「絵金蔵」とは
絵金蔵
赤岡町にある「絵金蔵」、絵金の作品を大切に保管するため、また絵金文化を広めていくためにできた小さな美術館です。
代表作である芝居絵屏風のほかに、墨のみで描かれた「白描画」や、絵金が使っていたとされる「印章」など貴重な資料を収蔵しています。ミニ企画も開催しており、興味のある展示の時に訪れてみるのもいいかも。
絵師金蔵 通称、絵金
金蔵は、土佐藩御城下の職人の集まっている新市町(現在のはりまや町二丁目)の髪結の家に生まれ、幼いころから絵を描くのが大好きな体格のよい子どもでした。
18歳になった金蔵は駕籠かきの名目で江戸へ行き、土佐藩邸の御用絵師・前村洞和について学びました。その後土佐に戻り、土佐藩家老桐間家の御用を勤める狩野派の絵師になりましたが、贋作事件に巻き込まれ、城下追放となります。野に下った絵金はおばを頼りに この赤岡の町に住み、酒蔵をアトリエに町絵師として絵を描きました 。人気の町絵師となった絵金はたくさんの作品を描き、高知県下に多くの作品を残しています。
赤岡町に残る絵金の芝居絵屏風は「絵金蔵」に収蔵されており、これらの芝居絵屏風は全て夏の祭りの夜に飾るために描かれたものとされています。
毎年夏は「土佐赤岡絵金祭り」!2018年は7月21日(土)・22(日)!
毎年7月第3土日に高知県香南市の赤岡町で行われる土佐赤岡絵金祭りは、なんと今年で42回目!祭りは県内外からの多くの方で大賑わい、高知の暑い夜をさらに暑くさせます。まちに飾られる「芝居絵屏風」は、歌舞伎の恐ろしい内容が描かれた作品が多く「おどろおどろしい」と表現されています。びくびくしながら、恐る恐る眺める小さな子どもたちも多く「小さな頃は恐ろしくて見られなかった」なんて昔を懐かしむお年寄りも、今ではにこやかに笑いながら絵の前に佇みます。
土佐赤岡絵金祭り・須留田八幡宮神祭とは
土佐赤岡絵金祭り
絵金祭りは、赤岡吉川地区商工会(現・香南市商工会)青年部が商店街の発展を願い、昭和52年にはじまりました。赤岡町の須留田八幡宮(するたはちまんぐう)で行われてきた神祭(じんさい)にならい、絵金の芝居絵屏風を本町通りに加えて横町通りに飾ります。芝居絵屏風の隣には屋台が並ぶ賑やかな祭りで、様々な催しで賑わいます。
現在、絵金祭りの運営を担うのは、商工会や商店主や屏風絵の所蔵家たちで構成する絵金祭り実行委員会です。毎年、出し物の内容や販売品などについて、議論を重ねながら運営にあたっており、地元の人々の町への愛情が祭りを作り上げているのです。※この祭りは地元商店はじめ、多くの地域企業・団体からの寄付によって支えられています。
平成21年、絵金祭りで飾られる赤岡町の芝居絵屏風23点が高知県保護有形文化財に指定されました。近年は実行委員会制作のグッズ販売などを通じ、作品を守る取り組みにも力を入れています。
須留田八幡宮神祭
須留田八幡宮の神祭にあたる毎年7月14・15日の夜に、氏子である本町地区の本町通りに絵金の芝居絵屏風が並べられるようになったのは、百数十年前からのことです。赤岡のまちに辿り着いた絵金は、酒蔵をアトリエに芝居絵屏風や奉納の絵馬提灯や台提灯絵を描きました。土佐では、夏にあの世から帰ってくる祖先やさまざまな霊とともに悪疫怨霊がさまようとされ、その魔除けとして商家の軒先におどろおどろしい芝居絵屏風が飾られるようになったといわれています。
賑やかな絵金祭りに対してひっそりと静かな神祭。まちの街灯も消された暗闇の中、芝居絵屏風が蝋燭の灯で浮かぶ様子は幻想的。
土佐赤岡絵金祭りってこんな祭り
芝居絵屏風
「芝居絵屏風は蝋燭の灯りで見るのが一番!」
絵金に携わる人は口を揃えて言います。蝋燭の灯りで見る作品は、まるで登場人物が生きているかのよう。揺らめく灯で照らされた芝居絵屏風の妖しい魅力に、多くの人々の目が奪われます。まだ見たことない方は、祭りに来て本物を芝居絵屏風を堪能してみてはいかがですか?きっと、一目で絵金の虜となるでしょう。
ビアガーデンなど、さまざまな催しももちろん開催!
「横町通り」では、絵金の芝居絵屏風や絵馬提灯の展示の他に、商工会の青年部主催のビアガーデンやお化け屋敷があります。絵金蔵の向かいにある芝居小屋「弁天座」では、地元有志らによる土佐絵金歌舞伎が公演され大人気。毎年満席のため、お早めのご来場をおすすめします。
絵金祭りのあれやこれ
絵金の残した作品には「絵馬提灯」と呼ばれるものもあり、こちらも見ごたえがあります。薄い和紙に芝居絵が描かれており、灯りをともして後ろから照らすことで浮き上がり、提灯のように辺りをやさしく照らします。横町通りに並ぶ絵馬提灯は連続した12作品で、「義経千本桜」という歌舞伎の演目が描かれています。
赤岡町について
高知市の少し東に位置する赤岡町は、人口約2700人の小さな町。平成18年3月1日に、高知県の香南5町村(赤岡町、香我美町、野市町、夜須町、吉川村)の合併がある前までは、「日本で一番小さい町」でした。絵金祭りをはじめ、「どろめ祭り」「冬の夏祭り」とお祭りが多い町としても知られています。
昭和の中ごろまでは、「香南の商都」として知られ、商店や行政の出先機関など多く人が行きかう町でした。そのため現在も古い家や痕跡が所々残っています。
まとめ
以上、絵金蔵、土佐赤岡絵金祭りについてご紹介していきました。作品のかたわらに座るのは、芝居絵屏風を守り続けてきた町の人々。赤岡に残る芝居絵屏風は「絵金蔵」で保管されていますが、所蔵家となるのは町の人々です。絵金蔵ができるまではそれぞれの家で大切に守られてきました。須留田八幡宮神祭・絵金祭りの日には作品が所蔵家の家に「里帰り」します。我が子が返ってきたかのように嬉しそうに迎え、夏の夜に隣に座って祭りを楽しみます。是非一度、高知まで足をのばして、迫力の絵屏風をご覧になってみてはいかがでしょうか。