雪山登山の魅力
そもそも、雪山登山の魅力とはいったい何なのでしょうか。雪山登山は、写真好きや運動好きな方などにおすすめのアクティビティ。登山シーズンには味わえない魅力がたくさんあります。
冒険気分を味わう
登山シーズンとは異なり、登山道ではない場所を歩けるのが雪山シーズンの魅力のひとつ。自分で考えながら道なき道を通り山頂を目指す、まさに冒険気分を味わうことができます。
絶景を楽しむ
なんといっても最大の魅力は山頂から見える絶景。一面に広がる真っ白な世界はとても神秘的なものです。仲間と力を合わせて登ることで、より絆を深めることもできるでしょう。
静寂な空間を楽しむ
登山シーズンには多くの登山客で賑わっていた山も、雪山シーズンは人が減り静寂が訪れます。さらに、雪には吸音効果があります。雪のすき間で音が複雑な反射を繰り返すうちに吸収されることで、より静寂な空間を生み出します。
【持ち物リスト】道具
それではここから、雪山登山に必要な持ち物についてご紹介していきたいと思います。聞きなれないものもあり、こんなに多くて大変だなと感じるかもしれません。しかし、どれも自分の命を守るために大切なものなのでしっかりと準備をしましょう。雪山登山の持ち物リスト、まずは道具について見ていきたいと思います。
雪山登山に必要な道具①アイゼン
靴の底に金属の爪を装着し、雪の斜面を登る道具。雪山は非常に滑りやすいため、アイゼンを使ってグリップ力を高める必要があります。爪の本数や方向によって、グリップ力に違いがあります。4本爪や6本爪のつま先には爪がついていません。そのため、急斜面の雪面で滑る可能性が高く危険です。つま先に爪があるタイプを選び、より高いグリップ力で雪山登山を行いましょう。
また、雪山でも岩場もあります。その際にアイゼンを装着したままだと逆に滑りやすくなってしまい、非危険です。そのため、初心者の方には簡単に着脱できるタイプがおすすめです。着脱に時間や体力を使ってしまうとそれだけでも登頂の危険性は上がってしまいます。
ぜひ自分に合ったアイゼンを探してみてください。
雪山登山に必要な道具②ピッケル
雪面に突き刺して杖のように使います。雪山登山では滑落事故などの危険性が多くあるため、突き刺して身体をを安定させるピッケルはなくてはならない道具です。特に急斜面を登る時などには必須な道具となります。ピッケルを選ぶポイントは3点、軽い・滑落時に刃が刺さりやすい・持ち手が冷たくなりにくいことです。
雪山登山に必要な道具③ワカン
「輪かんじき」の略。接地面積が広いため、沈み込まずに雪の上を歩ける道具。斜面でも使用でき、靴にそのまま装着することも、アイゼンとの併用も可能です。
雪山登山に必要な道具④非常食
中でもおすすめは、チョコレート・キャラメル・菓子パン・ナッツ。高カロリーですぐに食べられるものが便利です。
雪山登山に必要な道具⑤登山マップと方位磁石
吹雪の場合、視界が非常に悪くなり辺りがよく見えなくなってしまいます。登山マップと方位磁石で自分の位置を確認しながら雪山登山を行いましょう。
雪山登山に必要な道具⑥保温水筒
ペットボトルやハイドレーション(ソフトボトルに吸引チューブが取り付けられたもの)などは凍結する可能性があります。保温性の高い二重構造の保温水筒にお湯を入れて持って行きましょう。特におすすめはカップ付きのもの。粉末タイプのお茶などで味の変化を付けることができて便利です。
【持ち物リスト】装備
氷点下に達する雪山。低体温症や凍傷を防ぐためにも、適切な装備が必要です。雪山登山の持ち物リスト、続いては装備について見ていきましょう。
雪山登山に必要な装備①ウェア
肌に触れるものの順に、ベースレイヤー(アンダーウェア、長袖ニットシャツ)→ミドルレイヤー(フリース、ダウン)→アウターレイヤー(シェル、ウィンドブレーカー)となります。衣服を脱いだり着たりすることで体温の調節を図ります。
ベースレイヤー
体温調整機能が高く、汗を吸い取り発散するものを選びましょう。ベースレイヤーは肌に触れるもの。肌触りのよさも重要なポイントになります。
ミドルレイヤー
ベースレイヤーとアウターレイヤーの間に着る中間着。保温・透湿機能が高いものがおすすめです。
アウターレイヤー
雨、風、雪などから身を守り体温を外に逃がすのを防ぎます。一番外に着るものなので、お気に入りのデザインのものを探すのも楽しみのひとつです。
雪山登山に必要な装備②パンツ
ウェアに比べ、ピッケルやアイゼンにより傷ついてしまう可能性が高いです。そのため、保温・透湿機能の高さに加え、摩耗性の高いものがおすすめです。
雪山登山に必要な装備③登山靴
登山は自分の足で歩くもの。登山靴選びにはより一層注力しましょう。間違っても、スニーカーや夏用の登山靴で登山してはいけません。アイゼンが装着でき、温性が高く厚みのある革製の靴がおすすめです。靴擦れなどを防ぐためにも、自分の足にあった靴を見つけてみてください。
雪山登山に必要な装備④ザック
日帰りの雪山登山には、30~35リットルのザックがおすすめです。この大きさであれば、防寒着やカメラなどもしっかり入ります。また、肩や腰への負担を減らすためにはフィット感が重要です。ヒップベルトや背面パッドがあるものを選びましょう。
雪山登山に必要な装備⑤小物類
靴下
雪山登山では、足の裏に継続的に負担がかかるため、靴下選びは非常に重要です。中でもおすすめはメリノウールを使用しているもの。メリノウールは保温効果が高く、湿気を吸収し適度に放出します。防臭性もあり、臭いの原因でもあるバクテリアの増殖を抑えてくれます。
サングラス(雪山用ゴーグル)
寒い冬の紫外線はそこまで強くないと思うかもしれませんが、雪山の紫外線は非常に危険です。標高が1000m上がると紫外線の量は10~20%増加し、雪は地面に降り注いだ紫外線の9割を反射すると言われています。アスファルトの反射率は1割のため、非常に強いことが分かります。雪山の紫外線を長時間受け続けると、角膜の表面が傷つく「雪目」になる恐れがあります。
ヘルメット
転倒・落石など、危険箇所のある山へ行く場合は必要となります。ニット帽やバラクラバの上からヘルメットを被ります。
バラクラバ
目以外の顔全体を覆うことが出来る防寒具。外気に触れる面積が非常に少なく、凍傷を防ぐのに効果的です。
ネックゲイター
首の回りに巻くことで体温の低下を防ぎます。バラクラバと異なり、顔や頭が外気にさらされますが、ニット帽などと併用することで寒さを防げます。
ウィンターゲイター
ウィンターゲイターを着用することで、ズボンの裾から雪が侵入するのを防ぎます。強度の高い生地で作られているのも特徴のひとつ。これは、アイゼンの爪がひっかかっても穴が開くのを防ぐためです。
グローブ
細かい作業を行う際、厚手のグローブは不向きです。厚手の操作性の良い手袋の上から保温・防水効果のある厚手の手袋をするか、アウターとインナーの手袋が別々になっているものを使うのが便利です。
【持ち物リスト】番外編
雪山の天気は変わりやすく、吹雪に遭遇した際は無理に下山せずビバーク(思いがけない山での宿泊)する必要があります。
万が一のビバークに備え、あると便利な道具をいくつかご紹介します。
ツェルト
テントと違って非常にコンパクトで、折りたたむと缶ジュースほどの大きさになるものまであります。ビバーク用のツェルトは、雨や雪を防いで軽いタイプがおすすめです。
コンロ・コッヘル
暖を取ったり雪を溶かして飲料水にしたりする時に必要となります。ガスボンベのタイプが主流です。
雪山用の寝袋
下限(リミット)温度-18℃タイプの寝袋がおすすめ。このタイプの寝袋であれば、雪山でも温かい状態で眠れます。
雪山登山に必要な準備①天気の確認
気象庁のサイトやウェザーアプリを使用し、雪雲や嵐が近づいていないか、登山前に必ず確認しましょう。怪しいと感じた場合は、無理に登山せずに日程を改めましょう。
雪山登山に必要な準備②入山届け(登山計画書)
入山届け(登山計画書)を出してから雪山登山を行いましょう。どのコースを通る予定なのか、宿泊する場合はどの山小屋で宿泊するのかなど、細かく記述することが大切です。遭難時に救助の可能性が高まるため、「命を守るザイル」とも呼ばれています。
雪山登山に必要な準備③山岳保険への加入
雪山で遭難した場合の捜索費用は非常に高額です。民間のヘリコプターや捜索隊を使用して捜索した場合、何十万円もの支払いが請求されます。万が一のためにも、山岳保険への加入をおすすめします。さまざまなプランが用意されており、自分に合ったプランを選べます。
難易度低め!初心者におすすめの日帰りで行ける雪山登山
初心者には2,000m以内の山が適していると言われています。2,000mを超えると高山病にかかるリスクが高まるからです。また、日本海側は太平洋側に比べて積雪が多いため、経験を積んでから登山するのがおすすめです。ここでは、雪山登山の入門編にふさわしい、すなわち「入門山」をご紹介したいと思います。難易度が低めの、比較的天気がよく標高が高くない山となっているので、ぜひ挑戦してみてください。
初心者におすすめの入門山①入笠山
まず始めに紹介するのは、長野県にある南アルプスの山、「入笠山(にゅうがさやま)」です。八王子から車で1時間30分、中央道諏訪南インターから車で7分と好アクセス。ユネスコエコパークや南アルプス塩パークに指定された大自然が残る山。ゴンドラで1,780mまで駆け上がり、ゴンドラ山頂駅から入笠山山頂を目指します。
ゴンドラもありコースタイム短め!
標高:1,955m
コースタイム:3時間
入笠山山頂からは360度の大パノラマで、富士山、中央アルプス、南アルプスの山々を一望することができます。入門山として最もおすすめな難易度低めの場所です。
初心者におすすめの入門山②美ヶ原・霧ヶ峰
続いてのおすすめは、長野県にある日本百名山の山を一日で2つ制覇できる「美ヶ原(王ヶ頭)・霧ヶ峰(車山)」です。美ヶ原登山口から霧ヶ峰登山口までは車で約1時間10分と非常に好アクセスです。
コースタイムが短く百名山を2つ制覇!
美ヶ原(王ヶ頭):
標高:2,034m、コースタイム:2.5時間
霧ヶ峰(車山):
標高:1,925m、コースタイム:1.5時間
どちらもコースタイムが短く危険個所もないため、初心者におすすめの難易度が低めな雪山です。美ヶ原では標高2,000mでの高原ハイキング、霧ヶ峰では八ヶ岳のパノラマが楽しめます。ぜひ大絶景を堪能してみてください。
初心者におすすめの入門山③愛鷹山
続いてのおすすめは、静岡県にある日本二百名山の「愛鷹山(あしたかやま)」です。八王子から車で2時間10分、富士山の南に広がる愛鷹山塊のひとつで、最南端に位置しています。
危険個所も少なく難易度低め!
標高:1,504m、コースタイム:4.5時間
コースタイムは少し長めではありますが、危険個所も少なく難易度は低め。富士山の南側から、宝永火口を真正面から見られるのが最大の魅力です。大迫力の富士山を愛鷹山で味わいましょう。
初心者におすすめの入門山④上州武尊山
4つ目は、群馬県にある日本百名山の「上州武尊山(じょうしゅうほたかさん)」です。八王子から車で3時間、山麓には温泉地、登山口付近にはキャンプ場があります。
難易度は少し高め!挑戦したい方におすすめ
標高:2,158m、コースタイム:4時間
川場スキー場からゴンドラが出ているため、コースタイムを短縮できます。急斜面が何箇所かあるため、他の雪山に比べ難易度は少し高め。急斜面の先にある絶景と達成感を求め、ぜひ挑戦してみてください。
まとめ
今回の「雪山登山の持ち物リスト!必要な道具や装備は?初心者におすすめの入門ガイド!」はいかがでしたか?正しく準備を行えば、雪山登山は怖いものではありません。「準備は怠らない」「無理はしない」この2つを守り、安全に雪山登山を楽しみましょう。まずは難易度が低い山からぜひ挑戦してみてください。
雪山登山で、すてきな思い出を作ってみてはいかがでしょうか!
雪山登山に興味が出た方はこちらもチェック!
今回は雪山登山の持ち物やおすすめの山についてご紹介しました。当サイト「暮らし~の」には他にも雪山登山の記事がたくさんあります。下記リンクに、おすすめのアイゼンとアンダーウェアの選び方に関する記事を載せておきます。興味のある方はぜひチェックしてみてください!
【アイゼン】おすすめ9選!雪山登山の必須アイテムをご紹介!
アイゼンは雪山登山において、斜面で滑らないようにするために必須のアイテムです。アイゼンは多くの種類がありますが、行きたい雪山の登山ルートによ...
登山用アンダーウェアってどう選ぶ?おすすめウェアの機能性比較で解説!
登山用アンダーウェアの選び方をご存知でしょうか?登山用アンダーウェアは各メーカーがいろいろと出しており、機能もそれぞれに違いがありますので悩...