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熊撃退におすすめな「熊よけスプレー」の使い方と効果とは?成分や威力含めて解説!

楽しい山歩きにもいろいろ危険があります。毒虫や毒蛇などとともに遭遇する危険のあるのが熊。不幸にも熊と鉢合わせした場合、撃退するのに有効といわれているのが熊よけスプレーです。熊よけスプレーの効果と撃退するための使い方について、その成分や威力も含めて解説します。
更新: 2021年4月24日
Stanton
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この記事で紹介しているアイテム

カウンターアーソルト

ベアーアタック

ガードアラスカ 熊撃退スプレー 255g|ガーデン 園芸用品 忌避用品 防獣用品

ポリスマグナム

はじめに

山歩きは楽しいものですが、いろいろな危険もひそんでいます。その危険のひとつはスズメバチやマムシなどの毒虫や毒蛇ですが、さらに恐ろしいのは熊に襲われることでしょう。熊に会わないための装備として、いちばんお手軽なのは熊よけ鈴やラジオですが、最近は人間に馴れた熊もいるようで、その効果は絶対的なものではありません。不運にも熊と遭遇し、しかもこちらに向かってきた場合、撃退する方法として、今のところいちばん手軽に準備ができて撃退できる確率が高いのは、小型でもその威力が絶大な熊よけスプレーの使用です。

熊よけスプレーとは

熊よけスプレーはカプサイシンという唐辛子の辛味成分を原料に使い、小型のスプレー缶に充填された高圧ガスにより薬液を熊の目や鼻にむかって噴射することにより熊を撃退するものです。原料は唐辛子の辛味成分のため、それ自体に毒性があるものではありませんが、その威力は強烈で、催涙効果に加え、非常に刺激性の強い成分が皮膚についた場合、ただれたり水ぶくれになったりすることもあります。現在市販され、ネットやアウトドア専門店で手軽に入手できるものは、ほとんど外国製です。

熊よけスプレーの効果

スプレーによる熊撃退効果について

熊よけスプレーは小型のボンベですが、唐辛子の辛味成分により、目や鼻やのどの粘膜を刺激し、催涙効果や大量の鼻水が出たり、皮膚へ強烈な刺激を与えて撃退する効果があります。油性と水性の製品がありますが、油性のほうが落ちにくいぶん、効果が長持ちします。熊の目や鼻にむけて発射し、刺激性のある成分が目や鼻に付着することによりその威力を発揮し、熊の視界がきかなくなったり、強い刺激によって熊が苦しんでいるあいだに安全なところに避難します。

製品の有効期限について

熊よけスプレーの有効期限は概ね3年程度になっています。催涙効果などの中身の成分の変化は3年程度ではほとんど問題ありませんが、問題はスプレーのガス圧で、長い間保存しているうちにガスの圧力が下がってきて、実際に使用したときに期待された距離まで届かず、その威力が発揮できないということも考えられます。熊よけスプレーは購入してもおそらく使用する機会はめったにないと思われますので、山に携帯する際には、ときどき有効期限をチェックして古くなっていないか確認してください。有効期限を大きく過ぎたものを廃棄する場合には、他人が誤って使用したりしないよう、また、ゴミとして出す場合には安全に回収されるよう、注意してください。

熊よけスプレーの使い方

まずはじめに

商品によって多少違いますが、噴射ノズルにはセーフティクリップとか安全ピンといったような誤射防止のための器具がついています。一般の赤い消火器のグリップについている黄色いピンのようなもので、これを外さないとスプレーが発射されません。とっさの時には外すことを忘れたり、あせるとなかなか外せないものですが、落ち着いて操作しましょう。
使用後は誤射防止のためにまた元の状態に戻しておきます。


確実な撃退のための使用上の注意点

スプレーの噴射距離は小型のボンベでも、だいたい9m~10mとなっています。スプレーの威力を最大限に発揮するため、熊の顔や頭を狙って正確に発射するには、なるべく熊をひきつけて5mくらいの至近距離から発射するのが確実な撃退の基本です。
使い方は、本体をしっかりと握り、もう一方の手で発射ノズルを操作して一気に全部スプレーします。スプレーの容量にもよりますが、大きいもので10秒くらいの持続時間があります。それよりも小型で持続時間の短い製品でも、その威力は絶大ですから、うまく命中すれば高い効果が得られます。

威力が絶大な熊よけスプレーですが、その使い方について忘れてはいけないことがいくつかあります。冷静に考えると当たり前のことばかりですが、いざ熊と対峙した時には平常心ではいられず、動揺して忘れてしまいがちなことばかりです。

緊急時の取り出し

熊が近づいてきてからザックをあけて中からスプレーを取り出したのでは時間がありません。いつでもすぐに発射できるように備えておかなければなりません。そのためにスプレー専用のホルスターをセットにして販売している製品もあります。専用ホルスターにスプレーをセットして手元に装備することで、いざというときに素早く取り出して発射することができます。
 

風向きの確認

熊が風上にいる場合、風上に向かってスプレーを発射すると、自分の顔や目にかかり、熊よりも先に人間が催涙ガスにやられてしまいます。また、風上に向かって発射すると、当然、噴射距離も短くなります。熊といつ遭遇するかわからないのに、風上、風下の位置関係まで考えて使用するというのは非常に難しいことですが、少量でもスプレーが人間の目や鼻にかかると催涙をはじめ非常に大きなダメージを受けますので、細心の注意が必要です。

障害物の確認

山の中で熊が接近してきた場合、熊とのあいだに木の枝や茂みなどがあれば、スプレーの噴射に対する障害物になります。冷静ではいられない状態で、また、噴射時間も限られている状態で目標に命中させるためには、そういった障害物をうまく避けて噴射する必要があります。つぎに紹介する製品は小型のものですが、だいたい10秒近く噴射持続時間があります。長い時間、目や鼻に命中させる必要はなく、少しでも急所に付着すれば撃退するだけの効果はありますので、落ち着いて噴射してください。

熊撃退の代表的な熊よけスプレー

ネット通販やアウトドア専門店などで簡単に手に入る代表的なおすすめ熊よけスプレーをいくつか紹介します。噴射距離や噴射持続時間は製品によって多少異なりますが、どれも小型で大きさや成分、使い方はほぼ同じです。ホルスターが付属しているものもあります。価格は6,000円から14,000円くらいの価格帯で販売されています。

熊撃退におすすめ熊よけスプレー その①

カウンターアーソルト

カウンターアーソルト

出典:Amazon

カウンターアーソルトとカウンターアソルト・ストロンガーがあり、ストロンガーのほうが噴射持続時間や噴射距離が長くなっています。(写真はカウンターアーソルト ストロンガー)

カウンターアーソルト・ストロンガー
大きさ:213×59mm
重量:380g
最小噴射距離:10.5m(無風状態の室内での実験データ)
噴射持続時間:9.2秒(無風状態の室内での実験データ)
生産国:アメリカ合衆国

カウンターアーソルト
大きさ:215×50mm
重量:320g
最小噴射距離:9m(無風状態の室内での実験データ)
噴射持続時間:7.2秒(無風状態の室内での実験データ)
生産国:アメリカ合衆国

油性

熊撃退におすすめ熊よけスプレー その②

ベアーアタック

ベアーアタック

出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon

暗い場所でも取扱いに便利な夜光塗料を塗ったロックカバー付きで、安全クリップの不意の脱落も防ぎます。不凍性なので寒冷地でも使用でき、使用直前にスプレーを振る必要はありません。

大きさ:215×55mm
重量:320g
噴射距離:7~8m
噴射持続時間:5~7秒
生産国:アメリカ合衆国
油性

熊撃退におすすめ熊よけスプレー その③

ガードアラスカ

ガードアラスカ 熊撃退スプレー 255g|ガーデン 園芸用品 忌避用品 防獣用品

出典:Amazon

催涙剤の成分濃度が約20万SHUという強力な商品です。
SHUとはスコヴィル・ヒート・ユニット(Scoville Heat Units)という単位の名称で、辛さの度合いを数値化したものです。

大きさ:235×52mm
重量:約300g
噴射距離:5~8m
噴射持続時間:5~10秒程度
生産国:アメリカ合衆国
油性

熊撃退におすすめ熊よけスプレー その④

UDAP

UDAP

出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon

噴射距離、刺激度ともにカウンターアソルトなみの強力な商品です。
アメリカ森林警備隊採用品、イエローストーン国立公園推奨品
携帯ホルスター付き

大きさ:210×52mm
内容量:260g
噴射距離:約9m
刺激度:約30万SHU
油性

熊撃退におすすめ熊よけスプレー その⑤

ポリスマグナム

ポリスマグナム

出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon
出典:Amazon

もともと対人用に設計されたスプレーです。上の4つの製品は、北米に住むグリズリーや、北極圏のホッキョクグマなど巨大な熊への対策として作られた製品であり、日本では北海道に生息するヒグマに適した製品であるのに対し、この製品は他社の製品より刺激度が少ないため、本州に生息するツキノワグマ対策として販売されています。他の4つの製品とは異なり、水性なので効果の持続時間は油性よりも短くなります。

大きさ:235×54mm
重量:440g
内容量:250g
噴射距離:約5m
噴射持続時間:約8秒
水性

その他の使用上の注意点


使い方のところでもいくつかの注意事項がありましたが、そのほかにも熊よけスプレーの使用にあたり、注意すべきポイントがあります。

航空機への持ち込み

熊よけスプレーは高圧ガスの入った小型ボンベになっていることから、これを航空機に持ち込むことはできません。山行エリアに飛行機で移動する場合には注意が必要です。北海道では登山客のために熊よけスプレーのレンタルを取り扱っている地域もあります。

護身用スプレー

催涙ガスという点では一般的な対人用の護身スプレーもありますが、刺激成分の強さが熊に対するものと比べて弱いため、熊にむけて使用しても効果の点で問題があります。逆にいうと熊よけスプレーを人間に使用した場合、催涙効果をはじめ非常に刺激が強いため、うっかり誤射したりすることがないように十分に注意する必要があります。

期限切れ製品の試用

先にも述べましたが、熊よけスプレーには有効期限があります。有効期限の過ぎた消火器を使った消火訓練のように平常時に練習に利用するといったことも考えられますが、有効期限が過ぎていても人間への使用は非常に危険ですので、そのような目的で使用する場合には周囲への影響を十分に考慮したうえで使用しなければなりません。市街地での使用は避けたほうがよいでしょう。

まとめ

熊よけスプレーの使い方をその効果や成分なども含め、また、いくつかのおすすめ製品についても紹介してきました。ここまできて、この記事のタイトルとは相反するかもしれませんが、できれば熊よけスプレーを使用して熊を撃退しなければならないような状況にならないことが熊にとっても人間にとってもいちばん幸せです。
最近ではいろいろな環境の変化から人間と熊の生活圏が接近してきたり、熊が人間になれてきたりして、熊とのかかわり方がこれまでとは異なってきており、熊との遭遇頻度や実際の事故も増加傾向にあります。
熊を発見してもお互いにそれ以上の接近を回避できればそれに越したことはありません。もし、不運にも熊と対峙しなければならなくなった状況では、熊よけスプレーはかなり有効な撃退手段のひとつではあります。しかしながら、先に述べたように、これはかなり危険な道具ですので、その使用にあたっては慎重にまた確実に取り扱わなければなりません。
熊よけスプレーについて、正しい知識を持って、いざというときのための備えとして携行し、楽しいアウトドアライフをお過ごしください。