初めての方でもできる畑の基本の土作りを解説!
家庭菜園は自分が楽しむだけではなく、今や子育て中の親や学校教育の場においても、子供の食育に繋がることだと言われて注目を集めています。
でもせっかく野菜の苗を買ってきて枯れてしまうとか、実が実らないなど残念な結果ばかりが続く方には、まず、畑の土壌の土作りから見直すことを提案します。ここでは家庭菜園をはじめ、園芸が初めてな方でもできる畑の基本の土作りの方法を解説いたします。
野菜が生育するためによい土壌が必要なわけ
植物は根を伸ばして成長する
土壌が良いと根付きがよく、元気な野菜や植物が育ちます。野菜をはじめ植物は、土の中に根を張ってそこから栄養や水分を植物内に取り入れて育ちます。この時土壌に状態が思わしくないと、植物は土の中に根を広げて伸ばすことができません。そのため必要な栄養や水分を吸収できなくて、生育できなかったり、根が腐ってしまい枯れてしまいます。
地上部に育つ野菜も土作りが肝心!
たとえば野菜でいうなら、人参や大根などの根菜野菜はもちろんですが、レタスやホウレン草、キュウリやトマトなど地上部に生育する野菜類も、土の下で根を伸ばすことで地上部の作物への良い生育につながるのです。
土壌に植えさえすれば植物が育つというわけではなく、きちんと整った土壌に植物を植えることで植物が育つのであり、良い土作りは家庭菜園やガーデニングなど野菜や植物を育てるのに大切なポイントとなるのです。
植物にとっての「良い土」とは?
保水性と通気性と排水性の良いこと!
野菜をはじめ植物を育てる土台となる土壌。実りの良い元気な畑になくてはならないものは、よい良い土が何より大切です。植物にとって良い土とは、保水性、通気性、排水性があること。たとえば土の中で水分は保たれているけれど、通気性や排水性が悪いと根が腐り、その結果枯れてしまうのです。
土に水分を保つ力がなかったり、土の中に空気の存在する空間がなく通気が悪いと、保水も排水もうまくいかず、野菜など植物の生長が悪くなります。こんな土は握ってみるとボロボロしていて、大きな塊があるような触り心地がします。
良い土はふわふわっとしている
一概には言えませんが、保水性があり通気性と排水性のある良い土は、黒っぽい色をしています。手で握るとふかふかと軽い感じです。これは土の中の微生物が活発に作用しふんわりとした柔らかい土になっているのです。
微生物によって分解された有機物の色がそのまま黒っぽい土の色となって表れ、また土がふかふかと柔らかなことは、土の中で植物が根が広げ伸びやすい土だという証拠でもあります。
良い土の構造
植物にとって理想的な土は保水性、通気性、排水性のある土です。そんな土を分析して説明します。まず土の中を探ると、小さな団子状の土がたくさん集まって土の群れを作っているのがわかります。
小さな団子状の土はそれぞれ水分が保たれており、そして程よい隙間をとり、小さな土の団子と団子が集団を作って土となっているのです。このような構造で保水性はありながら通気と排水がうまく行われ、良い土の状態を維持しているのです。
良い土の構造がわかったらさっそく土作りをしてみよう!
良い土の中を分析するとこんな状態になっており、植物の生長に必要な水分はあるけれど、適度な隙間があるために通気性と排水性もできて根腐れもおこらないのです。このような良い土の土壌を作る方法を、家庭菜園に初めて挑戦されるの方にもわかりやすく、畑の基本の土作りの方法をご紹介していきます。
初めての人にも簡単な基本的な畑の土作りの方法1
土壌を耕し土を柔らかくする
保水性と通気性と排水性を土の中に程よく作る方法で、まず最初にすることは、土壌の土を柔らかくすることです。そのために土壌をクワなどで掘って耕します。深さは少なくとも30cmくらい掘って耕します。土壌を耕すことで土が柔らかくなり、土の中に隙間が増えて根が広く伸びやすくなります。
3つのエリアができる!
土を耕すことで土壌の中には土の粒のエリアと、水分のエリアと、空気のエリアができます。このエリアを土壌内の中に作ると、土が柔らかくなるだけではなく、保水性も通気性も排水性もよい土壌になり、植えた苗の根が広がりやすくなり、根が広がって伸びることで植物の生長に働きかけることができるのです。
そして土壌の中をこのような状態に保つためには、次に、土の中に堆肥や肥料を施して混ぜ込む作業を行います。
初めての人にも簡単な基本的な畑の土作りの方法2
堆肥を施す
土壌を耕したら次はその土壌に堆肥を施し混ぜ込みます。堆肥とは落ち葉や刈草、動物性のものでは牛糞などの家畜の排せつ物を材料に、微生物の働きかけにより分解、発酵した有機物のことです。
有機物である堆肥を土壌に漉き込むことで、土の保水性、通気性、排水性を高め、堆肥である有機物が微生物の活性エネルギーとなって微生物がよく働くようになり、土の中が良い状態に維持されて、野菜などの植物の生長に良い影響を促すようになるのです。
初めての方は市販の堆肥がおすすめ!
堆肥は落ち葉などを分解して発酵させた腐葉土を作って、それを利用することもできます。
このように手作りすることもできますが、有効的な腐葉土を作るには、落ち葉などをしっかりと発酵および分解させなければならず、完熟堆肥にするにはその工程も手間がかかるため、初めて家庭菜園にトライし土作りをする方は、ホームセンターや園芸店の市販の腐葉土やバーク堆肥、ビートモスを購入して堆肥として利用することをおすすめします。
堆肥は種まきや植え付けの2週間前に準備開始!
堆肥は種まきや株を土壌に植え付ける2週間ほど前に土壌に施し耕しておきます。施す量は1㎡あたり2~3kgくらいの割合です。結構深く土壌を掘り起こして堆肥を施し耕します。大体30cmくらいの深さまでは掘り起こしましょう。この時同時に、この後に説明する石灰と肥料も一緒に施して耕してしまいます。
初めての人にも簡単な基本的な畑の土作りの方法3
土壌酸度の調整のための石灰を施す
堆肥を土壌に施すとき、同時に石灰も施して耕します。石灰は土壌の酸度を調整する働きがあります。野菜が生育するのは、その野菜によって適する土壌の酸度(PH)というのがあります。野菜を上手に育てるためには石灰を施して、土壌を野菜にあった酸度(PH)に整えます。
土壌酸度計を利用して測ってみよう
実際に自分の畑の土壌がどんな酸度であるかは見た目ではわかりません。一般的に雨が多く降る地方の土壌は酸性の土壌であることが多いといわれますが、確かなわけではありません。
土壌の酸度(PH)を測るためには、土壌酸度計というものがホームセンターなどに行くと販売しているので、それを利用して土壌の酸度を知るとよいでしょう。近頃は、液体を撒いて土壌の酸度が測れるものも販売しているようです。
多く野菜は弱酸性から中性の土壌が良い
多くの野菜は弱酸性から中性の土壌を好みます。日本は雨が多いので、何も手つかずの土壌は、酸性に傾いていることが多く、土壌酸度計が酸性を示すようなら、石灰を撒いて土壌を調整しなければなりません。
ただし野菜によって生育するのに相性の良い酸度(PH)というのは様々で、厳密に野菜の育てたいならばその野菜の性質を調べて石灰を施すのがより良いですが、一般的な家庭菜園では育てる野菜はPH6~6.5くらい(弱酸性から中性)がほどよい酸度です。
土壌酸度計にも記載されていますが、PH4~6は酸性、PH8~9はアルカリ性をしまします。石灰は土の酸度を調整するだけでなく、野菜類など植物のカルシウムやマグネシウムの補給にも役立ちます。
初めての方は苦土石灰がおすすめ!
石灰はホームセンターや園芸店で販売していますが、石灰と一概に言っても様々な種類があります。初めて家庭菜園にトライされる方は「苦土石灰」を使用するのがおすすめです。
苦土石灰は効き目が穏やかで、極端にアルカリ性に偏りすぎず、土も固くなりにくいです。苦土石灰はドロマイトという岩石を粒上にしたもので、成分はカルシウムとマグネシウムです。身近な石灰資材として一般的に使われており、初めての方にも使いやすいのでおすすめです。
たとえばアルカリ性の強い「消石灰」などを撒きすぎると水はけの悪い固い土になってしまう場合があります。ちなみに苦土石灰に使用の目安は土壌1㎡あたり100g、土1kgあたり1.5gでPH0.5くらいづつアルカリ性に傾きます。
初めての人にも簡単な基本的な畑の土作りの方法4
栄養となる肥料を施す
家庭菜園の土壌の土作りでは、堆肥と石灰のほかに、肥料も一緒に土に施して耕し、土壌を作ります。家庭菜園で野菜が育つには栄養も必要なのです。野菜など植物の三大要素は窒素(N)とリン酸(P)とカリウム(K)です。野菜の生長を見ながらそれに続く栄養素がカルシウムやマグネシウムです。
野菜を育てる家庭菜園の土作りのスタートに、三大要素を含んだ肥料(これを園芸用語では「元肥」という)を堆肥や石灰と一緒に施して耕します。元肥はゆっくりと効果があらわれる緩効性の有機肥料を使います。
三大要素の働き
野菜をはじめ植物の三大要素の窒素(N)は葉や茎の生長、リン酸(P)は花や実の生長、そしてカリウム(カリ・K)は根の生長に働きかけます。元肥の緩効性有機肥料はホームセンターや園芸店で市販されていますが、肥料の種類によって含有される三大要素の配分が違います。
ホウレン草やアスパラのように葉や茎に栄養が必要なもの、キュウリやトマトのように実に栄養が必要なもの、大根や人参のように根に栄養が必要なものなど、必要な栄養成分の配合が多いものを選んで元肥を選ぶのがおすすめです。
初めての人にも簡単な基本的な畑の土作りの方法5
翌年同じ土壌に同じ野菜は植えない
野菜によっては、土作りをして生長させ収穫した後の同じ土壌で、翌年連続して同じ野菜を植えると生育が悪くて枯れてしまうことがあります。これを園芸用語で「連作障害」というのですが、それは前の年の野菜に寄生していた害虫が土の中に残っていたり卵があったりなどが原因で、同じ種類の野菜を植えるとその野菜に害が加わるからです。
自家中毒を起こすこともある
前年度植えていた野菜の根から分泌された物質が土の中に残っていて、翌年の野菜に悪い影響が出ることがあります。これを自家中毒と言います。
中には問題のない野菜もありますが、そんな心配もあるので同じ種類の野菜を翌年同じ場所に植えるのはおすすめできません。土壌がなく、やむを得ず同じ場所に植えなければならないときは、初めから土作りをしてから植えるようにしましょう。
初めての人にも簡単な基本的な畑の土作りの方法6
春は初めての方も土作りしやすい時期!
春は花や木の芽が出てくる時期であると同時に、野菜の苗を植え付ける時期でもあります。トマトやナス、ピーマン、キュウリ、イチゴ、オクラなどは、春に苗付けや、春に種まきをするので、春に畑の土作りをします。
春は雨量も少なく土作りには最適な時期です。春の土作りはそれほど難しいことはなく、初めて家庭菜園を始める方は、春に土作りをして夏に実る野菜にトライするのはおすすめです。
秋は雨量に注意して土造りしよう
白菜、キャベツなどの冬野菜を家庭菜園する場合、秋に土作りをして、苗を植え付けなければなりません。日本では梅雨の時期がありますが、実際雨量が多いのは秋の季節。台風などに見舞われるのも秋の季節です。秋の土作りは雨量を考え、秋は土壌の排水に気を付けなければなりません。
秋の土作りで専門的に雨の排水対策をするにはパイプなどを使用する暗渠排水(あんきょはいすい)などという方法もありますが、初心者や家庭菜園ではそれほど手間もかけられません。秋の土作りは雨の量を考えて、秋の時期は排水性を高めるため、春に土作りするときよりも、堆肥を多めに施すようにしましょう。
上手に土作り!良い土壌で家庭菜園を楽しもう
良い土とは保水性、通気性、排水性のある土。そんな土作りをするためには土壌をよく耕して、有機物の堆肥と土壌の酸度を整える石灰、野菜の栄養になる元肥を土壌に施してよく耕し、良い土作りをしましょう。良い土には根が広がって伸び、根から栄養を吸収して野菜がよく育ちます。上手に土作りをしてよい土壌で家庭菜園を楽しんでくださいね。
畑の土作りの情報をもっと知るにはこちらもチェック!
家庭菜園やガーデニングの基本は畑の土作り。良い土を作ると植物も良く育ちます。土作りの情報をもっと知りたい方はこちらもチェックしてみましょう。土作りのコツの情報がこちらにも掲載されています。合わせてご一読されご参考にしてください。
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