まえがき
初心者におすすめの縦走は山の醍醐味
山登りには往復(ピストン)、周回、縦走という登山スタイルがあり、周回でも縦走があります。縦走とは、連なっている連山のピークの繋がりを歩行することで次から次へと周りの景観が変化していきます。いわゆる稜線歩きです。朝早ければ、雲海の上を歩きますから、雲海から突き出た高山が離島のように幻想的な景色となって非日常を味わえます。
装備リストに注意を
日帰りも可能ですが、一般的に行程が長くなり装備リストも注意が要ります。典型的な山として八ヶ岳や北アルプスがあります。今回は初心者向けにルートを選んでありますから、テント泊が伴うルートは中、上級者向けとして割愛しました。
初心者におすすめの縦走は山の醍醐味ですがそのまえに低山から
全国にはこうした有名ルートから低山の縦走ルート稜線歩きまで数え切れないほど多くのルートがあります。初心者の方は、日頃からお近くの低山の連なりを縦走して、レベルアップを図っていただきたいです。高山の縦走は、どうしても体力、気力勝負となります。少しづつ難度を上げて、自信のついたところで1泊2日小屋泊の縦走(例えば八ヶ岳、北アルプス)をトライしてみてください。全く新しい世界が見えてきます。装備リストも重要です。
初心者におすすめの縦走用装備
縦走登山とは言っても山小屋泊まりなら標準装備で問題ありません。しかし、行程上で避難小屋泊まりを入れた場合は、食料やシュラフ、シュラフマット、調理セット、バーナー、燃料、インナー替えなどが必要です。また縦走ルートに山小屋がなければテント泊となります。1泊2日であってもテント泊用装備となりザックは重くなります。テント泊を想定した装備リストを下記します。参考にしてください。
初心者におすすめの装備リスト
リストには必携と便利があります。必携は必ず携帯するグッズ、便利はあれば重宝するというもので、なるべく荷物は軽い方がいいにきまっていますので、削りたくなるのですが、目的の山の状態や季節、日数によって判断します。実際には経験による判断が適格と思われますが、結局使わないで下山したり、もってこなくて後悔したりします。難しいですが、最初のうちは経験者の意見を参考にしましょう。以下のリストも参考にしてください。
初心者におすすめの装備リスト:ザック
1:ザック
登山用ザックの容量基準は、1泊2日山小屋泊であれば、40Lが基本となります。35L、38L、42L、45Lなどの容量の物があり、買う時にお店で迷うでしょうが、これらは40Lと考えて、後は、身体にフィットするか、使い易いかなどで判断しましょう。35Lなら日帰りでもつかえますし、45Lなら2泊3日小屋泊縦走で使えます。
ザックカバー
ザックカバーは雨天時ザックが濡れないようにすることが目的ですが、多少の少雨であれば、カバーは必要ないですが、激しく降ったり、長時間連続的に降る場合はカバーが必要です。
初心者におすすめの装備リスト:歩行用装備
1:登山靴
登山靴には足首周りの保護用としてローカット、ミドルカット、ハイカットの3種類あります。ミドルカット(トレッキング用)以上でハイカットが望ましいです。他に、スパッツ、靴下が必要です。(厚めのものがよいです。)
2:ストック
ストックは高齢者には必携です。脚にかかる力が分散されますので、特に下山の時は大変役に立ちます。但し目的の山の状態により、必携であったり、不要であったりしますので、経験者に行く山の特性を聞いてください。特に岩稜地帯の登山道は使用すると危険です。使い方も経験者に教えてもらいましょう。
3:コンパス、地図
地図の使い方、コンパスの見方、使い方は十分に習熟してください。Web上で沢、山の見方、使い方のコーナーがありますから見てください。地図は国土地理院の山岳地図1/25,000(4㎝が1km)、コンパスは種類が多いのでお店の人に聞いてください。地図とコンパスを使用する目的は、登山道、ルート、エスケープルートなどの事前確認、現在位置の確認、目標物の同定です。ガイドブックの地図は使わないでください。
4:ヘッドライト
ヘッドライトも必須の携帯品です。稜線の縦走中に暗くなってきたら必要です、なかったら、足元の確認が出来なくなってしまうのでそこから1歩も動けません。
5:軽アイゼン
軽アイゼンは4本又は6本爪のアイゼンのこと。低山の冬山、残雪、雪渓などに使用します。冬山で途中降雪があって積雪の時、持っていないと前進は危険です。
6:行動食
山での行動食はエネルギー供給のため必携の食品です。歩きながら、小休止で食べます。いわゆる、糖質、脂質、塩分補給が目的です。例えば、御菓子類、チョコレート、カロリーメイト、ナッツ、サラミなどです。
ピッケル
ピッケルは残雪や積雪のある山では必需品です。夏山登山では、ほとんど必要ありません。雪や氷でスリップしたらいち早くピッケルを立て、滑落を防止します。あるいは硬い雪や氷の場合に足場を確保する時にも使用します。
初心者におすすめの装備リスト:登山計画書
1:登山計画書(届書)
登山届(登山計画書、登山者カード、入山届とも言う)は自分の命を守る重要な手続です。岩手、群馬、新潟、富山、福井、山梨、長野、岐阜、静岡の各県は登山届を必ず提出しなければなりません。岐阜県は条例で未提出者に罰金50,000円を課しています。届出は地元警察署で、大体登山口にポストがあります。またはFAXで事前に地元警察署に送っておいていただいてもよろしいです。
初心者におすすめの装備リスト:宿泊用装備
1:テント
テント泊の場合、1泊2日でも当然必要です。非常に多くの製品が市場に出ています。初心者だから安くて、組立簡単、ソロ(一人用)の軽いものと言うことになりますが、経験者や登山用品専門店のスタッフとの相談の上決めるようにしましょう。単に安くて簡単なものは十分な睡眠が取れない場合がありますので、慎重な選択が必要です。
2:テントマット
テントマットは地の上に直接敷くもの、ごつごつした地形でも寝やすく、湿っていても水分が透湿しない、などの役割があります。快適な睡眠を確保するために必要なギヤーです。
3:シュラフ
寝袋のことです。これも種類が多いですから登山用品店のスタッフと相談しながら決めましょう。安くて軽くて、コンパクト、快適な睡眠確保が基本です。
4:シュラフカバー
シュラフに防水透湿性が十分あれば必要のない用具です。シュラフの結露防止、冷気の侵入防止、シュラフの温かさ確保などが目的です。夏山であればシュラフカバーだけでもシュラフの役割を果たすカバーがあります。
5:ランタン
ストーブの火を消すと漆黒の闇となります。夕食からシュラフにもぐり込むまでの灯りです。いろいろあります。ヘッドランプを代用する人も多いですが、バッテリー切れが心配です。
6:調理器具
バーナー
バーナーとかストーブともいいます。調理用です。LPガス、ホワイトガソリン、アルコールなどがありますがもっとも標準品のLPガスOD缶仕様、プリムスP-153ウルトラバーナー(ソロ)がおすすめです。
コッヘル、クッカー
クッカー(英語)とコッヘル(ドイツ語)は同じ意味です。別々に書きましたが英語とドイツ語の違いだけです。調理器具です。材質がアルミとチタン、ステンレスとありますが、アルミでとりあえず十分です。
カトラリー
カトラリーもカラトリーも同じ意味です。カトラリーが正しい言葉です。洋食器のフォーク、ナイフ、スプーン、箸のことです。
耳せん
耳せんは必ず必要なものではありません。しかしあれば熟睡できます。安いものですから準備しておきましょう。山では売っていません。700円くらいでしょう
ナイフ
食材を切ったり、食器代わりに使ったり、缶詰を開けたり、など色々な場面で使用できる、あったら便利なギアーです。テント泊の場合は必需品です。
初心者におすすめの装備リスト:ウエアー
1:ウエアー
山ガールのファッションのお蔭で、随分派手になってきました。機能を落とさないで、ファッションを楽しみましょう。
基本的なウエアーの揃え方は知っておいてください。登山着はレイヤリング(重ね着)が基本です。下着、中間着、上着の3点セット、にそれぞれ重要な目的、機能がありますので、それに沿った選択をしてください。
ベースレイヤ(アンダーシャツ、下着のこと)
肌に直接着るものです。下着のこと。綿の素材のものはNGです。メリノウールや化学繊維のものを選ぶようにしましょう。
ミドルレイヤー(中間着)
熱を逃がさない機能が必要です。ベースレイヤーから出た水分を効果的に体外に放出する機能があります。また体温の熱は逃がさない役割ですからフリースがよいです。ウールのシャツ、ダウン、長袖のものでもよいです。
シェル・アウターレイヤー
上着ですが、風、雨、雪などから身体を守るものです。登山用は雨、風の侵入を防ぎ、適度に汗を体外に発散させる機能があります。ハードシェルとソフトシェルの2種類あります。ハードシェルは防水性に優っています。ゴアテックスのものが多いです。着心地はソフトシェルの方がおすすめです。
初心者におすすめの装備リスト:安全、危険防止
1:クマ鈴
毎年全国で多くの人が、クマに襲われ、大怪我または死亡しています。山里、木曽御嶽、乗鞍岳、上高地、白馬、大町、東北各地で度々出没しています。クマ鈴は少しは効果があり、クマが逃げていくそうですが、そういう場合もある、という意味です。相対したらクマの目を見続けて後ずさるしかありません。
2:エマージェンシーキット(救急箱)
山でのケガ、キリキズ、打撲、捻挫などの応急処置用資材や薬品等です。登山道の特に下山時に捻挫が比較的多いです。山はケガがつきもの、初心者は必ず持参しましょう。
3:保険証
ケガをしなければ必要ありませんが、ケガをして麓の病院などで治療を受ければないと気に持っていないと実費を請求されますので必要です。コピーでも問題ありません。
4、笛
遭難時、道迷い、クマ対策として持参するのがおすすめです。
初心者におすすめの装備リスト:その他、小物
ヘルメット
ルート上で落石が予想される場合は必需品です。どの山でどの場所で必要かは初心者はわかりませんから、経験者に必ず聞いてください。
カメラ
なくても登山はできますが、感動的な風景はカメラに残しておいたいものです。
サングラス
登山用サングラスは逆光の登りや、雪の照り返し、などから目を保護するためのもので高山では必需品です。
初心者におすすめの縦走ルート①
八ヶ岳縦走ルート 赤岳、中岳、阿弥陀岳コース
人気の高い八ヶ岳、多くの登山ルート、縦走ルート、稜線歩きがあり初心者から上級者まで楽しめる魅力的な山です。八ヶ岳はご存知のように8つの峰からなる連山です。特に東京方面からアクセスも良いため多くの登山者で賑わっています。八ヶ岳の縦走ルートにはハシゴ場、鎖場、急登などがあり変化に富んでいますが、初心者でも縦走できるレベルの登山道です。但し宿泊は山小屋泊としましょう。テント泊ですと装備リストが一挙に増え、稜線での歩行に危険が伴います。縦走経験を積んでからテント泊しましょう。
一見非常に厳しい稜線に見えますが、これでも初心者の縦走は可能です、但し体力は必要です。稜線で急登ですから、かなり神経をとがらせて慎重に歩く必要があります。
縦走ルート
ルート:登山口美濃戸口ー美濃戸山荘ー行者小屋ー地蔵の頭ー赤岳天望荘ー八ヶ岳赤岳山頂(2899.4m)-赤岳頂上山荘(泊)-八ヶ岳中岳山頂(2700m)-八ヶ岳阿弥陀岳山頂(2805m)-不動清水ー八ヶ岳御小屋山山頂(2136.9m)-美濃戸口登山口
基本情報
ルート名:八ヶ岳縦走コース、赤岳、中岳、阿弥陀岳コース
歩行距離:約15km
歩行時間:約11時間30分
標高差:1409m
登山口アクセス:中央道上諏訪南ICから県道425,484号線経由美濃戸口、JR茅野駅下車アルピコバス美濃戸口線美濃戸口バス停下車
駐車場:美濃戸口120台
宿泊:赤岳頂上山荘(090-2214-7255)営業期間4~11月収容人数300名
初心者におすすめの縦走ルート②
北アルプス縦走ルート 立山三山縦走ルート(雄山、大汝山、富士ノ折立)
日本が世界に誇る縦走ルート北アルプス稜線歩きです。立山と言う名前の山はありません。立山山塊(雄山、大汝山、富士ノ折立)の総称が立山で初心者でも登頂できる数少ない3000m級の山であこがれの山です。但し立山は坊主山と言われるように、ほとんど木々が少なく、登山口の室堂から頂上が見渡せるほど遮るものがありません。強風が吹いたり、雷雲が出たり、雨が降ったりしても逃げ場がありませんから、天候はよく確認してスタートしましょう。このコースは歩行時間が6時間30分ほどですので日帰りが可能です。雄大な北アルプス立山をもっと楽しみたいなら1泊をおすすめします。
上 大汝山休憩所 下 富士の折立
上写真は立山雄山の山頂から近い大汝山です。頂上付近に休憩所が建てられており縦走登山者はすべてここを通ります。付近に逃げ場所のない唯一の小屋です。ここから富士の折立方面も何もありません。天候状態を確認して登山計画を再確認するところです。
下の写真は富士の折立です。立山の3つの頂上(雄山、大汝山、富士ノ折立)の内の1つ、身震いするような絶景が見られます。日本有数の名物縦走コースです。
縦走ルート
ルート:登山口室堂ー一ノ越(2705m)-雄山山頂、雄山神社(2992m)-大汝山山頂(3015m)-富士の折立山頂(2999m)ー大走り-雷鳥平ーエンマ台ーミクリヶ池ー室堂
基本情報
ルート名:立山縦走ルート 雄山、大汝山、富士の折立ルート
歩行距離:約8.3km
歩行時間:約6時間30分
標高差:921m
登山口アクセス:室堂登山口、立山駅ー美女平ケーブルカーー美女平高原バスー室堂
山小屋:室堂山荘(076-463-1228)、一の越山荘(090-1632-4629)、雷鳥荘(076-463-1664)
初心者におすすめの縦走ルート③
北アルプス縦走ルート 白馬三山縦走ルート(白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳)
国内で人気の高い北アルプス縦走ルート、稜線歩きと言えば白馬三山もその1つに数えられます。地元の白馬村からその雄姿が常に見られますが、特に初春の雪解けによる雪形は春を知らせ、田圃の水張と田植えの時期を教えています。しかし北アルプス白馬岳の大雪渓は広大な長さを誇り、急登でもあることから難所の1つです。白馬槍ヶ岳から杓子岳を経て白馬岳の稜線を歩く縦走は360度の大絶景の中を行く別世界の経験となります。なお、このコースは初心者には難しいかもしれませんので、経験者との同伴登山をおすすめします。装備リストに軽アイゼンを加える必要があります。
上 杓子岳 下 白馬三山
白馬の里から見ると左から白馬鑓ケ岳、杓子岳、白馬岳の3山が屏風のように並んでいます。上の写真は3山の真中にある高山杓子岳です。人を寄せ付けないような厳しい山容となっていますが、初心者でも縦走は可能です。但し単独行は避けましょう。
下の写真は白馬3山の全体です。この連山にシーズンになると大勢の登山者が押しかけます。リピーターが多いのも特徴です。
縦走ルート
ルート:猿倉山荘登山口ー白馬鑓温泉ー大出原(2333m)-分岐ー白馬鑓ヶ岳山頂(2903m)ー杓子岳山頂(2812m)-白馬頂上宿舎ー白馬山荘ー白馬岳山頂(2932m)ー白馬山荘ー白馬頂上宿舎ー白馬大雪渓ー白馬尻小屋ー猿倉荘(1250m)
基本情報
ルート名:白馬三山縦走ルート
歩行距離:約11km
歩行時間:約17時間
標高差:914m
登山口アクセス:猿倉:JR白馬駅からバス27分
駐車場:猿倉駐車場20台無料
初心者におすすめの縦走ルート④
南アルプス縦走ルート 鳳凰三山ルート(薬師岳、観音岳、地蔵岳)
南アルプスには北岳(3193m)と甲斐駒ヶ岳(2967m)という人気の高いメジャーな山があります。これを縦走ルートに入れてコース設定してもいいのですが、残念ながらこの2座は初心者には難しすぎる。しかし今回ご紹介する鳳凰三山も人気の連山で多くの登山者が訪れています。鳳凰三山とは、地蔵岳(2764m)、観音岳(2841m)、薬師岳(2780m)の三山です。
地蔵岳にはオベリスク(地蔵仏)と呼ばれる大きな尖塔型の岩で高さが18mもあります。賽の河原には地蔵だらけです。観音岳山頂からは富士山を始め中央アルプス、北アルプス、八ヶ岳などが望める大展望です。薬師岳の展望もよく、花崗岩でできているため山肌が白く、特徴的です。典型的な初心者コースですが、コースが長いです(稜線も長い)から1泊2日小屋泊まりがおすすめです。
画像は上から順に、観音岳、薬師岳、地蔵岳です。
縦走ルート
ルート:夜叉神峠登山口(1380)-夜叉神峠ー夜叉神峠小屋ー杖立峠ー火事場跡ー苺平ー南御室小屋ー砂払岳(2740)-薬師岳小屋ー薬師岳山頂(2780m)-鳳凰山(観音岳2841m)山頂ーアカヌケ沢ノ頭ー地蔵岳(2764m)-高嶺(2779m)-白凰峠ー白凰峠入口ー林道下るー広河原ーーバスに乗り換え夜叉神峠方面に戻る
基本情報
ルート名:南アルプス鳳凰三山縦走ルート 地蔵岳、観音岳、薬師岳
歩行距離:約15.4km
歩行時間:約12時間
標高差:上り1462m,下り1266m
登山口アクセス:夜叉神峠登山口、JR中央線甲府駅から山梨交通バスで1時間10分、中部横断道白根ICから県道20号経由約13km芦安駐車場
駐車場:夜叉神峠登山口駐車場100台無料
山小屋:南御室小屋(090-3406-3404)、薬師岳小屋(0551-22-6682)、広河原山荘(055-283-2889)、夜叉神峠小屋(055-288-2402)
初心者におすすめの縦走ルート⑤
九州九重連山縦走ルート 久住山、中岳ルート
霧島連山の縦走ルートも(稜線歩きも)素晴らしいルートですが、現在主要部が火山噴火の危険性があるということで入山禁止となっています。今回ご紹介する九重山も活火山ですが登山は可能です。噴火警戒レベルは1です。九重山は日本百名山に選ばれています。このルートは見どころ一杯で広大な湿原坊ガツルや九州でしか見られない高山植物のミヤマキリシマ(5月下旬から6月中旬)、九州最高所の温泉法華院温泉などがあります。
初心者も可
コースは難しい所はなく、初心者でも十分縦走、稜線歩きが可能です。なおこのコースは1泊2日とし、標準装備リストで余裕をもって楽しむことができます。宿泊地は法華院温泉です。
縦走ルート
ルート:登山口牧ノ戸峠ー沓掛山ー扇ヶ鼻分岐ー久住分れー1713m地点ー1782m地点ー久住山山頂(1786.5m)ー中岳山頂(1791m)-1713m地点ー久住分れー1463m地点ー法華院温泉ー雨ヶ池越ー1176m地点長者原くじゅう登山口
基本情報
ルート名:九重山縦走ルート
歩行距離:約13km
歩行時間:約6時間30分
標高差:710m
登山口アクセス:九重登山口:九州自動車道九重ICから約23kmで登山口、JR大本線豊後中村駅から日田バスで九重登山口へ 駐車場490台無料 牧ノ戸峠登山口口:湯布院院駅前バスセンター産交バス牧ノ戸峠まで1時間、駐車場200台無料
湯布院温泉山荘:九州最高所、連絡(090-4980-2810)、営業期間:通年、収容人数240人
初心者におすすめの縦走ルート⑥
北海道大雪山縦走ルート 黒岳、北鎮岳、大雪山縦走ルート
北海道で最も多くの登山者を集める大人気の縦走ルートです。ロープウエイでかなりの高さまで運んでくれますから、登山の標高差は大きくはありません。急登がいくつかありますから初心者でも体力がないと踏破できません。北海道の屋根と言われるほどの広大な山域です。景観も本州とは異なる大自然が眺められます。
紅葉樹林帯
大雪山は主峰が旭岳で標高2291m、黒岳は1984m、北鎮岳が2244mで、2000m前後の山が多いです。一見北アルプスと比較すると低いようですが、緯度が高いため実質的には北アルプスの3000m級の高山に匹敵します。従って装備リストも高山用のものが必要です。旭岳は百名山ですが、大雪山の南部地域には日本百名山のトムラウシ山があります。
大雪山の森林限界が1600mと低く、このエリアには類を見ない高山植物や草原が広がっています。
層雲峡の黒岳リフトを使えば1日で縦走、稜線歩きが可能です。急ぐ必要がなければ途中の黒岳石室で1泊すれば余裕を持ってルートを踏破できます。黒岳石室避難小屋は食事の提供がありませんから、準備がいります。装備リストに落ちのないようにしましょう。
縦走ルート
ルート:層雲峡黒岳ペアリフト乗り場ーペアリフトー降り場七合目登山事務所(1510m)-黒岳山頂(1984.4m)-黒岳石室泊(1953m)-北鎮岳分岐ー北鎮岳山頂(2244m)-北鎮岳分岐ー中岳山頂(2113m)-間宮岳山頂(2185.7m)-裏旭キャンプ場ー旭岳山頂(2291m)-大雪山旭岳ロープウエイ山頂駅姿見駅(1610m)-ロープウエイー旭岳駅ーーー旭岳温泉
基本情報
ルート名:北海道大雪山縦走ルート
歩行距離:約12km
歩行時間:約6時間30分
標高差:788m
登山口アクセス:層雲峡乗り場:JR上川駅から道北バス35分、JR旭川駅から道北バス110分、道央自動車道旭川北ICから1時間20分
駐車場:層雲峡駐車場、旭岳ロープウエイ駐車場
初心者におすすめの縦走ルート⑦
出羽三山縦走ルート 羽黒山、月山、湯殿山縦走ルート
出羽三山は修験道の信仰の山です。現在も白装束の行人が登拝しています。登山参拝の順番が決まっており、現在を表す羽黒山、過去を表す月山、未来を表す湯殿山の順です。羽黒山は標高414m、頂上に出羽三山の神々を合わせて祀った三神合祭殿があり、参道は2446段の石段があり、ここから厳しい参拝の山行きが始まるわけです。麓の斎館で1泊、翌日は月山(1984m)と湯殿山(1504m)を縦走します。登山者に混じって多くの行者、そして観光客でにぎわいがあります。
上 月山 下 湯殿山
上の写真は月山です。いつまでも眺めていても飽きない絶景です。過去を振り返って将来に思いを馳せる絶好の聖地です。月山神社は阿弥陀如来、羽黒山は出羽神社 正観世音菩薩、湯殿神社は大日如来をそれぞれお祀りしています。
縦走ルート
ルート:登山口羽黒山随神門ー五重塔ー二の坂茶屋ー峰子神社ー羽黒山山頂ー下山後斎館にて宿泊ー羽黒山斎館からバスで月山まで移動 荒沢寺ー2合目ー3合目ー6合目ー8合目弥陀ヶ原湿原ー佛生池小屋ー行者返しー月山神社本宮ー牛首分岐ー玄海広場ー鉄ハシゴ5個所ー湯殿神社本宮参拝ー大鳥居登山口
基本情報
ルート名:出羽三山縦走ルート
歩行時間:約12時間
標高差:1195m
宿泊:羽黒山参篭所斎館(0235-62-2357 一泊二日8,640円)
登山口アクセス: 登山口羽黒山随神門:鶴岡市から庄内交通バス羽黒山行き50分、山形自動車道鶴岡ICから鶴岡羽黒線経由で20km
湯殿神社大鳥居登山口:JR鶴岡駅からタクシー50分、山形道月山ICから国道112号経由12km20分
番外:山の危険
初心者におすすめの情報:クマの出没が多いです
今回縦走歩きの危険については記載していませんが、特にクマの出現には気をつけなければなりません。
本州はツキノワグマ、北海道はヒグマです。年々個体が増加しています。特にヒグマは狂暴です。ツキノワグマは比較的におとなしいですが、人を襲う時もあり時々登山道に出てきます。当然です。そこは彼らの住まいだからです。熊と出くわしたら焦らず、逃げ出さないで熊の目を見ながらゆっくり後退して距離を開けていくしかありません。熊の生息地への単独縦走は控えましょう。
初心者におすすめの情報:尾根の危険もあります
尾根歩きの縦走は、普段見られない大景観が次々と現れるため、その圧倒的な風景は感動です。しかし一方、稜線であるがため危険な面もあります。それを次に揚げておきますので参考にしてください。
尾根歩きにも危険というリスクがあることを初心者の方は知っておいてください。山は天気のいい日だけではありません。実は平地では考えられないようなトラブルが発生する場合があります。いくつかあげておきます。
初心者におすすめの情報:天候の急変
新聞やテレビで常に発表されている天気は、平地の天気です。高山の天気は山岳天気といって、全く別物の天気予報が情報として発表されています。富士山の5合目以上は晴天にもかかわらず、5合目を境に平地では酷い雨模様なんてことは常にあります。ですから山岳天気は新聞ではなく別の山岳天気を専門としている、情報機関よりデータを入手しなくてはなりません。一般的には日本気象協会から情報を入手します。
スマホの場合は気象協会の公式アプリを下記URLからダウンロードしておつかいください。
初心者におすすめの情報:雷雲、雷鳴、落雷
稜線で最も怖いのは雷です。稲妻が見えた、雷鳴が聞こえた、即刻退避を行います。頭を低くして、近くのくぼ地に逃げ込む、山小屋や避難小屋に逃げ込む、ハイマツに逃げ込む、森林限界が近いならば、そちらに早く逃げ込む、何もなければ頭を低くして動かないで、じっとし、雷が通りすぎるのを待つ。厳しいですが、この方法でしかありません。夏のハイシーズンが最も雷がわきやすい。午後の積乱雲という雲です。
積乱雲は怖い
積乱雲を見たら、位置関係を確認しながら、即逃げられるような体制を考えておきます。意外と早く近づいてきますから早めの行動が必要です。もう1つ、朝の雲海の上を縦走する時、時々雷は下から上に飛んできて、登山者を直撃します。とのかく雲があって、雷鳴が鳴り、ピカっと光ったら、すぐ逃げることを意識しましょう。
初心者におすすめの情報:ホワイトアウト
ホワイトアウトも怖い天候悪化です。稜線上で突然吹雪が舞い、前方の視界が全く見えなくなる現象です。濃霧の場合も同じですが、鉄則は、その場を動くな!です。吹きっさらしの稜線で非常に厳しいピバークとなりますが、動いたら自殺行為です。すぐには回復しそうになければ、遭難として救助要請を出すことになります。
初心者におすすめの情報:低体温症、遭難
低体温症は天候急変により、急激に気温が下がり体温が奪われ、呼吸困難になって動けなくなり、処置が遅いと死に至る怖い病気です。縦走するパーティーが悪天候の中を強行したため、疲労が極度に溜り、体温が下がって、体力がない人から順に疲労凍死するでしょう。昨年も多くの岳人が犠牲になっています。スケジュール優先の悪天候の中の強硬縦走は絶対NGです。
初心者におすすめの情報:ピバーク用装備品
登山道、縦走路で足を捻挫したら、1歩も動けません。夕がたで救助が難しい場合は翌朝となりますからピバークをしなければなりません。一晩尾根の途中で過ごすわけです。夏でも夜間は0度近くなる場合があります。極めて厳しい状況となります。最低限必要なピバーク用品を下記しますが、上記した縦走用品以外にこれだけのものが必要です。
ピバーク用用品、エマージェンシーキット、非常食、ヘッドランプ、レインウエアー、ツエルトレスキューシート、リペアシート、綱引きなどです。参考にしてください。
まとめ
今回は日本で北アルプスなど有名な縦走ルートだけ選んでご案内しています。各山塊にはとてもたくさんの縦走ルートがあり、もうほとんど開拓されつくされたのではないでしょうか、展望の優れた、変化に富んだ縦走ルートはあちらこちらにありますから、ぜひ新しい道を探してみてください。山に行く人は探検家のような人が多いです。大体有名な山派、動植物保護のため、登山道を限定しいるのですが、それでもそれを無視して、人が通らないところに行きたがります。知らない内に新しい登山道ができてしまうわけです。山のルールは絶対守りましょう。
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