ポロネギの特徴
長ネギより太い見た目
よく近所のスーパーでも見かける長ネギは、直径が1.5~2cm程度です。しかしポロネギを見れば、それよりずっと太い外見をしています。とても太いものになると直径は5cmに達しているほどで、1本あれば食べごたえは抜群です。太いネギという意味では、群馬特産の下仁田ネギみたいな印象もあります。
葉っぱがパイナップルのよう
もう一つ長ねぎと違う特徴と言えば、長く伸びる葉っぱの形状です。本体の長さは60~90cmに達する中で、ポロネギの葉の先端は湾曲して伸びるようになります。見た目はまるで南国のパイナップルの葉っぱみたいな印象もあり、もし南国人がポロネギ畑を見れば、見間違うかもしれません。
刺激がないまろやかな味
普段からネギを刻むと目に刺激が来て、生で口に含めば独特な苦味も感じるのが当たり前。しかしポロネギはそんな刺激的な味覚は含まれておらず、生で食べても甘くてまろやかな味です。長ネギの刺激が苦手という人も、ポロネギであればすんなりと食べられる特徴を持っています。
ポロネギの産地と流通
欧州の地中海沿岸が原産地
本来の生産地は、遠く離れた地中海の沿岸地域にありました。イタリアやフランスなどの諸国が原産地です。寒い気候に強いため、古来よりイギリスなどの寒冷地を含む、西欧の全体でポロネギ生産は盛んでした。20世紀以降はアメリカやオーストラリアなど、世界各地での栽培量も増えています。
日本のスーパーの販売
まだ馴染みのないポロネギですが、それもそのはず。日本のスーパーでポロネギが売られ始めたのは、欧州野菜が注目され始めた近年になってからのことです。それでも取扱っているスーパーの数は、全国的に見てもまだまだ少なめで、売り場ではとんと見かけない場合が多いくらいです。
日本国内での生産
普通のネギが主流となっている日本では、リーキを栽培している農家もまだ少なめです。特に生産高が多い自治体としては、茨城の取手市や長野の池田町など各地に点在する程度。しかしポロネギは、今や家庭菜園で種から栽培される傾向にあって、かなり身近になりつつあります。
ポロネギの旬な時期
本来は寒い時期に成長する野菜であるため、ポロネギの旬と言えるのは真冬の頃です。スーパーでの流通する量も増えて、見かけやすくなります。しかし欧州ではポロネギは旬に関係なく1年中栽培しているため、日本のスーパーと違っていつでも身近となる野菜です。
ポロネギの名前
欧州での様々な名称
国が違えば名も異なるのは世の常です。イングランドはリーキ、リークと呼び、これが世界的なポロネギの流通名です。一方ウェールズではケニン(cennin)と呼びます。本家フランスはアガサ・クリスティの名探偵の名前になったポワロ(poireau)、イタリアはポッロ(porro)です。
日本での名称
あちこちの名称の影響を受けた感じになり、名前も色々と出揃うのが日本です。まず一般的なポロネギという名称は、イタリアのポッロを語源とします。同じ要領でポワロネギとも呼ばれます。西洋ネギ、西洋ニラネギなどもあり、日本ではとにかくネギをくっつけたがる傾向にあるようです。
ポロネギとウェールズ
ウェールズの国花・国章
このポロネギなくして語れぬ地域も、西欧には存在します。それはイギリス西部のウェールズ。このウェールズが未開の地だった6世紀、修道院や教会を作り続けた聖職者デイヴィッドが、戦場で味方の兵士にリーキを付けさせた逸話が残ります。ポロネギは今ではウェールズの国花・国章となっています。
ウェールズではポロネギをよく使う
そんな聖デイヴィッドを通じて、古代からポロネギに縁のあったウェールズでは、郷土料理でもこの野菜を使うものが様々にあります。ウェールズで代表的なのはリーキポリッジで、これはポロネギを使ったおかゆ。カウルケニンはポロネギとじゃがいもを使い、チキンの出汁で作る伝統のスープです。
ポロネギのプランター栽培
ポロネギの種の取得
成長したリーキがてっぺんにねぎ坊主を付けるのは、まるっきり長ネギみたいな特徴。やがて小粒な種を取得できます。日本ではポロネギの種が珍しく、近所のスーパーや園芸店では入手が難しいこともあります。しかし今ではポロネギの種は通販で入手が簡単なため、プランター栽培するのも容易です。
播種から育苗期
庭で簡単にポロネギを育てるならば、まずは土壌作りから始めます。底に軽石を敷き詰めて培養土を入れた浅いプランターに、4~6月に種を埋めます。発芽するまでは水やりを毎日して、10日に1度追肥をします。おおむね茎の太さが1cmを超えた頃、深底のプランターに植え付けを行います。
植え付け以降
深手のプランターを用意して培養土を半分詰めたら、ポロネギの植え付けです。2週間に1度は必ず追肥し、大きくなったら1月に1度の増し土も欠かせません。アブラムシが付くことがありますが、無農薬でも育てられます。寒さに強く低温で旨味が増すので、真冬の寒さを心配する必要がありません。
収穫
収穫の時期として最適なのは、寒さも本格化してくる11月の中旬から翌3月のあたり。滞りなく成長して旬を迎えたポロネギは、直径が3~5cmの理想的な太い見た目になっています。よっこいしょと引っこ抜いたあとは、よく洗ってからさっそく料理に使うだけです。
ポロネギ栽培時期のまとめ
【播種】4~6月
【植え付け】6月~9月
【収穫】11月中旬~3月
ポロネギの栄養
長ネギ同様の栄養
風邪に効くとか体を温めるという効果で、昔から好まれている和の野菜が長ネギです。一方でポロネギは刺激や香り成分が少ない分、栄養素は少ないのかと思いきや、長ネギ同様の栄養素を含んでいます。疲労回復のビタミンB1やカリウム、細胞を作るビタミンB2などが豊富です。
抗酸化作用
若々しく保つために抗酸化作用が何かと注目な昨今ですが、このポロネギも抗酸化作用の塊みたいな野菜です。その正体の1つβカロテン、そしてリーキの臭いの主要因となっているアリシンです。特に生活習慣病の予防と改善を希望するなら、食べておいて損はしない野菜になります。
ポロネギの保存
細切りにして冷凍保存
栽培できたけれど量が多くて使い切れないとなれば、冷凍保存の出番です。葉っぱと白い部分含め、全体を薬味のように細切りにし、ジップロックなどに詰めて密閉、冷凍庫に保存します。1ヶ月程度であれば、ポロネギは冷凍で美味しい状態を維持できます。
茎は冷蔵保存
白い茎のほうを夏場に腐らせないためには、タッパーなどで冷蔵保存をします。ポロネギは密閉して保存する時には、枯れている葉や土と雑菌が付いている根っこの部分は、必ず切除して保存することが要点です。太い茎ごと冷凍しても構いませんが、取り出せばカチコチなので調理が大変です。
ポロネギを別の野菜の代用に
ネギの代用に
料理をする上で長ネギが見当たらない事態に遭遇しても、ポロネギがあれば代用にできます。見た目から長ネギみたいな形状な上、味や食感も代用に足る野菜だからです。焼き鳥やグラタンなど固めに仕上げる料理では代用に相応しく、太いとは言え、刻んでネギ同様の薬味として利用するのも実用的です。
玉ねぎの代用に
1本あれば玉ねぎ1個以上の重量感のあるポロネギ。だから玉ねぎの代用野菜としても、充分に役割をこなします。例えばハンバーグを作る時、玉ねぎがなくてポロネギがあるなら、みじん切りにしてひき肉と混ぜ込んでもok。親子丼や牛丼などに玉ねぎの代用として使っても、違和感はありません。
ポロネギの簡単な食べ方①
ポロネギのポタージュ
材料(3人分):ポロネギ(リーキ)1本、じゃがいも中2個、グースファット少々(なければ結構)、バター10~20g、水200~300ml、チキンブイヨン1個、牛乳600ml、生クリーム 100ml、塩少々、ホワイトペッパー少々、飾り用パセリ少々
家庭料理として好まれてきた伝統スープと言ったら、フランスで育まれたポタージュ。ポロネギを使ったポタージュは、本国フランスでも好まれている定番です。じゃがいもと合わせて作り上げてみれば、洋食のお供には欠かせず、食欲の無い時にも栄養補給の意味でも最適です。
ポロネギのポタージュの特徴
特にパンを主役にするメニューの時には、ポロネギのポタージュがぴったりします。コクのあるポタージュのポロネギは、とろとろにとけて原型を無くしています。パンを浸して食べてもよくマッチするスープです。冬に温かくする食べ方のほか、夏には冷たい状態のポタージュも美味しくいただけます。
ポロネギの簡単な食べ方①
ポロネギのグラタン
材料(2〜3人分):リーキ2本、洋風スープの素小さじ1、水500cc、ホワイトソース1缶(290g入り)、ピザ用ミックスチーズ適量
丸ごとポロネギのぶつ切りを用いるグラタンは、パンやポタージュのお供としても魅力的となる食べ方です。ホワイトソースとチーズを使って焼き上げることによって、香ばしい香りが食欲をそそります。材料も少ないので、かなり簡単にできて覚えやすく、お子様にもおすすめな料理です。
ポロネギのグラタンの特徴
あつあつな感じのグラタンでは、ポタージュとは違ってボロネギが固形を維持しているので、特有な柔らかな食感が残されています。焼けた香ばしいチーズのポロネギのグラタンは、パンに載せてみても美味しくなります。お好みでベーコンを使って、さらに香ばしくアレンジするのも良さそうです。
ポロネギの簡単な食べ方①
ポロネギのパスタ
材料(2人):リーキ1本、水菜1株、ベーコン3枚、☆昆布茶小2/3、☆塩小1/2、☆コショウ少々、醤油少々、パスタ(2人分)200g、オリーブオイル 適量
おしゃれにポロネギでディナーを飾るなら、パスタも見逃せない食べ方です。欧州でもリーキを使うパスタは気軽さと人気を兼ね備えたメニューで、存在感があります。材料はポロネギに水菜とベーコンだけを合わせた、とても簡単に作れるパスタを紹介します。
ポロネギのパスタの特徴
思い浮かべるのはいつも洋食的なパスタですが、この料理では和風な味付けをしているのが特徴です。ポロネギとパスタを炒める過程で、昆布茶と醤油を使っているためです。昆布茶が出汁的な役割となり、全体の味を昆布の風味でまとめ上げています。
ポロネギを食べてみよう
いろんな食べ方を試して
一見したら長ネギみたいな野菜だけれど、実際に違いは確かにあったポロネギが、どんな野菜だか分かりましたか?葉っぱと太い見た目に特徴がある旬なポロネギは、スーパーでぜひとも探してみたくなります。食べたことのないポロネギの食べ方で、毎日の食事に変化が付けられそうですね。
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