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シャクナゲの花を上手に咲かせる育て方!咲かない・枯れる原因と対策もご紹介!

シャクナゲは、山の女王という呼び名もあり、大きくて豪華な花模様が魅力的です。豊富な種類と花色で人気ですが、一方で、花が咲かない・葉が枯れるといった悩みも。ちょっとした植え方のコツで、毎年美しいシャクナゲの花を咲かせることができます。   
2020年8月27日
Yukari.S
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シャクナゲってどんな花?

シャクナゲの花の咲く季節

シャクナゲの花の咲く季節は、春4月中旬から5月中旬。春から夏になる前の山の新緑の美しい季節、シャクナゲの美しい花も咲き誇ります。

シャクナゲの特徴

シャクナゲの花の魅力は、なにより大きくて豪華な花模様です。シャクナゲの葉は、光沢があり、少し垂れ気味に存在します。葉の形は、楕円形、そして肉厚です。シャクナゲは、常緑性の花木です。高山植物なので耐寒性が強く、耐暑性はやや弱いです。ただし日本で改良を重ねられた園芸品種には、耐暑性の強い栽培が容易な品種もあります。庭植えも鉢植えも可能な花木です。

シャクナゲの花の色

シャクナゲの花色は、白や赤、ピンクのほか、オレンジ、黄色、紫、茶色と多彩です。

シャクナゲの基本データ

科名・属名

ツツジ科ツツジ属

学名

Rhododendron hybridum

和名

石楠花

原産国

アジア・北アメリカ・ヨーロッパ

シャクナゲの花が咲かない・枯れる原因とは?

楽しみにしていたシャクナゲの花。季節になっても咲かないとがっかりです。またシャクナゲの葉は、つやつやと美しく、シャクナゲの花の名脇役ですから、葉も美しい姿だと、花が一層引き立ちます。シャクナゲの花が咲かない、花や葉が枯れる原因は大きく、下の4つが挙げられます。

その1・生育環境が合っていない

シャクナゲの花が咲かない、花や葉が枯れる原因として、まず、土壌ph、肥料など生育環境が合っていないことが考えられます。直射日光による葉焼けで、シャクナゲの葉が枯れるように見えることもあります。適切な土づくり・水やり・置き場所・肥料で、シャクナゲに合った生育環境を整えましょう。

その2・管理ができていない

シャクナゲの花を、毎年咲かせるためには、花がら摘み・芽かきによる剪定、が大切です。鉢植えの場合は定期的な植え替えも必要です。

その3・病気が発生している

花が咲かない、花や葉が枯れる原因として病気の存在が挙げられます。シャクナゲには、褐斑病花腐菌核病をはじめ感染しやすい病気がいくつかあります。いずれも発病した蕾や花、葉はすぐに摘み取ります。摘み取ったものは焼却して、ほかへの伝染源にならないようにします。

その4・害虫がついている

花が咲かない、花や葉が枯れる原因のもうひとつは、害虫による食害です。花を食べるもの、つぼみを食べるものなど様々な種類があります。害虫を見つけたら、速やかに駆除すると同時に、必要に応じて、それぞれに合った薬を塗布します。


シャクナゲの育て方のコツ・生育環境を整える

土づくり

シャクナゲは、水はけのよい、酸性土壌(pH5.0~6.0)を好みます。庭植えの場合、軽石やパーライトなどを敷き込み、水はけを良くしましょう。鉢植えの場合、赤玉土(小粒)と鹿沼土(小粒)を混ぜ合わせた土に、ピートモスとバーミキュライトを2割くらい混ぜ込みます。市販の山野草用、ツツジ用の土を使用しても良いでしょう。

水やり

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。シャクナゲの根は細く、そのためシャクナゲは乾燥に弱い性質があります。季節が夏の間は、朝と夕方の2度、水をやりましょう。ただし、庭植えの場合は、よほど乾燥している時以外は水やりは不要です。

場所

鉢植えの場合は、季節に合わせて置き場所を移動させます。春から秋にかけては、西日の当たらない反日陰で管理します。夏の暑さは苦手なので、直射日光を避け、涼しい場所に移動しましょう。秋から春の間は、寒すぎない日なたで管理します。庭植えの場合は、季節にかかわらず広葉樹などのそばに植えるのがベストです。庭植えの場合、根元に落ち葉を敷くなどすると安心です。

肥料

年に2回、肥料を施します。季節でいうと春と秋です。花が終わったあとのいわゆるお礼肥と、秋の涼しくなる頃です。市販の有機質肥料や緩効性化成 肥料を数個根元に置きます。

シャクナゲの育て方のコツ・適切な管理をする

植えつけ

シャクナゲの植えつけに適している時期は3月から5月上旬、または9月中旬から10月です。春の植え替えの場合は、なるべく芽が伸び始める前に行います。 植え方のコツは、根を傷つけないように注意することと、深植えしないことです。根の3分の1くらいをふんわりほぐして植え付けます。鉢植えの場合は、苗に合った大きさの鉢を選びます。植え終わったら、たっぷりと水をやります。およそ1週間、風雨や直射日光の当たらない安定した場所に置きましょう。また一度植えたら、あまり何度も植え替えないほうがよいです。

植え替え

鉢植えの場合、根詰まりを起こすことがあるので、定期的に植え替えをします。2年に1度の植え替えがベスト。鉢植えの植え替えに適した時期は、3~5月上旬か9月中旬~10月。春に植え替える場合、シャクナゲの芽が伸び始める前に行います。鉢の大きさは、これまで植えていたものより、一回り大きなものを用意します。根を傷つけないようにして、植え替えた後は、たっぷり水を与えましょう。

花がら摘み

シャクナゲは、花が咲いた後、時期がくると結実して種をつけます。種をつけるためには養分がたくさん必要です。花がらを残したままにしておくと、シャクナゲから養分を奪い、新しい枝を伸ばす養分が足りなくなります。結果、花芽がつきにくくなり、花が咲かない原因となります。翌年、美しい花を咲かせるため、花がら摘みをします。花が咲き終わったら、すぐに花茎の基部から花がらを摘み取ります。

芽かき

芽かきの適期は4月中旬から7月中旬、新芽が出る前です。シャクナゲは剪定ではなく芽かきにより樹形を整えます。シャクナゲは枝数が少ないので、剪定を行うより、芽かきをするのがポピュラーです。伸び始めた芽を、柔らかいうちにかき取ると、そこから複数のわき芽が出て、こんもりします。

剪定

一般的に庭木と言うと剪定をおこなうことが多いのですが、シャクナゲはあまり剪定をしません。枝の自然な成長を見守りながら、どうしても余分な部分だけ、はさみでカットします。ただし、種類によっては、剪定による負担で、その後うまく成長できないタイプがありますので、注意が必要です。その場合は剪定ではなく、花がら摘みと芽かきで剪定の代わりとします。

シャクナゲの育て方のコツ・病気から守る

褐斑病花腐菌核病

発生時期は4~6月。症状としては、まず花弁に小さな斑点があらわれます。斑点はやがて拡大し、花全体が腐敗して最後に枯れてしまいます。そして病気が進行していくと花弁上に黒色の扁平の菌核をなします。

ペスタロチア病

発生時期は7月。 糸状菌というかびの一種が原因です。強風や害虫の食害などで葉に傷がついた場所から伝染して発病します。はじめ葉先から茶色く変色し、やがて輪紋状の病斑となります。


炭疽病

発生時期は6月で、糸状菌というかびの一種が原因です。雨のしぶきとともに伝染します。葉が枯れるように見える症状があらわれます。葉に円形の茶色い病斑があらわれ、次第に灰褐色に変化します。その病斑の茶色の上に、小さな黒い点々が多数できます。

芽枯れ病

発生時期は10月~5月で、糸状菌というかびの一種が原因です。病原菌がつぼみに付着して発病します。花芽が茶色く変色し、やがて枯死してしまいます。シャクナゲの花が咲かない要因のひとつです。

葉斑病

発生時期は5月~6月で、糸状菌というかびの一種が原因です。葉についた病原菌が、雨の滴により伝染し発病します。葉が枯れるように見えます。葉に褐色の病斑があらわれ、やがて灰白色の多角形または病斑となります。

さび病

アカエゾマツなどにつく葉さび病から飛散する胞子から感染します。小さいだいだい色の円状の病変が葉にあらわれます。秋に薄くあらわれる病斑が、翌夏には、はっきりとしただいだい色の病斑に成長します。

シャクナゲの育て方のコツ・害虫から守る

ベニモンアオリンガ(つぼみ虫)

ベニモンアオリンガの幼虫は、およそ1センチくらいの芋虫です。シャクナゲの花の芯に入り込み、つぼみの根元に穴をあけて、芯だけを食べます。つぼみの一部分だけを食べるので発見が難しく、異変に気付いた時には、株全体がすべて被害にあったあとということも。 ベニモンアオリンガ対策としては薬剤の散布が有効です。ベニモンアオリンガは4月、6月、9~10月に発生するので、その時期に合わせて定期的に薬剤を散布します。効果の期待できる薬剤は「スミチオン」と「カルホス」です。

ハマキムシ

ハマキムシは、ハマキガ科の幼虫の総称。その種類は500以上にのぼり、4月~11月に発生します。口から糸を出し、その糸で2~3枚の葉っぱを巻いた中に隠れます。新芽やつぼみ、葉を食べる食害とともに、葉っぱを巻いてしまい光合成を妨げます。 ハマキムシが、ひとたび大量発生すると、シャクナゲの株のすべての葉が巻かれ食べられ、やがて株ごと枯れてしまいます。見つけ次第、葉ごと摘み取り駆除します。ハマキムシには「オルトラン」「スミチオン」「マラソン」が有効です。葉の中にいるハマキムシに薬剤がかかるように散布します。

アブラムシ

アブラムシは、アブラムシ上科の昆虫の総称で、700種類以上存在します。3月~10月に発生し、体長は2~4ミリと小さいのですが強く、群れでいることが多いです。 アブラムシは、口にある針でシャクナゲを挿して、寄生しながらどんどん栄養を吸いとります。ピンセットや手で一つずつ取るのも良いですが、アブラムシを群れごと駆除するためにテープで一気にくっつけて取り除くのがおすすめです。薬剤としては、「オルトラン」「マラソン」「スミチオン」が有効です。

ハダニ

ハダニはダニの一種で、体長は0.3~0.5ミリくらいととても小さいです。7月の梅雨明け~9月頃に発生して、花や葉に、針のような口を刺して汁を吸います。ハダニが吸った場所は白っぽく変色し、シャクナゲの生育に影響を及ぼします。ハダニは水に弱いので、ホースなどで強く水をかけると駆除できます。それでも取り除けない場合は薬剤を散布します。  

シャクナゲの増やし方

接ぎ木

一般的に最も用いられる方法です。接ぎ木の台木として、暑さに強い赤星シャクナゲを使います。まず、台木である赤星シャクナゲの茎を斜めに切ります。切った赤星シャクナゲを1~2日置き、切り口から出てくる水分を飛ばします。 次に、増やしたいシャクナゲの茎を斜めに切り、発根促進剤入りの水に切り口をしばらくつけて成分を吸わせます。その後、赤星シャクナゲの台木にテープでしっかり固定します。 最後に、水分の蒸発を防ぐため、赤星シャクナゲの鉢を丸ごと、ナイロン袋で包みこみます。2週間経ったら、包み込んだ袋に穴を開け、1ヶ月経ったら、袋を取ります。これで、シャクナゲの接ぎ木苗が完成です。

挿し木

シャクナゲの挿し木は、発根しにくく時間がかかります。挿し木にチャレンジする場合は、根気強くトライしましょう。シャクナゲの挿し木に適しているのは、6月もしくは9月。 まず、増やしたいシャクナゲの挿し木となる枝を用意します。元気のよい部分をチョイスして、長さ7~8センチの挿し穂となる枝をナイフで切り取ります。切り取った枝の葉を4〜5枚だけ残して、残りの葉を取り除きます。残した葉に大きいものがあれば、半分に切ります。茎を斜めに切り、その切り口を発根促進剤を薄めた水に3時間くらいつけておきます。 鹿沼土や赤玉土を混ぜ合わせた土を準備します。挿し木の際には、雑菌が繁殖していない土を使うことが大切です。土に、指で穴を掘り、先ほどの挿し木用の枝を挿します。根が出るまで乾燥は禁物なので、日陰で管理して水やりをします。根が出たら挿し木の成功です。

種まき

種まきに適した時期は、3月頃です。シャクナゲは10月ごろに種をつけますので、採取して保存しておきます。ただし、花を咲かせるまでには、10年近くかかります。

シャクナゲの花のスポット

シャクナゲの花のシーズンは春。お出かけにも心地よい季節です。日本各地には、多くのシャクナゲの花のスポットがあります。一面のシャクナゲの花に包まれる時間。のんびりシャクナゲを愛でるのも良し、また写真を撮ったりスケッチをするのもおすすめです。


村田製作所しゃくなげ園

株式会社村田製作所八日市事業所は、敷地内におよそ900本のシャクナゲを植栽しています。毎年、春の一定期間、一般公開していて、多くの人でにぎわう人気のシャクナゲスポットです。

浅間高原しゃくなげ園

浅間山のふもとに広がるシャクナゲ園。5月~6月になると、約15万本のシャクナゲが開花し、大変美しい場所です。

三室戸寺

三室戸寺は別名「花のお寺」と呼ばれる京都の寺です。しゃくなげのほかにも、四季折々、桜、つつじ、あじさい、紅葉などを楽しめます。

玉置神社シャクナゲ園

熊野三山の奥の宮である、玉置神社。季節になると境内のしゃくなげが咲き、神社の建物とのコントラストは格別です。

裏見の滝自然花苑

長崎県大村市にある、裏見の滝自然花苑。4月上旬~5月上旬にかけて、約40種類6,000本のシャクナゲの花を楽しむことのできるシャクナゲ祭りが開催されます。約30メートルの落差のある滝とのコントラストは一見の価値があります。

シャクナゲをモチーフに

日本各地には、シャクナゲの花をモチーフにしたものがあります。古来より現在に至るまで、シャクナゲの花の美しさが人々を魅了してきた証拠とも言えます。

金剛峯寺のふすま絵

花鳥画家である石崎光瑶(1884~1947年)作のふすま絵「虹雉」には、ヒマラヤ連山と現地のシャクナゲが色鮮やかに描かれています。残念ながら普段は非公開。

マンホールのデザイン

町の花、ゆかりのある花として、シャクナゲをマンホールの蓋のデザインに取り入れている自治体があります。写真は、長野県安曇野市・穂高地区のものです。

まとめ

シャクナゲの花は大変豪華で美しいことから愛好者も多く、品種改良を重ねられてきました。比較的栽培しやすい品種もあり、自分好みのものを探し出すのも愉しいものです。また、日本各地にしゃくなげの名所があり、シャクナゲ祭りといったイベントが開催される場所もありますので、足を運んでみるのも素敵です。