キリンソウ 9.0cmポット 1本
キリンソウの特徴
キリンソウとはバラ目ベンケイソウ科に分類される植物で、漢字では「麒麟草」と書かれることもありますが、その花の形に由来して「黄輪草」と書くこともあります。草丈は大きく育つと30㎝を超えることもあり、多肉植物のような肉厚な葉が特徴的です。
最近はキリンソウを屋上緑化や壁面緑化に利用する企業も登場し、その知名度はどんどんアップしています。元々標高の高い高原や山地で自生している植物なので耐寒性も耐暑性もあり、豪雪地帯でも栽培が可能で簡単に育てることができます。キリンソウが気になる方はぜひ栽培にチャレンジしてみてくださいね。
キリンソウの分布
キリンソウは沖縄を除く日本各地の産地や岩場に生息し、開花時期を迎えると一面黄色く染めてとても見事な風景を作り上げます。日本のほかには、シベリア東部や中国、朝鮮半島にも生息しています。
キリンソウは絶滅危惧種
生育が旺盛で生息地ではたくさんの花を咲かせているキリンソウですが、高知県や徳島県、長崎県では絶滅危惧種に指定されています。また千葉県、兵庫県、奈良県でも保護の対象になっており、原生地の乱獲被害も目立っています。キリンソウを栽培したい場合は、山野で乱獲するのではなく、きちんと園芸店や山野草専門店などで購入しましょう。
キリンソウの開花時期
キリンソウの開花時期は5月ごろです。開花時期を迎えたキリンソウは、花茎を放射状に広げて、小さな星型の黄色い花をたくさん咲かせます。海岸等で見かける大型のキリンソウが開花時期に満開になるととても美しいです。
キリンソウの花言葉
キリンソウの花言葉は2つあり、「警戒」「要注意」という花のイメージとは全く異なる花言葉がつけられています。由来には諸説ありますが、キリンソウの葉の形がギザギザしていて、何かに警戒しているように見えるから「警戒」という花言葉がつけられたという説が有名です。
キリンソウの種類
キリンソウの種類1.テカリダケキリンソウ
テカリダケキリンソウは漢字では「光岳麒麟草」と書き、南アルプスの光岳が原産と言われている極小サイズのキリンソウです。大きく育っても草丈は10㎝程度で、高山植物向けの育て方が適しています。開花時期は一般的なキリンソウ同様、5月ごろです。
キリンソウの種類2.ホソバノキリンソウ
ホソバノキリンソウはその名の通り、葉が細いキリンソウです。北海道や東北などで自生しており、標高が高い草原や岩場などでよく見かけます。生態や特徴、開花時期などは一般的なキリンソウと同じなため、「ホソバノキリンソウ」という名ではなく、「キリンソウ」という名前で流通していることも多いです。気になる方は、キリンソウの中に葉が細いものが紛れ込んでないか探してみてくださいね。
キリンソウの種類3.エゾノキリンソウ
エゾノキリンソウは蝦夷、すなわち北海道などに自生している小型のキリンソウのことを指します。育て方や開花時期は一般的なキリンソウと同じですが、葉が密集して生えることや、おしべが赤色という特徴があります。草丈は10㎝くらいで葉も小さく、暖地では栽培が難しい種類と言われています。
キリンソウの種類4.ヒメキリンソウ
ヒメキリンソウは四国山地にのみ自生しているキリンソウの種類です。草丈や雰囲気がエゾノキリンソウとよく似ていますが、葉の生え方などがエゾノキリンソウとは異なるため、別の種類として取り扱われています。
キリンソウの入手方法
キリンソウは園芸店の山野草コーナーでも見かけることがありますが、確実に入手するには山野草専門店に足を運ぶのがおすすめです。もし近くに山野草専門店がない場合は、インターネット通販などでも手に入れることができますよ。
キリンソウ 9.0cmポット 1本
株分け等による増やし方も簡単なので、近所でキリンソウを栽培している方がいたら分けてもらうのもいいかもしれませんね。
キリンソウの育て方1.環境
キリンソウは耐寒性が非常に強いので屋外で管理して問題ありません。ただ、高温多湿に弱いので、日なたでも風通しの良い場所を選ぶと、育て方も簡単になります。また、地植えにする際は用土を20㎝程度高く盛ってから植え付けると、水はけがよくなり株全体の生育が旺盛になりますよ。
またテカリダケキリンソウやエゾノキリンソウ、ヒメキリンソウなどの小型のキリンソウは、天然石を組み合わせて作ったロックガーデンでよく育つ傾向にあります。小型のキリンソウを繁殖させたい場合は、ぜひロックガーデンづくりにもチャレンジしてみてくださいね。
キリンソウの育て方2.用土
鉢植えにする場合の用土
キリンソウを鉢植えにして楽しむ場合は、赤玉土(小粒)のみの用土で育てても十分育ちます。ただ、植え付ける前に赤玉土の周りについたみじんをしっかりと土ふるいで落としておきましょう。
用土を自分で配合する場合
キリンソウは山野草なので、水はけのよい用土を好みます。自分で用土を配合する場合は、「軽石(小粒)2:硬質鹿沼土(小粒)4:赤玉土(小粒)4」の割合で配合するのがおすすめです。軽石や鹿沼土は流水で洗って細かい用土を洗い流し、赤玉土は土ふるいにかけてから配合するのがポイントです。
培養土を使った用土の作り方
キリンソウの用土は、一般的な培養土を使用して作ることもできます。草花用の培養土に、赤玉土を半分程度混ぜ込むだけで完成です。ただ、小型のキリンソウなどやや弱い種類の場合は、うまく根付かないこともあるので、できればキリンソウ栽培向けの土を配合し、用土を手作りしてあげてくださいね。
キリンソウの育て方3.植え付け時期
キリンソウの植え付けは夏に開花後~夏に行うのが無難ですが、基本的に一年を通して植え付けが可能です。
キリンソウの育て方4.水やり
地植えの場合
地植えの場合は植え付け時に水をやったら、後は基本的に水やりの必要はありません。
鉢植えの場合
鉢植えで育てている場合は、春から秋の間は土の表面が乾燥したら鉢底から水が流れ出るくらいしっかりと水やりをしましょう。その後鉢皿にたまった水は捨てておきます。冬は土の表面が乾燥してから2~3日後に水やりをするくらいで構いません。
キリンソウの育て方5.肥料
植え付け時の肥料
キリンソウの植え付け時や植え替え時には元肥として、緩効性化学肥料を与えましょう。肥料の種類は、「チッ素:リン酸:カリウム」が「1:1:1」の肥料がおすすめです。キリンソウ1株あたり、大人の手で一握り程度の肥料を入れておくとよく育ちます。
開花時期の肥料
キリンソウの開花時期である5月に向け、3月ごろから追肥を行います。肥料の種類は液体肥料や緩効性肥料が適していて、2週間に1回のペースで施してあげましょう。ただ肥料を与えすぎると茎が伸びすぎて倒れてしまうので、与える量は肥料のパッケージに記載されている量の半分程度で構いません。まだ株が小さい場合は、肥料が多すぎるより少なめの方が安心なので、3分の1程度に控えても花つきは十分よくなりますよ。
鉢植えで小さく育てたい場合
キリンソウを鉢植えで小さく育てたい場合は、肥料は与えなくても大丈夫です。肥料を与えなくても毎年きちんと開花してくれますよ。
キリンソウの育て方6.植え替え
地植えの場合
地植えの場合、毎年植え替えが必要です。同じ場所で育て続けたい場合でも、一度掘り出して植え替えします。もし株分けによる増やし方をしたい場合は、植え替えの時に一緒に行いましょう。
鉢植えの場合
鉢植えでキリンソウを育てている場合、大きく育てたければ毎年植え替えを行いましょう。ただ、盆栽のように小さく育てたい場合は植え替えは2年に1度で構いません。
植え替えに適した時期
キリンソウの植え替えは開花後から初夏に行いましょう。
植え替えのやり方
キリンソウの植え替えの際は、まず根を傷つけないように丁寧に掘り返しましょう。その後傷んだ根を取り去り、根の3分の2程度を切り落としてから植え替えます。植え替えの際は緩効性化学肥料を一握り入れておくと、さらに大きな株に育ちますよ。
キリンソウの育て方7.増やし方
増やし方1.株分け
キリンソウの増やし方で最も難易度が低いのが、株分けによる増やし方です。キリンソウの株分けは、植え替え時に行うと株へのダメージが最小限に抑えられるのでおすすめです。
株分けのやり方
キリンソウの株分けは、できるだけ大きな株を使用して行います。 大きな株なら1株から3株くらい株分けすることができますよ。ただ以外にもキリンソウの根は固いため、手で引きちぎると茎と根が分離してしまうこともあります。キリンソウの株分けをする際は、園芸用の上質なはさみやナイフを利用しましょう。
増やし方2.挿し木
キリンソウの増やし方で、株分けの次に簡単なのが挿し木による増やし方です。挿し木は生育期に当たる春ごろ、開花直後に行うのがおすすめです。
挿し木のやり方
開花直後のキリンソウの株から、長い茎を見つけて、10㎝くらい切り挿し木に利用します。小型のキリンソウの場合は、挿し木に利用する茎は10㎝に満たなくても構いません。ただ、できるだけ長めに切り取りましょう。その後挿し木用の茎を1時間程度水に挿してから、挿し木用の土など清潔で栄養分のない用土に挿します。
挿し木をしたら、明るい日陰で水を切らさないように管理します。挿し木をしてから約2週間で発根し、芽も成長してきます。芽が成長してきたら2週間ほど待って、小さめの鉢や育苗用ポットに移してさらに株が大きくなるのを待ちましょう。株がしっかりしてきたら、定植します。
増やし方3.種まき
キリンソウは種まきによる増やし方もできます。ただ、株分けや挿し木よりも成功率が低いため、確実に株をふやしたい場合は種まきによる増やし方はあまりおすすめできません。しかしキリンソウを長く育てていると、種まきをせずともこぼれ種で増えることもあります。その際に株が密集していたら植え替えをし、大切に育ててあげましょう。
種まきのやり方
種まきは9月~10月ごろに行います。種まきは土の上に種をまくのではなく、土に混ぜ込むようにして行いましょう。ただ、あまり深い場所に種がとどまってしまうと発芽しにくくなるので、種まき後は浅めに土を混ぜておくのがポイントです。また種まきの際に、緩効性粒状肥料を混ぜ込んでおくのもおすすめです。種まきの際に肥料を一緒にすき込むことで、発芽を促してくれますよ。
キリンソウの育て方8.病害虫
病気
キリンソウは病気には強いですが、風通しの悪い場所に植えると、「うどんこ病」や「灰色カビ病」などを発症することがあります。いずれも農薬を散布することで被害を食い止めることができますが、発病が確認された花や葉は早めに摘み取り処分しましょう。
害虫
キリンソウは害虫もあまりつきません。ただ、まれに「ナメクジ」や「ヨトウムシ」や「コナガ」の食害にあうことがあります。発生数が少ないうちは捕殺で対応できますが、発生数が多い場合は殺虫剤を散布して対応しましょう。害虫の被害は広範囲に及んでいることもあります。キリンソウだけでなく、周囲の植物の様子も観察し、害虫を全滅させることを目指しましょう。
キリンソウの時期ごとの手入れまとめ
春の手入れ
春はキリンソウの開花時期に当たるので、一番手入れが忙しい時期です。とはいえ、やることは花がら摘みくらいなので、水やりの時などに枯れた花を見つけたら、摘み取ってあげましょう。また、春に肥料を切らすと花つきが悪くなることもあります。液体肥料や緩効性肥料を与えることを怠らないようにしましょう。
夏の手入れ
夏はキリンソウの休眠期です。植え替えや株分けは初夏に行うと失敗が少ないです。ただ、高温多湿状態が続くとキリンソウに病害虫が発生することがあります。風通しがよくなるように雑草などはよく抜き、水やりは涼しくなった夕方以降に行うなど、工夫しましょう。
秋の手入れ
キリンソウを鉢植えで育てている場合は秋まではこまめに水やりをしましょう。秋は病害虫が発生しない限り特別な手入れは必要ありません。
冬の手入れ
キリンソウは耐寒性があるものの、冬になると葉や茎の一部が枯れてしまうこともあります。枯れた葉や茎を放置しておくと病気の原因にもなるので、生育が止まっている冬の間に摘み取って処分しましょう。また、冬の間は土を乾燥気味に保つのもポイントです。上述のとおり、土が乾いたら2~3日後に水やりを行い、地植えの場合は水やりをしないようにしましょう。
キリンソウは冬の寒さに当たった方がよく育ちます。雪が降る地域でもキリンソウは十分育つので、北海道などの寒冷地でもキリンソウは一年を通して屋外で育てましょう。
キリンソウで庭をいっぱいにしましょう
キリンソウは山野草の中でも育て方が簡単で、かつかわいらしい花をつけることからとても人気があります。また株分けや挿し木、種まきでどんどん株を増やせるのもうれしいですよね。キリンソウ1苗を植えて数年で、2m四方にまでキリンソウの株が広がったという声もあります。キリンソウを上手に育てて、庭いっぱいにかわいい花を咲かせましょう!
山野草が気になる方はこちらもチェック!
キリンソウのように、素朴な美しさが魅力の山野草はほかにもたくさんあります。キリンソウが自生する場所付近に自生している種類の山野草ならば、一緒に育てることもできますよ。ぜひお気に入りの山野草を見つけてくださいね。

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