燻製と燻製器とは
スモークチップなどで燻す料理
最近は煙で燻された燻製品が店にもよく並ぶようになりました。燻製は木などを不完全燃焼させて、発生させた煙で燻すことにより燻した木によってさまざまな風味がつく加工法です。キャンプやバーベキューなどのアウトドアでもよく行われる加工法ですが、スモークするための専用の装置(燻製器)が必要なためアウトドア以外では燻製料理を自作することは珍しいです。しかし燻製器があると燻製料理は意外と簡単です。
燻製の魅力
燻製器を使って自作するメリットとしては安いウインナー、ソーセージ、チーズなどの酒のあてが簡単に美味しくなります。更に燻製された製品を買うより安く、自分の好みのスモークチップやスモークウッドで香り付けができ好きなタイミンで出来たての燻製や一夜おいて適度に煙臭さが抜けた物を楽しむことができます。燻製器の種類によってはチップは使わないほうがいいものもありますが、基本的にどちらでも使えるので便利です。
スモークチップ・スモークウッドとは
香りの元となる原木をチップ状なるよう小さく切り適度に乾燥させたものがスモークチップです。熱源を利用して使います。スモークウッドは原木を粉状になるまで砕き糊などで固めブロックになります。使い方は一度スモークウッドに直接火を付けるだけでなので熱源は不要です。
燻製で注意すること
臭いに気をつける
キャンプやバーベキューのアウトドアだけではなく家庭用の燻製器もたくさんありますが、煙で燻す加工法なので必ず臭いが部屋に漏れます。漏れ出す煙の量は燻製器によりますが、換気扇の近くで使うことや大切な洋服などはクローゼットにしまうなどしてから料理するようにしましょう。
食材の水分に気をつける
燻製する時は食材の水分に気をつけましょう。水分が付いたまま燻製すると煙と水が混ざり美味しくなくなります。拭いたり乾かしたりしてから燻製すると成功します。
ダンボールを使ってDIYで燻製器を自作しよう
家庭でできるダンボール燻製器とは
燻製にするためには「木を不完全燃焼させ煙で燻す」と紹介ましたが、実は燃えやすいダンボールでも燻製器を自作できます。しかもDIYを全くしない方でも燻製するためのポイントと使う道具さえ間違えていなければ安全で、煙があまり外に漏れ出さない燻製器になるのでおすすめです。またキャンプやバーベキューなどのアウトドアで使わる燻製器の中には、ダンボールできた製品もあるので実用性は十分あります。
火を使う場合はダンボールはNG
ダンボール燻製器は基本的に熱源を使用しないスモークウッドで燻製していくため簡単かつ安全ですが、時間が2時間前後はかかるデメリットもあります。またダンボール燻製器は熱源を使用しないことから低温で長時間燻製させる冷燻に向いていてベーコンやハムなどの火を通さないといけない料理は作れませんが、生のまま食べるスモークサーモンなどはダンボール燻製器の温度を低く保ちやすいのでより簡単に燻製ができます。
低温の燻製とは
秋冬にダンボール燻製器を自作をおすすめする理由は生のまま食べるスモークサーモンなどが傷まない温度を保ちやすいからです。夏にダンボール燻製でスモークサーモンを作ると外気温ですでに30度近くあるので痛みやすく熱源を使わなくてもいいスモークウッドも線香のように小さく燃えているので自作したダンボール燻製器の温度も高くなります。
DIYでもできるダンボール燻製器の作り方1
一定の大きさがあればどんなダンボールでも大丈夫
ダンボールを加工して食材、スモークウッド(チップとカセットコンロ)をおいていくので小さなダンボールではできませんが一定の大きさのダンボールなら簡単に自作することができます。作り方としてはいろいろありますがまず大容量で大量の食材を燻製することができる作り方を紹介します。
ダンボールで簡単DIY:材料
可能な限り同じ大きさのダンボール箱を2~3箱、100円ショップで売られている焼き網(箱の広さに合わせて2~3枚)、眺めの竹串などダンボール箱に刺して網の台として使えそうなもの、カッター、ガムテープだけです。
ダンボールで簡単DIY:作り方①
まず一番下になるダンボール箱以外のダンボール箱の底と蓋部分開いて垂直にしてガムテープでとめて筒状にしたものをテープで継ぎ足して長い筒にするか、蓋と底部分を開いた後邪魔になる部分を切り落として同じように筒状にします。こうすることで低いダンボール箱でも燻製器として役立つほど高さが出ますし、庫内が大きくなるので大量に燻製できるようになります。
ダンボールで簡単DIY:作り方②
一番下になるダンボールは蓋の部分は上記と同じように処理し、底の部分は広げておき筒状にしたダンボールとテープでくっつけてダンボールのトーテムポールのようにして完成です。次に食材を置くための網を取り付けていきます。竹串などダンボールに突き刺して台にするのですが、長さが足りない場合は角の部分に斜めに刺して台を作りその上に食材を載せた網を順に置きましょう。高さがあると網がたくさん置けるので大容量になります。
ダンボール燻製器の使い方
使う時はまずスモークウッドにしっかり火をつけてアルミの受け皿などおいてから作ったダンボール燻製器をかぶせるだけです。風で倒れたりしないように開いた底の部分に重しとなる石などを置くと安定します。上記の作り方は高さのあまりないダンボール箱できる方法ですが高さのあるダンボール箱を使うとスモークウッドやチップ、網の場所より少しうえにコの字型の切れ込みを入れ窓を作ると食材などの様子の確認などしやすくなります。
DIYでもできるダンボール燻製器の作り方2
高さがなくても幅があれば簡単に自作できる
ダンボール箱に高さあまりなくても幅があれば簡単に燻製器を自作することができます。しかも先程紹介した作り方よりも箱を開いてテープでつなぎ合わせていく必要がないのでより楽です。ただしキャンプやバーベキューなどのアウトドアでは重しをおける場所が少なくなるため風などに弱くなるので注意しましょう。また火の大きさにより注意が必要になります。
ダンボールでさらに簡単DIY:材料
これから紹介するダンボール燻製器の作り方はダンボール箱をつなぎ合わせないので庫内があまり大きくないですが簡単です。材料は幅のあるダンボール箱、焼き網、竹串などです。
ダンボールでさらに簡単DIY:作り方
ダンボールを立てて蓋の部分が正面に来るようにします。こうすると蓋が観音開きになるのであとは竹串などで網を置くための台を作り完成です。自作と言ったりDYIと言っていいか迷うほど簡単ですが、燃えているスモークウッドが直接底に落ちないようにしっかり受け皿などに入れて食材を網と一緒にセットすればあとは、蓋を閉じてスモークウッドが燃え尽きるまで待つだけで自作の燻製が完成です。
扉となる蓋は留めても留めなくても大丈夫
観音開きになるようにダンボール燻製器を作った場合は閉めても勝手に開くようならばテープで留めたほうがいいですが、ちゃんと閉まった状態なら留めなくても煙は出ていきにくいのでそのままで大丈夫です。ただし留めておくと転倒した際に食材が散乱しません。
網を置かない使用方法
ダンボールの幅よりも長い串などがあればS字フックをかけてすでに火が通ったベーコンやハムを吊るすと好きなスモークウッド(チップ)で香り付けをすることができます。網を使ってもいいですしどちらでも好きな方で燻製にできます。キャンプやバーベキューなどのアウトドアでダンボール燻製を作る時は倒れないように注意しましょう。
網を置くための台を作らない方法
カッターでダンボールに切れ込みをいれてそこに網を差し込むだけでも大丈夫です。網がダンボールより大きい時に使える方法なのでキャンプやバーベキューなどのアウトドアでは臨機応変に作り方を変えてみてくださいね。
ダンボール燻製器で燻製をする時のポイント1
庫内の温度に気をつける
ダンボール燻製器は基本的に熱に弱いので初心者はまずはスモークウッドで作りましょう。そしてスモークウッドで燻製を作る場合は前述したように冷燻と呼ばれる方法になります。冷燻とは25度以下の状態で時間をかけて燻製していく方法で、外気や庫内の温度が高いと生で食べる食材は傷みやすくなるので使用は控えましょう。夏のキャンプやバーベキューなどのアウトドアで燻製する場合は、ナッツなどの傷みにくい食材がおすすめです。
雨や風、火に気をつける
DIYが得意な場合でも素材の弱さはカバーしきれません。そのため不安定な場所に置かないようにして火や雨などのにも気をつけましょう。転倒すると運が悪いと燃えてしまいます。当然雨が降ってきた場合は、ダンボールが濡れて形を保てなかったりテープの粘着力が落ちて倒壊する可能性もあるので天候が悪い時にキャンプやバーベキューなどのアウトドアで使うのは控えましょう。
ダンボール燻製器で燻製をする時のポイント2
DYIが上手い人は丁寧に仕上げすぎない
DYIが得意な方はダンボール箱をテープでつなぎ合わていく時に綺麗にテープで留めてしまいがちですが、あまりきっちり留めると逆効果になります。スモークウッドが燃え続けるためには適度に空気も必要ですし、綺麗に密閉してしまうと庫内の温度も上がりやすくなります。そのため可能であればコの字に切り込みを入れて窓を設けたり、スモークウッドを置く場所に空気の取入口をつくるなどをすると途中でスモークウッドが消えにくくなります。
空気をテープで調節
簡単な空気の調節方法としてはダンボール燻製器に小さな穴を開けてテープで塞ぎ、空気がほしい時はテープを剥ぐと大丈夫です。この場合、粘着力が強いガムテープなどを使うとダンボールの表面ごと剥げるのでマスキングテープなどの粘着力が弱めのテープを使うと便利です。DYIが好きな方は簡単な作業と思いますが、DYIが苦手な方は穴を開けておくだけでも大丈夫です。煙は出ますが大量に出ることはありません。
スモークチップ、ウッドの種類1
香りが強い「桜」
燻製の代表的なスモークチップを紹介します。香りが非常に強い桜は、短時間燻しても他のスモークチップより香りが付きやすいため長時間燻製した場合は出来たてより一日置いてから食べたほうがいいと言われています。燻製のスモークチップなどの選び方は、香りが強い(癖がある)のか香りが弱い(癖がない)のかで相性のいい食材が決まっていて桜チップは、香りが強いタイプに分類されるので癖のある肉類(鳥以外)や魚におすすめです。
甘い香りの「りんご」
桜と同じバラ科ですが香りは桜とは全く違う特徴があります。りんごの香りはほのかに甘く上品に仕上がるので癖のない香りなのでりんごでの燻製に向く食材は同じように癖のない白身魚や鶏肉になります。
スモークチップ、ウッドの種類2
癖がないので使いやすい「くるみ」
くるみは日本にも自生している木で桜とは真逆の性質を持っていて香りが強くないためいろいろな食材に使われる原木です。香りが弱いので癖のない肉、魚、チーズと何にでも使えるため迷った時にも重宝し、長時間燻製する事が多いダンボール燻製器による冷燻でも燻しすぎるということがないので扱いやすいです。ただし香りが弱すぎて短時間だと桜と比べると、燻製になっていないように感じることもあります。
アメリカのスタンダード「ヒッコリー」
同じくるみの仲間を原木にしたチップがヒッコリーになります。ヒッコリーの香りはくるみより強いのでオールマイティーに使えるチップになります。ただし桜のように強く香るというわけではないので、強い香りが欲しい場合は別のチップにしましょう。
スモークチップ、ウッドの種類3
色づきやすい「ナラ」と「ブナ」
日本の雑木林に生えている木によくあるナラ、ブナもスモークチップの原木になりますが他の原木と比べると少し違う特性があります。煙自体に香りがあるわではなく、燻製した時に飴色になりやすくいい色になる原木です。向く食材はあまり色のついていない鶏肉や白身魚などになりますが、基本的に色を付けるだけなのでどんな食材でも使えます。
スモークチップ、ウッドの種類4
お酒の香りの「オーク」
オークはメーカーによって名称が多少異なりますが、原木をスモークチップやウッドにしているわけではなくウィスキーなどの洋酒を保存していた樽が原料なので、燻製にすると洋酒の香りがする少し特殊な燻製の材料です。強烈に香りがするというわけではないので癖のない食材がおすすめです。
スモークチップ、ウッド以外におすすめの素材
ピート
スモークチップやウッドと比べると高価なピート(泥炭)も燻製に使える材料です。スコッチウイスキーの香りにもなっているピートは他のチップやウッドの上に少量振りかけるようにして使いますが、多く使うと香りも強くなるためキャンプやバーベキューなどのアウトドアだけではなく家庭で、短時間で燻製したい時にも役立ちます。またブレンドする材料なのでなくても燻製をすることはできます。
茶葉、コーヒー、ザラメ
専用のスモークチップやウッドがなくても日本茶や紅茶、コーヒーでも燻製できます。ザラメは燻製した時に色が付きやすくなるためスモークチップやウッドと一緒に使うことが多いです。
簡単スモーク料理1
段ボール燻製:とろとろタマゴ&チーズ
ダンボール燻製器の庫内が大きいと一度に数種類の燻製料理が作れるので便利です。キャンプやバーベキューのアウトドアでは家に予め漬け込んでおいたりすることで、より簡単に料理をすることができます。
材料 卵10個 ★醤油200cc ★酒大さじ2 ★水50cc ★昆布茶小さじ1/2 プロセスチーズ(燻製チーズ用)食べたい、作りたいだけ
作り方
調味料を合わせつけ汁を作りゆで卵を作ります。その後殻を剥いたゆで卵をつけ汁に1日ほど漬け込み、水気をよく拭いて燻製していくだけです。チーズは高温にならなければ溶けることもなく、そのまま燻製できる扱いやすい食材です。
簡単スモーク料理2
紅茶で燻製:バラベーコン
スモークチップやウッドの代わりに紅茶を使用する燻製料理です。キャンプやバーベキューなどのアウトドアで急遽燻製をしてみたくなった時にもコーヒーなどでできるのでおすすめです。
材料(1本分) 豚バラ肉塊1本 岩塩(岩塩が美味しいのです)20g ブラウンシュガー(味付け用)10g ローリエ2枚 紅茶パック2パック ブラウンシュガー(薫製用)大さじ1
作り方
ベーコンを作る3日前に豚バラ肉に塩をすり込み、3日後に紅茶、ローリー、ブラウンシュガーを鍋や燻製器に入れて燻製していきます。生の豚バラ肉の場合は熱燻、温燻になるのでダンボール燻製器で燻製するには難しいですが、すでにベーコンに加工されている肉を再び燻製しても美味しいですよ。また生の肉もダンボール燻製器でいぶした後適当な大きさにスライスして焼けば大丈夫です。
ダンボール燻製器と燻製のまとめ
冬こそチャンス
先程紹介したようにDIYで作った自作ダンボール燻製器や市販のダンボール燻製器は、外気が高いと難しいので気温が下がる冬こそチャンスです。ベランダや庭でチャレンジしてみてください。煙は多少出ますが七輪で秋刀魚を焼くより圧倒的に煙は少ないので辺り一帯が煙臭くなることはありません。ベランダでダンボール燻製器を使う時は、ベランダの床材を熱で溶かさないように気をつけてくださいね。
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