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オオクワガタとは?その種類や生息地などの生態から飼育方法まで解説!

日本最大のクワガタで、自然でもなかなか捕まえられない国産オオクワガタ、これからシーズン本番に向けてオオクワガタの生態、生息地、採集、飼育方法、値段など、オオクワガタのあれこれをご紹介します。憧れのオオクワガタを今年こそ捕まえて、飼育、繁殖もしたいですね。
更新: 2023年7月25日
ふらわ
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はじめに

日本国内に生息、または繁殖される国産クワガタでは他の追従を許さない絶大な人気を誇るのがオオクワガタです。その人気の要因は自然での採集がその個体数の少なさや臆病と言われる性格から難しいことから来る希少性が挙げられます。また国産のクワガタでは最大級で繁殖個体では90mmを記録し、値段も高額で取引されます。そんな大人気のオオクワガタの生態、採集方法、飼育方法、繁殖方法などをご紹介します。

オオクワガタの特徴は?

特徴的な大アゴ

オオクワガタはクワガタムシ科、オオクワガタ属に属する、いわゆるドルクス系のクワガタです。体の色は黒く、上翅も同色ですが、上肢に比べ艶があり個体により若干上翅部分だけ色が薄いというか、黒褐色のものいます。オオクワガタの最大の特徴はオスの大アゴにあります。内歯(内側のトゲ)の構成が1対と非常にシンプルですが、ヒラタクワガタの様に平面的ではなく立体的で前方内側に湾曲しています。また、先端部内側は返し(小歯)がついた槍状になっています。

オオクワガタの個体差

大きさについては他のクワガタ同様、かなり個体差があり、生育環境や遺伝、エサなどによりオスは3㎝弱から自然界では7㎝強、繁殖個体では9㎝と幅があります。小さい個体になると特徴的な大アゴの大きさが大型の個体よりも比率的に短く細く、かわいくなります。また先端の返し(小歯)もなくなります。

オオクワガタの種類は?

オオクワガタ亜種

オオクワガタ属、いわゆるドルクス系にはオオクワガタ以外にヒラタクワガタ、コクワガタ、アカアシクワガタなどの種類がいますが、ここでは主なオオクワガタ亜種をご紹介します。
ホペイオオクワガタ:中国に生息する種類で日本のオオクワガタはこのクワガタの亜種。日本のオオクワガタより太めで若干大きさも上回る。
アンタエウスオオクワガタ:アジア大陸南部の熱帯地方に分布するオオクワガタで、国産よりも大型。
グランディスオオクワガタ:アジア大陸中南部に分布するオオクワガタ中最大の大きさ。※画像
クルビデンスオオクワガタ:アジア大陸南部に分布し、内歯が付け根よりに付いているのが特徴的。

これらの種類を含めてオオクワガタ亜種は20種類以上あります。
 

ヒメオオクワガタはアカアシクワガタに近い種類

ヒメオオクワガタという種類のクワガタがいますね。こちらはオオクワガタという名前が入っていますが、オオクワガタの亜種ではなくオオクワガタ属のアカアシクワガタの亜種なんですね。ドルクス系には違いないのですが、オオクワガタよりもやはりアカアシクワガタに近い大きさで、オスの大アゴも小さめです。と言っても1000~1600mの標高の高い所に生息し希少価値もありオスの値段は2~3000円かそれ以上で取引されます。

オオクワガタの生態1:分布と生息域

オオクワガタは日本全国に分布

国産のオオクワガタは自然界では日本全国に分布しています。ただし他のクワガタもそうですが、生息域に入って採集しなければなりません。オオクワガタの生息域はブナの原生林か、台場クヌギと呼ばれる炭を得るために植樹し数年ごとに定期的に伐採するため幹だけが太く、いびつな形で大きな空洞ができたものも多いクヌギやその周囲に生息します。そのためそのようなオオクワガタの生息域が確保され多くの採集実績があるエリアは産地、聖地として全国のオオクワガタファンに知られています。

オオクワガタの生態2:生活と一生①


卵から幼虫までの生態

夏に受精したオオクワガタのメスはブナやクヌギなどのブナ科の朽ち木や倒木の穴や隙間に30前後、多いと50ぐらいの卵を産卵します。卵は2~4週間で孵化し、幼虫は腐食した木を食べながら成長します。この後、幼虫は環境状況により1年で羽化するケースと2年で羽化するケースがあります。関東以北では2年のケースが多いようです。またどちらのケースでもオオクワガタは羽化した年の夏はそのまま蛹室で休眠状態で翌年の5月以降に地上に出て活動を開始します。

オオクワガタの生態3:生活と一生②

サナギ期の生態

最終齢になって大きく太ったオオクワガタの幼虫はサナギになりますが、サナギが羽化する時期は周囲の温度や湿度などに大きく影響されます。そのため羽化する時期は春から秋に掛けてと幅広くなります。通常、気温が高いと早く羽化します。しかし結局のところ羽化が春だろうが秋だろうが、地上に出て活動するのは次の年の5月以降になります。

オオクワガタの生態4:生活と一生③

成虫の生態

ようやく地上に出たオオクワガタのオスはブナ系の大木やお台場クヌギの洞(ウロ)を見つけて住み着きます。基本は意味もなく他の木に移ることはなく、飛ぶことも非常に稀です。大型で力も強いのですが他のクワガタやカブトムシに比べて警戒心が強く、昼間、寝床から出てくることはほぼありません。夜樹液を吸っている時も危険を感じるとすぐに木の隙間などに入って行ってしまいます。メスはそのように用心深く生活しているオスのいる洞を探して飛び回り交尾をします。

オオクワガタの生態5:越冬

越冬するオオクワガタ

オオクワガタの生態的特徴として成虫になってからの越冬があります。オオクワガタも含めてドルクス系のクワガタは成虫なってからの寿命が他の種類と比べて長く、自然界ではなかなか確認できませんが、飼育下ではヒラタクワガタもコクワガタも越冬します。その中でもオオクワガタは平均的に2、3回は越冬し、最長7年生きたという話もあります。そういった意味でも、オオクワガタは飼育・繁殖にもお金と手間の掛け甲斐のある種類のクワガタと言えます。

オオクワガタの採集方法1:お台場クヌギ巡回採集

地道なお台場クヌギ巡回採集

オオクワガタは7㎝オーバーだと高額な値段で取引されるクワガタですので、採集者も多く競争のようなものです。例え、それ以下の大きさのものでも、珍しさから持って帰る人も多いのです。オオクワガタに関しては昼夜関係なく採集実績のあるエリアのお台場クヌギを巡回し、洞や隙間を覗いて回るという採集方法を採って自然個体をゲットするという地道な採集方法もあります。聖地と言われる川西や能勢ではそういう専門職?の採集者と里山でちょくちょく出くわします。

オオクワガタの採集方法2:樹液採集

クワガタ・カブト採集の王道

こちらはオオクワガタだけではなく、全ての種類のクワガタ、カブトの王道的採集方法です。この採集方法では、単純に樹液の出ている木のポイントを抑えておき夜そのポイントを訪れ採集します。ベテランの樹液採集者は夏以外のシーズンも山や雑木林に入り樹液が出ていなくても、樹液焼け(樹液の痕)などを見てたくさんのポイントを押さえ、開拓しています。トラップ採集のように準備や道具がほとんどいらず、手軽で確実です。

オオクワガタの採集方法3:灯火採集


理にかなった灯火採集

樹液採集と同じく、クワガタの習性を利用した採集方法があります。それが灯火採集です。エサである樹液に集まるのも、なぜだか光に集まるのも自然の理なのです。灯火採集にはクワガタやカブトがいるエリアに近いコンビニなどの店舗、ゴルフ練習場などの照明がある施設、自動販売機などを巡る方法と、自分で照明を設置する灯火トラップがあります。前者は道具もいらず、雑木林に入る必要もなく何カ所か回れば必ず成果があります。

セットして待つだけの灯火トラップ

こちらはもう一歩積極的な自分で雑木林の近くや中で照明を設置して集まる虫からお目当ての種類のものだけ採集する方法です。テレビで見るような投光器やバッテリーを使うような大掛かりな仕掛けは個人では現実的はありませんし、最近こういうことを土地の所有者の許可なくやってトラブルになったり住民からクレームがついたりとおすすめできません。個人レベルでは高輝度LEDの懐中電灯やランタンでも効果はありますし、シーツや白いゴミ袋をスクリーンにして照らせばなおよいでしょう。

オオクワガタの採集方法4:エサトラップ採集

人工の樹液ポイントを作るトラップ

クヌギなどの雑木林はあるけど、樹液が出ていないというケースではエサトラップは有効です。例年樹液が出ているポイントで今夏は出ていないとか、初めて来たキャンプ場で樹液が出ている木が見つけられないという場合です。実際にクワガタが近くに住んでいて樹液が出ていないのであれば、市販の人工樹液や、昆虫ゼリーまたは自作の焼酎バナナ(バナナ焼酎とも)は十分にアピールします。日のあるうちに木にべったり塗っておきましょう。

オオクワガタの飼育方法1:成虫の場合

1匹ずつ飼育したいオオクワガタ

オオクワガタを末永く、ストレスなく傷つけずに飼育するためには出来れば1匹ずつMサイズぐらいのケースで飼うのが理想です。売買や譲渡を視野に入れるなら尚更です。その際のケース内の構成は他のクワガタやカブトを多頭飼いする時と一緒でOKです。マット5~10㎝、その上にハスクチップやブナ系の枝葉を撒き、登り木や餌場を設置します。霧吹きでしっかり加湿しクワガタを入れます。エサは昆虫ゼリーを週1で交換でOKです。

繁殖を視野に入れる場合

オオクワガタを飼育するのであればメスを手に入れて繁殖に挑戦しましょう。その場合は、マットを積む嵩をケースの7~8分ほどにします。しっかりと加湿し、空気を抜くようなつもりで押し固めてさらに2㎝ほどその上にマットを積みます。または産卵用の菌床ブロックをマットに埋める手もあります。後に”割り出し”という繁殖に重要な工程をするためにどちらかの仕様にします。準備が出来たらオスとメスを一緒に飼育します。1週間ほどで交尾したと見なします。

休眠越冬をさせる場合

自然界で越冬するオオクワガタですから飼育下でも寒い時期は休眠させ越冬できます。ただし室温を23~25度ぐらいの一定に保てば休眠しません。休眠させるほうが寿命が長いとされています。休眠させるためのケースの環境はマットを7~8分まで押し固めずに積み、木材とマットの間を好むようなので、マット中層に1本、マットの上に大きさにより1~2本の木材を置いて、休眠するまでゼリーは置いておきましょう。後は室外気温で管理します。

オオクワガタの繁殖と卵から羽化までの飼育

卵の時期の飼育

オオクワガタのオスとメスを一緒に飼育して交尾を確認するか、確認できなくても1週間ほどすれば交尾したと見なします。その後は出来れば産卵仕様にしたケースにメスだけを入れておく方がオスに荒らされず安心ですね。メスがマット、菌床ブロックに深く潜って行くようなら産卵します。卵が孵化する時期は2,3週間から遅くても1カ月で、同じ環境ならあまり差は出ませんので、ケース外から幼虫が数匹見えるようなら”割り出し”の工程に進みます。

幼虫の時期の飼育

割り出しの工程では、押し固めたマット、または菌床ブロックを大きなケースや新聞紙、レジャーシートなどにやさしく塊のままひっくり返して幼虫を拾っていきます。幼虫が孵化して1週間ぐらいの時期が割り出しの目安です。拾った幼虫は1匹ずつ菌糸ビン入れて飼育しましょう。幼虫の数だけ菌糸ビンが必要ということになります。幼虫は菌糸ビンの中身を食べて成長しますので、外から見て白い部分が半分以下になったら新しい菌糸ビンに移し替える時期です。また時間的な目安として3カ月に一度が交換の時期と考えてもよいでしょう。


サナギから羽化の時期の飼育

幼虫は成長すると大きくなり、白色から黄味がかってきます。やがて菌糸ビンの中身を食べなくなり、固まったらサナギになる時期が来たという印です。この時、管理温度は20~25度前後しておくと、サナギは1~2カ月以内に成虫になります。サナギの時期はデリケートなので無駄に菌糸ビンを動かしたり、振ったりしないようにします。羽化して体が出来たら時期に自分で這い出してきますので、それまで待つことをおすすめします。

最近は菌糸ビンを使わない繁殖・飼育方法でも大型の国産個体を作れるようになってきています。このように繁殖・飼育方法は日進月歩です。

国産オオクワガタの値段の相場

国産オオクワガタ(オス)の値段の相場

ここでは国産オオクワガタの値段相場を見ていきます。繁殖をするからには売買を視野に入れたいですよね。大きさは値段を決める重要な要素で、3㎝前後から6㎝台までなら2000~3000円ぐらい、7㎝オーバーのオスなら値段相場は4000~1万円台、8㎝オーバーなら2万円ぐらいからで、繁殖用に購入する場合、血統の良さや産地でそれ以上の値段でも買います。両親が何㎝だったとかで相場が変わるのです。

国産オオクワガタ(メス)の値段の相場

国産オオクワガタのメスの値段相場ですが、当然オスより低い相場になります。大雑把に4㎝後半の大きさからが大型個体になり、44㎝までは2~3000円ぐらいが相場で、45㎝以上49㎝までは5000円から10000円以内が相場、50㎝以上から10000円以上ミリ単位で2~3000円アップという相場になります。ちなみにメスのギネスで大きさは約57㎜です。

昔の国産オオクワガタの値段相場は戻ってこない?

国産オオクワガタの値段相場の要素は第一に大きさ、そして血統、傷や欠損、奇形など(いわゆるB級品)がないことです。昔のオオクワガタブームの時は8㎝オーバーの大きさで数十万から百万出す人もいたと聞きますが、繁殖方法が知れ渡り大型国産繁殖個体が安定して数が出るようになった現在は値段高騰の要素がありません。また血統や産地もどうやって証明するかという問題もあります。

まとめ

オオクワガタは日本最大のクワガタでかっこいい大アゴが特徴で人気があります。しかも越冬して寿命も一番長いのです。昔のブーム期ほどではありませんが、現在でも国産クワガタでは一番高値で取引され、8㎝以上では2万円~3万円ぐらいで取引されます。自然での大型個体採集は非常に難しくなっていますが、繁殖個体でも研究により7㎝以上の個体がよく出るようになっています。皆さんも今夏オオクワガタ採集、繁殖に挑戦しませんか?

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