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ナルコユリとは?その種類や特徴、育て方をご紹介!食べられるの?

ナルコユリをご存知でしょうか?山間の茂みに生える弓なりの姿が美しい植物です。今回は、山野草店などで見かけることの多いナルコユリの育て方や増やし方などをまとめました。似ている植物も多いナルコユリの食べ方や効能もご紹介いたします。
更新: 2022年3月25日
はりまる
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ナルコユリとは?

街の花屋さんなどではあまり見かけることのないナルコユリ。山野草や園芸店などに行くと、白い覆輪のついた可愛らしい葉のナルコユリを見つけることができます。ところが、その「鳴子百合」本物のナルコユリではないのです。では、ナルコユリとはどんな植物なのか、名前の由来や分類、分布などをまとめていきます。

名前の由来

漢字での表記は、『鳴子百合』。弓のようにしなった茎の下に、花が並んでぶら下がっている様子を、水田に設置される鳥脅しのための鳴子に見立ててつけられました。

分類・分布

分類、種類

ナルコユリの分類は、キジカクシ科ナルコユリ属です。学名『Polygonatum falcatum』。ナルコユリの仲間には世界に約60種類、日本にはその中の12種類があります。原産は中国です。学名のPolygonatumとは、「多い節」という意味で、長く横に伸びところどころに紋様風の節のある地下茎のことを表しているそうです。

分布

ナルコユリは、本州、四国、九州の山林や山野に自生する多年生の草本類の植物です。東アジアの朝鮮半島や中国にも分布しています。

園芸店の『ナルコユリ』実は『アマドコロ』

園芸店を訪れると目にする、『鳴子百合』という表示がしてあるものは、実はほとんどのものが、『アマドコロ』です。ナルコユリという表示で売ってある葉に白い縦縞の入る可愛らしい葉の鳴子百合は、園芸品種の『フイリアマドコロ』(斑入りアマドコロ)なのです。では、本物のナルコユリとアマドコロの違いを知るために、ナルコユリの特徴を見てみましょう。

ナルコユリの特徴

山歩きをしていると見かけることのあるナルコユリについて、花や葉、茎の特徴をまとめていきます。特徴を見て山林に美しく生える姿を見つけてみてくださいね。

花の特徴

白い筒形の花

5月~6月の初夏のころ、葉液(茎と葉の付け根)から一本の花柄が出、それが3~5に分岐して、その先に1個ずつ淡緑色筒状の花を下向きにつけます。花は長さ15~20mmで、小さなベルのような花の形をしています。

花の基部が緑色

ナルコユリと似ている植物に、アマドコロ、ホウチャクソウがあります。ナルコユリと似ているこの二つと大きく違う点は、ナルコユリの花の基部だけが、緑色をしているというところです。アマドコロ、ホウチャクソウの基部は、白色をしています。基部とは花の付け根の部分です。

葉の特徴

葉の形状

葉は披針形、または卵状披針形で、1枚の葉の長さは8~15cmほどの大きさになります。披針形とは、葉の先はとがっており、葉の基部はまるみを帯びた葉の形のことです。

葉のつき方

葉柄はなく、茎に互生して葉が付きます。葉柄とは、葉が茎とつながる部分のことで、互生とは、互い違いに葉がつくことです。

茎の特徴

茎の形状

茎には稜(角)がなく、円柱状です。触ってみると、つるりとした表面をしています。高さ50~100cmほどの高さに生長し、上部が弓なりに湾曲しています。

アマドコロとの違い

アマドコロの茎には、ほぼ半ばより上に六条の稜(角)が通っています。ナルコユリとアマドコロ、見ただけでは分かりにくいかもしれませんが、茎を触ってみると分かりやすいのではないでしょうか。

実の特徴


花のあとには、一つ一つに球状の実をつけます。この実は大豆大の大きさで、熟すると暗緑色になります。

ナルコユリに似ている植物

園芸店で売られていたナルコユリは実はアマドコロだったということで、アマドコロについてもご紹介します。他のナルコユリと形状の似ている植物も一緒にご覧ください。

アマドコロ

名前について

漢字の表記は『甘野老』で、漢名が『萎蕤』(イズイ)です。根茎に甘みがあり、サトイモ科のトコロに似ていることからアマドコロの名前がついたとされています。また別名『エミクサ』『アマナ』ともよばれています。

ナルコユリとの違い

葉はナルコユリよりも先が鋭くない長楕円形で、色もナルコユリより白みを帯びています。茎には稜がありません。花も1~2個に分岐して咲きます。実は黒紫色に色づきます。

ホウチャクソウ

名前について

漢字の表記は『宝鐸草』で、花の形が寺院の殿堂や塔廟の軒に吊られている宝鐸に似ていることから付けられました。

ホウチャクソウの特徴

花の形はナルコユリやアマドコロと似ていますが、ナルコユリの仲間は花が葉の付け根から下垂するのに対し、ホウチャクソウは枝の先に花がつきます。こうした花のつき方の違いなどから、ホウチャクソウはチゴユリ属になっているようです。

ナルコユリ(アマドコロ)の品種

ナルコユリと、一般に流通しているアマドコロの種類について、よく目にする種類をいくつかご紹介いたします。

フイリアマドコロ

葉に白い縦縞の入るフイリアマドコロが、一般的に園芸店などでは『ナルコユリ』として販売されている種類です。白い覆輪が可愛らしく、洋花との組み合わせにも適しています。

オオナルコユリ

全体的にナルコユリよりも大柄で、80cm~1.3mほどの大きさまで生長します。花は白く、先と基部が緑色になるところや、葉の形などもナルコユリとよく似ています。葉の大きさはナルコユリよりも大きく、15~30cmほどにもなります。別名「ヤマナルコユリ」とも呼ばれています。

ミヤマナルコユリ

名前にミヤマ(深山)と付きますが、深山よりも山地に多く見られます。30~70cmほどに生長し、花梗は葉の裏側に沿って伸びています。

ナルコユリの花言葉

次は、ナルコユリの花言葉についてご紹介します。ナルコユリの花言葉は、葉の陰にひっそりと咲くナルコユリの花の可憐さを表すような花言葉が多いようです。

元気を出して

ナルコユリの花言葉は、「元気を出して」「あなたを偽れない」「小さな思い出」「心の痛みの分かる人」などがあります。優しいナルコユリの花に合う、優しい花言葉ばかりです。薬草としても使われるナルコユリは、心も体も癒してくれるのかもれないことを、花言葉が表しているようですね。

懐かしい音

また「懐かしい音」という花言葉もあります。ナルコユリの花の形は、ベルのようでもあり、その静かに下垂する花の形から、「懐かしい音」という花言葉はついたのかもしれません。

ナルコユリの育て方

さてそれでは、実際に自分のお庭でのナルコユリの育て方についてです。可愛らしい花や実をつけるだけでなく、葉の姿も素敵なナルコユリを自分のお庭で楽しむためには、どのように育てていけばよいのか、その育て方をまとめていきます。

生育環境


ナルコユリは育て方が容易な植物です。あまり厳密に場所を選ばずに、株を増やしてよく育ちます。しかし、より適した場所で育てることで、美しい群生が見れるかと思われます。

乾燥していない場所

腐葉土の多い適湿地を好みます。しかし、乾燥した場所でないかぎり比較的どのような土質でも育てられます。用土は選びませんが、赤玉土、鹿沼土、桐生砂などの混合用土であれば、水はけ水持ちもよいでしょう。水やりは、用土が乾いてから与える程度で良いです。冬の休眠期も乾かし過ぎないように注意しましょう。

半日蔭

明るい半日蔭を好みます。耐寒性は強く、丈夫な植物です。一年を通して、半日蔭の風通しの良い棚上で管理しましょう。暖地での栽培の場合は、陽射しの強くなる時期は遮光してください。日なたでも栽培は可能ですが、葉焼けをしてしまうこともあるので注意しましょう。

カタツムリに注意

病気にも強く、生育環境などをあまり厳しくない丈夫なナルコユリですが、梅雨時期にカタツムリの食害に遭うことがあります。斑入りの品種などは、斑が冴えてしまうことがあるので注意しましょう。

ナルコユリの増やし方

ナルコユリは根付くと、根を広げ群生します。美しい群生を保つためには、適度な植え替えや株分けが必要になってきます。植物の数の増やし方には、株分け、挿し木などがあります。では、ナルコユリの増やし方についてはどうなのでしょうか。まとめていきたいと思います!

植えつけ、株分け

ナルコユリは芽数がよく増えるので、休眠期に株分けで数を増やしていきます。日本の山間に自生する植物ですので、気候も植生に合い、よく育ちます。夏の盛りの時期と冬の寒い時期を外し、春先の芽だし前か、秋の葉が落ちた後、株分けをして植えつけます。太い地下茎を1芽ごとに切り分けても構いませんが、少なくとも2~3芽つけていた方が、その後の生育も良くなります。

株分けとは

株分けとは、植物の親株から子株を切り外し、分けることです。冬に休眠期に入り根が残る、宿根草の増やし方に適しています。株を分けるときは子株一つに対し、芽を2~3芽つけます。株分けはクローンのようなもので、親と同じ花が出てくるので、庭つくりをする際は生育後の姿も想像しやすいところがメリットです。

植え替え

お庭に地植えにすると、数年は植え替えをする必要はありません。水やりも降雨で十分です。しかし、根が広がっていき窮屈になってしまうため、鉢植えの場合は2~3年を目安に一回りに大きな鉢に植え替えてください。もしくは株分けも兼ねて鉢を増やしましょう。時期は、発芽前の2,3月に植え替える方のが良いです。植え替えをすると、株間の間が広がり生育も良くなります。

挿し木

挿し木とは

挿し木とは、植物の一部を切り取り土に挿し発根させ数を増やす方法です。主な挿し木の種類に、枝挿し、葉挿し、葉芽挿し、根ざしなどがあります。根を伴わない植物の部位を切り取り、しばらくの間水に浸けておきます。土に挿したあとも、たっぷりと水を与えます。2~3週間経つと発根します。あとは葉が育つのを待ち、鉢に植え替えます。樹木の場合は挿し木、草花の場合は挿し芽と言います。

ナルコユリの挿し木(挿し芽)について

ナルコユリは、残念ながら挿し木が難しいです。園芸店でポットを購入してくるか、株分けで増やすか、山林に自生しているものを根ごと移植するかが良いでしょう。ポットであれば年中植え込みを行うことができます。また、実がなり種子が出来るので、増やし方としては実生も可能です。

ナルコユリの食べ方

ナルコユリの新芽は、山菜として食べることが出来ます。芽出しのころから、半分ほど茎が伸びて葉が出始めるころまでに、新芽を収穫しましょう。しかし、花の形の似ているホウチャクソウは毒を持っているため、注意が必要です。また、ナルコユリも実には毒性があるので、食用とするのは危険です。

ナルコユリの調理法

ではナルコユリにはどのような食べ方があるのか見ていきましょう。さまざまな楽しみ方をしている方がいたっしゃったので、そちらも一緒にご紹介いたします!

ナルコユリのあげもの

シンプルな食べ方として、下側の苞を外し、そのまま天ぷらやフライにするという食べ方があります。油との相性もよく、ナルコユリそのものの甘みが楽しめます。

ナルコユリ若葉のおひたし

ナルコユリは、アマドコロと同じく甘みが感じられるとのことです。軸が固い場合は葉だけを取って調理すると、とてもおいしいそうです。また、和え物や味噌とも合うようです。

1.ナルコユリの葉を適量摘み、さっとゆで水にさらす。 2.水気をきり、適当に刻み器にもる。 3.醤油と鰹節をかけ出来上がり。

ナルコユリの海苔巻き

ナルコユリはアクがなく、くせがないので食べやすくて良いのかもれません。はかまを取って調理する方が良いようです。

1.ナルコユリははかまを取り除き、熱湯でサッと塩茹でして水気をしっかりきる。 2.炙った海苔で巻いて2cm幅にカットしてできあがり。 3.お醤油をチョンとつけてどうぞ。


食用としてのナルコユリは、葉を食べる方法が、山野草の食べ方を紹介する本にも多く掲載されています。揚げても茹でてもおいしいナルコユリを、ぜひいろいろな食べ方でお楽しみください!

生薬としてのナルコユリ

ナルコユリは地下茎を漢薬の黄精の代わりに滋養、強壮剤としても用いられます。中国の黄精は、カギクルマバナルコユリの根茎です。俳人である小林一茶はこの黄精を愛用していたといわれ、一茶の句日記「七番日記」にも黄精が出てきます。

煎じて服用する

煎じるのは根茎です。ナルコユリは山深い森林に自生するもので、新芽の出ない期間(葉が落ちた秋から春先の新芽が出る前まで)に掘り取ってください。水で土を十分に洗い落とし、そのまま日光で乾燥させます。乾燥した根茎4~12gを煎じて服用してください。

黄精酒

黄精200g、グラニュー糖300gをホワイトリカー1.8ℓにつけ、6か月後に絞って飲用します。1回量20ml、一日3回(一日60ml)を限度とされています。滋養強壮の効果があるとされています。

黄精飴

東北地方では、ナルコユリの根茎のエキスを混ぜた黄精飴というものが売られているそうです。

ナルコユリの楽しみ方

庭の宿根草選び候補

毎年時期になると芽吹くお庭のレギュラーとして、早春~夏にかけてナルコユリは適しています。春から夏にかけて、目線の低いところのいろどりとして楽しめます。黄緑色のみずみずしい色が爽やかです。

切り花

山での散策の目の保養として、ガーデニングの植物として、さまざまな楽しみ方ができるナルコユリですが、切り花としても楽しむことができます。花の時期は短いので、立ち姿や葉の色合いに注目してみましょう。

和のお花と楽しむ

日本をはじめアジアに広く分布しているナルコユリなので、東洋の花との相性は抜群です。生け花の花材としても多く用いられているようです。

洋花とも楽しめる

園芸品種であるフイリアマドコロは、緑と白の色合いが可愛らしいので、色鮮やかな洋花とも相性が良いです。お庭のナルコユリやアマドコロを少し採って、明るい色の花と一緒に小さな器に飾ってみてはいかがでしょうか。

まとめ:ナルコユリとは?

ナルコユリの種類や特徴、育て方増やし方に関するまとめはいかがでしたか?市場に出回るナルコユリは実はアマドコロであることや、株の増やし方、植え替え時期など、参考にして頂けたら嬉しいです。園芸品種である斑入りアマドコロをお庭で楽しんで、切り花としてお部屋に飾ってみてください。また、ナルコユリの自生した姿もぜひ山間へ探しに行ってみてくださいね。

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