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セイヨウシャクナゲの育て方は?増やし方や失敗しないコツまで解説!

西洋石楠花(セイヨウシャクナゲ)は、東洋の石楠花がヨーロッパで改良されたものであるから西洋の名が冠せられています。花も大きく、花色も多彩で人気がある花木です。そんなセイヨウシャクナゲの育て方や管理の仕方、増やし方やコツなどをご紹介しましょう。
更新: 2022年2月8日
Meigen Oka
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セイヨウシャクナゲの特徴

セイヨウシャクナゲは、19世紀頃にアジア地域で発見された石楠花(シャクナゲ)がヨーロッパにもたらされて改良されたものです。その花の見事さが評判となり、交配による増やし方によって現在では世界で5,000種を超える園芸種があります。現在日本で自生している日本シャクナゲは葉も花も小さいもので、これに比べセイヨウシャクナゲは葉が大型で花も大きいのが特徴です。

シャクナゲとツツジの違い

欧米ではシャクナゲもツツジも区別せずひとくくりにされていますが、ツツジの特徴は葉が小さく冬季は落葉してしまいますが、シャクナゲの特徴は葉は常緑で厚みがあって表面は光沢を帯びます。房状に咲かせる色とりどりの大きな花は開花するとそれは見事で周りを明るくさせる効果があります。日本では枝の先に花を上向きに房状に咲かせるものを石楠花(シャクナゲ)と呼びツツジと分別しています。

セイヨウシャクナゲという名の由来

セイヨウシャクナゲとは、日本シャクナゲと姿形が似ているため日本でのみ呼ばれている名前で、欧米では「ロードデンドロン」と呼ばれます。石楠花(シャクナゲ)という漢字名は、中国で漢方薬の生薬として用いられていた植物「石楠(せきしょう)」の葉の石楠葉(せきしょうよう)が日本に伝えられた時に、その特徴的な葉がシャクナゲの葉と似ていて、同じ様な常緑の葉を持つシャクナゲと間違われた事からこの漢字名が当てられたものです。

セイヨウシャクナゲの花言葉

セイヨウシャクナゲの花言葉には二通りの意味を含んだものがあります。「風格」「威厳」「荘厳」の花言葉は、欧米では花木の女王に相応しい開花した時の美しさや見事さを表した言葉とされています。相反する花言葉として、「危険」「警戒」がありますが、これは元々シャクナゲの自生する場所が険しい山々であり、採取するのに危険が伴った為と、シャクナゲの葉には毒性があることから注意を喚起する意味合いの花言葉であるとされています。

セイヨウシャクナゲの育て方①

栽培管理

セイヨウシャクナゲは日本原産のシャクナゲに比べて花も大きく房状に咲く見事さもあり花色もカラフルなのが特徴です。但し、気候の涼しいヨーロッパで品種改良された為に夏場の高温時に弱いとされていましたが、現在では耐暑性のある園芸品種が日本でも改良されて出回っていますので栽培管理は容易となっていますが、生育環境が良くないと花が咲かないことがあります。

花の摘み取り

綺麗な花ですが、萎み始めたら幾つもついている花の基幹(根元)から切り取ってしまいます。切っておかないと種子が出来てしまい脇芽が出るのが遅くなって、次ぎの年に花芽の生成が悪くなり花が咲かないなんて事になってしまうからです。

セイヨウシャクナゲの育て方②

植え付け

苗木を植え付ける適期は春には芽が伸びかける前に行い、3月から5月下旬頃まで。秋口は9月中旬から10月末までです。庭木としての植え付けは、なるべく西日の当らない半日陰状態の風通しの良い場所がベストです。冬場の低温や乾燥を防ぐために根元に腐葉土か藁(ワラ)などでマルチングをしてあげると良いでしょう。鉢植えは、夏場は風通しの良い半日影に置き、冬場は寒風や霜などに当らない場所で管理します。

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植え替え

植え替えは鉢植えを主に2年に1度程度行います。植え替えの時期としては植え時と同じ3月から4月末頃の芽が出る前と9月中旬から10月中旬までが植え替え適期です。鉢から抜いたらヘラなどで根周りを3分の1程度土を落とし、一回り大き目の鉢に植え替えます。植え替え後は水をタップリ与え、強い風が当らない様に屋根のある場所で10日間ほど置きます。

セイヨウシャクナゲの育て方③

用土


シャクナゲは水捌けの良い酸性土壌を好みますので、植樹や植え替えなどに使用する用土は、赤玉土(小粒)5、鹿沼土(小粒)2、ピートモスか腐葉土3、を混合したものか、市販のシャクナゲ用培養土に赤玉土(小粒)を等量に混合した用土を使用すると便利です。地植えをする場合は掘った穴の底に大きめの軽石を敷き詰めると水捌けが良くなります。

赤玉土(小粒)

プロトリーフ 赤玉土(小粒) 5L

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鹿沼土(小粒)

ピートモス

瀬戸ヶ原花苑 ピートモス 10L

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腐葉土

大きめの軽石

アイリスオーヤマ 加熱処理鉢底石 10L

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セイヨウシャクナゲの育て方④

剪定

通常、樹木は徒長枝や混みあった枝などを整理するために剪定作業を必要としますが、セイヨウシャクナゲの枝は数が少なくはびこる事はまずないのが特徴で、外側に向けて均等に枝を伸長させますので、鉢植えも同様に花が咲かない枝と内側に出る小さな枝のみを切り取る程度でほとんど剪定は必要としません。

剪定用ハサミ

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芽かき

セイヨウシャクナゲに限らず石楠花類はきれいに樹姿を整えるために花後に「芽かき」を行います。一枝に一つしか芽が出ない場合は、その芽が新芽のうちの伸びすぎてしまわない前にかき取っておくと、同じ箇所から複数の新しい芽が吹いてきます。

セイヨウシャクナゲの育て方⑤

水やり

水やりの管理は大切です。用土が水捌けが良い様になっているからで、水切れなどで枯らしてしまわない様に注意が必要ですが、セイヨウシャクナゲは多湿を嫌いますので、普段水やりが過多になると根腐れを起して弱らせてしまう事もあります。また、夏場の水やりは日中はタブーです。特に葉水をかけると葉に溜まった水玉がレンズの役割をしてしまい葉焼けを起してしまいます。

じょうろ

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葉水も必要

地植えの場合は普段はあまり水やりの必要はありませんが、夏場の高温時には朝夕の涼しい時間に多めに与えて下さい。その折には樹木全体に葉水も忘れずに掛けると良いでしょう。鉢植えの場合は、普段基本的には用土の表面が乾いていたら鉢の底から水が出るくらいにたっぷりと水やりをします。真夏時は地植えも鉢植えも同じ様に葉水も一緒に与えましょう。

スプレー


セイヨウシャクナゲの育て方⑥

肥料

花が咲かない時は肥料不足もあります。肥料を与える目的は、美しく良い花をたくさん咲かせるためと、年間を通して樹の健康を維持させて病気などにも罹り難くするために施肥をします。花が終る5月末から6月頃にお礼肥として、有機質の緩効性肥料を根元から離して(枝先の真下あたりを目安)施肥し薄く土を被せておきます(鉢植えは鉢の縁に置きます)。

有機緩効性肥料

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寒肥(かんごえ)

秋口9月末から10月に一度と、良い花芽をたくさん作るためと樹勢を盛んにするために庭木や鉢植えに寒肥(かんごえ)と呼ばれる肥料を施肥しますが、根などは休眠中ですので化学肥料などの即効性肥料はNG、有機質の緩効性肥料がベストです。

活力剤の使い方

活力剤は肥料ではありません。法で定めた肥料(チッソ・リン酸・カリウム)の規定の成分の含有量が満たされていないもので、植物に有効で活性化させる微量要素が含まれたものを言います。花が咲かない夏場などの肥料を施肥しない時期や、植物が何となく元気がないなと感じた時などに与えると良いものです。セイヨウシャクナゲにも夏場や冬季の休眠の時期、植え替え後などの鉢植えに使用すると良いでしょう。

セイヨウシャクナゲの育て方⑦

増やし方

増やし方としては、種子、挿し木、接木、とり木で行います。この中で種子は発芽までに時間が掛かり、接木は台木が必要です。一般的には時間は掛かりますが増やし方としては挿し木が手間を省く意味で一般的です。

挿し木とは

増やし方のひとつである挿し木は5月下旬から6月、新芽が堅くなった9月頃が時期として適期です。新しい枝先6~7cm程のものを用意し、1芽だけを残して挿し穂にします。4枚ついている葉を半分切り取り、挿し口をナイフで斜めに切り取った箇所にに発根剤を塗布して育苗箱かビニールポットの用土に挿します。発根するまで日影で管理し水やりを欠かせない様にします。冬越しをうまく過ごすことができれば翌年の春には発根しています。

挿し木の用土と管理

挿し木の用土は水捌けの良い材料を使います。鹿沼土(小粒)4、赤玉土(細粒)3、ピートモス2、バーミュキライト1に水苔を細かくしたものを少量混ぜ合わせた用土を用意します。半日影になる場所で管理し、乾燥に気をつけて水やりを欠かさない様にします。冬の時期は水を控え目にして、凍結させない様にビニールで蔽うか室内に入れて防寒対策をして下さい。

セイヨウシャクナゲの育て方⑧

病気対策

”セイヨウシャクナゲの花が咲かない”という理由は病害が考えられます。普段から管理を怠らなければほとんど病害の発生は抑えられます。万一病気の症状を発見したら早めに病葉を処分し、薬剤の散布をしましょう。

セイヨウシャクナゲの病害は

セイヨウシャクナゲは時期に関係なく病気が発生しますが、主に5月から7月にかけてが多い時期です。多くは害虫からの媒介によって発生する場合があります。害虫の発生や万一病気の症状を発見したら早めに病葉を処分し、薬剤の散布をしましょう。


褐斑病(かっぱんびょう)

葉に褐色の小さな斑点が初期に出始め、放置すると斑点が大きく広がり他の葉にも伝染して枝の葉全体が枯れて落ちてしまい生育も悪くなります。発見したら病葉を取り除いて廃棄します。予防するには枝葉の間の風通しを良くし、殺菌剤の散布を定期的に行うと良いでしょう。

スス病

葉の表面や枝に黒っぽいスス状のものがついていたら「スス病」です。カイガラムシなどの害虫の排泄物によって生じる黴(カビ)が原因です。外見が悪いだけでなく、光合成が出来なくなって枯れてしまいます。発見次第病葉を枝と共に取り除き廃棄します。原因となる害虫を駆除する事で防ぎます。

ペスタロチア病

枝葉についた傷や虫による食害などによって「糸状菌(かび)」が感染する病気です。葉の先から枝まで広がり褐色から黒褐色に変色して枯れてしまいます。葉の先の方が変色して枯れた様な痕跡を見つけたら、病気の葉を全部取り除いて埋めるか焼却をし殺菌剤を散布します。

灰色カビ病

セイヨウシャクナゲの蕾や花に最初小さな斑点模様が現れ、その部分が灰色のカビ状のものに覆われて、やがて腐ってしまいます。多発すると花が咲かない状態になったり、生育が悪くなり枯れてしまう恐れが有ります。見つけたら直ぐに取り除き殺菌剤を散布します。その後1週間に1度の割合で数回散布しておきましょう。

セイヨウシャクナゲの育て方⑨

害虫

春4~7月、秋9~10月に「アブラムシ」や「グンバイムシ」などの害虫が発生します。特に高い被害を蒙りやすいのが10月頃に発生する「ベニモンアオリンガ」で新芽や蕾を食害して花が咲かないなんて事になってしまいます。

防除対策

ハダニやアブラムシ、グンバイムシは葉から吸汁して弱らせてしまいます。ハマキムシやベニモンアオリンガは新芽や蕾に害を与えます。予防するには、散水する時に勢い良く葉水をかけてあげる事と、害虫は病気発生の要因にも繋がりますので、予防のために3月~10月頃まで定期的に薬剤散布をすると良いでしょう。

まとめ

盛んな交配による増やし方によって種類が増えたことにより、花言葉に相応しい見事な花々が見られます。お馴染みの「プレジデント・ルーズベルト」やピンクの優しい花を咲かせるのが特徴の「貴婦人」、屋久島石楠花との交配種「モーニング・マジック」など等、他にも数多くの品種があります。現在では各地にセイヨウシャクナゲ園が有り、時期ともなると色とりどりの美しいカラフルな花が咲き盛る様は見事の一言です。

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