はじめに
はじめてのお米作り:代掻きとは?目的や意味紹介
代掻きは乾いた田んぼにおこなう田起こしの次の作業。水をはったところにトラクターなどを使って土を細かく掘り返す、田植え前の下準備のひとつです。そのやり方は人によってさまざまですが、目的は誰もどの方法も同じ。まずは代掻きの目的から見ていくことで自分が何をしたらよい田んぼができるのかわかりやすいでしょう。
代掻きの意味・目的は
代掻きの目的や意味
代掻きの代は泥という意味。なので代掻きは"泥を掻く"と読みかえれば自然とそのやり方や目的が見えやすいですね。まず泥なので乾いた田んぼではなく水を入れてからの作業になります。その先の意味や目的にはいくつかあるので主なものを紹介していきましょう。
意味・目的1.雑草の根切り
一毛作でも二毛作でもその前に植えられていた稲や麦の根が残っています。これを粉砕しながら撹拌して肥料の一部とするのが代掻きの前の乾いたたでおこなう田起こしという作業なのですが、それでも切れずにいた雑草の根や田起こし後に新たに根付いたものを切る役割もあります。
意味・目的2.土を柔らかく苗を植えやすく
乾いた土ではなく水を入れた田んぼでおこなうのが代掻きが田起しと大きく違う点。土が水でやわらかくなりやすくなっているため、混ぜやすくさらに苗が植えやすくなります。
意味・目的3.田んぼを均等にならす
手植えの場合多少代掻きが不十分であっても人が加減をして苗を植え付ける深さを決められますが、現代の日本では機械化が進み手で作業する人は少なくなっています。そのためできるだけ田んぼの泥の高さは均等である必要があってそれも代掻きの大切な意味です。
意味・目的4.ガス抜きして空気を含ませる
最後にこれから稲を育てる田んぼの泥に養分を十分与えるための意味。これは土中のガスを抜き撹拌して空気を入れることで微生物の繁殖や養分となる根を腐りやすく進めます。
簡単!お米作り上手になれる代掻きの順番1.外周
はじめてお米つくりをする方は代掻きといわれてもピンとこなかった方も多かったかも知れませんが、目的や意味をみたことでなぜ必要なのかがきっとおわかりいただけたと思います。それでは早速トラクターでの代掻きのやり方をご説明していきましょう。どんな形の田んぼでもまず最初におこなうのは外周まわりの泥を掻く作業です。
トラクターによる代掻き作業①1周目
ここでは、現代一般的になっているトラクターでの代掻きの順番をご紹介します。さきほどの意味が達成できるようにすれば良いので、その方法はいろいろとあるのですが比較的簡単にできるやり方解説です。まずは入り口からトラクターで入り外周をぐるりと1周すること。これは反時計回り(左回り)におこないましょう。
コツは田んぼの畦にしっかり付ける
大きな機械でついつい見落としがちなのが田んぼの端、畦に近い部分です。代掻きをしている人を見ているとしきりに後ろを気にしていますがそれは直進ラインを見ると同時に端までしっかり代掻きできているかというところをチェックしています。1週目のコツは畦に付くくらいしっかりと端までおこなうこと!
簡単!お米作り上手になれる代掻きの順番2.直進
田んぼの中ですのでゆっくり作業しても後ろからクラクションを鳴らされることもなく、はじめての方でも外周を回るくらいであれば時間はかかれど出来たのではないでしょうか。ここからはもう少しバックのテクニックを使った直進で泥を掻いていく作業になります。それでもさほど難しいことではないので、ゆっくりでよいので平行にまっすぐやってくださいね。
トラクターによる代掻き作業②直進作業
外側をぐるりと1周してスタート位置に戻ってきたら、その中を直進で往復して内側の土を掻いていきます。この作業は1回で済ませてしまう人や横方向にもかける人、何度も念入りにおこなう人それぞれですがここでは特に簡単でありながら丁寧なやり方でご紹介します。
転回の仕方は畦に突き当たったらバック
先程1周した外周に添うようにまず直進で進み、突き当たったら方向転換して戻ってきます。このときハロー(トラクターに付ける代掻き用の爪)を上げてハンドルを切りながらバック。車体が進む方向にまっすぐなったら代掻きをスタートする位置まで進んでハローを戻し戻ってきます。少し間が開いてももう一度直進するので気にせずまっすぐ平行に掻くことに意識してください。
簡単!お米作り上手になれる代掻きの順番3.2面
はじめて代掻きをする人、トラクターを使うという人は不慣れなこともあり出来上がりに不満を感じることもあるでしょう。近くに同じように代掻きずみの田んぼがあったりするとどうしても見比べて美しさが違うと思ってしまうでしょう。代掻きはまだまだいくつか工程があるので、他の田んぼ同様になるよう2面めの直進をしてください。
トラクターによる代掻き作業③直進の間を代掻き
2を端までおこなったら戻りがてらその間あたりを先ほどと同様に直進で掻いてください。トラクターの後が付いているのでその間をぬうようにラインを決めて入り口まで戻ってきましょう。
田んぼの代掻きのやり方はいろいろある
この2面めの直進をせずに外周を2周する方もいます。考え方は同様です。土を掻いていない場所を作らないように平均的にハローで混ぜればよいのでご自分の考えでやりやすい方法でかまいません。ただ1度ではどうしても土を掻いていない部分がでてくるので縦・横とするなり何度か往復するなど丁寧にする必要があります。
簡単!お米作り上手になれる代掻きの順番4.右回り
解説どおりやり進めていた方であれば、今直進で入り口から遠い場所へいきそこから入り口側へ戻ってきたところですね。さて田んぼの様子はどうでしょうか?バックしたところ(畦に近い端)あたりがガタガタしているのが気になったりしているではないですか?ここでそれをきれいにするため、また外周にトラクターでの代掻きをおこなってください。
トラクターによる代掻き作業④右回りで外周を
トラクターで回っているとどうしても通った後がついてしまいますし、そこの部分の土の掻きが甘くなりがちです。そのためここで先ほどと反対に時計回りに外周をまわってください。コツは最初と同じで畦にしっかり付けること。角のカーブも丁寧に方向転換してきっちりと決めてください。
どんなやり方でもやっておきたい作業
均一に田んぼの土を撹拌するには反対周りはとても有効なやり方です。中の部分は縦横にするのと同様に畦に近い一番外周は反対周りで念入りに土を柔らかくしていきましょう。
簡単!お米作り上手になれる代掻きの順番5.横
最初とは反対方向にぐるりと外周を回ってきて、現在入り口にトラクターは戻っていますね。もう一度田んぼを見てみましょう。だいぶきれいになっているはずです。ここで仕上げの作業にかかっても良いのですが、念には念を入れて良い田んぼになるようさきほどの直進とほぼ直角になるよう泥を掻いてください。
トラクターによる代掻き作業⑤横方向
スタート位置に戻ってきたら今度は横方向に同様に直進して土を掻いていきましょう。縦にすでに2面(か、それ以上)おこなっていますがこれでかなり全面的に土の掻けていない部分がなくなります。
横方向はやる人とやらない人がいる
この作業は右回りに何周か回ってしない方もいらっしゃいます。できれば縦に対して横方向にも代掻きをした方が良いでしょう。慣れてきたら自分なりのやり方を考えスピーディーに簡単にできるやり方に変えていってもかまいません。
簡単!お米作り上手になれる代掻きの順番6.仕上げ
かなり念を入れた代掻き方法ですが、難しいことはなくはじめての方でも楽しくトラクター作業ができたのではないでしょうか。昔はこの代掻きも手でおこなっていた時代もあったのですから、その当時現役の方から見たらトラクターで何度かぐるぐると回るくらい作業のうちに入らないといわれそうですね。もうひとがんばりで田植えに向いたきれいな田んぼが仕上がります。
トラクターによる代掻き作業⑥仕上げ
これも必ずやってほしい手順で最後の仕上げになります。仕上げのポイントはトラクターが入ってデコボコしている部分をきれいにならすこと。これが出来ていると田植え機が入ったときに苗がきちんと植えられず浮いてきてしまったり、逆に苗が深く水の中につかりすぎてしまうということがなくなります。
できるだけ田んぼの土が均等になるよう
そのためできるかぎり平らにきれいに仕上げるようにすることに注力してください。目でも確認しつつ何度も平らにする作業をするのもよいですね。ハローをしまってレベラーというパーツを使っておこなってください。目標は鏡のように平らできれいな田んぼの表面をめざしてくださいね。
簡単!お米作り上手になれる代掻きの順番7.番外編
先程も昔の代掻きのやり方は人が手でやっていたというお話を少ししましたが、トラクターでのやり方しか知らない人はおどろかれるでしょう。現代でもこのようなやり方で泥を掻いている方もいらっしゃいます。番外編としてその方法や道具などを簡単にではありますがご紹介させてください。
トラクター以外の代掻き方法はあるのか?
現在ではほとんどの方がおこなうトラクターでの代掻きのやり方でしたが、トラクターが入れない形が不揃いな田んぼであったり、山間部の段々畑などはまだまだ他の方法で代掻きをしている方もいらっしゃると聞きます。そんな機械でおこなう以外の方法もお話しましょう。
人の手を使っておこなう代掻き
まずは昔はみんなこうだった人の手を使っておこなうやり方です。平らにならすのにえぶりという道具を押しておこなっています。田起こしをしっかりしていることが前提で、トラクターとは違いたいらにすることのみを目標にしましょう。
牛や馬を使った代掻き
人の手では大変な田んぼの枚数があるお宅や農耕馬や牛がいるところでは、これらの家畜を使った代掻きも主流となっていました。動物にまぐわという器具をセットして前で手綱を取る人と後ろからまぐわを操作する人の2人がかりでおこないます。
まとめ
代掻きのやり方を知りおいしいお米を作ろう!
代掻きのやり方がまったくわからないという初心者の方でもわかりやすい、簡単な代掻きの順番・やり方を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。最初にお話したように目的や意味がありますのでどうしたらそのような田んぼになるのか考えながらやることで代掻きの方法も変わってくるでしょう。こうでなければいけないというのはありませんので、田んぼの形や大きさに合わせて工夫して平らできれいな苗代を作ってくださいね。
お米について気になる方はこちらもチェック
その他水稲栽培の育苗のやり方や農業体験できる場所の紹介。できあがった米の上手な保存方法などもご用意しています。お米が気になるという方は是非こちらもご覧いただければと思います。

【育苗とは】育苗のメリットや管理方法と始めるときに必要なものをご紹介!
育苗という言葉を耳にされたこともあるでしょう。植物によってはこの作業を飛ばして直に種まき・発芽させることもあります。育苗はなぜおこなうのでし...

農業体験ができるスポットおすすめ7選!大人にも人気のツアーをご紹介!
収穫の喜びや作物のありがたみを感じることができる農業体験は、子供の食育の一環としても人気であるほか、都会を離れて田舎で農業を始めようと考えて...

お米の保存方法とは?おすすめの容器や時期に合わせた最適な場所を徹底解説!
日本人はお米文化として、長く付き合ってきた食材です。しかし、年々近代化するにつれて、お米の保存方法もどんどん変わってきました。最新のお米保存...