようにします。植え付けに使う土は、腐葉土や川砂などを混ぜて作りましょう。肥料を置き、水をたっぷりと与えれば植え方はおしまいです。
ぶどうを剪定するまでの育て方②挿し木による植え方
枝の一部を切り取って発根させて増やす方法、挿し木。この挿し木で使う枝のことは穂木といいます。穂木は12月ごろに採取し、新聞紙などにくるみ、乾燥しないように冷所にて保存しておきます。ぬらしてしまうと、カビが発生することもありますので要注意です。
挿し木の植え方では、植え付ける時期が大切です。気温が上がってきた3月ごろに行います。
しっかりと準備して植え付ける
挿し木による植え付けの方法は、芽が上を向くように穗木を作っていきます。根になる側の枝をカットして水を吸い上げやすくし、通気性のいい土を準備して植え付けていきます。挿し木の前日には、穗木を水につけて水分を吸水させておきます。
挿し木の当日は、穗木を挿す場所に穴を開け、穗木を挿します。挿し木が倒れないように土をしっかりと固め、たっぷりと水を与えれば、挿し木による植え付けは終わります。
ぶどうを剪定するまでの育て方③樹形の仕立て方
ぶどうはどのような樹形にも仕立てていくことが可能です。
ぶどう棚を仕立てていく方法は農家などでよく見られますが、家庭菜園やベランダを利用してぶどうを栽培していく場合をはじめ、鉢植えで育てている場合、支柱を使って作っていくあんどん仕立てのほか一文字仕立て、フェンスを利用した垣根仕立てなど、さまざまな仕立て方があります。
あんどん仕立て
あんどん仕立ての作り方では、植え付けてからの年数で剪定方法を変えていきます。1年目は、充実した枝を誘引して主枝として伸ばし、2年目以降は支柱を立てて仕立てやすくし、伸びてきた枝を巻き付けるように誘引しながら仕立てていきます。
休眠期の剪定時期には、元気のない枝を剪定し、品種によってどのような剪定方法が適しているのかを調整していきましょう。
一文字仕立て
一文字仕立ては、主枝を左右に伸ばしていく樹形のことで、最もかんたんに仕立てることができると言われています。1年目は主枝を選び、伸ばしたい方向に誘引し、2年目はこの主枝と反対の方向に第二の主枝を伸ばしていきながら、樹形を作っていきます。
休眠期の剪定で切り戻し、副梢を整理して、3年目以降はこの作業を繰り返していきます。
垣根仕立て
垣根仕立てとは、ぶどうを垣根のように誘引して、横方向へと仕立ていきます。主枝に対して横方向に支柱を作り、左右の支柱から垂直に支柱を立てていきましょう。少しスペースのある場所が必要とされる仕立て方なので、庭植えの場合に有効です。
実ができると収穫しやすいというメリットもあります。
ぶどう棚仕立て
ぶどう棚に仕立てていく場合、植え付けの際、ぶどう棚のそばに植えて支柱に沿って芽を伸ばして棚に誘引します。休眠期の選定時には十分に枝を整理して、春以降に生長するように促してあげましょう。2年目は主枝と反対の方向にもう1本の主枝を伸ばし、棚を大きく作っていきます。
ぶどうを剪定するまでの育て方④誘引の方法
ぶどうの木を上手に仕立てていくために大切なのが枝の誘引です。誘引は、同時に、実の収穫量を増やすことにもつながっていくため、しっかりと行っていく必要があります。
太い枝を誘引する作業はなかなかむずかしいものですが、しっかりと樹形を作って栄養分が無駄なく全体に行き渡るようにしましょう。
剪定から1ヶ月ほど経ってから行う
誘引は剪定をしてから1ヶ月ほど経った後に行います。というのも、湿気が少なく乾燥した季節にぶどうの剪定を行うため、剪定してすぐに誘引したら枝がかんたんに折れてしまうことがあるからです。
そうはいっても、発芽する前に誘引しなければ、樹形を整えることができません。芽が出る前に行って、こうしたトラブルを避けるようにしたいです。
ぶどうを剪定するまでの育て方⑤日頃の管理
ぶどうは日光を好みます。
日当たりのいい場所で管理し、土の表面が乾いてきたら、鉢の底から水が流れるぐらいたっぷりと水やりを施します。庭植えの場合、基本的には水やりの必要はありませんが、真夏の暑いときは水を与えてあげましょう。
肥料について、鉢植えでは休眠期の2月、初夏の6月、そして実がなる9月ごろに緩効性肥料や有機肥料を施します。庭植えの場合の肥料は、9月、11月のはじめごろに緩効性肥料や有機肥料を与えます。
ともに新芽や花芽が増えるのを助け、実の着果や結実を促し、樹勢をよみがえらせてくれます。
肥料の施し方にも注意を
一般に、植木は根の先端から肥料を吸収していきます。このため、地面の上に置くタイプの肥料を施す際は、枝の先から垂直に下りた地面に施すようにします。地中に埋める肥料は、植木を中心に描くように数カ所深さ10cmほど掘って肥料を与えていくようにします。
肥料は、与えすぎもよくありません。肥料を与える時期に適した肥料を施すようにしましょう。
ぶどうを剪定するまでの育て方⑥摘果
摘果とは、ぶどうの房が小さいときに房を間引きする作業のことです。
せっかく実がついたのにもったいないと思われる摘果ですが、庭植えなどでぶどうを大規模に育てていると、一本の木にかなり多くの実がなるため、ひとつひとつの実に栄養分が届かなくなってしまいます。このため、摘果することで房全体の数を減らし、大きな房を作っていきましょう。
ぶどうの摘果の時期っていつ?
ぶどうの摘果は、花が咲く前と、花が終わって小さな実ができたときの2回行います。花が咲く前の摘果では、大きすぎる房や二股になってしまった房を中心に、房の数を減らしていきます。花後の摘果では、実が大きくなるように、混み合った実を摘果します。
ただ、販売することを目的としてぶどうを育てているわけではない場合は、きっちりと摘果を行う必要はなく、必要に応じて行ってみるようにしましょう。
ぶどうを剪定するまでの育て方⑦収穫
ぶどうの収穫は、夏から秋にかけて、8~9月ごろです。実が完熟しているかどうかを見極めて収穫できるかどうかを判断するのはむずかしいので、先端になっている実をひと粒食べてみて、十分に甘くなっていたら収穫のタイミングだと判断しましょう。
なお、ぶどうの実の表面に白い粉がついているように見える粒がありますが、これは新鮮な粒である証拠です。病気にかかっているというわけではありませんので心配ありません。
ぶどうの収穫の方法は?
ぶどうの房が十分に熟し、色づきもよく、いい香りがしたら、さっそく収穫しましょう。ぶどうの房がついている枝をはさみで切り取ります。収穫したぶどうは新聞紙などに包み、袋に入れて冷所で保存しましょう。冷蔵庫で保存すれば、1週間程度は保存することが可能です。
ぶどうを剪定するまでの育て方⑧病害虫
ぶどうがかかりやすい病気には、ベト病、うどんこ病、灰色かび病などがあります。ベト病は、葉に白い斑点が現れる病気で、病気にかかると葉が落ちてしまいます。
一度発病すると、伝染する恐れがあるため、見つけたらすぐに防除していく必要があります。うどんこ病は、葉や茎などに白い粉のような菌がつく病気で、感染すると葉が変色し、実が分裂してしまいます。この病気も二次感染する可能性があるため、早期発見が重要です。
灰色かび病は、葉や花、実などが灰色のかびに覆われる病気です。感染した葉や花などはすぐに取り除き、感染しないように注意する必要があります。
気をつけたい害虫は?
被害に遭いやすいブドウスカシバやブドウトラカミキリは、幼虫が新梢に入り込み、茎内で成長していきます。また、チャノキイロアザミウマも新梢で繁殖し、寄生していきます。ほとんどの害虫は、薬剤などで防除できるため、必要に応じて使っていくべきこともあります。
何よりも早期発見が重要ですので、日頃から植木を観察し、様子を確認していくことで予防できる側面もあります。
ぶどうをしっかりと剪定して美味しい実を作ろう
ぶどうを栽培していく上で、樹勢や樹形に合わせて剪定していくことは非常に大切です。正しい道具を使って、必要に応じてしっかりと剪定していくようにしましょう。
初心者の場合、慣れないこともいろいろとありますが、ぶどうの様子をしっかりと見て、それぞれの植木の特性を知っていくことも大切です。十分に手をかけて、美味しい実を作っていきましょう。
ぶどうの育て方が気になる方はこちらをチェック!
今回はぶどうの剪定の方法をご紹介しましたが、ぶどうの育て方をもっと知りたいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。きっと気になる情報を入手することができるはずです。

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