クマとはどのくらい危険なのか
呑気な人なら森のクマさんだとかクマのプーさん的なイメージで考えてしまうのが、クマという動物です。しかし可愛くも見えるそんな野生のクマが、どのくらい危険であるか把握していますか?
クマの身体能力は人間を凌駕する
噛む力が200~400キロあり、ひと噛みすれば人の腕や頭蓋骨は完全に持ってけ状態なのがクマです。さらにクマの爪付きの手は、人の肌と肉を切り裂きます。
クマは巨体なのに、人が全力疾走してもすぐに追いつく脚力を有します。人間よりも身体能力は断然上なクマには、熊よけが不可欠です。
ハイキング中に餌を求めるクマに遭遇
音もなくひたひたとクマが着実に近寄る出来事。それは山の散策のさなかには起こって然るべきワンシーンです。理由としては森のクマが、人々のごちそうの味を占めていることにあります。
効果的な熊よけのグッズを所持してなければ、怪我を伴う被害に発展しても決しておかしくないことです。
食糧難や繁殖期のクマは凶暴
それが食料に満ち足りた春から秋のシーズンなら良いですが、山林がクマにとっての食糧難な時期や、ちょうどクマの繁殖期に差し掛かっていると、被害にあう可能性が高くなります。
仮に熊よけがあったとしても、使い方を間違ったり急に襲われてしまえば、クマ対策は無意味なことになりかねません。
日本に生息しているクマの種類
アチコチで銃を構える猟師による駆除、それに絶え間ない都市化の波により、クマ頭数は減少まっしぐらです。しかしそれでも日本の山林は未だクマの住処で有り続け、現在でも2種類のクマを確認することができます。
エゾヒグマ
体格でいえば日本最大級のクマなのがヒグマ。
とことん大きくなると体長は2~3m、体重は250~500kgほどにもなって超ヘビー級です。エゾヒグマは現在北海道の知床半島など、北部地域を中心にして2千~3千頭生息しているとされ、北海道の旅行での被害を防ぐとなれば熊よけの準備も当然です。
エゾヒグマデータ
・生息地 北海道北部
・推定生息頭数 約2千~3千
・最大 300センチ、500キロ
ツキノワグマ
胸のあたりに目立つ三日月模様がトレードマークのツキノワグマは、国内に8千~1万2千頭程度とされ、本州で出会う確率が高いクマです。平均で体長150センチ、70キロと人間と変わらず、都心に近い奥多摩の山林にもクマが潜んでいます。都市部に近い気軽な登山といっても、熊よけが必要なわけです。
ツキノワグマデータ
・生息地 本州と四国
・推定生息頭数 約8千~1万2千
・最大 160センチ、130キロ
・平均 150センチ、70キロ
熊よけで逆効果な対策①
クマに背中を見せて逃走は逆効果
抜きん出た健脚自慢な若者や年配の人なら、熊よけなんかしないで、クマからダッシュで逃げればいいじゃないかと咄嗟に判断するかもしれません。
しかしクマに背中を見せて逃げ出せば、クマの野生の本能が刺激されてしまいます。普通に逃げて、逆効果を呼びさます可能性を考える必要があります。
クマに背中を見せずにそろりと離れたい
つい追撃してしまうクマ的本能を刺激せずクマから逃げ去るには、こちらが警戒し反撃できる体制であることを、クマに見せる必要があります。
クマから逃げる時には後ろ向きで歩き、視線をそらさずにそろりと距離を取っていくのがベストです。その時は別の熊よけグッズが手元にあれば尚良いです。
荷物をオトリにする使い方
不慣れな後ろむきにクマから遠ざかるときには、バックパックや荷物を身代わりにして逃げるようにするのがおすすめです。荷物を置いておけば、クマは荷物が気になって中身を調べ始めます。そのクマのスキを付いて、じわじわと距離を取って被害を避けることができます。
安易に戻ってはいけない
荷物も投げ出して何とかクマから逃げおおせたとほっと一息ついたとしても、すぐ荷物を取りに戻るのはやめたほうが無難です。
数時間程度では、クマは同じところにいるか近くをウロウロしているのだから。荷物はその日は諦めて、日を改めて取りに来るくらいのクマ用心が必要です。
熊よけで逆効果な対策②
死んだふりは逆効果
巷でよく耳にする熊よけを持ってない時の対策として、死んだふりでクマをやり過ごす方法があります。この方法で恐ろしいクマを騙して助かった人が過去にいたのも、きっと事実なのです。
しかし本来クマは例え死体でも肉と認識すれば噛む可能性があり、死んだフリ作戦は逆効果となり危険です。
クマに対して死んだふりしないで逃げる
とりあえず突然にクマに遭遇しても、逆効果になりがちな死んだふり作戦はしないことを念頭に置いて行動する必要があります。そして手元に用意していたおすすめの熊よけグッズを使ってみたり、後ろ向きに逃走によるクマ対策を瞬時に判断してください。
熊は蛇が苦手?ロープで熊対策
ロープ
いにしえより森の民だったアイヌは、巨大なヒグマを畏怖し神として崇めました。同時にクマに遭遇しても被害を出さない、熊よけグッズも編み出していました。そのひとつが紐です。何の変哲もない紐やロープがクマよけになるのは、クマがヘビを嫌っていることが関係していました。
クマに対してのロープの使い方
前触れもなくヘビは突如としてくねくね現れるので、クマは苦手にしているようです。ロープを蛇のように動かして見せるのがアイヌ式で、クマは目が良くないので、うねるものは蛇ではないかと警戒します。しかしこの熊よけ方法、細いロープを使用しては、然程クマに効果が無いと考えられます。
クマよけに使えるかもしれない種類
・太めのロープ
・ザイル
・ベルト
(いずれも長さが必要、蛇のようにうねらせてクマに見せる)
熊よけで効果的される対策①
大声を出してクマを威嚇する
力士を超越するほどの巨体を誇りパワフル過ぎるクマでも、時にはびっくりしたり恐怖を感じて逃げ出すことはあります。何も手に熊よけを所持していないなら、大声を出すこと、これは上手く行けばクマを怖気づかせて、近づけない効果を期待できると言われています。
クマに対しての声の出し方
獰猛な野生の獣のような声を出す男性が、クマを退散させている動画を見てください。この動画のように体と声でクマを威嚇すれば、かなり上手くクマよけができて被害にあわずにすむかもしれません。ただし恐怖で声が出ないかもしれず、声に構わずクマが突進する可能性も否定できません。
対クマ用の発声練習わすれずに
日頃からの練習がクマにものを言うのは、大声での対策でも同じことです。声色によってはクマはビビってくれませんので、動画のおじさんのように迫力ある野獣的な声をだす必要があります。
ただ街なかで対クマ用の発声練習すると、もれなくアブナイ人認定されてしまうので気をつけてください。
熊よけで効果的される対策対策②
クマよけ鈴
しゃんしゃんという鈴の音がクマを警戒させる効果があるとして、登山者の間で人気があるのが熊よけ鈴。日本伝統の鈴や欧米で使われるクマ対策のトレッキングベルもあります。しかしこの鈴、近年になって在る種のクマに対して、いつも通りの使い方をしては逆効果とも言われています。
クマが鈴に慣れている場合は逆効果
もはや既に鈴の音に慣れたクマに対しては、逆効果だと言うのです。ずっと登山者のクマよけ鈴の音色を聞き続けていれば、鈴の音を出す人間を驚異とは感じなくなり、クマは人に近寄ります。美味しいご飯を持った人間が訪ねてきたことを、クマにお知らせするようなものです。
クマよけ鈴が効く場合
とはいえ既に人の怖ろしさを熟知するクマに対しては、熊よけ鈴が効果的だと言われています。過去に鈴に釣られて近寄ったらスプレーを使われたなど、嫌な経験をしたクマなら、鈴の音を耳にしただけで離れていきます。人を知らぬクマの子も、鈴の音を警戒して近寄らない傾向にあります。
クマよけ鈴の種類
・種類 鈴や鐘
・鈴や鐘の数 1~3個
・固定方式 ひも、カラビナロック、ベルト通しなど
熊熊よけで効果的される対策③
焚き火
マッチで火を起こすわけもないクマは、何故か火を見ても怖がらない動物です。キャンプで焚き火をしている人間のところにも、クマは料理に釣られてノシノシと現れる場合があります。しかし焚き火は熊よけに完全な逆効果な訳でもないようです。
クマを寄せ付けない焚き火とは
先述した熊よけ鈴の効果・逆効果と同じ具合です。人間に痛い目にあったことがあるクマは焚き火に近寄らず、逆に人間を恐れないクマは焚き火も関係なく近寄ってきてしまいます。焚き火ではクマが警戒する他のグッズを備えていてこそ、真価を発揮します。
松明的な使い方でクマ撃退
いくらクマが火を怖がらないとは言え、火傷するのは嫌なはず。だから薪の一つを松明のように使って、近づいたクマを威嚇してみるのは意外と効果がありそうです。ただそれで完全に追い払えて、クマ被害を出さないかどうかは未知数です。
熊よけに効果的な対策グッズ①
クマよけスプレー
一目散にクマも逃げるほどの威力を発揮するとして、いまハイカーを中心に買い求めて止まないのが熊よけスプレーです。スプレーは主成分が激辛の唐辛子で、人もクマも悶える刺激的な液体を放ちます。1万円前後と若干高額なスプレーですが、登山中のクマ被害を確実に食い止めたい人の支持は絶大です。
クマを寄せ付けない使い方
製造する会社によりクマスプレーの性能は微妙に異なりますが、スプレーの内容物はかなり離れたところまで飛ばせるのは共通しています。クマが近寄ってきたらスプレーをシュッとクマの近くに噴射するだけなので、熊よけスプレーの使い方は至って簡易的です。
クマよけにおすすめスプレー
カウンターアソールト熊撃退スプレー モチヅキ製
・スコヴィル値(辛さ度数)320万SHU
・成分: 唐辛子エキス、代替フロン(HFC-134a)
・最小噴射距離 9m
・噴射持続時間 7.2秒(無風状態の室内)
・重量 320g NET 230g
・サイズ 21.5cmx5cm
熊よけに効果的な対策グッズ②
クマよけ線香
風になびく煙を利用した熊よけグッズとして近ごろ認知されてきた商品に、唐辛子のお線香があります。見た目クマ用とは気づかないような人間用の蚊取り線香のようにぐるぐると渦巻状になっています。有効成分としてはクマが嫌う唐辛子のカプサイシンと、デヒドロ酢酸を配合しています。
クマを寄せ付けない使い方
有り触れた蚊取り線香と同じく火をつければ、トウガラシの煙がモウモウと広がります。例えばクマが気になる畑仕事の時やキャンプの時に森の中で焚いておくと、熊よけとして効果を発揮します。ただクマだけでなく人も多量に吸い込むことは避けるべきで、クマと共に風向きにも配慮が必要です。
クマよけにおすすめ線香
児玉兄弟商会 獣除け線香20巻
・重量449 g
・梱包サイズ 12.5x11.5x8cm
・成分 カプサイシン、デヒドロ酢酸
熊よけに効果的な対策グッズ③
ウルフ尿
原野に生きる動物のすべては、自分より危険な動物を本能的に知っています。凶暴なクマにとってもオオカミは恐ろしい存在であり、近づけばクマ自信の命の保証がないことはなんとなく分かっているのです。そんなクマの本能的な危機意識を利用した、熊よけグッズがウルフ尿です。
クマを寄せ付けない使い方
原液そのままではなく、小さな容器に入れて吊るして使います。吊り下げられているだけでクマはオオカミの存在を察知し、ここが危険であることを認識するでしょう。これは持ち歩くには向いていませんが、たとえばクマが頻繁に出る自宅や畑を囲むように吊るすのがクマに対する基本の使い方です。
クマよけにおすすめウルフ尿
撃退マシーン.com アニマルピー
・成分 オオカミおしっこ100%
・容量 350ml、450ml、3.8l
熊よけに効果的な対策グッズ④
ホイッスル
行き当たりばったりと遭遇したクマに聞かせて驚かせて追い払う目的や、周辺の人々にクマ遭遇やクマ被害を知らせる目的でも使えるホイッスルです。見た目はスリムでハイキング中に首にかければアクセサリーにもなります。熊よけグッズの中では、とても安価に求められるのも魅力です。
クマを寄せ付けない使い方
出くわしてすぐ、クマに向かってピーっとホイッスルを吹き鳴らします。驚いたクマが逃げれば熊よけの機能を果たしましたが、ホイッスルの音だけで安心してはいけません。クマから後ずさって、その場をすぐに離れる必要があります。
クマよけにおすすめホイッスル
冒険倶楽部 携帯ストラップ付山菜採り危険防止ホイッスル
・サイズ 全長約135mm
・サイズ ホイッスル7mm×50mm
・重量 約15g
・材質:真鍮(クロームメッキ)
熊よけに効果的な対策グッズ⑤
電子ホイッスル
やんわりポチッと本体中央のボタンを押すだけで、瞬時にクマを驚かせる音を発するのが電子ホイッスルのタイプです。クマに遭遇しても口で吹けないような時も、指でポチッとするだけなので簡単です。クマ被害を避けたり、遭難を防止したいハイカーにとっての人気商品です。
クマを寄せ付けない使い方
気掛かりなネットオーの電子ホイッスルの場合、120デシベルもの音量を誇り、遭遇したクマの鼓膜を破るほどの勢いで鳴り響きます。音の種類は3種類あって、違った音でクマをビビらせます。電池切れになったとしても付属のホイッスルがあるから、クマ被害に対応できそうです。
クマよけにおすすめ電子ホイッスル
ネットオー (NET-O) 電子ホイッスル
・サイズ 11.5cm×4cm×3.5cm
・最大音 120デシベル
・重量 90g
・動力 単四電池3本
・カラー 赤・青・黄・黒・グレー
熊よけに効果的な対策グッズ⑥
LEDライト
強力な光はクマの視界を奪い、直視すれば網膜にも白い残像として残ります。だから熊よけとしてLEDライトも効果的です。懐中電灯としてアウトドアの場面ではどこでも持ち運びできるのもプラスです。しかしクマに対する使用効果が高いのは、夜間や薄暗い時間帯に限定されます。
クマを寄せ付けない使い方
近寄ってきたクマに容赦なく強力なLEDのライトを当てると、クマはびっくりして逃げてしまいます。一度その光で目がおかしくなって、クマの心に光の嫌らしさを染み込ませたら成功です。ただ日中では熊よけの効果は限定的となる可能性があるので、クマスプレーなどとの併用がおすすめです。
クマよけにおすすめLEDライト
LUMINTOP Tool AA 2.0
・明るさ 650ルーメン(小型懐中電灯で最強クラス)
・光達距離 127m
・点灯時間 60時間
・サイズ 8.9cmx1.8cm 重量23.5g
・電池 14500リチウム充電池/単三型乾電池/単三型充電池
熊よけに効果的な対策グッズ⑦
サバイバルナイフ
相変わらずの日常の場面でも、アウトドアの料理のシーンでも、色んなことに使えるサバイバルナイフは対クマの護身用としても所持していいグッズです。普段携帯することはできないですが、キャンプでいざという時の熊よけ、クマ対策にはあるとないでは全く大違いです。
クマを寄せ付けない使い方
突としてクマ攻撃用に手元のサバイバルナイフを使うより、まずは逃げを優先します。それでも近づくようならクマに鋭利な武器を見せつけ、振り回したりして、熊に危険であることを認識させる使い方をします。クマが危険と判断したら、見事に熊よけになったということです。
クマよけにおすすめサバイバルナイフ
COLUMBIA KNIFE(コロンビア ナイフ) フルタング・シースナイフ
・サイズ26.5cmx14cmx4mm
・材質 ステンレス鋼
・重量 260g
熊よけに効果的な対策グッズ⑧
ナタ
山に生きるマタギと呼ばれる猟師の人や田舎の農民が、クマ対策として所有している確率が高いグッズがナタ。ナタは普段は下草や枝を払うため使いますが、熊と遭遇した時には対クマ用の武器に早変わりするのです。
持ち歩きはおすすめしませんが、キャンプにクマ対策で持参することはできます。
クマを寄せ付けない使い方
出し抜けに見かけたクマにナタで襲いかかるような、安易過ぎる使い方はしてはいけません。まずはクマにナタを構えて見せ、大げさ過ぎるほどにブンブンと振り回して見せ、クマが近づけば危ないぞという状況分かってもらい、立ち去ってくれたら成功です。
クマよけにおすすめナタ
藤光サヤ鉈両刃180mm
・刃渡り18cm
・重さ667g
山に行くなら熊よけアイテム
効果的なクマ対策とグッズを準備しよう
ピンキリまで確実にあるのが、熊よけ対策やグッズなことが色々と分かってきました。そしてクマに遭遇することの、退っ引きならない危険性についても、把握できてきました。登山ではスプレーなど確実性の高いグッズを入手して、クマ被害に備えておきたいですね。
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