ビスマス鉱石を知ってますか
ビスマスという金属は、その結晶構造のため、美しく、アクセサリーや置物として有名な鉱物です。この写真のような、虹色に光る幾何学的な模様がそのゆえんです。このビスマス鉱物が実は比較的簡単に自分で人工的につくれのです。ここでは、ビスマス鉱物の特徴とその作り方のコツを紹介します。
ビスマス鉱石は元素
ビスマスは原子番号83の元素です。元素記号は Biで、第15周期元素の一つです。日本名は蒼鉛(そうえん)といいます。単体のビスマスと他の金属(カドミウム、スズ、鉛など)との合金は、金属単体よりも低い融点ななることから、鉛フリーはんだなどに利用されたり、低温で溶けるウッド合金などの低融の合金に利用されます。
ビスマス鉱石の性質
ビスマスは金属元素ですが、金属とはちょっと違う性質を持っているという特徴があります。例えば、熱・電気伝導率が金属にしては低かったり、展性や延性が大きくなかったりと非金属に近い鉱物なのです。
ビスマス鉱石はどこにある
ビスマスの鉱石は天然に単体で産出することもあります。しかし、一般的には硫化物の状態で金属鉱石中の混合物として採鉱されます。
他の金属を精錬する際の不純元素として採掘されることが通常で、戦時中に栄えていた足尾や明延などはビスマスをたくさんの鉱石を産出したことで有名なんですよ。実は展示物などにあるきれいな結晶は人工で作成した結晶なんです。
ビスマス鉱石は美しい結晶
ビスマスの結晶はなぜ美しいのでしょうか。ビスマス結晶は結晶成長後の温度低下する際に、熱で空気中の酸素と結合し、酸化物の皮膜ができるのでその干渉色で虹色に輝きます。この美しさがアクセサリーに用いられる理由です。
この色は、結晶の冷やし方で変わります。比較的大きな結晶ほど冷却しにくいため鮮やかな色が付きます。小さな結晶は早く冷めやすいので色が付きにくい傾向があります。この性質は重要ですから覚えておきましょう。
ビスマス鉱石づくりの材料
自作でビスマス鉱物の結晶を取り出すには、材料としてインゴットタイプの材料もありますが、ビスマスチップとして市販されている物を購入します。
なぜなら、インゴットは材料としては大きめなので、ビスマスチップ(純度:99.99%)1kgが自宅でも溶かしやすく手頃です。約5千円程度でホームセンターやアマゾンなどの通販で購入できます。
ビスマスは融点が低い
なぜビスマス結晶が自宅で人工的にできるかというと、ビスマスの融点が低く271.4℃だからです。他の金属の結晶の融点は金の融点が1064.4℃、銀の融点が961.93℃、銅の融点が1084.5℃、鉄の融点が1536℃となっています。
他の金属に比べてかなり低い温度で融けます。この性質のおかげで自宅でも結晶が作れるわけです。しかし、低いと入っても300℃近い液体ですから、触ると大やけどになります。注意して実験しましょう。
ビスマス結晶構造は三方晶系
ビスマスの結晶構造は、三方晶系という構造となっています。これが大きく成長することにより、ビスマス特有の角ばった結晶となり。それが人気の出ている理由です。宝石の仲間では、アメジスト、サファイヤ、水晶などが三方晶系の結晶構造となっています。
ビスマスづくりはチャレンジが大切
このビスマスを一度溶かしてゆっくり冷ますことで人工的に結晶として取り出します。結晶を取り出すタイミングが結構難しいので思い通りの結晶を取り出すまでには少し時間がかかるかもしれません。
結晶がうまくできなくても、何回でも溶かせば違う形のビスマス結晶に成長しますから、酸化作用で量が少しずつ減ってしまうかもしれませんが作りなおせます。
ビスマス鉱石はアクセサリーになる
最近、取り出した結晶を加工してアクセサリー等を作るという事を耳にしますが、ビスマスの結晶は金属とはいえ素材として大変柔らかいので、持ち運びするようなアクセサリーには向きません。ガラスやプラスチック容器に入れて飾りましょう。
また、実際にアクセサリーとして販売されているものは、ビスマスの単体でなく、レジンなどにビスマス結晶を封じ込める事でできたものです。これは、別売りのレジン作成用キットを購入して、実験することができます。
人工ビスマス鉱石の作り方
準備するもの
必要な道具は、電気コンロ(加熱用の卓上電気コンロ)、ステンレスの容器(コンロの大きさに合ったもの)、ステンレスのトレー(そこが平らなもの)、ピンセット(結晶をつまみます)、ドライバーか金属のフォーク(酸化皮膜を剥ぎ取ります)など・防御メガネ(目の保護です。必ず使用してください)とビスマスチップです。
皮手袋(作業時の液はねなどから手を守ります。)もあると良いでしょう。
ビスマス結晶の作り方:1
ビスマス結晶は、材料を融かす、冷ます、取り出すの行程となります。
① ビスマスチップを融かす
ビスマスが入ったステンレスの容器を電気コンロに載せて材料のビスマスチップを融かします。ビスマスが融けたら5分から6分そのまま加熱します。なぜなら、温度を少しでも上げるためです。
② 液体表面の酸化皮膜をとる
じゅうぶん加熱したら電気コンロの電源をOFFにして、液体の表面にできた酸化皮膜をフォークなどですき取ります。
③ 結晶を分離する
しばらく常温で冷やしていくと、表面に四角い結晶ができてきます。大きくできた結晶をピンセットでつまんで液体から取り出します。このときにつまんだ結晶を落とさないように注意しましょう。なぜなら、液体に落ちると跳ねるからです。つまんだビスマスの結晶はステンレスのさらに載せて常温まで冷まします。
④ 酸化皮膜をつくる
ステンレス容器から取り出した瞬間はグレー色ですが、酸素と化合することにより表面に酸化被膜がつくられて、少しずつ青味がかり最終的には光沢のある綺麗な色変わってゆきます。この酸化皮膜を作るコツが重要です。
⑤ 完成
これで人工結晶の完成です。好みのものができたら、アクセサリーにするか、容器に入れて観察しましょう。冷やす時間を長くすれば結晶は大きく育ちます。急に冷えると結晶化しない場合がありますから、その場合は、再び材料を加熱してやり直します。何度もやってみて作り方のコツを覚えましょう。
ビスマス結晶のつくり方:2
融けたビスマスの液体を冷やす際の方法がカギですので、もう一つの方法を紹介します。
ビスマスの液体を分けとる方法
さきほどのつくり方の②ではは、表面の酸化皮膜を剥がし取る方法で行いました。この方法の他にも、酸化皮膜(表面で薄く固まっている)にドライバーなどで穴を開けて、別なステンレス容器に液体のビスマスを流し入れて冷やす方法もあります。いろいろ試して自分なりの大きくきれいな結晶の作り方見つけてみるのも楽しいですよ。
ビスマスの結晶を大きくするには
ビスマスの結晶を大きく成長させるためのコツをいくつか紹介します。
ゆっくり冷やす
ビスマス結晶を人工的に大きく育てるには、材料をゆっくりと冷やすことがコツです。ゆっくり冷やすと行っても、250℃を超える液体を冷やすのですから、一般家庭では常温で冷やすこと以外はなかなか難しいと思います。少しでもゆっくり冷えるような工夫を試みても面白いでしょう。
酸素を吹きかける
結晶を取り出して酸化皮膜を作る際に、スポーツ店などで購入できる酸素ボンベから酸素を送ってあげると、酸化被膜が綺麗にできます。これも、吹き込むタイミングや量など試行錯誤できますから、いろいろ楽しんでみましょう。
冷やす液体の量を変える
ビスマス結晶を加熱し融かす際の量によって、冷え方が変わってきます。約1kgのビスマスをステンレス容器に入れて実験しますが、冷やすときの容器によって冷え方が変わってきます。液体を薄く広げると空気に触れる面積が増えますから、冷え方が早まります。
冷やす容器の面積を変えて実験してみるのも、創意工夫となります。場合によっては、完全に冷えた個体の内側できた空洞で冷やされるということもあります。その場合は、固まったビスマスを金槌やハンマーで割ってみるときれいな結晶ができていることがあります。に大きな結晶を作るにはいろいろなコツがあります。
ビスマス結晶が輝く理由
ビスマス結晶が輝く理由は結晶の構造や形、大きさによる違いです。ビスマス結晶は結晶成長後の余熱で空気中の酸素と結びつき酸化物の皮膜ができます。この酸化皮膜による光の干渉によって虹色に輝きます。
この輝き方は、結晶の冷却の際にどのように冷やされたかという熱履歴で変わります。一般に大きな結晶ほど冷却しにくいため比較的鮮やかな色が付きます。小さな結晶は冷めやすいため色が付きにくいと考えてください。
ビスマス結晶の骸晶がきれい
ビスマス結晶にはなぜか成長しやすい方向があります。角の部分の方が、平らな部分よりも成長しやすいので、あのような角ばった形が形成されます。
ですから、冷やし方によって結晶の成長の仕方が変わり、角々したラーメン構造の結晶が出来上がります。綺麗にできるかは、その時の冷え方やタイミングですから、何回もチャレンジして、アクセサリーにもできるお気に入りをつくりましょう。
ビスマス鉱物の作り方の注意点
温度に注意
なんと言っても、300℃近い高温の液体を使いますから、やけどに注意です。高温の液体を運ぶときにこぼしたり、液体に水が入って飛び散ったり、結晶を落としてはねたりと、危険な場面が予想されます。
また、加熱したり冷ましたりする容器もかなり高温になっていますから注意しましょう。加熱容器は柄のないものの方が、柄が熱くなって融けたり、柄を持つことで熱くなった液体をこぼしたりすることなく安全です。
容器はスレンレス性
加熱容器や冷却容器はステンレス製を使用しましょう。アルミ製や鉄製の鍋ですと、表面の物質が溶け出してビスマスの液体に不純物が混ざってしまいます。できるだけ、被膜のないステンレス容器を使いましょう。これは、結晶の作り方の一つのコツともいえます。
手袋は革手袋
手袋は必ず皮手袋を準備しましょう。なぜなら、軍手などでは、布がとけたり解けた材料が内部に染み込んだります。バーベキューなどに使う革製の手袋を用意しましょう。革手袋なら多少熱いステンレス容器を触っても安心です。
まとめ
ビスマスの人工結晶の作り方は複雑ではありません。子どもたちの夏休みの研究研究にも面白そうですね。ただし子どもだけでは危険です。どうすれば大きく結晶ができるか。材料の量や冷やす温度を工夫してみたり、アクササリーとして加工したりと夢が広がります。自分なりのコツを磨くのも楽しそうですね。
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