鯉ってどんな魚?
縁起のよい長寿の魚
滝を登りきった鯉は龍になるとの伝説が中国にはあり、これが登龍門の語源となっていました。それが関係して日本では鯉のぼり文化が発展、今も縁起の良い魚の代表格です。非常に長寿を全うする動物として、庭園文化が根付いた昔から知られ、その寿命は長ければ人間を遥かに凌駕してしまうほどです。
野鯉と錦鯉がいる
淡水ならば川や湖など、どこにでも生息しているのが寿命の長い鯉です。太古の昔より、日本や中央アジアを始めとした全世界に分布していました。日本では19世紀の学者だったシーボルトの研究以来、野生で生きる野鯉(のごい)と、養殖されて観賞用になった鯉の種類に分けられています。
庭園での飼育が好まれる錦鯉
グレーな野鯉の個体に比べ、カラフルで目立つ鯉は錦鯉と呼ばれます。里山の池にいた綺麗な模様の変異種を捕獲し、世界で最初に品種改良を重ねたのは、江戸時代中期の新潟山古志・小千谷地方の人でした。今や錦鯉は日本を象徴する魚とされ、生きた宝石と称えられて世界中で人気の魚です。
鯉の平均寿命
平均で20年は生きる
長く鯉を扱っている専門家によれば、鯉は平均でも犬や猫の10~15年を超えるほど生きると言います。その平均寿命は20年。多様な水生生物の平均的な年齢記録と比較しても、かなり長めです。生命力が顕著に強い魚のために、寿命にもそれが反映されているようです。
長寿になると70歳を超す
色んな条件が揃ったら、鯉はさらに長寿を全うします。特に長いものでは70年を記録するほどであり、大切にしていけば100年を超える寿命を持つことも珍しくありません。そのために一度飼育を始めれば、何世代にも渡って生活を共にすることにもなります。
鯉の生態
鯉の生息環境
今では澄みきった庭園の池で飼育される姿を見るのがほとんどですが、本来は野生の中にいたのが鯉でした。野生の鯉は透明な水質より、泥で汚れているような水中を好んでいると言います。新潟のような冬に氷点下に至る気候でも越冬ができ、寿命を長く維持できる淡水魚です。
野生の鯉の食事
モリモリと何でも食べてしまう雑食性で知られているのが鯉です。野生では水中の水草、昆虫、小魚、カエルなどを食べています。飼育されている鯉のほうは、パンやうどんやご飯粒など人間が食べるもの、全て平らげてしまいます。そのことは、人工飼育の鯉の寿命が長いことにも影響するようです。
人の顔を認識する鯉
顔を水面から出してパクパクとした表情を見せる鯉ですが、実は人の顔を認識していることが知られています。いつもごはんをくれる人が近づいた時に、水面から顔を出しておねだりをしているのです。小動物と変わらず感情があるようで、飼育者が鯉に愛着が湧く理由となっています。
錦鯉の色
色鉛筆より多い22色以上もの錦鯉が、いま新潟から世界へと輸出されています。鮮やかな山吹黄金やオレンジ黄金、赤を基調とした紅白や五色、登龍門の故事にあやかった九紋龍などがいます。今も錦鯉の品種改良が続いていて、新しい模様の鯉が誕生しています。
鯉の花子とは
岐阜県にいた花子
じつに7世代に渡り飼われ続けている長寿の錦鯉がいると、戦前から愛好家の間で話題になっていたのが花子でした。岐阜白川郷に住んでいた越原家の庭に、花子はいつも泳いでいたようです。体長は73cm、体重は6.75kgにもなるサイズで、オレンジ色を基調とした容姿をしていました。
推定寿命が世界記録だった
長年の間花子の寿命は想像されるばかりで、はっきりしていませんでした。昭和39年になり、名古屋女子大学に務める広正義教授が年輪調査を実施する機会を得ました。すると生年は宝暦元年(1751年)というとんでもない数値が判明します。花子が死ぬ1977年時点で、推定年齢は226歳に達していました。
寿命がギネスに登録された花子
この花子については年輪調査を経てから、寿命が世界一であることが欧米にも伝えられることになり、間もなくギネスブックにも登録されるに至りました。鯉の花子が保持することになった、226年歳という長寿の鯉のギネスの記録は、現在でも破られていないとのことです。
花子データ
【体長】73cm
【体重】6.75kg
【推定生年】宝暦元年(1751年):年輪調査による
【死亡年】1977年7月
【推定年齢】226歳
【居住地】岐阜県白川村、名古屋女子大学学長、越原公明氏の自宅の池
花子の寿命調査について
年輪調査
どのくらい鯉が長生きかを知る手がかりは、体表のうろこの年輪にあります。鯉は春から秋の頃に成長し、冬場には成長を止めることで、樹木と同じようにうろこに年輪が刻まれて行くのです。花子の寿命に対する年輪調査は生物学的に理にかなうもので、今も魚類全般にこの手法が使われています。
花子の寿命を疑問視する見方も
一方でさすがに226歳に達する推定寿命は、誇張し過ぎているとして疑問視する見方もありました。鯉の生物の平均的な命の限界を超え過ぎ、人間で言えば250歳以上まで生きたのに匹敵するようなものだったからです。しかし花子のうろこ写真を見れば、年輪の数は相当に多いものであることがわかります。
花子と一緒にいた長生きな鯉
みんな長生きの不思議
実は花子を所有していた白川村の越原家は、何匹もの錦鯉を飼育している愛好家でした。その自宅の池には他にも寿命が長い、日本有数の年齢を持った鯉が多数含まれていました。全日本錦鯉振興会では、1971年時点で花子に次ぐ高齢を誇っていた鯉を5匹紹介しています。
220歳~144歳までが出揃う池
当時、最高齢(220歳)だった花子以下の鯉は、173歳の葵(あおい)を二番手とし、158歳だった力(ちから)、144歳の三太などがいました。平均を大幅に超える長い寿命の鯉がこれほどに集まった池は、当時でも珍しかったかもしれません。現在のこの鯉たちはどうなっているのか気がかりです。
長生きな鯉のサイズ
錦鯉の最大サイズ
色とりどりの錦鯉は、花子のように70cm台まで成長するのは平均的です。しかし養殖されている中には、栄養状態が良かったのか、寿命の間に100cmを超えるほどの最大サイズの錦鯉も現れます。近縁種のヒレナガニシキゴイはまるで金魚のように全身のヒレが長い種類で、80cmに達しているものがいます。
日本の野鯉の最大サイズ
年を重ねるごとに成長する鯉は、時に信じられないほど大きな個体を出現させます。例えば琵琶湖で、150cmの最大級の野鯉が見つかっていました。その鯉の寿命は不明ですが、体重は45kgで女性の体格に匹敵しました。成田養魚園にいた太郎は年齢120歳、130cmで50kgにもなる大物でした。
世界の鯉の最大サイズ
もう150cmに届くだけでも凄いのに、300cmにもなったらまさに怪物級。そんな最大の怪物鯉は、東南アジアのインドシナ半島の大河に潜む、鯉の一種パーカーホです。食用や釣り目的の乱獲によって最大300cm、300kgになるギネス級の巨体は今では珍しくなり、絶滅の危惧も出てきているようです
パーカーホの情報
【原産地】東南アジア・インドシナ半島(タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム)
【河川】メコン川、メークローン川、チャオプラヤー川)
【最大サイズの記録】300cm、300kg
鯉をギネス級に長生きさせる飼育
環境が鯉の寿命を延ばす
泥で濁った川水でも野鯉は平気で長寿となりますが、観賞用で長生きを求めるなら、水の清潔を保つ循環ポンプ、病気を避けるために食塩での水の殺菌なども必要です。鯉は冷水を好むため、温暖な地ではクーラーを付けるのも通常です。水温を下げるため池を深手とすれば、冬の凍結防止の役割も果たします。
エサが鯉の寿命を延ばす
水温が上がり始める春から、鯉の食欲は湧き始めます。基本は雑食ですが、鯉の病気チェックのため浮くエサを与えるのが一般的です。肌や口の中の様子も観察でき、病気を発見して寿命を伸ばすことに繋がります。水温12度以下の冬に活動が弱まるのに合わせ、水質保持のためエサ量を減らす必要があります。
天敵対策が鯉の寿命を延ばす
何らかの生物に捕食されないことは、鯉の飼育で寿命を伸ばしていくために不可欠です。水深が浅い場合、野生のサギやアライグマなどの格好の餌食になります。そのためにも池は深さが必要です。野鳥が多い地域なら屋内に池を建設したり、屋外なら網を張る対策も、長生きのため必要となります。
日本の鯉の名所①(新潟)
錦鯉の里
養殖場が発祥した小千谷市には、鯉の聖地とも呼べる場所が存在しています。それが市街地の茶郷川に接している錦鯉の里です。花子のように美しく寿命の長い錦鯉の、歴史や生態を紹介するために誕生した施設です。今では世界じゅうから観光客が訪れている、小千谷で人気の場所です。
錦鯉の里の鯉の見どころ
太鼓橋の架かる庭園は四季の花が植えられ、滝が流れる4つの池には数多くの錦鯉が泳ぎ回っています。中でも巨大な優秀魚100匹が集まっているのが、屋内の観賞棟。エサをあげれば、大量の鯉がギネス級の密度で押し寄せます。錦鯉の歴史や、寿命の長い鯉の品種の情報も知ることができる貴重な場所です。
観光情報
【所在地】新潟県小千谷市城内1丁目8番22号
【電話】0258-83-2233
【営業時間】 3月~11月:9:00~18:00、12月~2月:9:00~17:00
【施設】日本庭園、庭池、観賞棟、資料展示室
日本の鯉の名所②(山梨)
山梨県石和温泉 銘石の宿 かげつ
もつ煮が美味しい山梨で、市街地に温泉旅館が建ち並ぶのが石和温泉です。ここには常時8,000匹もの大量の錦鯉が泳いでいる、大人気の宿かげつがあります。寿命の長い鯉もいそうな池のそばでは、数寄屋造りの和室で過ごし、美味しい料理に温泉といった楽しみが待っています。
かげつの鯉の見どころ
どちらの部屋からも水辺の日本庭園を眺められ、そこは滝や橋といった風情を感じつつ、錦鯉を一日中見られる絶好の場所。池は水深が浅めにできていて、寿命の長そうな大きなサイズの鯉を、じっくり観賞しやすい設計です。かげつならば、鯉好きにはたまらない宿泊が叶えられます。
観光情報
【所在地】山梨県笛吹市石和町川中島385
【電話】055-262-4526
【施設】錦鯉の池、客室、温泉、エステ、食事処桃源亭、クラブ石、会議室、宴会場、ガーデンプール、売店
鯉に癒やされよう
鯉の名所を訪れて
かつて存在を知らしめたギネス記録の保持者、花子の寿命に驚かされ、そして鯉という魚が平均的にも長生きである事実に誰もが関心します。魅惑的な多彩な模様や、顔を見せて集まってくる愛らしさを備えている鯉は、見ていて楽しい魚の代表格。今度は鯉に癒やされるお出かけをしてみませんか。
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