フダンソウとは?
フダンソウはアカザ科フダンソウ属の二年草で学名をBeta vulgaris ssp. cicla var.ciclaと言います。フダンソウは暑さに強く、ほぼ一年を通して栽培収穫することが出来る栽培初心者向けの野菜です。見た目はホウレンソウに似ています。
フダンソウ名前の由来
フダンソウの「フダン」とは絶え間なく葉が成長し、常に収穫できる様子が、絶えず→断たず→不断→フダンと名前に由来したと言われています。
フダンソウの特徴
フダンソウの特徴として葉は大きく肉厚です。軸はやや太めですね。味に苦みやクセはありません。また地域によって呼び名が違うのもこの野菜の特徴。沖縄では「ンスナバー」と呼ばれていますし、英語圏ではホウレンソウに似ているのでスピナッチビートと呼ばれます。うまい菜という名前も良く聞かれますね。
フダンソウの原産
フダンソウは地中海沿岸が原産。紀元前から栽培が始まっていたとされおり、日本へは16~17世紀に伝来したと考えられています。その当時の在来種に加え、明治時代以降には葉が大振りで茎の色がカラフルな西洋種が導入されました。
フダンソウの種類
フダンソウの仲間を江戸時代初期の在来種(小葉種)と明治時代の西洋種に分けてご紹介します。
在来種(小葉種)
現在スーパーなどに並んでいるのはほぼ西洋種。在来種の栽培はほぼ行われていないそうですが、在来種は西洋種に比べて葉も小ぶりですが肉厚、軸は細めです。西洋種の特徴である軸の色も在来種では緑色。見た目はホウレンソウや小松菜に似ています。
白茎種
西洋種にも茎の白いものがあります。現在栽培が最も多いのはこの品種とされています。葉はちぢれて幅広、軸は太めです。
スイスチャード
スイスチャードは軸や葉脈がオレンジ、黄色、赤になるカラフルな品種。軸がやや太めで葉がちぢれています。食べた感じは白茎種とあまり変わりありません。見た目のいろから料理のアクセントとしても使われることが多いです。
フダンソウの仲間
フダンソウの仲間には砂糖のもとになる「てんさい」やロシア料理のボルシチの色味の元となる「ビーツ」があります。フダンソウはゆでてもあまり色落ちしませんが、ビーツは独特の赤い色が特徴ですよね。
フダンソウの栄養や効能
フダンソウにはどのような栄養が含まれ、また効果効能があるのでしょうか。フダンソウは葉の色味からもお分かりのようにβカロテンを大変多く含んだ野菜です。
そのほかビタミンEやカリウム、カルシウムやカルシウム、鉄分、食物繊維などを含む栄養満点の野菜なのです。スイスチャードには多数の抗酸化物質が含まれており、注目を集めています。
がん予防
フダンソウに含まれる多くの抗酸化物質はがんの発生を促進するフリーラジカルを中和する働きがあるとされ、またビタミンEやβカロチンも様々ながんの予防に有効とされています。特に結腸眼がん予防としての効能があります。
骨や歯の健康維持
カルシウムやビタミンK、マグネシウムが豊富なので骨粗しょう症予防や骨や歯の成長を促してくれます。またビタミンK1は骨を壊す破骨細胞の過剰な活動を抑制してくれます。
貧血予防改善
血液細胞に不可欠な銅や鉄分を含みます。これらが不足すると貧血はもちろんのこと疲れやすくなったりすることも。特に女性は積極的な摂取をおすすめします。
血圧や血糖値降下
カリウムは血圧を下げてくれます。また最近注目されているのはスイスチャードに含まれる「シリンガ酸」。シリンガ酸の効能は酵素の活動を抑制し、血糖値を安定する働きがあることが分かり、糖尿病予防におすすめです。
フダンソウの味や食感
フダンソウの味、と聞かれると特に「クセのない味」と言えるでしょうか。特に発芽して間もないベビーリーフは柔らかく、成長したものより更に生食しやすいです。成長株の食感はホウレンソウに似ています。
フダンソウの扱い方
フダンソウを購入する際どこに注目すると良いのでしょう?保存についても見てみましょう。
フダンソウの選び方
フダンソウの鮮度を見るにはまずは葉の色をチェック。鮮やかな緑色をしているものがおすすめです。また軸がしっかりしているものを選ぶようにしましょう。大きく育っているものはやや硬い場合があるので、生食などには小さ目や若い葉の柔らかめのものが良いでしょう。
フダンソウの保存法
他の葉もの野菜同様、乾燥し無いように新聞紙などで包み、ポリ袋に入れてください。保管場所は冷蔵庫の野菜室がよいでしょう。日持ちさせたい場合は軽くゆでてから水を切り、ラップに包んだり冷凍用保存袋に入れて冷凍してください。
フダンソウの食べ方
フダンソウはどのような食べ方が美味しいのでしょうか?
生で食べる
ベビーリーフなど柔らかいものはサラダなど生で食べるのもおすすめ。スイスチャードはカラフルなので料理の彩にも使えますね。
炒めて食べる
炒め物は油との相性の良いフダンソウのおいしい食べ方のひとつ。使う油によって中華風や洋風などアレンジも自在。茎はやや硬めでもあるので、先に炒めるようにし、時間差で葉を加えてくださいね。
ゆでて食べる
少しアクが気になる方はゆでて食べると良いでしょう。お浸しやあえ物、スープなど美味しい食べ方が沢山あります。
フダンソウの育て方
家庭菜園でも栽培が可能なフダンソウ。ついつい早く大きくなってほしくて、水やりや肥料をあげ過ぎてしまうなんてことも…それがかえって病気になる原因でもあったりするんです。基本の育て方を守ることも大切です。ではここからはその育て方のプロセスを見ていきましょう!
土作り
まずは土作りから。フダンソウは酸性の土壌に弱い野菜なので石灰で中和させます。フダンソウは標準~大型サイズのプランターで育てることが出来ますが、大株に育てたい場合はひとつのプランターに2株までとします。
植木鉢での育て方としては1株までです。あまり狭いスペースでは収穫量が減ることがあります。プランター栽培では市販の培養土が便利です。
種まき
フダンソウの種まきの適期は4月中旬~10月上旬。真冬以外ならいつでも育てることが出来ます。比較的育てやすい品種の種を選ぶのとポイントです。「アイディアル」や「ブライトライト」はおすすめです。
種の表の皮には発芽抑制物質が含まれています。2~3時間水に浸してから種まきをすると発芽率があがります。深さ1cmほどで薄く土を被せます。
植え付け
苗の植え付けの適期は4月中旬~10月下旬です。フダンソウの苗は葉の緑色が濃く、茎がしっかりしているものを選びます。本葉が4~5枚まで育っているものならすぐに植え付けが可能です。
植え付けはポットの大きさより少し大きい穴に根を崩さないように丁寧に植え付けます。苗を植え付けた後は周りの土で株もとを軽く手で押さえて落ち着かせます。
水やりや肥料
苗を植え付けてから1週間程度は根付きを良くするため十分に水やりをします。フダンソウは乾燥に強い特徴があるので、土の乾燥が目立ってきたら水やりをする程度で十分です。プランター栽培の場合は水やり代わりに液肥を与えます。1週間に1回程度で大丈夫です。
病気・害虫対策
フダンソウに発生しやすい病気と言えば、黒斑細菌病やベト病があります。日当たりが悪かったり、水やりが多すぎると発生しやすくなります。水はけのよい土壌に整えてあげましょう。
ナメクジやヨトウムシがつく心配があるほか、雑草が多く生えている場所近くではセマダラコガネの発生がみられることがあり、食害で葉が食い荒らされてしまいます。葉の食いあとの確認などをこまめにするようにしましょう。
収穫
収穫の目安は種まきの場合30~45日程度、苗を植え付けた場合は20~30日程度です。タイミングは小さい株を収穫する場合は15cm、大きく育てて外葉を収穫する場合には30cm位がいいでしょう。越冬した株はとうだちして品質が落ちます。また花が咲いてしまうと株を弱らせる原因にもなりますので、早目に茎を切り落としてください。
フダンソウレシピ
ここからはフダンソウのレシピをいくつかご紹介していきます。どんな料理がお好みですか?
フダンソウのお浸し
まずはシンプルにお浸しで。ゆで具合と水切りがポイント。合わせ調味料で頂けばフダンソウの味が一番わかる美味しいレシピです。お酒の肴によさそうですね。
鶏肉のフダンソウ巻き
本当に簡単なのに美味しい食べ方!フダンソウの食感や味を活かしつつ、鶏肉と合わせた食べごたえのあるおかずレシピになっています。使うフダンソウは葉の大ぶりなものをおすすめしますよ。
生スイスチャードの胡麻和え
生食はサラダのみに非ず!カラフルな色合いも楽しいレシピ。塩を振って水分を抜きあとはドレッシングとあえるだけ!胡麻和えと聞くと和風なイメージですが、おしゃれなお料理に仕上がること間違いなしです!
スイスチャードのスタミナ炒め
ニンニクや鷹の爪を使ったパンチのある味がポイントの炒め物レシピです炒めるだけのシンプルさですがクルミなどを使い食感にもこだわった一品になってます。おつまみにもおすすめみたいですよ。
スイスチャードとシラスのブルスケッタ
こちらでは茎のしっかりした白茎種を使っています。これも切って炒めるだけの簡単レシピ。でもブルスケッタなんて作れちゃったらおしゃれ~!なんててちょっと料理上手に見えちゃうこと間違いなし!この料理にもクルミが使われていますが、フダンソウとクルミ、相性がいいんでしょうかね?
フダンソウまとめ
いかがでしたか?フダンソウが少し身近に感じられるようになったでしょうか?最後にフダンソウの特徴から育て方、栄養効能などをまとめていきたいと思います。
いつでもどこでも簡単に
フダンソウは寒い時期以外はいつでも、プランターや植木鉢を使っても簡単に育てられますし、上手な育て方が出来ればどんどん新しい葉が出てくる野菜です。庭先で育てれば色んな料理につかえて家計も大助かりなのではないでしょうか?
とにかく栄養豊富!
フダンソウには多くの栄養素が含まれており、病気予防などの効能も幅広いものです。がんや糖尿病予防の他にもβカロチンが豊富なため、黄斑変性症や緑内障など目の病気の予防にも、またマグネシウムは動脈硬化や予防に効果があると言われています。
美容への効能も備え、ビオチンは髪の健康に欠かせません。また女性の大敵むくみはカリウムの摂取で予防出来ます。しかしカリウムを多く含む為、腎臓疾患など摂取量に制限のある方は注意が必要です。
フダンソウでおしゃれで健康に!
食べ方色々、カラフルな見た目もおしゃれなフダンソウ。インスタ映えするお料理もたくさん作れそうです。植え付けや種まき時期は秋まであります、育て方も難しくありませんので是非一度試してみてはいかがでしょう?作って楽しい食べて健康、これからもっと食卓にと入りれていきたいですね!