モロヘイヤ栽培を徹底解説!種まきから収穫まで
エジプトで古くから食べられている野菜として知られている、モロヘイヤ。ちょっと粘りがあるのが特徴的です。栄養が豊富で、日本での栽培歴はまだまだ新しい野菜ですが、緑黄色野菜の代表とまでいわれるほど健康に良いといわれています。今日は、このモロヘイヤの種まきから、気をつける害虫、収穫までと詳しく解説していきます。スーパーで買った茎から、挿し木での育て方のやり方も紹介しますので、再生栽培愛好者は必見です。
モロヘイヤについて
モロヘイヤの基本情報
科・属:シナノキ科コルコルス属
原産地:北アフリカ
学名/英語名:Corchorus olitorius/Nalta jute
日本に入ってきたのは1980年と、比較的新しい野菜です。
モロヘイヤの特徴
和名はシマツナソ。葉をすりつぶすと、粘り気のある液体を出します。オクラや山芋のネバネバ成分と同じ成分と言われています。このほかにも葉には見た目の特徴もあり、枝に近い部分両脇に、特徴的なひげを持っている植物です。食用として食べられる他、繊維として紐やマットなどを織る材料にもなります。丈夫な植物なので病気や害虫の心配もほとんどありません。しかし、家庭菜園で育てる場合には注意が必要な植物であると厚生労働省が注意喚起をしている野菜です。(詳しくは注意点の項目を参照)
モロヘイヤのコンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは、近くに植えたい相互作用がある植物のこと。植物のお互いの効果を利用して害虫を避けたり、乾燥すると味がよくなる野菜と水が大好きな野菜を一緒に育てて両方を美味しくしよう等の考え方に基づいて、いろいろと組み合わせを考えられる植物のことです。調査してみてたところ、モロヘイヤのコンパニオンプランツとして使われていたのはマリーゴールドです。
頼りすぎない
ただし、このコンパニオンプランツのメインの効果はセンチュウなどの害虫対策。センチュウという害虫は根こぶ病の原因でもありますので、全く関係ないわけではありませんが、葉を食べるモロヘイヤとの相性に疑問が残ります。さらに、マリーゴールドの育成が勝ってモロヘイヤがひょろひょろになったという報告もあります。確かに、マリーゴールドにはアブラムシを寄せ付けないという効果もありますが、害虫対策としてあまり頼りすぎないようにしましょう。
モロヘイヤ栽培・育て方①種まき
種まきの時期は5月6月ころ。発芽温度は25度くらいなので、温度計を見ながら種まきしましょう。プランターを利用した家庭菜園なら土は野菜用の培養土がおすすめです。自分で土つくりをする場合は、苦土石灰、堆肥、化成肥料を混ぜたものを2週間前から用意しておきます。
モロヘイヤの苗つくり
種苗ポットへの種まきは、底網をしいた上に培養土を9割程度入れ、ウォータースペースを確保します。1つのポットに5粒ほど種まきをして、薄く土をかぶせて指の腹でおさえて水やりをします。種苗カゴに並べ、上から新聞紙をかぶせて水やりをしてください。乾燥に注意しながら、発芽、本葉がでて植え付けできるまで管理します。
モロヘイヤの直播き
なぜか種まき時期がすでに発芽温度を満たしているにもかかわらず、育て方を見ると苗を作ろうとすすめられる植物です。大きさを揃えて、収穫時期を均一にすると手間がかからないという農家の知恵でしょう。家庭菜園では株によって収穫時期が多少前後してもかまいませんので、苗作りにこだわる必要はありません。しかし、苗で育てて、株の大きさをそろえれば育てやすいのに違いはありません。家庭菜園においては、苗づくり、直播きどちらでもお好みの種まきを選びましょう。
モロヘイヤ栽培・育て方②植え付け
発芽した苗がある程度大きくなったら、畑やプランターに植え付けましょう。ここでは、そんな植え付け作業についての解説となります。
植え付けの芽のサイズ
種苗ポットで育てていた、モロヘイヤの種。芽が出たあとどのくらいで地植えしたらいいのか家庭菜園をはじめたばかりの方では、悩まれる場合も多いでしょう。これは植物の背の高さを目安としておこなうのが一般的です。だいたい芽が成長して、15センチほどまで大きくなった時が植え替えOKのサインです。
植え付けのやり方
畑、またはプランターに穴あけ器で穴をあけます。間隔は30センチおきです。その中にたっぷりと水をそそぎ、土に吸われたのを確認してから植え付けをはじめましょう。苗のポットからの取り出し方は、まず、茎をやさしく指ではさみ折れないように固定。そっと手を添えてポットをひっくり返して苗を取り出します。天地を戻して先程の穴の中に入れ、周りから土をかけて固定すればできあがりです。家庭菜園で穴あけ器などないという方は、スコップでちょうどよい大きさの穴を開けましょう。
モロヘイヤ栽培・育て方③挿し木
スーパーでも売られているモロヘイヤ。その余った枝部分を挿し木にすることで、プランターなどで手軽に再生栽培ができます。そのやり方はとっても簡単!モロヘイヤの挿し木についてご説明していきましょう。
モロヘイヤの挿し木のやり方①
ますは、買ってきた野菜を食べる部分(葉)と食べない部分(茎)に分けます。長いようであれば、切ってしまい、だいたい10センチから15センチくらいの長さになるよう揃えておきましょう。小さな葉が数枚ついているのはまったく問題ありませんが、大きな葉は可食部ですし挿し木には不要ですので、取り除いて食べましょう。
モロヘイヤの挿し木のやり方②
ペットボトルを半分くらいでカットしたもので、挿し木の穂の水あげをしていきます。水につける部分は、だいたい茎の6分目あたりまで。1週間ほど、ボトルの中の水の量に注意しながら、不足した分はつぎ足して管理していきます。
モロヘイヤの挿し木のやり方③
7日ほどで発根してきますので、その後プランターや畑に植え付けていきます。株間は30センチほど開けて植え付けてください。一般的な70センチサイズのプランターなら、2株が目安です。
モロヘイヤ栽培・育て方④病気・害虫
害虫はハダニに注意
植物の芽が出たときから、病気や害虫との戦いははじまっています。モロヘイヤといえども例外ではありません。特に気をつけるのが虫による被害です。多いのはハダニです。こちらは、葉が混み合っていることで発生しやすくなりますので、こまめに収穫(結果的に剪定になる)して葉の間を風が通るようにしましょう。
モロヘイヤ栽培・育て方⑤収穫
モロヘイヤの収穫時期
基本的にモロヘイヤは、とても丈夫で家庭菜園がはじめてという人にも育てやすい植物です。多少虫に葉を食われていたとしても、それは美味しい野菜ができた証拠。ワクワクしながら収穫していきましょう。まずは収穫時期から。こちらも家庭菜園ですので、お好みの大きさ、やわらかさで収穫していきます。目安としては、側枝が伸びていないうちは収穫しない。花が咲いたら収穫しない。この2つを気をつければよいです。
モロヘイヤの収穫方法
モロヘイヤの可食部は葉です。枝はとある心配事もあって若いものでも食べないように注意します。やわらかそうなものを選び、枝先から15センチほどまでをハサミを使って収穫していきましょう。
モロヘイヤ栽培・育て方⑥注意点
モロヘイヤは有毒植物
毒があって食べられない部位があるのは有名な話ですが、それがどこなのか知らない方も多いでしょう。なぜかというと、情報によってその部位がコロコロと変わってしまうからです。最も有毒物質といわれているのが種です。ここは絶対に口にしてはいけない場所。食べた牛が死んだというニュースもありましたから、種の毒は軽く考えずに厳重に管理しましょう。
茎と鞘も有毒の可能性が
モロヘイヤは葉を食べる植物ですが、ときおりやわらかい茎を食べるという方がいます。しかし、この茎も有毒性があるといいます。はたして大丈夫なのでしょうか。茎には、若いものには毒がないと言われています。固くなると毒性が増すのですね。しかし、やわらかい茎と硬い茎の境目が難しいので、ここも食べないようにしましょう。また、種がつく鞘にも毒があるようです。ここを召し上がる方はほとんどいないでしょうが、間違って口に入れないよう注意してください。
モロヘイヤ栽培・育て方⑦冬越し
モロヘイヤの冬越しは可能か
栽培しているうちに、うっかりそのまま放置してしまい、花が咲いて食べられなくなってしまったというお話を耳にします。モロヘイヤは、丈夫そうだから木化して翌年も収穫できればいいのにと感じますね。しかし、モロヘイヤの原産国を思い出してみてください。北アフリカ(エジプト)原産の野菜なのです。暑い場所は得意ですが、寒いのには弱いのが特徴です。
屋外での冬越しは不可能
いくら株が充実していても、屋外での冬越しは不可能です。露地植えにしたものは諦めて、種が不要なら花が咲いたら抜き取って早々に処分してしまいましょう。
モロヘイヤを冬越しさせる方法
モロヘイヤは寒さにあたると休眠ではなく絶えてしまいます。残念ながらモロヘイヤを冬越しさせる方法はありません。そのかわり、秋には種が収穫できたのではないでしょうか。この種を室内で保存しておければ、翌年も新たに種まきをするのに使えます。重ねてのご注意になりますが、種管理は厳重におこなってください。
種での冬越し
さて、種でならば冬越しもできます。しかし、種を収穫せずに冬まで植えっぱなしにしてしまった株はというと。残念ながら、この種はもう死んでしまっていますので、翌春に種まきをしても発芽する可能性はほぼ0です。種で冬越しさせる場合は、秋までに種の収穫を終わらせておきます。
まとめ
プランター家庭菜園でモロヘイヤを育てて食べよう
モロヘイヤは日本では冬越しできませんでしたが、それでも寒くなる前に1本の株で十分すぎるほどたくさんの葉が収穫できます。栄養たっぷりのモロヘイヤをご自宅で栽培してみましょう。その場合は、有毒物質が含まれる種や古い茎などは絶対に口に入れないよう。また、ペットの誤食にも注意してあげてください。どうしても心配な方は、花が咲いたら葉の収穫はできませんので、すぐに抜いてしまえば問題はありません。安全に、家庭栽培を楽しんでいきましょう。
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