ヒヤシンスってどんな植物?
ヒヤシンスは、とても愛らしい花を咲かせる球根植物で、ガーデナーから多大な人気を得ています。開花した花からはよい香りがし、春の訪れを知らせてくれているようです。ヒヤシンスは、水耕栽培と土耕栽培どちらでも楽しめ、土に植える場合も地植え、鉢植えどちらでも栽培可能です。では、ヒヤシンスの水耕栽培での植え方や育て方、土耕栽培での植え方や育て方をそれぞれ見ていきましょう。
原種は青紫色
ヒヤシンスの原種は青紫色のお花です。現在日本で出回っているのは、地中海を原産とするダッチヒヤシンスを品種改良したもの。ヒヤシンスは古来より世界中のガーデナーから愛されているお花で、なんと2000種類以上もの品種改良なされた園芸種があるそうです。
冬の寒さにあてることが開花に向けた植え方のコツ
ヒヤシンスをうまく開花させるために最も大切な植え方のコツは寒さにあてることです。ヒヤシンスは、一定期間寒さを体感することで、開花する特徴を持っています。ですから、ヒヤシンスは水耕栽培・鉢植え・地植え培問わず、秋から冬の寒くなる時期に球根を植え付けて冬の寒さに当てることが大切。春のはじめの時期に花茎をすくっと伸ばした先につぼみをつけ開花します。
ヒヤシンスの花の特徴
ヒヤシンスの花の開花時期は、春のはじめです。ヒヤシンスには、白や黄色、ピンク、紫、赤などさまざまな花色のタイプがあります。開花した花の形は星のようでもあり、小さなひとつひとつの花が集まってやや長い花の集合体を作り出します。また、開花した花からはなんとも言えず甘い香りがただよいます。ただ甘いだけではなく、スパイシ-なきりっとした香りが混ざっているのが特徴です。
ヒヤシンスの葉の特徴
ヒヤシンスの葉っぱの色は、明るいグリーン色です。花茎を包むようにやや細長い葉っぱがついています。葉っぱの先はややとがっています。
ヒヤシンスの基本データ
科名属名
ツルボ亜科ヒアシンス属
学名
Hyacinthus orientalis
和名
風信子(ヒヤシンス、ヒアシンス)
別名
錦百合(にしきゆり)
英名
Hyacinth
原産国
オランダ
ヒヤシンスの花言葉<花色全般>
ヒヤシンスには、花色全体の花言葉と花色ごとの花言葉があります。花色全体の花言葉は、前述のギリシャ神話に由来しています。青年ヒュアキントスと医の神アポロンが楽し気に円盤投げをする姿にジェラシーを感じた風の神ゼピュロスは、円盤を風でコントロールして邪魔をします。円盤はヒュアキントスの頭に当たり、ヒュアキントスは死んでしまうのです。
悲しみを越えた愛
ギリシャ神話にある、ヒュアキントスとアポロンの悲しい物語から、「悲しみを越えた愛」という花言葉が生まれました。頭から血を流すヒュアキントスを何とか助けようと、医の神アポロンはあらゆる手を尽くしたそうです。
スポーツ・ゲーム・遊び
「スポーツ」「ゲーム」「遊び」という花言葉も、やはりギリシャ神話のヒュアキントスの物語からイメージされたものです。ヒュアキントスが死の直前に興じていたのが円盤投げであったことから、これらの花言葉が生まれました。
ヒヤシンスの花言葉<花色別>
ヒヤシンスにはさまざまな花色のものがあり、花言葉も花色ごとにつけられています。ポジティブな花言葉もありますが、ネガティブな印象のものもありますので、ヒヤシンスを贈り物などにするときは、花色別の花言葉を知っておいたほうがよさそうです。
紫色の花言葉1「悲しみ」
紫というのは、見ようによっては少し寂しい印象をもたらすカラーです。とくに紫色のヒヤシンスが頭をもたげたような様子は、「悲しみ」を連想させるものです。
紫色の花言葉2「初恋のひたむきさ」
紫色のヒヤシンスには、「初恋のひたむきさ」というピュアな花言葉もつけられています。冬の寒さに当たったあとにすくっと花をつける様子から、ひたむきなイメージがあるのでしょう。
ピンク色の花言葉「しとやかな可愛らしさ」
春に地面から顔を出す、ピンク色のヒヤシンスには心をぎゅっとわしずかみにされます。なんとも言えずはかなげで、しかし力強さも同時に併せ持つピンク色。「しとやかな可愛らしさ」という花言葉がぴったりです。
黄色の花言葉1「あなたとなら幸せ」
ヒヤシンスの黄色は、とても明るくて優しい色合いのものです。春の木漏れ日のなかの黄色いお花は、まさにこの世に生まれた幸せを体全体で表現しているよう。そんなイメージから「あなたとなら幸せ」という素敵な花言葉が生まれました。
黄色の花言葉2「勝負」
黄色の花言葉には、「勝負」というものもあります。信号なら赤と青の中間、黄色は色のなかでもちょうど中間にあるカラーと言えます。中立にあるところから、「勝負」という花言葉が生まれたのでしょうか。
赤色の花言葉「嫉妬」
赤色のヒヤシンスには、「嫉妬」というちょっとこわいとも思える花言葉がつけられています。鮮やかな赤色は燃える恋の色。ヒヤシンスをプレゼントフラワーにするときは、赤色を避けたほうがよさそうですね。
白色の花言葉1「心静かな愛」
白色のヒヤシンスをご存知でしょうか。ほかの鮮やかな色に埋もれがちですが、実は上品でピュアな純白がとても美しいヒヤシンスです。そんな花姿から、「心静かな愛」というロマンティックで大人っぽい花言葉がつけられています。
白色の花言葉2「控えめな愛らしさ」
「控えめな愛らしさ」という花言葉も、白いヒヤシンスになんともピッタリな言葉でしょう。主役ではないかも知れないけれど、ぜひともお庭などに植えたい白色のヒヤシンス。控えめな美しさでまわりを照らしてくれることでしょう。
水耕栽培と土耕栽培・それぞれの魅力とは?
水耕栽培の魅力
大小さまざまな器に並べられた球根。芽が出るまでの時間もよいものです。水耕栽培のよさのひとつは、球根が土で埋まらないため、成長具合をずっと見ていられること。球根には生命のパワーがすべて詰め込まれていて、宝物といった雰囲気があります。下から出てくる無数の根っこには力強さを感じます。そして頭からグリーンの芽が出てきた瞬間は感動そのもの。日を追うごとにグングンと成長する姿を見ていられる水耕栽培にぜひチャレンジしてみませんか。
土耕栽培の魅力
ガーデンに色とりどりのヒヤシンスを無防備に植えつけるのも面白いです。逆に色合わせをしてきちんと道筋に並べて植えるのもまた素敵。お気に入りのバスケットや可愛い細工がほどこされたプランターに植えるのもいいですね。もちろんほかの植物との寄せ植えもおすすめです。水仙やムスカリなど春の球根植物と合わせるのもよし、プミラなどのグリーンと合わせても素敵です。鉢植えなら花が咲いたときに、室内に移動させてゆっくり眺めることもできるでしょう。
水耕栽培はワンシーズン
水耕栽培、土耕栽培どちらでも楽しめるヒヤシンスですが、球根を分球させて増やして植え替えるというのは土耕栽培のみ。水耕栽培では、ひとつの球根はワンシーズンのみのお楽しみです。ひとつの球根を長い期間楽しみたい・分球させて増やしたい、というときには土耕栽培がおすすめです。
ヒヤシンスの育て方<水耕栽培1>根出し
ヒヤシンスの水耕栽培をはじめるのに適した時期は、10~12月頃です。まず、水耕栽培したいヒヤシンスの球根を冷蔵庫に1週間くらい入れて疑似的な冬を体験させましょう。そのあと冷蔵庫から球根を取りだしたら、球根が収まるくらいの容器に1センチくらい水を入れて球根を水につけます。あまり球根の大部分を水に入れてしまうと、球根が腐ることがあるので気をつけましょう。しばらく冷暗所で管理していると、球根から根っこが出てきます。
ヒヤシンスの育て方<水耕栽培>2・芽出し
球根から根っこが出てきたら、今度は栽培したい容器に球根をセットします。容器は、水栽培専用のもののほか、ペットボトルやガラス瓶などでも代用できます。ただし、球根が水に落ちてしまわないよう、うまく浮くように針金などを使って工夫しましょう。
芽出しのスタートには遮光する
球根を容器にセットしたものを、遮光して管理します。戸棚のなかなどで管理してもよいですし、上から段ボールをかぶせて管理するのもよいでしょう。1週間から10日くらいすると、芽が出てきます。芽が出てきたら、明るいところに移動しましょう。春まで管理していると、可愛い花が開花します。
ヒヤシンスの育て方<水耕栽培>3・肥料
ヒヤシンスの水耕栽培では、水耕栽培専用の液体肥料を利用します。土耕栽培用の固形肥料などを与えてしまうと、水が濁る・腐るといった障害が出ます。だいたい2週間から1カ月に一度の割合で、水耕栽培用の肥料を与えるとよいでしょう。
ヒヤシンスの育て方<水耕栽培>4・水の管理
小さな芽が出てから、葉や花茎、やがてつぼみがつき開花するヒヤシンス。順調に成長させるために何より大切なのが水の管理です。ヒヤシンスの成長促進には、春になるにつれ暖かいところでの管理が必要ですが、暖かいところで水をためた状態にしておくと、細菌が発生するなど不衛生な状態になりがちです。こまめに容器の水を変えて、いつもきれいな水の状態を保ちましょう。春になると美しい花を咲かせてくれます。
ヒヤシンスの育て方<土耕栽培>1・土作り
ヒヤシンスは、水はけのよい土壌を好む植物です。市販の草花用培養土や小粒の赤玉土をベースにして、少し川砂やバーミキュライトを混ぜ込むとよいでしょう。
ヒヤシンスの育て方<土耕栽培>2・肥料
鉢植え・地植えどちらの場合も、はじめる植え付けの際に、元肥として穏効性の固形肥料を土に混ぜ込んでおきましょう。そのあとはさほど追肥などの必要はありません。花が開花しはじめたかな、と思ったころに液体肥料を少し与えるとよいでしょう。
ヒヤシンスの育て方<土耕栽培>3・水やり
ヒヤシンスは、どちらかというと水を好む植物です。地植えの場合は、それほど水やりの必要はありませんが、鉢植えにしている場合は、こまめに水やりをおこないましょう。なお、冬から春にかけての花が開花するまでの時期はしっかり水やりをして、初夏になって葉っぱが枯れてきたら水やりの頻度をおさえましょう。
ヒヤシンスの育て方<土耕栽培>4・場所
ヒヤシンスは、日当たりのよい風通しのよい環境を好みます。ヒヤシンスの球根は耐寒性があり、逆に冬の時期の寒さに当たらないと開花しません。ですので、冬越しについてはとくに神経質になる必要はありません。鉢植えの場合も地植えの場合も、春の花が開花する時期に、光合成をしっかりできるよう太陽の日差しを浴びられるところで管理しましょう。
ヒヤシンスの育て方<土耕栽培>5・植え付け
鉢植えや地植えで土耕栽培するときの植え付けも、水耕栽培と同じく10~12月の時期が適期です。ヒヤシンスの球根の植え方はとても簡単です。植え方のポイントは球根の上下を間違えないこと。またもうひとつの植え方のポイントは、球根の直径と同じくらいの深さに植え付けることです。この2つの植え方ポイントを守れば、春の開花のゴールに一気に近づきます。植え付けてから春に芽が出るまでの時期は、比較的しっかりと水やりを続けましょう。ただし、冬の霜が降りているようなときは水やりを控えて様子を見たほうがよいでしょう。
ヒヤシンスの育て方<土耕栽培>6・植え替え
ヒヤシンスの球根は、永続型なので、鉢植えや地植えなどの土耕栽培の場合には、植え替えなしでもうまく管理すると毎年花を咲かせます。球根に毎年花を咲かせるコツは、花が咲き終わると同時に、ただちに花茎を切り取ることです。葉っぱはそのままにしておきましょう。こうすると、花茎に余計な栄養がまわらず、葉っぱで光合成したパワーがすべて球根へといきます。球根にしっかり栄養がたくわえられ、植え替えせずとも、また次の年も可愛らしい花を咲かせてくれるというわけです。
3年に一度は植え替えをしよう
植えっぱなしのまま植え替えなしでも数年は花をつけますが、植え替えせずに同じところで管理していると、だんだんと花数が減る・花の大きさが小さくなるなどしてきます。こうなってくると、新しい場所に植え替えて環境を更新したほうがよいでしょう。花が終わり花茎を剪定したタイミングで、植え替えの準備段階である球根を掘り起こし、風通しのよいところで保存します。10月の植え付けの時期になったら、新しい場所に植え替えましょう。
ヒヤシンスの育て方<土耕栽培>7・分球
ヒヤシンスの増やし方としては、分球が一般的です。分球とは球根植物の増やし方のひとつで、育てている球根の脇に子球がつくのを分けます。ただし、分球は水耕栽培では難しく、鉢植え・地植えなどの土耕栽培に限ります。分球に適した時期は、植え替えと同じく5~6月ごろです。花を楽しんだあと球根を土から掘って子球がついていたら、手で分けます。球根は秋の植え替え時期まで、風通しのよいところで保管しておきましょう。
ヒヤシンスの育て方<水耕・土耕共通>1・病気
軟腐病
軟腐病は、球根や植物の株を枯らしてしまう病気です。おもに植物についた小さなキズに菌が付着することで発生します。一度発生してしまうと、治療は困難で、ただただ腐って枯れていくのを見るだけです。ほかの植物にうつってしまう病気ですので、もしも病気が発生した球根は、すぐに掘り上げて処分してください。軟腐病は、じめじめとした環境に発生しやすいので、なるべく風通しよく管理することが大切です。
ヒヤシンスの育て方<水耕・土耕共通>2・害虫
アブラムシ
ヒヤシンスは害虫の少ない植物ですが、ごくまれにアブラムシが発生することがあります。とくにガーデンなどで地植えにしている場合や鉢植えをお庭に置いている場合に発生しやすいです。アブラムシは小さな虫ですが群生するためやっかいです。アブラムシは植物に寄生して植物の葉っぱや茎から栄養成分を吸い取ってしまいます。アブラムシに吸われたところは、やや白く変色します。アブラムシが少しついたからと言ってただちにヒヤシンスが枯れてしまうことは少ないですが、花芽や成長点を吸われてしまうと大変です。アブラムシを見つけたらすぐに駆除しましょう。
ヒヤシンスは水耕栽培・鉢植え・地植えを楽しめる植物
ヒヤシンスは色とりどりの花がとても可愛らしいお花です。子供の頃に栽培体験をした思い出を持つ方も多いのではないでしょうか。植え方のコツさえつかめば、子供でも育てやすいヒヤシンス。何といっても冬の寒さを体感させることが美しい花を咲かせる道順です。冬の寒さに耐えて早春を知らせてくれるヒヤシンスの秘めた強さに心奪われてしまいそうです。
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