大垂水峠とは
東京と神奈川の県境の峠
注目度うなぎのぼりな大垂水峠は、天狗の山として名高い高尾山のすぐ西側に位置する峠です。峠の東側には高尾山口駅があり、西側に行けば相模湖があるなど有名観光地に接しています。ちょうど東京都の八王子市の南西部と、神奈川県の北部の境界にある、県境の峠道としても知られています。
国道20号
東方の高尾山口から大垂水峠を経て、西の相模湖方面までくねくねと通っているのは国道20号線です。かつて甲府盆地と江戸を繋いでいた、甲州街道の新道でもあります。山間部であるとは言え、国道20号は2車線の幹線道路で、観光地を抜けることから自動車の交通量も多めです。
ヒルクライムの名所
いつの頃からか、大垂水峠は、東京で自転車を志す人々の走破する、ヒルクライムの名所となりました。峠道ではロードバイクやマウンテンバイクの姿が目立って多いと感じられるほどです。勾配も距離もお手頃で、ヒルクライムしやすいとのことで、自転車乗りからの評価は高めです。
大垂水峠の基本情報
【所在地】 東側:東京都八王子市南浅川町、西側:神奈川県相模原市緑区千木良
【道路】国道20号(甲州街道)
大垂水峠のアクセス
アクセスの概要
東方の新宿から伸びている国道20号線が、大垂水峠までのアクセスの要となります。ロードバイクでやってくるなら、JR中央本線の高尾駅前を通過すれば良いので、アクセス時には迷いにくい場所です。車で訪れる場合には圏央道の高尾山インターが最寄りで、近隣の駐車場を目指します。
車・自転車でのアクセスルート
【自転車(東から】国道20号→高尾駅前→高尾山口駅前→大垂水峠
【自転車(西から】国道20号→相模湖駅前→大垂水峠
【車(東から)】圏央道→高尾山IC→国道20号→周辺駐車場
【車(西から)】中央道→相模湖東IC→国道20号→周辺駐車場
大垂水峠の周辺駐車場
高尾駅と高尾山口駅周辺
愛用の自転車を積み込んだ車が利用してみたいのは、大垂水峠の東方の駅前エリアです。高尾駅前にアクセスすると、あちこちに時間貸し駐車場が集中しています。高尾山口駅前も駐車場が多めですが、土日や連休中には登山客で大変込みあっている様子です。
相模湖駅周辺
その一方で西側から大垂水峠を目指すなら、相模湖の北側の駐車場です。湖畔や駅前にアクセスすれば大小の駐車場があり、ヒルクライムで利用できる駐車場を見つけやすい環境です。時間貸しのほか、湖畔には大規模で無料の駐車場も見つけられるので得した気分です。
大垂水峠のヒルクライムコース
コースの特徴
峠の東西の区間では、明確にコースに違いが見られます。それは東側は比較的にカーブが緩やかで少ないのに対し、西側は大垂水峠にかけて、日光のいろは坂を思わせるほどに急カーブが連続していることです。ロードバイクでは、東の高尾山口駅側からが登りやすいと言われる理由がこれです。
路側帯が無い・狭い
人里に近い場所の国道20号は、途切れ途切れに歩道があったり、広い路側帯もあったり走りやすい路面です。ところが大垂水峠を上っていくに連れて歩道は無くなり、路側帯は狭まる場所もでてきます。そのためロードバイクなど自転車での通行は、車と接する危険と隣合わせです。
大垂水峠の標高と勾配
最高地点の標高
とても気になる大垂水峠の標高は、公式的には392mと表示されています。しかし自転車や登山のサイトによっては、398mや402mと表示されていたり、ちょっと曖昧な感じです。東の高尾山インターや西の相模湖畔のあたりはいずれも標高200m台前半であるため、峠との高低差は200mもありません。
平均勾配5%前後
全体的に見ると、国道20号の大垂水峠付近の勾配はかなり緩めです。平均勾配は4.8%~5.5%の間となり、計測距離の長短によって多少は平均勾配に変動があります。高低差も少なく、緩やかに続く坂道と言った感じなことが、ロードバイク初心者もスイスイ登りやすいと好評な理由です。
最大勾配9%
勾配が比較的に緩やか系な大垂水峠と言っても、心臓破りに近い難所も存在しています。それは大垂水峠の頂上に近いあたり。そこでは勾配が一気に7~9%にまで達して、自転車の進みは遅くなります。ただ急勾配区間は短いので、ロードバイクではローギアで一気に登り切ることは無理がありません。
大垂水峠の距離
東山麓から大垂水峠まで
どこからを大垂水峠コースと決めるかは定義が曖昧ですが、幾つかの主要交差点からの距離をご紹介します。サイクリストアプリStravaが提示している距離は、東山下橋から大垂水峠まで約3.61kmです。高尾山口駅前交差点からは約5.7km、高尾駅前交差点からは約7.5kmの距離があります。
西山麓から大垂水峠まで
西側から峠の最上部までの区間で、起点となっているのが相模湖駅前交差点です。そこから大垂水峠までは約6.3kmの距離があります。勾配が本格的に出てくる千木良(ちぎら)小学校交差点から大垂水峠までの距離は、およそ3.6kmです。
各地点からの距離まとめ
【Strava 大垂水峠TT(東山下橋交差点~大垂水峠)3.61km
【高尾山口駅交差点~大垂水峠】約5.7km
【高尾駅前交差点~大垂水峠】約7.5km
【相模湖駅前交差点~大垂水峠】6.3km
【千木良小学校交差点~大垂水峠】約3.6km
大垂水峠のヒルクライム記録
Stravaの大垂水峠TT
この大垂水峠のヒルクライムのタイムを知る上で参考になるのが、自転車アプリStravaの記録です。公式サイトでは大垂水峠TT(信号「東山下橋」~頂上)の3.61kmの区間にて、ランキング形式でタイムを表示しています。アプリをスマホに取り入れることで、タイムアタックに参加が可能となります。
最高記録は7分台
その記録によれば、現時点でトップを行く最高タイムは7分26秒。大垂水峠の3.61kmの距離を7分台前半で登り切ってしまう、ロードバイクの猛者が存在しているようです。男性の上位は7分台、女性の上位は9分台となっていました。ただ自転車初心者の場合、男性も10~20分は要すると考えられます。
大垂水峠で気になる臭い
峠の頂上部の臭い
ほんの数年前まで、大垂水峠と言えば鼻がもげるほど臭い場所として知られていました。その臭いは、業者が作っている堆肥が原因だったと判明しています。ロードバイクで訪れると、誰もが臭いに戸惑う状態でした。しかし近年には業者が製造を止めたらしく、臭いという話は年々聞かれなくなっています。
高尾山のあたりの臭い
しかしもう一つ、大垂水峠付近で気になる臭いが毎年のように出ています。それは秋の頃、高尾山の国道20号沿いで発生している銀杏の臭いです。高尾山は銀杏の木が多いので、毎年の風物詩的に臭いも充満しているとか。そんな銀杏の臭いがいっぱいな中でも、ロードバイクで峠を目指す人は絶えません。
大垂水峠の通行止め
特殊交通規制区間となる
もしロードバイクで走りに行くならお天気が心配ですが、同時に大垂水峠の通行止めも気になるところです。実は大垂水峠は東京の国道では珍しく、悪天候による交通規制を設けている道路です。通行止めになると、自転車を含む人と車両などは全面的に通れなくなります。
通行止めは150mm以上の雨量や降雪で
梅雨の時期や台風などで時々起こる通行止めは、大雨によるものです。国道20号の大垂水峠で通行止めになるのは、連続降雨量が150mmを超えた場合になります。高尾山のあたりは冬季に雪が積もりやすく、積雪量が多くなった場合も通行止めやチェーン規制の交通規制がかけられ、自転車も通れません。
通行止めになる理由とは
この大垂水峠が悪天候によって通行止めになるには理由があります。峠道は急峻な崖と谷と急カーブが多く、スリップすると転落事故に繋がるためです。さらにこの道は交通量が多く、飛ばし気味の車も出るのでますます事故率が高まります。そのため大雨時の通行止めが必要になっているのです。
通行止め情報
【垂水区間(大垂水峠の東)】4.8km
【相模湖区間(大垂水峠の西)】1.5km
【通行止め理由】連続150mm以上の大雨、冬季の積雪
大垂水峠の歴史を知る
甲州街道
国道20号は又の名を甲州街道と呼びますが、この大垂水峠を含む街道は、明治21年に開通した新道です。それ以前には大垂水峠より北に通る小仏峠の旧道が、本来の甲州街道として機能していました。江戸時代以前からの小仏峠は道幅が狭かったので、馬車の通行に対応して現在の新道が作られたのです。
大垂水の意味
古くからこの地域で大垂水峠と呼ばれてきましたが、その名の由来は地形に関係していました。周辺の高尾山から大垂水峠を経て大洞山を結びつける稜線が、大きくたるんでいるように見えることが、名の由来と言われています。呼称はおおたるみ、おおだるみ、2つの呼び方が存在します。
大垂水峠の北側の旧道
甲州街道の旧道(都道516号)
周辺でヒルクライムを楽しむとすれば、大垂水峠の北方に隠れている都道は密かに人気があります。甲州街道の旧道だった、都道516号線を舞台とします。この旧道は高尾駅近くの国道20号線にある、西浅川交差点が始発点です。旧道は中央本線や中央道に沿いながら小仏峠方面へと伸びています。
小仏峠の自転車通行は不可
西浅川の交差点から小仏峠の手前までの旧道は4.8kmの距離があり、勾配はじわじわ緩やかで自転車向きです。しかし大垂水峠のように、ロードバイクで旧道の小仏峠を乗り超えることはおすすめできません。なぜなら小仏峠は東西の両側とも車両通行止めで、歩行者用の登山道が伸びているのみだからです。
甲州街道旧道(都道516号情報)
【旧道東側】国道20号西浅川交差点~小仏峠手前:4.8km
【旧道西側】国道20号底沢橋~小仏峠手前:1.5km
※いずれも小仏峠は自転車通行不可
大垂水峠のお食事処
富士屋
かつての昭和の時代には複数のお食事処があった大垂水峠ですが、現在営業しているのは富士屋だけです。富士屋は1966年創業ともう老舗と呼べる領域に入ってきた名店で、自転車乗りにとっては峠のオアシスとなります。以前は各種の定食も扱っていましたが、現在は中華メニューを基本としています。
富士屋のおすすめ料理
かわいい猛犬が出迎えてくれる大垂水峠の富士屋で、食べてみたい一番の名物と言えばチャーシュー麺です。天然の湧き水を使用して作られた麺と透き通ったスープに、厚切りのチャーシューが乗っかって何とも贅沢な一品です。ラーメンを食べるときには、ライスと手作り餃子も忘れてはいけません。
富士屋の基本情報
【所在地】神奈川県相模原市緑区千木良179
【電話】042-684-2655
【営業時間】9:00~18:00(水曜定休)
大垂水峠の周辺の温泉
京王高尾山温泉 極楽湯
登山者と自転車乗りに御用達な温泉が、大垂水峠の近くにあります。それが高尾山口駅前に2015年にオープンした、京王高尾山温泉極楽湯。京町家風な建物の中では、温泉やボディケアで取れるし、お腹は満たされるとあって、大垂水峠にヒルクライムしに来た人も我先にと訪れるほどの人気です。
極楽湯の温泉
屋外には高尾山の森を眺める岩の露天風呂があり、地下1,000mより美人の湯が湧き出ています。大垂水峠の自転車紀行で疲れているなら、炭酸浴ができる露天炭酸石張り風呂が注目。内湯ではマイクロバブルの檜風呂や季節ごとの替わり風呂やサウナもあり、存分に極楽な気分に浸れます。
極楽湯のお食事
お風呂から上がったら、お食事処に自然と足が向かいます。高尾の薬王院で、参拝者の疲労を取るため振る舞われたのが始まりというとろろは、極楽湯でも名物です。高尾山御膳や、牛タンとのセットなど多様に揃います。ご飯大盛りが無料な各種の丼も、大垂水峠を目指して来たサイクリストに人気です。
京王高尾山温泉 極楽湯の基本情報
【所在地】東京都八王子市高尾町2229-7
【電話】042-663-4126
【営業時間】8:00~23:00(年中無休)
【施設】温泉、サウナ、お食事処、ほぐし処
大垂水峠のヒルクライムの注意点
大型車両が多い
現地を走ってみれば、大垂水峠は臭いだけでなく大型トラックも気がかりな存在です。長大なトラックやトレーラーが車線いっぱいに行き交い、自転車の横を通る時は肝を冷やす瞬間です。すれ違う時、或いは急カーブでの内輪差などは、ヒルクライムのタイムアタック中に注意が必要です。
暴走車両にも注意
10年前までは取締りが緩かったこともあり、大垂水峠は暴走車両が多いことで有名でした。1990年台まではバイクのローリング族の事故が多発し、ドリフト族も多数出現する無法地帯となっていました。現在は取締りが強化されたとは言え暴走や煽り運転の車があり、自転車走行には注意が必要です。
大垂水峠のヒルクライムに行こう
峠の富士屋と温泉もセットプランで
どうして大垂水峠がヒルクライムに好まれているのか、その理由が判明しました。ロードバイクで走ればその勾配と距離感はちょうど良く、相模湖や旧道や立ち寄りたい名所など、走りを楽しめる要素も含んでいたからこそです。富士屋と温泉をセットで、自転車を楽しみに行ってみたいですね。
相模原が気になる方はこちらもチェック!
当サイトではロードバイクで走ってみたい大垂水峠の他にも、相模原の情報を掲載中です。休日は自転車で相模原の名所を尋ねたい方はチェックしてみてください。
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