日本三大急流とは
日本三大急流は、山形県の最上川、熊本県の球磨川、そして長野県・山梨県・静岡県を流れる富士川が日本三大急流となっています。いずれの川も1級河川として国に管理され、標高の高い山中に源流部を持ち、長い距離を流れ太平洋や日本海に流れ込みます。同程度の1級河川は全国にたくさんありますが、流れの速い急流箇所のルートが多くなっているのが最上川・球磨川・富士川です。三大急流は、古くからその速い流れを観光に利用している歴史があります。三大急流は、その川のすべてが速い流れではなく、緩い流れの部分もあります。(この記事は、2019年6月1日現在の情報にもとずいて書かれています。)
日本三大急流の共通点
水源地から川に流れる水は長い間に川底を侵食し、深い水深の場所を生み出します。これを淵といいます。川底の岩質が柔らかく侵食されやすければ深い淵が出来上がります。侵食されにくい岩質では水深が浅くなります。このような場所を瀬と呼びます。深い淵と浅い瀬の両方が河川にありますが、三大急流は淵と瀬の水深差が大きく、河川全体を通してみると一般の河川より多くあります。深い淵から急に浅い瀬に変わる場所が、日本三大急流の河川には多くあるのです。このような場所の瀬では、流れが速くなり急流となります。
三大急流周辺の特徴
自然の河川は長い年月をかけて出来上がっています。侵食されて出来上がっているわけですが、急流付近の景観は、切り立った断崖の下を川が流れている感じの場所が多くあります。三大急流河川の場合はそれが多くあり、奇岩なども出来上がっています。そんな奇岩や急流を観に観光客が多く訪れています。昔から人々に知られ愛されて長い歴史を持つ観光地と知られる場所が多くあるのが共通の特徴となっています。また、山間部を流れる距離も長く、山間部の平均河床勾配は、一般に比べると急になっているのも特徴です。
三大急流の定義
急流河川の定義としては、流れのエネルギーが大きく、下流部にたくさんの土砂や岩を運んでしまう河川となっています。流量の強さを数値で表すのもありますが、川の水量は一定でないため、急流を表すのには少し無理があります。最上川・富士川・球磨川は河川の本筋であり、枝筋となる多くの河川が流れ込んで大きなパワーとなって、歴史的に語り継がれる河川となっているのです。水量の少ない時期であっても、川底が浅くても流れが速くて渡れない場所が、三大急流の上流部には多く存在します。
急流のグレードの覚え方
急流にグレード制を導入している人達がいます。1級の瀬~6級の瀬に分類してあり、その人達にとってグレードの覚え方は簡単なようです。急流に向き合っているので、1日程度の見聞で覚え方を理解できるようです。その人達とは、カヤックやカヤック競技をしている人たちです。覚え方を完全に理解している人は、流れを一瞬見ただけでグレードがわかるようになります。アウトドアレジャーが普及するにつれ、急流のグレードの覚え方は普及して行くでしょう。
1級・2級の瀬の覚え方
1級・2級の瀬の覚え方は、比較的簡単です。普通の浅瀬をサラサラと流れているのが1級の瀬です。見ただけで川渡りができる瀬の事です。2級の瀬は、1級の瀬と違い流に多少の白波が立っています。何とか川渡ができるかといった感じの瀬です。一般のアウトドアフリークが遊ぶ事のできるのが1級・2級の瀬です。この程度なら、普通の河川でも多く見られます。
3級以上の瀬の覚え方
3級の瀬は、高い波で流れに渦や落ち込みもあります。4級の瀬は、高い波の急流が続き、パワーがある。激しい急流となっている。5級の瀬は、非常に速い流れでパワフル感がすごくなっている。6級の瀬は、滝のような流れ。滝も含まれます。実際に現地で肌に触れると、覚えるのも早くなります。日本三大急流の河川は、3級以上の割合が多くなっています。速い流れで川渡りをする気などおきません。そんな場所の割合が多くなっているのです。
日本三大急流1:最上川
最上川は山形県を流れています。米沢市にある吾妻山付近に源流があり、県内を延々と流れて庄内市から酒田市に向かい、日本海に流れ込む長い河川です。その総距離は229kmほどになります。100万年前に形成された川と言われており、沿岸の各市町村の歴史に深く関わって現在に至っています。歴史的武将・源義経や歴史的俳人・松尾芭蕉も最上川に縁があることで有名です。山形県内陸部と酒田市・日本海を繋ぐ舟運で、この最上川は使用されていました。現在では、観光目的で川下りが複数の場所で行われています。山形県一の大河です。
日本三大急流:最上川の観光名所1
最上川周辺には歴史的に価値のある神社仏閣が多くあります。源義経が岩手方面に行くさいに立ち寄っている仙人堂などが観光名所となっています。場所は酒田市と新庄市の中間にある戸沢村です。最上川の脇にある神社です。義経は最上川を登ってこの地を訪れました。後の世で、俳人・松尾芭蕉も最上川を下りながら仙人堂を訪れています。現代では、この周辺で観光舟下りが行われ、白糸の滝などを回ってくれます。大勢の観光客を楽しませています。
三大急流:最上川の観光名所2
舟運が盛んであった最上川ですが、それと同時に急流での舟の扱いの技術も発達しました。この技術は現代にも引き継がれています。戸沢村の白糸の滝の上流部も舟下りが行われています。速い水の流れの攻略法を見学するのも楽しいものです。いかだ下りや滝滑りなどアクティビティーも多く用意されています。アクティブな人達に人気となっています。
日本三大急流:最上川の観光名所3
229kmと長い流れの最上川ですが、山形県内だけを流れているので、山形河川国道事務所が最上川ビューポイントを選定しています。長い最上川の上流から下流までバランス良く設置されていますので、近くに寄ったら立ち寄ると良いでしょう。四季を問わず風景を楽しむことができるので、時期を合わせてて最上川を訪れる必要はありません。気軽に楽しめる観光地となっています。下のリンクより選ぶと良いでしょう。
日本三大急流2:富士川
富士川は、長野県・山梨県・静岡県の3県を流れ、駿河湾に到達しています。南アルプスの高山・鋸山を源流地として、128kmも長い距離を駿河湾を目指して流れています。昔の甲斐の国と駿河の国を結ぶため、水運用河川として使用されていました。人々の暮らしと密接に関連していた川だったのです。万葉集の詠まれていたり、富士川の戦いで源氏と平氏が戦ったりと歴史には度々登場する川です。昔から急流として有名で、浮世絵師・歌川広重が富士川上流雲中の図として描きしるしています。
日本三大急流:富士川の観光名所1
3県にまたがって流れている富士川ですが、水運は鉄道開通と共にすたれてしまい、観光川下りも行われていません。富士川の奇岩・風景を楽しむ観光が発達しています。その中で、富士宮市の釜口峡(かまぐちきょう)が有名です。浮世絵師・安藤広重が描いた富士川上流雲中の図は、この釜口峡を描いたものです。富士川の速い流れを見事に現わしています。広かった川幅が急激に狭くなってできた景勝地です。釜口峡にかかるサイフォン橋も、風景にマッチしていて感動的の釜口峡を演出しています。
日本三大急流:富士川の観光名所2
3県・多くの市町村を流れる長い富士川ですが、山梨県身延町(やまなしけんみのぶまち)も流れています。身延町には、身延山久遠寺があり日蓮宗の聖地として多くの門徒達が訪れています。国宝など所有して、歴史的価値のある寺院です。観光客も多く訪れますが、花木が多くあり花時期の身延山から富士川かけての風景は、時間のたつのを忘れるほどの絶景となります。桜の時期など多くの桜が咲き、花見渋滞がおきるほどです。梅なども咲き乱れます。一般観光でしたら、花時期をおすすめします。
日本三大急流3:球磨川
球磨川は熊本県を流れています。南部の人吉盆地の山を源流として、八代平野に流れ、八代湾に流れ込む熊本県で一番長い河川です。総延長は115kmほどあります。昔の球磨川は、とても速い激流で舟運などとてもできませんでした。1662年に巨岩などを取り除き、大掛かりな開削事業が始まり、1665年に舟が運行できる川になった歴史があります。それでも急流には変わりはありません。舟を使って人吉から八代まで物資の運搬に使われた河川が球磨川です。
日本三大急流:球磨川の観光名所1
他の三大急流と同じように、現在は道路網・鉄道網が整備され、舟による物資の運搬はすたれてしまいました。しかし、急流で舟を操る操船技術は、観光舟下りに生かされています。人吉市で行われている球磨川下りは歴史が古く、明治時代の後半に鉄道が開通すると、観光用の舟下りを始めています。今でも球磨川下りに使用されている舟は木造舟で、昔ながらの球磨川下りを現在に残しています。
球磨川下りの詳細
【運営会社】くま川下り株式会社
【住 所】熊本県人吉市下新町333-1
【電 話】0966-22-5555
【営業時間】8:00~18:00(天候により休止あり)
【料 金】大人2700円、子供1782円、幼児648円(貸切コースもあります)
日本三大急流:球磨川の観光名所2
総延長の長い球磨川ですが、その流域には観光に適した名所が多くあります。その中で注目されるのが青井阿蘇神社です。九州の人には有名です。その他の地域に人達でも、球磨川流域に訪れたら是非立ち寄ってみてください。球磨川下りの発船場に近い場所にあります。熊本県初の国宝で、社殿のほぼ全体が指定されています。興味深い彫刻などが施された社殿です。見ておいて損はありません。近隣にも見所がたくさんありますので、球磨川下りと合わせて楽しむ観光客が多いです。
日本三大急流になれなかった急流河川
常願寺川という河川をご存知でしょうか。富山県立山町から富山市を流れ、富山湾に流れ込む1級河川です。総延長は56kmほどです。源流部は立山連峰の北ノ俣岳と浄土山です。源流部の標高は2,600m以上で急峻な山地より流れ出て、73%以上が標高1000m以上の場所を流れています。その流れは強烈に速く強いものです。明治時代に政府から改修工事に派遣された外国人技師が「これは川ではない、滝だ!」と言った逸話が残されているほどの急流河川です。三大急流よりも凄い急流なのですが、全国的な知名度が低いため、日本三大急流になれませんでした。
日本三大急流:自治体のこれからの対処
日本三大急流は、その流れのパワーで山間部より土・砂・岩などを下流部に運び、昨今の豪雨にも手伝って氾濫や水害を引き起こしています。氾濫を警戒して築かれた堤防などを破壊します。自治体の想定した雨量や水量を軽く越えるようになっています。下流部などの堤防や護岸の安全値の見直しが急務となっています。また、上流部の観光・レジャーなどに目を向けており、カヌーやラフティング・フィシングなどをできるような河川の保全に努めています。水質などは、各河川の条例などにより、年々向上しています。
日本三大急流のまとめ
日本の三大急流は、最上川・富士川・球磨川です。一般人より小・中学生のほうが聞かれれば、すぐに答えられるかもしれません。学校で習うからです。習うだけで、詳しくは覚えていないのが本音でしょう。最上川・富士川・球磨川のほんの少し詳しくしるだけで、三大急流の魅力を感じる事ができます。この記事を参考に三大急流の造形を深め、機会があれば三大急流を訪れてみてください。印象に残る河川となるでしょう。
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日本三大急流の河川には、たくさんの河川が流れ込んでいます。その源流部にたくさんの渓流魚が潜んでいるいます。日本三大急流に行ったなら、渓流釣りを楽しんではいかがでしょう。
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