山の天気は変わりやすい
登山やハイキングなど、山岳おすすめ本や雑誌を読んでいると、よく見かけるのが「山の天気は変わりやすい」というフレーズです。山の天気は本当に変わりやすいのでしょうか?なぜ山の天気は変わりやすいのでしょうか?ここでは山の天気についてご説明します。
山の天気が変わりやすい理由
山の天気が変わりやすい理由はズバリ上昇気流。海からの湿った空気が山にぶつかると斜面を駆け上がり、上昇気流が発生します。空気に水蒸気が多いと、上空で雲ができて雨を降らせます。さらに、山の複雑な地形によって、空気が上昇する場所と下降する場所が多く発生し、雲の発生と消滅が繰り返されます。その結果、山の天気は平地より変化しやすくなります。
山の天気予報の重要性
天気予報で晴れだと言っていたのに、登山の最中に雨が降り出したなんてことはよくあります。それは天気予報は平地を対象とした標高が低い(標高2,000mぐらいまで)ところの天気予報です。しかしながら、雨具を持っていればそれほど大変ではありません。むしろ怖いのは体温を奪われることです。
一般的に登山などで山岳に行くと、標高が100mが上がるたびに、温度は約0.6℃ずつ低くなっていきます。例えば平地が25℃なら、3,000mの山では7℃です。しかも、風が加わります。一般的に風速1mで、体感温度はおよそ1℃下がるといわれています(日照や気温などで違います)。その為雨に濡れると低体温症になりかねません。雨具の用意はもちろんですが、登山に行く前にしっかりと天気を確認して置くようにしましょう。
山の天気予報の使い方
山の天気は変わりやすいことがお分かりいただけたでしょうか。変わりやすいことを理解した上で、当日の山の天気を予測することは不可能ではありません。できれば天候の良い日を登山の日程に選びたいと言うのであれば、山の天気について詳しくなる必要があります。ここでは登山を計画した後の、天気予報の使い方についてご説明します。
登山数ヶ月前の使い方
登山数ヶ月前は、気象庁の過去のデータや、ヤマレコ、ヤマケイオンラインなどのサイトで過去の同じ時期、同じ算額に登った方の記録を確認して、天気を予測しておきましょう。その頃の天気を確認したら、装備等必要なものの準備をしておきましょう。
登山一月前の使い方
登山1ヵ月前になったら気象庁のホームページなどで、長期予報と呼ばれる季節予報が掲載されていますので、当日の天候や気温を確認しておきましょう。1ヵ月予報は毎週金曜日に、3ヶ月予報は毎月25日位に発表されます。また毎週火曜日と金曜日には異常天候早期警戒情報が発表されます。登山の日程が含まれていないか確認しておくことが重要です。
登山一週間前の使い方
登山1週間前には、テレビの週間天気予報や気象庁の週間天気予報で、登山の予定日の天候を確認しましょう。またtenki.jpには山の天気があります。ここには数値計算結果があり、これにより温度や風速の目安がありますので参考にしておきましょう。ヤマケイオンラインでは全国70カ所以上の山岳の現地情報が配信されています。こちらも確認しておきましょう。さらに現地の山小屋や観光協会などでも、現地の山岳情報を配信しているのでチェックしてみるのも良いかもしれません。
登山二日前の使い方
登山2日前になると、テレビやネットの予報の的中率が飛躍的に高くなります。両方の中で山沿い、山間部、山岳部などは、山の天気に非常に関係が深いので注意して確認しておきましょう。また目的の山の天気だけでなく、特に西側の天気も注意しておきましょう。大雨注意報や大雪注意報、暴風注意報や雷注意報が出ていたら登山の中止も考えておきましょう。ヤマテンなど山の天気予報を配信しているサイト・アプリもあります。山小屋や観光協会のブログや、ホームページでも現地の気象情報を発信しているところもありますので、天気予測の判断材料にしてくださいね。
登山前日の使い方
登山前日では、気象庁のホームページやテレビやネットの天気予報で、天気を確認しておくことはもちろんですが、山の天気は変わりやすいといったように、目的の山の西側の天気も確認しておきましょう。2日前と同様、警報や注意報が出ていれば、中止の判断をすることも大切です。もしあなたが目的の山の近くに住んでいる場合は、空を眺めてみましょう。これは観天望気といいます。例えば鱗雲が出ていれば雨になる可能性があります。
登山当日の使い方
登山当日では、午前5時の気象庁のホームページで確認しておきましょう。この時注意報や警報出ていれば、登山の中止と言う判断をします。またヤマテンや、山と渓谷社などなアプリでは、メール配信で当日の山岳天気予報が確認できます。またウェザーニューズ社など無料で当日の天気が、スポットでリアルな情報を配信している会社もあります。さらに先ほど紹介した観天望気で、空に浮かぶ雲を確認しておきましょう。例えば傘雲がかかっている場合は、強風になるという判断材料になります。雨や雪の確認だけでなく当日の風の状況も非常に重要です。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ①
気象庁ホームページの使い方
気象庁のホームページでは、全国各地の天気予報はもちろん防災情報や、季節予報、過去のデータなど様々な天気に関する情報を配信しています。数ヶ月前からは季節予報で登山日程を確認、もしくは過去のデータで当日の気温や風速を確認し、日程を組む判断材料としましょう。また登山1週間前では、週間天気予報を確認、前日や当日の天気予報を確認しましょう。アメダスもスマホで使えます。
もちろん天気は平野部のみの天気ですので、判断の目安の1つです。山の天気は変わりやすいので周辺の地区の天気、特に目的の山の西側の天気もあわせて確認しておきましょう。注意報や警報が出ていれば、登山の中止を判断しなければなりません。最近は火山活動、噴火情報も注意して確認しなければなりません。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ②
ヤマレコの使い方
ヤマレコとは、登山に関する情報をみんなで集めてみんなで共有するコミニュティサイトです。50万件以上の登山の記録が集まっているため、登山ルートや天候、気温などが記録されています。そして、たくさんの登山記録情報から、自分が登る目的の山岳情報を探してみましょう。また同じ時期に同じ山岳に登った人の記録から、当日の天気を予測してみましょう。さらにヤマレコは、登山初心者でも登山の計画書が作成でき、歩くルートや行動時刻の計画、装備品の一覧表なども簡単に作成できます。また自分の日記や記録も保存できるため、次回の登山の判断材料にもなります。
目的の山岳を先に登った人達から、「天気・天候が変わりやすいかどうか、頂上の気温はどうか」など、アドバイスを受けることも出来ます。さらに登山を趣味にする人たちと友達になれます。悪天候でツラかった登山、絶景を楽しんだ登山、そんな自分の経験と同じ経験をした人を簡単に知ることができます。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ③
ヤマレコアプリの使い方
ヤマレコはスマホでもご利用になれます。自分の登山の記録をリアルタイムにチェックしたり、撮影した写真を登山記録にコピーできるので、とても便利です。また先に登っている方の情報なども共有でき、天候予測も可能になるでしょう。どちらのアプリもヤマレコへののユーザー登録が必要です。
ヤマレコ for iOS
iPhoneやiPadから記録をチェックするならこちらから
ヤマレコAndroid
アンドロイドから記録をチェックするならこちらから
山の天気予報おすすめサイト・アプリ④
ヤマケイオンラインの使い方
ヤマケイオンラインでは会員登録をすると、山頂の天気を確認したり、登山計画の作成や保存、登山履歴の登録、整理、分析等ができます。またコミュニティーの方の登山記録や、各地の山岳データブックなどの閲覧ができ、変わりやすい山の天気にも対応しやすく、判断材料が増えるサイトになります。登山記録で数ヶ月前から天気を予測し、1週間から前日までは、現地最新情報で計画の見直しや中止を判断しましょう。
当日もスマホや携帯等で電波が届く所ではリアルタイムに、山頂付近の天候が確認できるので登録しておきましょう。ほかにも登山ツアー情報や、講習会、登山ルート確認などお役立ち情報が満載です。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ⑤
ヤマテンの使い方
ヤマテンは、山の天気予報に特化したサイトになります。実績は充分でヤマテンの天気予報のおかげでエベレスト登頂部隊のピークハントを成功に導いたこともあります。使い方としては、一週間前から前日のリアルタイムの天気、天気予報にて当日の装備や中止の判断をし、当日はリアルタイムで山頂付近の天気を確認することが可能です。
有料ですが、初心者にもわかりやすく、きめ細かな注意指示も書いてあるので、おすすめです。気象庁のアメダスと一緒に使えば、さらに雨の予測判断に役立ちます。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ⑥
気象庁過去のデータの使い方
気象庁の過去の気象データ検索は、40年近いデータがある気象庁のデータベース。登山に行く予定日が過去どのような天気、天候だったのかを知っておき、準備しておきましょう。特に高度での気温や風速などは大いに参考になるでしょう。数ヶ月前から2週間前までの間に、いちどは過去のデータを確認しておき、日程を決める判断材料にしておきましょう。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ⑦
日本気象協会の使い方
日本気象協会のサイト、tenki.jpは山の天気に特化していませんが、1週間ごとの週間天気予報や、前日当日の天気を判断するための材料には充分。またこちらもアメダスが観測でき、雨雲の動きを確認できるので、天気が変わりやすい山の天候を予測する上でも非常に有効です。気温や風向き風速、降水量なども10分単位で更新され、当日でも、登山の中止を判断する材料にもなるでしょう。
その他生活指数と呼ばれる、花粉情報指数や熱中症情報指数、PM2.5指数など、エリア別に指数で確認できます。登山以外でもビールが美味しく飲めるビール指数や、鍋物が美味しい、鍋指数などシーズン限定の指数情報もあります。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ⑧
tenki.jp 登山天気
日本気象協会公式アプリの登山天気アプリ。山の状態が一目でわかり、山頂や登山口の天気をリアルタイムで確認できる事はもちろん、週間天気や当日の3時間天気までの予報を発表しています。特に計画しておくのに重要なのは雨雲の動きや雷危険度指数です。登山の計画に役立つ判断材料がたくさんある便利なアプリです。
アプリは数週間前から使えます。週間天気図から高層天気図まで確認できるので、自分で天気図を確認し天候の変化を予測することが可能です。もちろん予定を立てるための、目標となる山岳を検索することも。日本三百名山から探せ、登山口、麓の天気予報もわかります。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ⑨
てんきとくらすの使い方
てんきとくらすは、天気と生活の情報サイトです。PCや携帯からでも確認できます。登山での使い方は、天気情報の行楽地の天気を確認します。週間予報から、前日までの登山指数が確認できます。てんきとくらすが秀逸なのは山頂付近の気温と風で、山頂付近の体感温度を登山指数で表しているところです。装備にレイヤーを1枚増やすか、増やさないかは、時には命に関わる重要な判断。登山指数を参考に、装備を準備しておきましょう。
前々日と前日は、3時間ごとの登山指数や風速気温が予測として高度別に、配信されています。また近隣市町村の気象情報もあわせて確認できるので、1週間前にいちど確認しておくのも良いでしょう。ちなみに登山指数はABC と3段階あり、登山指数 Cの場合は注意が必要です。
山の天気予報おすすめサイト・アプリ⑩
雨かしら? の使い方
雨かしら?は地図上に雨雲の状況を重ねて表示してくれる人気の無料アプリです。最大1kmまで、雨雲の様子が確認できます。元となる地図は、Yahoo!地図を使用しているため、新しい道路やレジャー施設にも対応しているため便利です。
使い方は前々日や前日に目標となる山岳付近の雨雲の状況を確認します。日本百名山の位置データを内蔵しているので、当日にももちろん使えます。変わりやすい山の天気を予測、判断する上でも役立つアプリです。
雨かしら?for iOS
雨かしら?Andorid
観天望気による山の天気予報
観天望気は、自然現象や生物の行動の様子から、今後の天気の変化を予測する方法です。登山の場合では、空に浮かぶ雲などを見て判断することが多く、ここではその1部分をご紹介します。
ウロコ雲(巻積雲)
ウロコ雲は秋によく見られ、季節や天気の移り変わりを感じさせる雲です。正式名称は巻積雲。山頂付近で雲を見かけたら、悪天候に変わる予兆ですので注意しましょう。
レンズ雲(笠雲)
山頂の部分をすっぽりと覆う笠雲は、別名レンズ雲と呼ばれ、この雲が発生している場合は上空の風が強い時に現れます。登山口でこの雲を見かけたら、強風や天気が荒れる可能性があるので、中止の判断が必要になるでしょう。
ことわざによるによる山の天気予報
ここからは、ことわざによる観天望気をご説明します。
霜柱が立つと晴れ
霜柱が最もよく立つ人は、夜間を通して快晴で冷え込みの強い日です。大陸の高気圧に日本が覆われている時であり、低気圧が日本付近を通ることがないため天気が良くなると言われています。
朝霧は晴れ
夜間の天気が良く空に雲がないような日は、朝に霧が発生します。このようにして霧が発生するときは高気圧に覆われ、その日は快晴になると言われています。
朝焼けは雨の兆し
朝焼けが赤みが強い場合は、雨になると言われています。これは移動性高気圧が、東に移り温帯低気圧が近づいてくるので天気が下り坂になると言われています。
梅雨の夕焼け朝まで持たぬ
一般的に夕焼けは、晴れの予兆と言われていますが梅雨の場合は、次の日も晴れとは約束されないと言うことです。梅雨時期の夕焼けは注意しましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。登山などのアウトドアに役立つ山岳天気予報サイトアプリのご紹介から、登山の天気予報の使い方をご説明しました。ぜひあなたもここで紹介した、山岳天気予報サイトやアプリを使って、安全で楽しい登山を楽しんでくださいね。
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