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アイゼンとは?
アイゼンとは、雪や氷の斜面を歩く際、滑らないようにするために、金属製の爪がついた、靴底に装着する登山道具のことをいいます。
雪が降った日に車が滑らないよう、タイヤにチェーンをつけますが、同様に、雪や氷の斜面を歩く際は、登山靴にアイゼンをつけます。 アイゼンをつけずに雪の斜面を歩くと、滑り落ちて、滑落事故が発生してしまう恐れがあります。雪山を登山をする際は、滑落事故を起こさないよう、アイゼンをフル活用しましょう。
アイゼンが必要となる5つの登山ルート
アイゼンが必要となる場面は、時期やルートの状況によっていくつかあります。冬は当然ですが、春や秋に必要な場合もあります。 以下に、アイゼンが必要な5つの登山ルートを紹介します。このようなルートを歩く場合には、必ずアイゼンを装着しましょう。
1. 本格的な雪山登山における急斜面
雪が積もった斜面を普通の登山靴で歩くと、滑ってしまい、前に進めません。そこでアイゼンを使うと、爪を雪面に食い込ませ、足をしっかり固定して歩行が楽にできるようになります。
2. 氷の斜面
雪が融けかけた状態で、朝方などに気温が下がると、氷となってしまいます。雪山では、そのような氷の斜面がでてくることもあります。アイゼンがあると、氷の斜面でも、しっかり足を固定してくれます。
3. 夏山登山の雪渓
2,000~3,000m級の山の谷間では、冬の間に降り積もった雪が融けずに夏まで残ってしまうことがあります。このような状態を雪渓といいます。 夏の北アルプスなど高い山に登る際、雪渓ルートを登る場合があるので、アイゼンを装着して登りましょう。
4. 冬の低山の登山道
1,000m以下の低山でも、冬にはうっすらと雪が積もります。積雪量は多くないですが、登山道は非常に滑りやすくなっている箇所もあるので、アイゼンが必要となります。
5. 残雪期の山の登山道
4月~5月の高い山では、冬に降った雪が残っている場合があり、これを残雪といいます。 残雪があると、融けかけた雪が固まって、氷のようになっており、とても滑りやすくなります。そのようなルートを歩く場合は、アイゼンが必要になります。 残雪があるかどうかは、行ってみないと分からないので、春に比較的高い山を登る場合は、ザックにアイゼンをしのばせておきましょう。
雪山登山でアイゼンを使わない場面
アイゼンが必要となる場面を紹介しましたが、雪山では登山中ずっと装着しているわけではありません。以下のような場面では、アイゼンを装着していると歩きにくいので、外すか、ワカンやスノーシューを装着しましょう。
■雪が少ない場合 雪が少なく、登山道が部分的にむき出しになっているような場合は、アイゼンは外して歩きましょう。雪があまりないルートをアイゼンを履いて歩くと、アイゼンの爪を傷めてしまう可能性があるからです。
■傾斜が緩い雪の斜面 雪があっても傾斜が緩いルートが長く続く場合は、アイゼンを装着する必要がありません。アイゼンを装着して歩くと足が重くなるだけなので、そのような場面では、外して歩きましょう。
■雪が足首くらいまで埋まる場合 足首くらいまで雪が深い場合は、アイゼンの爪があまり効ききません。そのような場合、雪に埋まらないようにするため、ワカンまたはスノーシューを使いましょう。
雪山では、このようにアイゼンを脱いだり、ワカン/スノーシューに履き替える場面があるので、装着しやすい構造のアイゼンを選ぶとよいでしょう。
アイゼンの種類
アイゼンは爪の本数、爪の向き、装着方式によって、いくつかの種類に分けられます。選び方の参考としてください。
爪の本数によって5種類のアイゼン
アイゼンの爪の本数は、4本、6本、8本、10本、12本の5種類あります。爪の本数が多いほど、雪面に対して足をしっかり食い込ませることができ、安定感が増します。ただ一方で、一般的には爪の本数が多いほうが、価格が高くなり、重量も重くなります。 爪の本数に対応した雪山登山のグレードは、以下のような目安です。行きたい山に合わせたアイゼンを選ぶようにしましょう。 ■4本~8本爪 冬の低山や、秋から春の1,000~1,500m級の山、夏の雪渓を登るのに使います。初心者の方は、まずは4~8本爪アイゼンを用意することをおすすめします。
■10~12本爪 傾斜がきつい雪の斜面を登る、本格的な雪山登山に使います。エリアにもよりますが、冬の1,500m以上の山は本格的な雪山といえます。
爪の向きによって2種類のアイゼン
アイゼンの前方の爪が、横か縦を向いているかで2種類あり、用途が異なります。 ■横爪 雪山の登山・縦走に使います。アイゼンの面全体で雪面をとらえ、しっかり足を固定しながら歩行することができます。 ■縦爪 縦爪アイゼンは、主にアイスクライミングに使います。アイスクライミングは氷の斜面にアイゼンを蹴りこみながら登ります。縦爪だと、氷の面にしっかり爪を食い込ませることができるのです。
登山靴への装着方式によって3種類のアイゼン
アイゼンは、ワンタッチ式、セミワンタッチ式、ベルト式の3種類の装着方法があり、それぞれ以下の特徴があります。 ■ワンタッチ式 10~12本爪アイゼンには、ワンタッチ式による装着方式のものがあります。 登山靴の前方と後方にある窪みに、アイゼンの金具やビンディングを固定します。これにより、他の2方式よりも、登山靴にアイゼンをしっかり装着できます。 ただし、装着できる登山靴も限られるので、購入前にアイゼンを登山靴へ装着させて、フィットするかよく確認する必要があります。
■セミワンタッチ式 10~12本爪アイゼンには、セミワンタッチ式による装着方式のものがあります。 登山靴の後方にあるくぼみに、アイゼンのビンディングを固定します。登山靴にアイゼンをしっかり固定できるし、ワンタッチ式よりも装着が楽に行えます。
■ベルト式 4~12本爪アイゼンに、ベルト式装着方式のものがあります。 登山靴の前方や後方に、くぼみがなくても装着することができます。そのため、冬山用の登山靴でなくてもアイゼンを装着することができます。初心者の方には、この方式による装着がやり易いでしょう。 ただし、ベルトの締め方によっては、ほどけてアイゼンが外れてしまうことがあるので、しっかり締める必要があります。
アイゼンを装着するための登山靴
事前に登山靴への装着確認をおすすめします
アイゼンはいろんなメーカーが出していますが、それぞれ構造が微妙に異なります。そのため、登山靴に対して、しっかり装着できるものを選ぶ必要があります。 アイゼンと登山靴の組み合わせによっては、うまく合わない場合もあるので、必ず自分の登山靴とアイゼンを事前に装着確認してから、購入するようにしましょう。
登山靴にくぼみが必要な場合があります
10~12本爪で、ワンタッチ式またはセミワンタッチ式アイゼンの場合、登山靴の前後に装着用のくぼみが必要になります。 ワンタッチ式の場合は、登山靴の前側および後側の両方にくぼみが必要です。前側には、アイゼンの金具を取り付け、後側にはビンディングを取り付けます。 セミワンタッチ式の場合は、登山靴の後側にくぼみが必要です。くぼみには、アイゼンのビンディングを取り付けます。
アイゼンのおすすめ選び方
アイゼンの選び方は、行きたい雪山と装着方式を考慮して決めます。選び方を間違えると、アイゼンが登山靴から外れやすくなったり、雪の斜面で爪がしっかり効かせられないという事態も起こり得るので、よく検討して選びましょう。 基本的な選び方としては、行きたい雪山の標高や時期から爪の本数を決め、それから自分の登山靴にいろいろなメーカーのアイゼンを装着してみて、合うものを選ぶというやり方をおすすめします。
行きたい雪山登山における標高や時期による選び方
行きたい雪山の標高や時期によって、アイゼンの選び方が変わります。 ■冬(12月~3月くらい)の1,500m以上の高い山 10~12本爪アイゼンを選びましょう。
■秋から春(11月~4月くらい)にかけての1,000~1,500m級の山 6~8本爪アイゼンを選びましょう。
■冬(12月~3月くらい)の1,000m未満の低山、夏の雪渓 4~6本爪アイゼンを選びましょう。
登山靴への装着方式による選び方
4~8本爪アイゼンの場合、ほとんどベルト式なので、装着方式は特に意識する必要ないでしょう。 10~12本爪の場合は、自分が持っている登山靴に、ワンタッチ式、セミワンタッチ式、ベルト式のアイゼンを実際に装着してみて、しっくりくるものを選びましょう。 場合によっては、アイゼンと一緒に雪山用登山靴も用意しましょう。
初心者おすすめのアイゼンの選び方、まずは6本爪を選ぼう
初心者におすすめしたい選び方として、まずは6本爪アイゼンを選ぶことをおすすめします。 本格的な雪山を登る前に、まずは冬の低山などの雪山で、6本爪アイゼンを使って、アイゼン歩行に慣れることをおすすめします。6本爪アイゼンは、ちょっとした雪の斜面にも爪を効かせることができ、安定した歩行ができます。4本爪でも大丈夫ですが、6本爪の方が安心感があるでしょう。 初心者の方は、6本爪のアイゼン歩行に慣れたら、8本爪または10~12本爪など、本数を増やして、より本格的な雪山へとステップアップしましょう。
アイゼンの価格
アイゼンの価格は、爪の本数が多くなるほど価格が高くなる傾向にあります。それぞれ爪の本数による価格帯は、以下のようになっています(2017年8月現在)。 4本爪アイゼンの価格帯:3,000~4,000円 6本爪アイゼンの価格帯:4,000~7,000円 8本爪アイゼンの価格帯:10,000~12,000円 10~12本爪アイゼンの価格帯:18,000~20,000円 初心者の方にとっては、4本爪や6本爪アイゼンが手頃な価格で最初に買いやすいでしょう。 10~12本爪アイゼンの価格は少し高いですが、それだけ頑丈で、厳しい冬山にも耐えうる作りになっています。
おすすめアイゼン9選を紹介!
4~12本爪のアイゼンはいろんなメーカーが数多く出しています。 人気商品で、しかも優れた性能を持つ、おすすめしたいアイゼンを9選にして紹介します。
おすすめ4本爪アイゼン
おすすめ①. マウンテンダックス(mountain dax) 4本爪アイゼン HG-121
mountain dax(マウンテンダックス) 4本爪アイゼン HG-121
装着が簡単で、非常に短時間で装着できる4本爪アイゼンです。傾斜がきつくない冬の低山などで大活躍するでしょう。 重量も6本爪より軽く、価格も手ごろなので、もしもの時のために、ザックへしのばせておくと安心です。
おすすめ6本爪アイゼン
おすすめ②. マウンテンダックス(mountain dax) 6本爪アイゼン HG-120
【送料無料】mountain dax(マウンテンダックス) 6本爪アイゼンワイド HG120W
登山靴にしっかり締め付けることができ、短時間で装着できる6本爪アイゼンです。また、収納もコンパクトに行えます。 抜群の安定感で、安心できる製品なので、初心者に是非おすすめしたい6本爪アイゼンです。
おすすめ③. モンベル(mont-bell) スノースパイク6 クイックフィット
モンベル(mont‐bell) スノースパイク6クイックフィット ブラック BK S
ベルトがバックル式のため装着が簡単な6本爪アイゼンです。モンベルの6本爪アイゼンには、ベルトが紐のタイプもありますが、装着が簡単なこちらの方が、初心者の方にはおすすめです。 裏側には、雪のダンゴがつきにくい構造のプレートがついているのもおすすめな点です。
おすすめ8本爪アイゼン
おすすめ④. モンベル(mont-bell) LXT-8 アイゼン
モンベル・カジタックス LXT-8 アイゼン ワイド(1141126)
10~12本爪アイゼンは、前後にくぼみが入った雪山用登山靴が必要です。雪山用登山靴は持っていないけど、雪山に挑戦したいという方におすすめしたいのがこちらのアイゼンです。 8本の爪は、鋭い前爪もそなえており、しっかり雪の斜面に対して効かせることができます。
10~12本爪アイゼンはグリベル社の製品がおすすめ!
10~12本爪アイゼンは、長い実績のある、グリベル社の製品をおすすめします。 グリベル社の10~12本爪アイゼンは、種類豊富で、登山靴の構造や歩くルートによっていろいろ選択肢があります。
爪の長さによって2種類
爪の長さによって以下の2シリーズあります。 ①G10/G12シリーズ 爪の長さが長いアイゼンです。 ②エアーテックシリーズ 爪の長さが短いアイゼンです。 爪が長いと、雪や氷の厳しい斜面に対しても、しっかり爪を効かせることができるため、本格的な雪山登山で使うことができます。 一方で、爪が短いと、傾斜が比較的緩い雪山や、岩と雪がミックスした縦走路などで使うことでき、初心者にもおすすめです。 いずれ厳しい雪山にも挑戦するつもりの方は、最初から、爪が長いG10/G12シリーズを用意することをおすすめします。
装着方法によって3種類
アイゼンの装着方法によって3シリーズあります。 ①オーマチック(ワンタッチ式) 登山靴の前側に金具をひっかけ、後側はビンディングで固定します。 ②ニューマチック(セミワンタッチ式) 登山靴の前側はベルト式で、後側はビンディングで固定します。 ③ニュークラシック(ベルト式) 登山靴の前側、後側ともにベルトで固定します。 これらの3シリーズは、登山靴の構造によっても、合う合わないがあります。登山靴にアイゼンがあっていないと、歩行中にアイゼンが外れやすくなってしまいます。滑落事故につながりかねないので、必ず自分の登山靴にアイゼンを装着して、しっかり固定できるか確認して、購入しましょう。
おすすめ10本爪アイゼン(グリベル製)
おすすめ⑤. グリベル(GRIVEL) G10・ニューマチック
グリベル G10・ニューマチック GRIVEL G10 New Matic アイゼン クランポン アルパイン クライミング バックカントリー アウトドア 登山 雪 氷 10〜14本爪 セミワンタッチ式 GV-RA072A02
セミワンタッチ方式の10本爪アイゼンで、本格的な雪山登山に対応します。足のサイズが小さい女性などにおすすめです。 雪山登山には12本爪の方が望ましいですが、足のサイズが小さい場合、土踏まずの部分に爪が密集して、雪のダンゴができやすくなります。足のサイズが小さい方には、12本爪より10本爪アイゼンをおすすめします。
おすすめ⑥. グリベル(GRIVEL) G10・ニュークラシック
グリベル G10・ニュークラシック
先に紹介しましたG10 ニューマチックは、靴の後側をビンディングで固定しますが、こちらはベルトで固定します。このため、雪山用の登山靴でなくても装着できます。 ただし、締め付け具合がワンタッチ式よりも少し弱くなりやすく、本格的な雪山だと強度が足りない可能性があるため、中級の山域や低山など初心者向けの雪山に使うとよいでしょう。
おすすめ12本爪アイゼン(グリベル製)
おすすめ⑦. グリベル(GRIVEL) G12・オーマチックSP GV-RA074A01S
グリベル G12・オーマチックSP
爪が長いワンタッチ式アイゼンです。登山靴は、前側と後側にアイゼンを装着するためのくぼみが必要となります。 このアイゼンはワンタッチ式のため、登山靴に対してしっかり装着でき、鋭い12本爪があるため、傾斜の強い雪の斜面や、岩場など登攀要素のあるルートにも対応できます。本格的に雪山登山をしたい方におすすめしたいモデルです。
おすすめ⑧. グリベル(GRIVEL) G12・ニューマチック GV-RA074A02
グリベル G12・ニューマチック
セミワンタッチ式の12本爪アイゼンです。登山靴前側はベルトで固定するので、ワンタッチ式よりも装着が楽になります。 先ほど紹介しましたG12・オーマチック同様、本格的に雪山登山をしたい方におすすめしたいモデルです。
おすすめ⑨. グリベル(GRIVEL) エアーテック・ニュークラシック GV-RA073A04
GRIVEL(グリベル) エアーテック・ニュークラシック GV-RA073A04
爪が短いため、岩場などでも爪がひっからず歩きやすいです。また、装着はベルト式のため、幅広い登山靴に装着することができます。 傾斜がそこまできつくなく、登攀要素の少ない雪山では、快適に歩行できるでしょう。そのため、こちらは12本爪のなかでも初心者におすすめしたいモデルです。
まとめ
アイゼンが必要となる登山ルート、種類や選び方を説明し、おすすめアイゼン9選を紹介しました。 アイゼンは爪の本数や装着方法で、いろんな種類がありますが、行きたい雪山に最適なアイゼンを選び、安全かつ快適な雪山登山を楽しみましょう。
6本爪アイゼンです。