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有機肥料とは?化学肥料との違いや成分を比較して詳しくご紹介!

オーガニック栽培に欠かせない有機肥料。どんな堆肥なのか、なんとなくは知っているけど、深いところまでは分からないという方も少なくないでしょう。この記事では天然肥料(有機肥料)の定義や化学肥料との違いについて紹介しています。
2020年8月27日
sakakibara-tetuji
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植物を育てる有機肥料と化学肥料について

草木、花、野菜などの植物が育つためには、水分と陽の光が基本的な成長エネルギーになりますが、もう1点重要な要素があります。それは土の中の栄養です。植物が大きく育つためには、土壌の健康状態も欠かせない大事なポイントになります。私たちが普段食べている野菜は、大きいだけでなく、旨みや歯ごたえもハイクオリティです。そのわけは、人々が土の状態を良好にするために、意図的に有機肥料や化学肥料を与えていることが理由になります。

肥料なしではまともな作物はできない

日照時間が長く、雨が良くふる土地であっても、土に有機物の栄養がなければ草木や花は貧弱に育つか芽さえ出てきません。なので野生の植物や果物は、土地によって大きかったり小さかったり、美味しかったり美味しくなかったりするのです。これでは安定した収穫にならないので、人々は土に肥料を与えて、野菜などの作物の成長を助けるようになりました。

肥料の種類・成分・違いをご紹介

この記事では作物の栽培に必要不可欠な栄養素(肥料)について、気になる部分を解説していきます。まずは2つの肥料の特徴や違いを紹介する前に、2つの肥料に共通点である、作物へ与える3つの成分から触れていきます。

植物の生育に欠かせない3つの成分について

具体的な土の栄養とは、一体何のことでしょうか。人間には糖質、脂質、タンパク質、といった3代栄養素があるように、植物にも同じく生育に欠かせない3つの栄養があります。有機・化学どちらにも含まれているので、まずはこの成分情報から紹介します。

窒素

窒素は植物の葉に当たる部分を構成するのに必要な成分です。土から窒素を吸収できなかった草や花の葉は、本来の色であるグリーンの鮮やかさが欠けたり、葉が垂れたりしてしまい見た目的に元気のない姿になります。窒素を多く含む有機肥料は、動物かすと呼ばれる動物の身や蹄などの成分です。化学肥料ではアンモニアが窒素を多く含みます。

リン酸

リン酸は植物の成長を総合的にサポートする成分です。とくに種を植えたばかりの初期の段階で、リン酸が土壌に不足してしまうと、芽が出るまでに時間がかかるか最悪の場合は芽が出ないこともあります。リン酸を多く含む有機肥料は、骨粉と呼ばれる動物の骨を砕いた成分です。化学肥料では、過リン酸石灰がリン酸を多く含みます。

カリウム

カリウムは、根や茎を太く強く丈夫に育てるために必要な成分になります。カリウム不足になると、病気にかかりやすくなるなどトラブルが生じます。カリウムを多く含む有機肥料は米ぬかです。化学肥料では硫酸カリになります。

有機肥料とは

生命のエネルギーを使った肥料を有機肥料と呼びます。動物の糞や植物の油など、地球上に存在する命の一部を土に与えることで、土の品質が良くなるのです。コンポストで発酵された生ゴミは、土に還すことで肥料として使うことができます。山などの自然界では、木の実が落ちたり動物が亡くなったりすることにより、自然に命が循環して大地は日々栄養を取り込んでいるのです。有機肥料とは、このような天然肥料のことを指します。


生命が発酵することで肥料になる

動物の糞や植物の油などのエネルギーを土に与えても、すぐには栄養として取り込まれません。有機物が土と一体化するには発酵という段階を踏まなければなりません。そのため、有機肥料を土に与える場合は、効果があらわれるまでに時間がかかる特徴があります。食物を発酵させる時間と、肥料が土の中で分解されて作物に栄養が行きわたるまでの時間を考慮して扱う必要があるでしょう。

有機肥料の代表的な種類を紹介

有機肥料は2つの種類に大きく分類することができます。植物から抽出した油を乾燥させて肥料にする植物由来と、動物の骨や肉などを乾燥させて粉末状にした動物由来の2種類です。それぞれの特徴をご紹介します。

植物由来の成分

植物由来の肥料は、菜の花からとれる菜種油や、米を精米したときに出る米ぬかの油かすなどが主です。ほかには、とうもろこしや大豆、ごま油も天然肥料として扱われます。植物由来の天然肥料の特徴は、窒素、リン酸、カリウムの3大栄養素をバランスよく含むという点です。発酵による臭いも、動物由来の天然肥料と比較すると抑えられます。

動物由来の成分

動物の肉や骨から作られる有機肥料は、イワシなどの魚の煮くずや、鳥の羽肉や羊の皮、牛や豚の骨を粉末にした有機物が用いられます。動物由来の特徴は、窒素とリン酸の配合率が高い傾向にあります。独特の臭いを放つため、畑にハエが発生することもしばしば。ほかには、マグネシウムの含有量に特化した甲殻類の殻なども、土に吸収されて作物のエネルギーになります。

化学肥料とは

植物の生育に欠かせない3大栄養素は、生命の中から採れるものではなく、実は鉱物(無機物)のような命の宿らない物質からも採りだすことが可能なんです。人間が人工的に作り出した堆肥で、もともと自然界には存在しないエネルギーになります。

植物は化学肥料を直接吸収できる

栄養が植物の根にいきわたるまでには、まず有機物が土に取り込まれて、土が植物の根に栄養を与える必要がありました。しかし、化学肥料はそのような手間はいりません。無機質は土に吸収・分解されることなく、直接植物の根に届きます。その結果、スピーディーな栽培が叶うのです。

化学肥料の代表的な種類を紹介

1つの商品につき1種類の成分を含む単肥が一般的です。人工的に鉱物から窒素のみを取り込んだ化学肥料には、窒素しか含まれません。なので販売されている肥料は、成分名がそのままパッケージになっていることがほとんどです。

尿素

化学的に精製された尿素は、化学肥料の中でも圧倒的な窒素の含有量を誇る成分です。粒上に加工されており土壌の表面にまいて、そのまま水を与えるだけで、すぐに根が窒素を吸収します。


ようりん

ようりんとは、3大成分の1つであるリン酸を多く含む人工堆肥で、窒素やカリウムは一切含みません。花や果物など、花びらや実を大きく成長させたいときに活躍する肥料です。

有機肥料と化学肥料の大きな違いとは

2つの肥料は、最終的には作物が育つための栄養成分になることは変わりありません。大きな違いは吸収の仕方にあるのです。有機質・無機質の栄養が、それぞれ作物へ行きわたるまでの過程を紹介します。

作物が有機肥料を吸収するまで

植物や動物の生命を土に吸収させて、いったん土のエネルギーになります。土は牛糞や米ぬかなどの有機物を無機質に変換し、その無機質となったエネルギーを、今度は作物が吸収するといった流れが有機肥料を散布したときのサイクルです。

作物が化学肥料を吸収するまで

化学肥料は、人工的に自然エネルギーを精製しており、その形は始めから無機質です。無機質は土に分解されることなく作物の根まで届きます。作物からしても、根っこから吸収することができるので効率が良いのです。つまり、化学肥料は散布した直後から作物の栄養になります。

有機肥料と化学肥料の使い分け方を紹介

短時間で効率よく栄養を摂れる化学肥料の方が優秀に感じるかもしれません。しかし、片方どちらかの肥料ばかり使用してしまうと、面倒なトラブルが生じてしまうので、2つの肥料は賢く使い分けることをおすすめします。

有機肥料は土づくりの初期段階で使う

メインで使っていきたいのは、有機肥料になります。とくに種を植えるまえの初期段階では、土に栄養を与えるために有機肥料を積極的に使っていきましょう。化学肥料はすでに根が伸びて、ある程度成長した段階では効果的ですが、まだ作物は苗にもなっていない状態では散布しても流れてしまうだけです。有機肥料は作物だけに使うのではなく、これからも長く付き合っていく土壌の為にもなる堆肥だと思ってください。

化学肥料は作物に元気がないときに使う

作物が大きく育たないときや、病気などで萎れてしまったときに活躍します。散布した直後に効果があらわれるので、元気がないなと思ったら散布してみてください。与えすぎると、葉焼けや根焼けなどの問題が起きやすくなります。またそれだけではなく、土の有機質が減少してしまうため、ミミズなど畑を耕す生命がいなくなり自然の力で発酵できなくなる可能性もあるのです。

有機肥料を含む有機化成肥料について

ホームセンターで、パッケージに有機化成と大きく書かれた農業用肥料を目にしたことはありませんか。有機化成とは、人工的に無機質のエネルギーを調合しつつ、有機物の成分も混ぜ合わせた堆肥のことを言います。有機化成は広い視点で見ると、天然肥料の部類に入りませんが、両方のメリットを合わせもつ有機化成は使い方次第で便利なアイテムになるでしょう。


有機化成肥料は追肥に使おう

有機質と精製した無機質を同時に散布できる有機化成は、通常の化学肥料と同様に、ある程度苗が育ってきてから使っていきましょう。与えすぎると、葉焼けなどのトラブルが生じやすいので気を付けてください。有機化成の良いところは、有機質も含んでいるため、土の健康状態を悪化させずに即効効果を得ることができる点です。

オーガニック栽培における肥料散布について

自然的な健康によいイメージをもつオーガニックの野菜は、農薬・化学肥料を使わずして栽培された野菜です。文明が進化するまえの最も自然な形で栽培されるオーガニックは、そのイメージ通り自然界の仕組みだけを使って作物を育てていきます。ただし、肥料に関しては市販の有機肥料を使っても良いとされているので、オーガニック栽培では肥料を一切使えないというわけではありません。

化学肥料は適度に使っていこう

100%オーガニックを謳うブランド野菜の栽培を除いて、ガーデニングなど家庭菜園では、有機肥料はもちろん化学肥料もケースバイケースで使用してみましょう。天然肥料だけで作るオーガニック野菜も魅力的ですが、湿気が多く夏は気温も高くなりがちな日本の気候では、そうとうなテクニックが必要です。化学肥料に悪いイメージを持つ方もいますが、とくに人害はありませんので、野菜の成長に合わせて有機質・無機質をバランスよく使っていきましょう。

まとめ

有機肥料とは、自然界を生きる動植物の命尽きたときに、微生物に発酵させられ土に還ることで、大地や作物の栄養に変わる天然肥料です。一方化学肥料は、人工的に作り出した単一性の成分で、土には吸収されず直接作物の根に届きます。オーガニック栽培では人工的な処置が好まれませんが、含まれる成分自体は鉱物など天然の素材なので人体に害はありません。どちらもバランスよく使っていくことが重要です。

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