テッポウエビとは?
海水魚飼育に興味がある方であれば、テッポウエビを知っている方は多いかもしれません。ハゼと仲良く共生することで知られており、穴に一緒に入っている姿はとてもユニークですよね。そんなテッポウエビは、実は狩りの仕方にも特徴があります。プラズマが出るほどの攻撃で狩りをするので、私たち人間が触る時も注意が必要。今回はそんなテッポウエビの特徴や生態、飼育方法などについて解説していきます!
テッポウエビの特徴
テッポウエビの概要
テッポウエビは十脚目テッポウエビ科に分類されるエビで、色々種類があります。どの種類も小さめとなっており、1センチ~数センチ程度の大きさです。しかし、この大きさでもエビの中では中間くらいに位置します。熱帯域に多く生息しており、浅い海によくいます。日本の海でも遊んでいると見つかることがありますね。テッポウエビは音を発しますので、姿が見えなくても音で分かります。
テッポウエビは泳がない
エビは高速で泳ぐイメージがありますが、実はテッポウエビは泳ぎが上手ではありません。ほぼ泳がずに、物陰や穴に隠れて生活するのです。砂を後ろ足で蹴って穴を掘り、その巣穴からあまり離れずに過ごしています。そんな生態ですので、直接見かけることはあまりありません。あまり活動的なエビでは無いのですね。
テッポウエビは英語で拳銃エビ
テッポウエビは英語でPistol shrimpと言います。つまり、英語では拳銃エビと呼ばれているのです。英語でこう呼ばれるようになったのは、画像のような巨大な鋏で「カチッ」と大きな音を出す為。近くにいる人間にも届く程の音を出す為、まるで拳銃のようだということで、英語で拳銃エビと呼ばれるようになったそうですね。また、一部の地方では「かちえび」とも呼ばれています。英語も日本名も、音に因んだ名前になっていますね。
テッポウエビの種類
テッポウエビは100種類ほど存在
テッポウエビは実は種類が多く、100種類ほど存在します。日本にはその内の数十種が存在しており、それぞれに特徴がありますが、下記ではよく知られている種類を紹介しました。育てることも可能です。
テッポウエビ
テッポウエビ君 pic.twitter.com/cjKpGyZqxp
— julapis (@julacoid) January 7, 2019
本種テッポウエビは、大きさが7センチ程まで成長します。色は灰褐色・緑褐色となっており、白い帯が少し入っているのが特徴。西日本近海の固有種となっています。
ニシキテッポウエビ
頑張るニシキテッポウエビとつい魔が差してしまったギンガハゼ pic.twitter.com/Z6mW3yFbvU
— :tropical_fish:YUMA:tropical_fish: (@yuma_sakana) November 4, 2018
水槽でハゼと一緒によく育てられているのが、ニシキテッポウエビです。こちらは一回り小さく、4センチ程度までしか成長しません。白い斑点が沢山あって、鮮やかな見た目が特徴。分布はインド洋や西太平洋の熱帯地域で、サンゴ礁周辺に生息しています。
オニテッポウエビ
テッポウエビと似ているのがオニテッポウエビです。こちらは6センチ程まで成長します。テッポウエビよりも帯が太めで、左右が繋がるのが見分けるポイント。こちらもインド洋・太平洋の熱帯域に生息しており、日本にもいます。
テッポウエビモドキはテッポウエビではない
昨年の春の大潮の日、竜ヶ浜で見つけたわりと大きいエビ。見た目は緑色のザリガニだけど、ようやく正体がわかった。テッポウエビモドキだ!すごいすごい!これは嬉しかった!大きいし、カッコイイ!初めて見た。石の多い場所に多いとネットに記述があったが納得。竜ヶ浜はゴロタ浜のまさにそんな場所。 pic.twitter.com/1A2TwD42Kv
— ゆうじ (@sea_slug_0509) February 22, 2018
実はテッポウエビモドキという種類もいます。こちらは大きさが4センチほどで、見た目は似ているのですが、音が出せません。日本の固有種で、千葉県より南に分布しています。テッポウエビのようでも、音を出さなかったらモドキだと覚えておきましょう。
テッポウエビはハゼと共生する
テッポウエビとハゼの共生
テッポウエビと言えば、ハゼとの共生ですよね!テッポウエビは画像のように、いつもハゼと仲良く暮らしています。これはちゃんと役割があり、テッポウエビは穴を掘ったり、穴をメンテナンスしたりするのが仕事。ハゼは外敵の見張りをして、テッポウエビに危険を知らせる役割をしているのです。お互いに助け合っているのですね。テッポウエビはいつも触覚をハゼにくっつけており、ハゼが動くと瞬時に分かるようになっています。
ハゼが天敵から守ってくれる
テッポウエビは興味深い攻撃方法を持っているのですが、実は目があまり良くないので、イカやタコ、クロダイといった天敵にすぐに食べられてしまいます。そこで、見張り役であるハゼの助けが必要となるのです。ハゼ自身にももちろん天敵がいて、危ない時はテッポウエビの作った穴に逃げ隠れます。穴には1匹~2匹のハゼがいつもいますね。
テッポウエビはハゼを綺麗にしてくれる
テッポウエビは巣穴を作ったり整えたりする役目がありますが、実は他にも興味深い行動をとることがあり、なんとハゼを綺麗に掃除してくれることがあるのです。また、ハゼの排泄物や餌の食べ残しを餌にしたりすることもあります。テッポウエビはあまり動き回らないので、餌を持ってきてくれるのはとても有難いようですね。
テッポウエビの狩りが凄い!
テッポウエビは音で狩りをする
テッポウエビは音を出すのが特徴ですが、実はただ音を出している訳ではなく、音で狩りをすることがあるのです。大きな破裂音が出ますので、その衝撃で小さな生き物が気絶してしまいます。
音は本来は威嚇で使われている
音を出して気絶させて狩りをすることもありますが、本来は威嚇で使われているようです。大きな生き物が近づいてきた時も、カチッと音を鳴らしますので、海岸で近づくとカチッと音が聞こえてきます。もし海で遊んでいて音がしたなら、すぐ近くにいるということですね。上記の動画で音が収録されていますので、興味がある方は是非聞いてみて下さい。
テッポウエビのプラズマ
実はただ音が鳴っている訳ではなく、水分がプラズマ化するほどの衝撃波が出ています。プラズマ化するほどの威力なら、小魚が気絶してしまうのも納得ですよね。因みにプラズマとは、分子が電離して激しく運動している状態で、プラズマは並大抵の威力では起きません。プラズマ化しているのは上記動画で確認出来ますが、かなりの威力であることが分かりますよね。ハゼと共生する人気エビですが、プラズマ化する程の攻撃力があることを知っておきましょう。
テッポウエビの味は?
少しだけ漁獲されるテッポウエビ
テッポウエビは実は食べることが出来ます。狙って漁獲されることはあまり無いのですが、他のエビと一緒に少しだけ漁獲されることがあります。あまり価値の高いエビではありませんが、食べる機会があれば是非食べてみて下さい。
テッポウエビは美味しい
気になる味ですが、そもそもエビは美味しい生き物ですので、やはり味は良好です。サイズは小さいのですが、身は甘いので、おやつ的な感覚で食べられるのがポイント。旬は夏頃となっています。味噌汁にして出汁をとっても美味しいですし、茹でて食べるのも一般的です。煮つけにして食べることもあります。
テッポウエビの唐揚げ
シンプルかつオーソドックスな食べ方が、唐揚げです、唐揚げにすれば大抵の生き物が食べられる状態になりますよね。唐揚げにすると殻ごろサクっと食べられますのでおすすめです。サイズが小さいので、唐揚げにするとスナックのおやつのようになりますね。画像のように、ある程度の数がいれば唐揚げにしても豪華な雰囲気となりますので、機会があれば唐揚げを作ってみましょう。唐揚げ用にまとまった数が販売されていることもあります。
テッポウエビの飼育方法①
水槽などを用意
テッポウエビに興味がある方は、飼育にもチャレンジしてみましょう!小さなエビですので、30センチ程度の小さな水槽で育てることが出来ます。ハゼと1ペアで育てるなら、小さな水槽から始めてみて下さい。水槽の他に、フィルター、ライト、サンゴ砂、人工海水、カルキ抜き、餌、ライブロック、水替えホース、ヒーターを用意します。ある程度セットになっている水槽セットを下記記事で紹介していますので、気になる方は見てみて下さい。
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テッポウエビの購入
水槽の準備が整ったら、テッポウエビを購入しましょう!よく育てられているニシキテッポウエビは、大体1500円から2000円ほどで販売されています。お近くのお店に無ければネットショップで購入も出来ますので検討してみましょう。テッポウエビは同種で喧嘩しやすいので、1つの水槽に1匹だけ入れることをおすすめします。
水槽のセッティングと水合わせ
テッポウエビを購入しても、いきなり水槽に入れてはいけません。まずは購入した時に入れられる袋を水槽に浮かべて、水温を合わせましょう。いきなり水温の違う水槽に入れると驚いてしまいます。30分ほど経つと水温が合いますので、次に袋の中に水槽の水を入れましょう。いっぱいになるまで入れて、少し水を捨てて、また入れてを繰り返して、水槽の水と水質が合ったところでテッポウエビを水槽に入れます。
テッポウエビの飼育方法②
餌やり
テッポウエビの餌は、魚と一緒で構いません。一緒にハゼを育てるのであれば、ハゼに与える海水魚用の飼料を与えましょう。浮かんでいる餌は底にいるエビは食べられませんので、沈むタイプの餌を与えたいですね。また、エビが食べる前に餌をとられてしまう場合は、スポイトを使って与えるのがおすすめです。
脱皮について
テッポウエビは脱皮を頻繫に行います。脱皮をして残った殻は水質悪化の原因となりますので、見つけたら水槽から出しましょう。通常は問題無いのですが、脱皮に失敗して死んでしまうこともあります。失敗する時は体調が悪い時が多いので、餌をしっかり与えて、ストレスをかけずに育てるようにしましょう。
テッポウエビ飼育の注意点
攻撃される可能性あり
育てる際に注意して頂きたいのが、安易に手を近づけないことです。水の無い場所なら問題ありませんが、水がある場所で鋏を閉じると衝撃波が出ますので、怪我をする恐れもあります。英語で拳銃エビと呼ばれている程の生き物ですので、扱いには気をつけましょう。
攻撃的な海水魚との混泳に注意
他の海水魚との混泳も問題無く行えますが、種類によっては注意が必要です。スズメダイの仲間など、性格の荒い海水魚を入れると攻撃される可能性があります。また、穴を掘る性質のある他の生き物を入れると争いになる可能性もあります。一緒に育てる際は、性格が穏やかで、生活領域が被らない生き物が良いでしょう。
まとめ:テッポウエビとは?
今回の「テッポウエビとは?ハゼとの共生や衝撃の狩り方法などを詳しくご紹介!」はいかがでしたでしょうか?特徴や英語での呼ばれ方、ハゼとの共生、飼育方法など、興味深いことが沢山ありましたよね!気軽に育てられますので、興味がある方は是非チャレンジしてみましょう!攻撃される可能性がありますので、扱いには十分注意して下さいね!
テッポウエビが気になる方はこちらもチェック!
今回はテッポウエビについて解説させて頂きましたが、他にも海水魚や熱帯魚に関する記事が沢山あります。気になる方は是非チェックしてみて下さい。
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