はじめに
マフグはトラフグよりも安価で美味しい身と濃厚な白子が人気の魚です。呼び名が「ナメラフグ」「ショウサイフグ」など地域によって違いがあります。今回、マフグの生態や他のフグとの違い、おすすめの食べ方をレシピとあわせて紹介します。
マフグの特徴
マフグは北海道から九州まで全国で漁獲される魚です。フグの種類は多いですが味がよいとされる代表格が「マフグ」と「トラフグ」になります。ここでは、マフグの特徴について紹介します。
マフグの容貌
マフグは成長とともに容貌が変化する魚です。子供のマフグは、背中が緑色で白い点がまばらにあります。体の側面にくっきりした黄色い線が伸びていることも特徴です。成長過程で身体全体の色素が薄くなっていきます。体長が20~45㎝と中型のフグに分類できます。
危険なフグ毒
フグの毒として有名な「テトロドトキシン」がマフグには含まれています。ほとんどの部位に毒があり、無毒で食用になる部位は、一部の筋肉(身)と精巣(白子)のみです。個体によって差がありますがマフグは毒の含有量が非常に多いといわれます。必ず調理師免許を持つ有識者にさばいてもらいましょう。
マフグが漁獲される地域
日本では、北海道から九州まで幅広く漁獲されます。北海道で生息数が多いといわれますが年間の漁獲量はフグの本場である山口県が一番です。北海道で獲れるフグは種類が多くなくマフグは北海道民に好んで食されています。
マフグの旬は冬
一般的にはマフグは冬に旬を迎えます。ただし、産卵期が地域によって異なることから旬の時期も変化します。日本では、北海道の旬が春先となり一番遅い時期です。北に向かう程産卵期は遅くなり北海道では7月といわれます。
他のフグとの違いは?
マフグ以外で代表的なフグとしてトラフグ、ゴマフグ、シマフグが挙げられます。いずれのフグも食用ですが特にトラフグは「フグの王様」と呼ばれている程美味しいフグです。これらのフグとマフグの違いについて紹介します。
マフグとトラフグの違い
トラフグはマフグに比べると価格が約2倍です。味が濃く食感が豊かで高級魚の代名詞でもあります。最近では養殖物も出回り低価格で入手することも可能となりました。一方のマフグは養殖されておらず天然物がほとんどです。旬のマフグはトラフグに負けないぐらい美味しいと話題になっています。
マフグとゴマフグの違い
シリビレが鮮明な橙色で濃青色の点が不規則に並んでいることがゴマフグの特徴です。マフグには棘がありませんがゴマフグには小さな棘が無数に存在します。食用としての特徴はマフグに比べて身が柔らかく少し水っぽい印象です。
マフグとシマフグの違い
シマフグの見た目で一番大きな特徴は、すべてのヒレが鮮明な黄色であることです。また、名前の由来となっている身体の表面に不規則な白線の「縞」が多数あります。マフグと違い小さな棘が無数にあります。食用としてはマフグに比べて身が柔らかく少し水っぽいといわれています。
マフグのさばき方
マフグは数多い「フグ」の中でも毒の含有量が多いといわれています。「テトロドトキシン」という神経毒は多量に摂取すると死に至る可能性があります。さばき方を動画で紹介しますが必ず調理師免許を有した有識者に下処理をお願いしましょう。
身欠きマフグのさばき方
鮮魚店やスーパーでは「身欠き」されたマフグが入手できます。フグでいう「身欠き」とは毒のある部分を取り除いた状態を指します。この状態であれば毒を気にせず安心して調理可能です。しかし、身欠きの状態では骨が残っておりどのように下処理したらいいのか悩まれる方も多いはずです。こちらでは身欠きマフグのさばき方を紹介します。
【身欠きマフグのさばき方工程①】丹念に洗う
マフグの場合身欠きされた状態では皮がついていません。身自体が外気にさらされた状態になります。まずは、流水で丹念に洗ってください。周りに付着したゴミを取り除きましょう。
【身欠きマフグのさばき方工程②】骨と身を分ける
さばき方で一番重要なポイントです。マフグの骨は硬いので刺身包丁だと刃が傷んでしまいます。出刃包丁を利用しましょう。背骨の両端から身を切りはなします。この時、背骨から近すぎる場所から切ると小骨が残りやすいです。もったいなく感じるかもしれませんが背骨に少し身が残るくらいで3枚におろしていきます。
【身欠きマフグのさばき方工程③】料理に応じて切り分ける
刺身で食べる場合は刺身包丁で薄造りにします。鍋や揚げ物にする場合は食べやすい大きさでぶつ切りにしましょう。鍋にする場合は、身のついた骨ごと鍋に投入すると出汁がでて美味しくなります。また、味噌汁をつくる際の出汁として利用してもおいしく頂けます。骨が硬いので誤って食べたり触ってけがをしないように注意しましょう。
マフグの美味しい食べ方
安価にフグが食べられるマフグですが、食べられるのは身と白子(精巣)のみです。淡泊で上品な甘味のある身はさまざまな調理法によく合います。また、旬の時期の白子は濃厚で甘味があり絶品です。こちらでは代表的なマフグの調理法を紹介します。
おすすめ料理法①/生食
フグ料理の中でよくみかけるのは刺身です。関西地方では「てっさ」といわれます。マフグの刺身は淡泊な身ですが甘味と食感に富んだ絶品です。白子には下処理が必要ですが甘味があり濃厚な味が絶品です。
おすすめ料理法②/鍋物
フグの鍋を「ちり鍋」「てっちり」と呼びます。淡泊な身は出汁がしみ込みやすくかつフグの旨みとぷりぷりの食感を楽しむことができます。鍋自体にフグの香りが漂いフグの旨みを食べつくすことができる一級品です。
おすすめ料理法③/揚げ物
淡泊な白身が油と相性抜群です。生食や魚自体が苦手な方でも食べやすい一品。特に唐揚げはお子様に大人気な料理です。揚げたてはホロホロとほどける身とマフグのもつジューシーさが病みつきになります。
おすすめ料理法④/干物
マフグは加工品としても重宝する魚です。その中で代表的なのは「一夜干し」です。干すことで水分が飛んでマフグの旨みがギュッと身に凝縮されます。
マフグのおすすめ料理①/刺身
マフグ本来の味をダイレクトに楽しみたい場合はお刺身が一番です。独特のプリプリ食感で優しい甘味がくせになります。簡単にできる料理法を紹介します。
材料と料理法
【材料(2人前)】マフグ2匹
【調味料】さしみ醤油適量、(お好みで)すだち、カボスなど
【作り方】3枚におろした身を刺身包丁で薄くスライスします。切れ味の良い包丁でないと身がボロボロになってしまい見栄えが悪くなります。大皿に並べて完成です。
美味しい食べ方とアレンジ料理
シンプルに醤油のみで食べても美味しいです。お好みでカボスやすだちを絞ると爽やかで食べやすいです。刺身の延長上で、湯引きにすると刺身とは違った食感で変化を楽しむこともできます。酢飯との相性も抜群でお寿司にしても美味しいです。
マフグのおすすめ料理②/ちり鍋
ちり鍋は寒い冬の時期に旬を迎えるマフグにうってつけの料理です。鍋にするとマフグの身がホロホロと柔らかく出汁に旨みが凝縮されます。マフグ自体が淡泊で優しいあじわいな為、他の具材の存在を邪魔しません。根菜類、きのこ類がよく合います。簡単な料理法をご紹介します。
材料と料理法
【材料(2人前)】(マフグ2匹)(椎茸5コ)(大根1/4)(白ネギ1/2)(白菜1/4)(人参1/2)
【調味料】(昆布出汁1000cc)(塩少々)(ポン酢適量)(大根おろし適量)
【作り方】昆布出汁は市販の固形出汁を使用します。具材は食べやすい大きさに切っておきましょう。大きめの鍋に出汁とマフグの骨を入れ大根と人参をいれます。鍋を中火にかけ大根と人参が柔らかくなるまで煮ます。
鍋を弱火にしてマフグの骨を取り除きマフグの身、椎茸、白菜、ネギを入れ煮込みます。この時アクは丁寧に取り除きましょう。各具材に火が通ったら完成です。
美味しい食べ方とアレンジ料理
おろしポン酢でいただくことをおすすめします。鍋にすると身が柔らかくマフグ本来の味を堪能できます。シメに雑炊にしたりうどんで食べてもマフグの風味豊かでおすすめです。
鍋に白子を入れても絶品ですが白子は下処理をしないと臭みが残ります。白子を鍋で食べたい方は下記に記載する【マフグのおすすめ料理④/焼き白子】で下処理を紹介しますのでご参照ください。
マフグのおすすめ料理③/唐揚げ
唐揚げは老若男女に愛される鉄板料理です。あっさりした味わいのマフグの身が唐揚げによく合います。揚げたてはサクサクホクホク、時間が経っても南蛮漬けなどのアレンジ料理の多彩で食卓を華やかにしてくれます。簡単にできるマフグの唐揚げレシピを紹介します。
材料と料理法
【材料(2人前)】マフグ2匹
【調味料】(小麦粉200g)(塩適量)(揚げ油300g)(レモン1/4片)
【作り方】3枚おろしにした身の水分をキッチンペーパーなどで拭き取り、食べやすい大きさに切っておきます。全体に小麦粉をまぶし180℃の揚げ油で表面がきつね色になるまで3~4分揚げます。お皿に盛ったら塩を適量かけレモンを添えたら完成です。
美味しい食べ方とアレンジ料理
小ぶりなマフグであればさばかずにそのまま揚げても食べられますが骨が硬いので食べるときにけがをしないよう注意が必要です。アレンジ料理として、余った唐揚げを南蛮漬けにしたり翌日の弁当のおかずとしても利用できます。
マフグのおすすめ料理④/焼き白子
新鮮なマフグが手に入った際は是非食していただきいのが白子です。濃厚で甘味のある白子クセになるほど美味です。下処理をしないと臭みが残ってしまいますので下処理方法と合わせて焼き白子の料理法を紹介します。
材料と料理法
【材料(2人前)】マフグの白子1匹分
【調味料】(塩水500cc)(氷水500cc)(水1000cc)(塩適量)(レモン1/4)
【下処理】白子を塩水で丁寧に洗いぬめりを取ります。水を大きめの鍋に入れ火をかけ沸騰させます。沸騰したら白子を鍋にいれ火を止めます。5分程予熱で火を通します。白子を取り出しボウルに入れた氷水でシメます。水気をキッチンペーパーなどで拭き取ったら下処理完了です。
【作り方】下処理済みの白子を一口大に切ります。アルミホイルの上に並べて塩を振りかけトースターで5分~10分表面に焦げ目がついたら完成です。
美味しい食べ方とアレンジ料理
焼き白子にはレモンがよく合いますが、味噌との相性も抜群です。酢味噌や市販のおでん味噌で食べてもおいしく食べられます。下処理をした白子は鍋に入れたり味噌汁にしても美味しいです。火を入れすぎると白子のジューシーさが損なわれますのでさっと火を通すだけでよいでしょう。
マフグのおすすめ料理⑤/干物の素焼き
マフグは加工品としてもよく使用される魚です。西京漬けなどにもされますが一夜干しにした干物がマフグの旨みが凝縮し旨みが感じられておすすめです。簡単な調理法を紹介します。
材料と料理法
【材料(2人前)】マフグ(干物)2匹
【調味料】(レモンまたはすだち適量)(おろし醤油)
【作り方】魚焼きグリルに干物を並べ片面5分程度両面を焼きます。干す際に水分を飛ばす為塩をふっていることがほとんどなので塩をふりかける必要はありません。
美味しい食べ方とアレンジ料理
素焼きのまま食べても十分美味しくいただけますが、レモンやすだちを絞ると爽やかで美味しいです。おろし醤油を添えてもさっぱりいただけます。アレンジとして炊き込みご飯にしても美味しくいただけます。焼いた後にご飯と一緒に炊けばよいでしょう。
まとめ
トラフグより安価でなおかつ味も負けていないマフグは食卓に華を添えてくれる食材です。素人が安易にさばくのは毒があり危険ですが身欠きした状態で売ってくれるお店も多いです。白身で淡泊な味わいがさまざまな料理によく合います。マフグが手に入った時は是非色々な料理に挑戦してみてください。
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本記事ではマフグについて紹介しましたが、フグの種類は非常に多く生態や毒のある部位などもさまざまです。下記の2サイトではフグの種類や生態などの基本情報、フグの釣り方について分かりやすく紹介してくれています。ショウサイフグもマフグも基本的な釣りの仕掛けは同じです。気になる方は是非チェックしてみてください。
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