ベーコンって自作できるの?
結論を言えばできます。しかも簡単に。もともとベーコンは紀元前のデンマークで長い航海用の保存食として産まれました。古いフランス語の背中を意味する言葉(英語のバック?)が語源だと言われている通り、本来は背肉を使いますが、アメリカ経由で日本に入ってきたため日本では腹側の肉を使うのが普通です。航海前に保存肉を炙っていた時に薪が湿っていたために産まれたと言われています。簡単そうでしょ。
ベーコンに使うお肉
豚バラベーコン
日本でベーコンと言えばやはり「豚バラ」を使ったベーコンでしょう。豚の腹側の肉でいわゆる「三枚肉」と呼ばれるあの旨いやつです。とろとろに煮込んだ角煮も良いですが、1㎏分くらいの塊を購入して自家製ベーコンに挑戦してみましょう。100g100円~150円くらいのお肉で充分ですよ。
ショルダーベーコン
もともとは背中の肉を使っていたベーコンですが、日本では豚バラベーコンをベーコンと呼び、背中の部位を使うベーコンはわざわざ「ショルダーベーコン」と呼びます。ショルダーは豚バラに比べて脂身が少なくヘルシーなのですが、ベーコン好きにはちょっと物足りないかも知れません。購入の際は「豚肩ロース」が一般的な呼び方です。今回は豚バラメインの記事になります。
ベーコンの作り方①「塩漬け」
1週間の下ごしらえ
電気の無い時代の長い航海中に食べるために作られたベーコンですから、腐らないように加工しなければなりません。豚バラ肉にたっぷりの塩をすり込み寝かせます。味だけベーコンにするのであれば燻製液に漬けこんで終わりという手もありますが、せっかくの手作りです。プロ並みにいきましょう。
塩漬けレシピ
1、豚バラ肉の両面にフォークなどでバスバスと穴を開けていきます。2、肉の重さの2%の塩をまんべんなくすり込みます。これだけでも良いのですが、お好みで3、黒胡椒・ローズマリー・にんにく・ローリエなどをまぶす。これを口の閉まるフリーザーバッグに入れ、空気を抜いて冷蔵庫で5~7日寝かせます。一日一回ひっくり返しましょう。
ベーコンの作り方②「塩抜き」
味を決める
2%の塩で漬け込んだ豚バラ肉はそのまま加工してもしょっぱくて食べられません。まずは「塩抜き」をしましょう。取り出した豚バラ肉を綺麗に洗います。流水(ちょろちょろ)で約1時間流したら、桶に水を張って6時間塩抜きをします。ここで端っこを少しカットして試し焼きと試食をします。塩気を感じたらさらに6時間。まったく塩気を感じなくなるまで塩抜きをします。
塩抜きのコツ
よく手作りベーコンの指南書などでは「試し焼きで薄く塩味を感じるようになったら」と書いてあるものが多いですが、乾燥と燻製でギュッと味が凝縮しますので「塩を感じなくなったら」塩抜き完了といたしましょう。
ベーコンの作り方③「乾燥~燻製」
燻製レシピ(乾燥)
塩抜きが終わったらキッチンペーパーなどで水分を拭き取ります。これを風通しの良い場所で2時間から3時間ほど乾燥させます。できれば「魚干しネット」などを使うとハエなどからも守られます。脂身に艶が出てきているのを確認して再度キッチンペーパーを押し当てて水分を取ります。ここでしっかり乾燥させないと酸っぱくなりますよ。
燻製レシピ(温燻)
さあ、いよいよ燻製です。冷燻でじっくりやる方法もありますが、季節によってできない時期がありますのでここは温燻にいたしましょう。スモーカーの使い方はモノによって違うと思いますので、使用方法はおまかせいたします。設定温度は70度前後を目安に2時間から3時間、サクラチップに砂糖を混ぜたもので燻します。色付いたら取り出して温度が下がるのを待って冷蔵庫で一晩冷やしましょう。じっくりと味がなじんだらできあがりです。
燻製しないベーコンの作り方「パンチェッタ」
パンチェッタとは
名称はいろいろですがヨーロッパではベーコンを買う時「燻製か生か」聞かれるそうです。イタリアではスモークしない「生ベーコン」をパンチェッタと呼びます。これはまったく火を入れずに豚肉を生のまま熟成させたもので、スパゲティカルボナーラなどはこれが本流です。時間はかかりますがレシピは簡単ですので、自作してみましょう。
パンチェッタレシピ
1、豚バラ肉ブロックを用意します。2、フォークなどで肉の両面にばすばすと穴を開けましょう。3、肉の重量の5%の塩を肉にもみ込みます。4、フリーザーバッグなどに入れて空気を抜いたら12時間冷蔵庫保存。5、ドリップを捨て、お好みで胡椒などをすり込んで再度冷蔵庫へ。6、毎日ひっくり返しながら10日以上熟成させます。7、2時間ほど塩抜きをしたら毎日水分を拭き取りながらさらに1週間寝かせればできあがりです。
燻製しないベーコンの作り方「裏ワザ」
燻製パウダー
手作りベーコンの記事で反則かもしれませんが裏ワザを一つ。「朝岡スパイス」という会社から出ている「燻製パウダー(15g572円・2019/01/30現在)」。これ本当に美味いんです。これを食べる前日に肉にまぶして寝かせます。それをフライパンで焼くだけで手作りベーコンのできあがりです。ただしあまり通販サイトや市場でも出回っておらず入手が困難な調味料です。もしもスーパーなどで見かけましたら即買いですね。時短にもなります。ぜひ一度お試し下さい。
手作りベーコン作りの注意点
温度管理は慎重に!
ハムやベーコンの加工で一番に気を付けなければならないのは、やはり腐敗でしょう。塩漬け保存の時もそうなのですが、燻製の時も温度が上がらず無添加だけに腐りやすいベーコンができてしまうことがあります。冷蔵時も加温時も温度管理はきちんとしましょう。二番目は燻製前の乾燥です。表面がサラッとするまで乾かしましょう。せっかく長い時間をかけて育ててきたベーコンです。失敗の無いようがんばりましょう。
ベーコンを使った料理レシピ①
ベーコンを使ったレシピは無限にあります。パン生地に混ぜても美味しいですし、オムレツやグラタンの具材としても重宝します。もちろんそのまま焼いてかぶりつくのもアリです。スープやシチューの具に使えばスモークの薫り高さが一層栄えます。ご紹介させて頂くレシピ以外の使い方も工夫してみて下さいね。
カルボナーラは千変万化
カルボナーラは人気のあるパスタだけにいろいろなレシピが存在しています。本格的なものは生クリームは使わないとか、卵は卵黄のみ使用だとか、麺のゆで時間までいろいろな説があります。私のレシピは本格的ではないかもしれませんが、簡単で美味しいと家族や友人に人気を博しているレシピです。紹介させていただきますね。分量は1人前です。
牛乳であっさりこってり
1、1.8mmのスパゲティー100gを表示通りにゆでます。2、オリーブオイルにバターを落としたオイルでにんにく1欠けのみじん切りを炒め、大ぶりに切ったベーコンを一掴み投入します。3、ベーコンの表面がカリカリになったら上げておきます。4、ボウルに全卵と粉チーズ30g、牛乳50ccを入れ、フライパンの残りオイルと混ぜ合わせます。5、ゆで上がった麺をボウルに入れ、ガガッとかきまぜ黒胡椒と上げておいたベーコンをトッピングしたらできあがりです。
ソースは「もったり」くらい
スパゲティーのゆで汁はおたま2杯分くらいとって冷ましておきましょう。スパゲティーの熱を10秒くらいザルで煽って取ってからソースと混ぜますが、水分が足りなかったり卵に熱が入り過ぎて固まりそうになったらゆで汁を足してソースを程よい固さに整えましょう。
ベーコンを使った料理レシピ②
ベーコンエッグの作り方
自作ベーコンを手作りしたら絶対に食べて頂きたいのが「ベーコンエッグ」です。3mmほどの厚さにカットしたベーコンの片面を強火で焼き、ひっくり返したら卵を割り入れます。火を中火に落としたら卵に胡椒を振り、フライパンに蓋をして蒸し焼きにします。2分で火を止め、余熱で黄身の固さを調節します。パンにもごはんにもお酒にも何にでも合う人気№1の料理です。
ベーコンを使った料理レシピ③
ベーコン巻きの作り方
お弁当にもちょっとしたお客様にも重宝する№1簡単ベーコン料理が「ベーコン巻き」です。自作手作りのベーコンですので厚さはお好みでいいのですが、あまり厚くない方が美味しいと思います。にんじんなどの根菜以外は茹でずに生で巻きましょう。巻き終わりを爪楊枝で留め、フライパンでころころ転がしながら脂がにじむまで焼いたらフタをして2分ほど蒸し焼きにしましょう。
人気の具材と美味しい食べ方
ベーコン巻きで人気の具材は画像でもあるようにアスパラが人気ですが、その他おすすめなのが茹でたニンジン、エリンギ、インゲン、ピーマンなどです。意外なところでは長ネギや豆苗、厚揚げやシメジなどが美味しいですよ。厚揚げ巻きとシメジ巻きは「おでん」の具にしてみたら絶品ですよ。手作りだからこその贅沢な使い方ができますね。
ベーコンを使った料理レシピ④
野菜炒めの作り方
野菜炒めが簡単な料理であることはお分かりのことと思います。ベーコンを薄切りなり角切りなりお好きな形、大きさにカットしたら「油を敷かない」フライパンで弱火でじっくりと脂出しをしながら炒めていきます。ベーコンに火が通ったら火を強火にしてキャベツやニンジン、ピーマンなどを投入し、胡椒と塩少々で味を整えます。野菜に脂が回ったらフタをして1分、蒸し焼きにします。
野菜炒めからの
野菜炒めを作った時、おたま一杯分くらいの野菜炒めを取り分けておきましょう。小鍋にお湯を200㏄沸かし、コンソメの素を一つまみ。そこに取り分けた野菜炒めを投入すれば「ベーコン野菜スープ(1人前)」があっという間に出来上がります。また、野菜炒めが余ったら溶き卵でとじれば「変わりベーコンエッグ丼」の具材に早変わり。超簡単で超美味しい野菜炒め3変化です。
ベーコンを自作してたっぷり楽しもう!
買うと結構なお値段のするベーコンも自作をすれば本当にリーズナブルに楽しめます。しかも簡単で感動的にうまいんです。仕込みから完成までの1週間、じっくり育てて下さい。自作だからこそできる味付けのベーコンを頬張ればそのうまさに驚きます。アウトドアにアレンジ料理に病み付きになること間違いなしですよ。
燻製のことが気になる方はこちらもチェック!
燻製は使うチップや機材で味も香りも変わります。また燻す温度で「冷燻」「温燻」「熱燻」と燻し方も何段階かあります。それぞれ美味しいのですが、「暮らし~の」のサイトの中にスモーカーやスモークチップに詳しい記事がありますので併載しておきますね。興味のある方はこちらもチェックして下さい。
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