モンシロチョウについて
ひらひらとかわいい蝶々
ひらひらと舞う蝶々の姿は、見ていて癒されます。昆虫は苦手でも蝶々は好きという人は多いんじゃないでしょうか。エレガントなイメージがあることから、ファッション系のアイテムなどに、さまざまなモチーフとしてよく使われています。
蝶々といっても種類はたくさんいますが、中でもモンシロチョウがポピュラーです。全長が3cmほどのかわいらしい蝶々で、冬をのぞいて春から秋によく見られます。日本全国にいる一般的な蝶々です。
モンシロチョウを飼ってみる
子供のころに、モンシロチョウを飼った経験のある人は多いはずです。小学校で育て方を学ぶ機会もあったことでしょう。環境の変化などが原因と推測されますが、見かけるモンシロチョウの数が減ってきているとよく聞きます。
生き物を飼うことで、命の尊さを改めて見つめ直すことは大切です。犬や猫などのペットは育て方が大変になります。でもモンシロチョウであれば寿命も短く簡単に育てられます。昆虫ですがかわいいルックスです。
子供と一緒に育て方を学ぶ
子供がいる場合は、一緒にモンシロチョウの育て方を学んでいきましょう。子供が自分で生き物のお世話をして育てることは、命について学ぶよい勉強になります。しっかりと管理をして育てていても、そのモンシロチョウは当然ながら寿命を迎えます。
自分が飼っていた生き物が死んでしまうといった事実は、生き物はやがて命が尽きるということを知る機会にもなるのです。そうした体験が、命の尊さを心に根付かせる糧になっていきます。
モンシロチョウの寿命
蝶々の寿命といえば、幼虫やさなぎのころではなく成虫になってからの期間を指します。モンシロチョウの平均的な寿命は、オスが10日間、メスが20日間です。メスがオスより倍も長く生きられるのは、卵を産む必要があるからになります。
人間からみればどちらも短命です。この短い期間を成虫として生きるために、卵から孵化(ふか)し、幼虫そしてさなぎになります。飼うと決めたなら、成虫になるまでちゃんとお世話してあげましょう。
見つけ方と見分け方を知る
モンシロチョウを飼育しようと思っても、どの青虫がモンシロチョウの幼虫なのか分からないと捕まえられません。見つけ方や見分け方を知れば、他の蝶々や昆虫の幼虫と間違えずにすみます。見分け方のポイントは大きさや特性です。
次項から幼虫の見つけ方と、卵の大きさに見分け方、そして育て方をご紹介していきます。子供に見つけ方と見分け方を教えて、採集してきてもらうのもおすすめです。
モンシロチョウの幼虫の見つけ方
青虫の基本的な見つけ方
モンシロチョウを飼おうとして考えるのが、幼虫を探して捕まえてくることです。でも幼虫は探すとなるとなかなか見つかりません。まず幼虫はどこにいるのかといえば、青虫は基本的にアブラナ科の植物にくっついています。
身近なアブラナ科の植物はキャベツやブロッコリーです。これらがあるところへ行くのが見つけ方になります。でも食品として販売されているキャベツなどには、青虫はいません。もしいたら問題になってしまいます。
青虫の見つけ方のポイントは無農薬のアブラナ科植物
スーパーで販売している以外にも、農薬を使って栽培されたキャベツなどには青虫がいません。自家栽培や学校の授業などで、無農薬により栽培されているアブラナ科の植物が見つけ方のポイントになります。
そうした場所が近所にあるならラッキーで、許可をとってから青虫を探しましょう。無農薬のアブラナ科植物に出会えない場合には、自分で栽培する方法もおすすめです。モンシロチョウを呼ぶことに加えて、植物が食材にもなります。
モンシロチョウの幼虫の持ち帰り方
青虫は手でさわらない
モンシロチョウの幼虫を見つけても、手でさわったりつまんだりしてはいけません。人に害があるわけでなく、幼虫に害を与えてしまうのです。青虫はナイーブで体も繊細な構造をしており、呼吸器官に通ずる気門とよばれる部分があります。
ここを手で触れてしまうと手の脂によって穴をふさいでしまい、青虫は呼吸ができなくなって死ぬ危険性がでてくるのです。気門を避けるのは難しいため、かわいくても素手でさわらないでください。
青虫を移動させる方法
手で幼虫をさわれないなら、どうやって持って帰るのか。それは簡単で、幼虫がくっついている植物ごと移動させればよいのです。もちろん1個の植物全体を移動させるというわけでなく、幼虫がいる葉っぱや枝などだけをカットして、そのまま持って帰ります。
また、後から幼虫を移動させたくなった時は、筆を使うのがおすすめです。やわらかい筆先に幼虫をのせて、移動先でやさしく下ろします。あまりひんぱんな移動はひかえましょう。
青虫よりも卵の見つけ方を覚える
幼虫の見つけ方と持ち帰り方を説明しましたが、幼虫よりも卵の見つけ方を知って、卵から育てた方がよいです。モンシロチョウの幼虫は寄生虫の住みかになっていることが多く、幼虫を持ち帰っても寄生虫によって死んでしまいがちになります。
卵や、ふかしたばかりの幼虫であれば、寄生虫はついていません。それに卵の状態で1から飼育した方が、モンシロチョウの命を一通り観察するという面において適しています。
モンシロチョウの卵の見分け方
卵の大きさと見分け方を知る
卵の見つけ方と見分け方は、モンシロチョウの特徴にあります。青虫がアブラナ科の植物にくっついているということは、卵も同様です。キャベツなどの葉っぱの裏に産み付けられていることが多くなります。
卵の大きさは1mmぐらいで縦長です。他の蝶々との見分け方は卵が産み付けられた分布の状態で、モンシロチョウは卵同士の距離が離れています。卵の大きさと、産み付けられている位置を見分け方としてください。
葉っぱについた状態で持ち帰る
卵の大きさと特性を知れば、見分け方は難しくありません。まわりにモンシロチョウが飛んでいるなら、卵がある確率は高いです。そして卵は葉っぱについたまま持ち帰りましょう。卵1つだけでは成虫になるまで育てられるか分かりません。
途中で死んでしまう可能性があるためです。葉っぱに卵が複数個ついているなら、すべてを飼育するつもりでいた方が安心です。大きさも小さいので負担にはなりません。
モンシロチョウの幼虫の飼い方①用意
大きさのある飼育用のケースを用意する
モンシロチョウの卵や幼虫の育て方として必要になるのが、飼育用のケース、いわゆる虫かごです。なるべく大きさのあるものにして広い空間を確保した方が、幼虫にとってストレスがかかりませんし、観察にも向いています。
卵は複数個を採取してまとめて育てますが、1つの虫かごでの育て方は3匹程度までにしておきましょう。また、さなぎ用に木の枝を置くのもおすすめです。念のため幼虫を移動させる時に使う筆も用意してください。
モンシロチョウの幼虫の飼い方②準備
卵のふかの準備をする
卵は乾燥に弱く、水分が少なくなるとふかしません。虫かごにそのまま入れておくだけだと乾燥してしまうので、密閉できるタッパーに入れるのがよいでしょう。ふかしたらタッパーから出し、虫かごで育てていきます。
ふかして幼虫になっても、タッパーへ入れたままにするのはよくありません。卵がいつふかするのかは、色による見分け方で確認してください。クリームのような黄色が混じった白色が濃くなってきたら、ふかが始まります。
虫かごの準備をする
虫かごにはエサとなるアブラナ科植物の葉っぱを入れますが、その前に底へティッシュを敷いてください。幼虫のフンは水分が多く、そこから菌などが繁殖してしまいがちです。これを防ぐには水分を取り除く必要があります。
そのためのティッシュです。また、虫かごのフタは空気の出入り口として、柵状になっています。そこから幼虫が出ることもあるので、大きさが増すまでは小さな穴を開けたラップをかぶせておいてください。
モンシロチョウの幼虫の飼い方③環境
虫かごの最適な置き場所
モンシロチョウの幼虫を飼育している虫かごは、どこに置いてもよいわけではありません。最適な置き場所があります。それは日光が当たらない場所です。日光が当たって虫かご内の温度が上がると、エサのアブラナ科植物の葉っぱがくさってしまいます。
なので涼しい方がよいでしょう。ですがモンシロチョウは暖かい環境が適しているため、あまり冷え込まない場所に置いてください。そういった場所は、探せば家の中に多くあります。
モンシロチョウの幼虫の飼い方④ふか
ふかをした幼虫について
卵がふかをして幼虫になりたてのころは、卵と同じような色をしていることに加えて、毛虫に見た目が似ています。アブラナ科植物の葉っぱなどをエサとして食べることで、体の色が変化してきて青虫になっていくのです。
幼虫にふかした時は、すぐにエサを食べません。幼虫にとって最良の糧となる卵の殻を食べます。おかしな行動をしているから、他の昆虫の幼虫かと心配になるかもしれませんが、これがモンシロチョウの幼虫の習性です。
他の幼虫の可能性もある
採取してきた卵や幼虫が、モンシロチョウでない場合もあります。他の蝶々ならそのまま育ててみるのも楽しいですが、蛾(が)の場合は控えたいところです。卵の時点で見分け方を間違えても、幼虫の段階での見分け方もできます。
これまで説明したきたような大きさや習性とまったく異なる場合は、モンシロチョウではないと判断した方がよいでしょう。育てるのをやめるというよりは、自然に返すようにしてください。
モンシロチョウの幼虫の飼い方⑤エサ
アブラナ科の植物がエサになる
モンシロチョウの幼虫のエサは、これまで何度か説明してきたように、アブラナ科植物の葉っぱです。一般的にはキャベツの通り、青虫にはキャベツというイメージを持つ人も多いことでしょう。
でもキャベツ以外にもアブラナ科植物なら何でも大丈夫です。白菜、水菜、大根やカブ、ブロッコリーなどの葉っぱが該当します。自分にとって手に入れやすいアブラナ科植物をエサに使えば大丈夫です。虫かごの大きさにあわせて与えます。
モンシロチョウの幼虫の飼い方⑥エサの注意点
鮮度の高いエサを与える
幼虫が食べるエサだからと、鮮度の落ちた植物を与えてはいけません。人間と同じように、幼虫にとっても痛んだ食べ物は害になります。さらに幼虫は弱い生き物なので、人間よりもダメージの大きさが強いです。
食べきれていないエサが痛みだす前に、鮮度の高いエサに交換してください。とはいってもエサが悪くなってしまうスピードは速いものです。毎日新しいエサに交換するのは大変なので、下記の方法を試すのがよいでしょう。
エサの鮮度の高さを保つ方法
エサを痛みづらくする方法があります。それはエサを水につけておくだけです。容器に水を入れて、そこへエサとなるアブラナ科植物の葉っぱの芯をつけます。これで長くて3日ほどは新鮮さを保つことが可能です。
ただし注意点があり、容器に入れた水の中に幼虫が入ると確実に死にます。幼虫は一度でも水中に入ると死ぬため、容器をふさがないといけません。すき間がないようにしっかりと、ラップなどでおおうようにしてください。
買ってきた野菜の農薬に注意する
キャベツなどのアブラナ科植物は、販売されているものを購入することでしょう。商品として並べられているこうした野菜は、農薬がついています。弱い幼虫にとってこの農薬は猛毒に近いため、与える際には気をつけないといけません。
無農薬野菜をエサにするのがベストなものの、それが難しい場合には、水洗いしてしっかりと農薬を洗い流してください。さらに外側ほど農薬が付着しているので、内側の部分を与えるのがポイントです。
モンシロチョウの幼虫の飼い方⑦管理
底に敷いたティッシュを取り替える
モンシロチョウの幼虫の管理は、エサだけではありません。虫かごの中を清潔にしておく管理も大切なことです。幼虫のフンは水分が多いことに加えて尿も加わります。
それらの水分から菌が発生し広がることをおさえるため、すでに説明した通り、準備の段階で虫かごの底へティッシュを敷いているはずです。このティッシュは汚れたら交換するようにしてください。虫かご自体の汚れも目立つようなら、そのつど洗う必要があります。
病気にかかっていないか観察する
虫かごの中が汚いままだと菌などが広がって、幼虫は病気にかかりやすくなってしまいます。清潔さを保っている場合でも病気になる可能性はあるため、観察するようにしましょう。
何か調子が悪いなど少しでも病気かなと思ったら、すぐに他の虫かごへ移し、その1匹だけを入れておく状態にします。他の幼虫に病気を感染させないための処置です。病気の症状が強かったり寄生虫がいたりした場合は、残念ながら助かることはありません。
モンシロチョウの幼虫の飼い方⑧天敵
幼虫に寄生する天敵の正体
モンシロチョウの幼虫は寄生虫の住みかになっていることが多いと、先に説明した通りです。この寄生虫の正体は「アオムシコマユバチ」になります。幼虫に寄生するとはいっても、そこそこの大きさに育った青虫が対象です。
卵や、ふかしたばかりの幼虫は寄生されません。この寄生虫は、青虫の中で成長しやがて外に出ますが、その頃には青虫は死んでいます。夏の時期はほとんどの青虫が寄生されているので、卵から育てましょう。
寄生虫以外の天敵
自然に生きるモンシロチョウの青虫の天敵は、寄生虫だけではありません。他の昆虫や鳥などのエサになるため、運良く寄生虫からの被害をまぬがれたとしても、成虫になるまで生きていられる確率は低いのです。
青虫にとって最大の敵は、人間である可能性もあります。販売用の野菜を栽培している場所では農薬をかけられますし、ガーデニング規模であっても害虫とみなされて退治されてしまうからです。過酷な環境で生きています。
モンシロチョウの幼虫の飼い方⑨脱皮
幼虫は脱皮をする
幼虫は脱皮をして大きくなっていきます。モンシロチョウの幼虫が脱皮をする回数は4回です。脱皮を繰り返すごとに大きさが増していくので、成長の過程を分かりやすく観察できます。
観察するポイントは幼虫の大きさの他に、脱皮した皮を食べることです。この皮は食べ尽くされて跡形もなく消えます。自分の居た形跡を残さないようにして、敵に居場所を教えないためです。
脱皮をする時はさわらない
幼虫が脱皮をする時は絶対にさわってはいけません。触れてしまうと上手に脱皮ができず死ぬためです。幼虫の位置を動かしたい場合には、脱皮中でないか見分ける必要があります。幼虫が動かないでいる状態であれば、脱皮をしている確率が高いです。もし違ったとしても、さわらないでおきましょう。
モンシロチョウの幼虫の飼い方⑩さなぎ
幼虫からさなぎになる
幼虫としてしばらく生きたモンシロチョウは、次にさなぎへと成長します。暖かい環境の方が早くさなぎへ変化することから、室内で飼育している場合は2週間ぐらいが目安です。さなぎになると外見は一切の成長がありません。
微動だにせずエサも必要なくなります。育て方としては、さなぎにさわらないことぐらいです。羽化するまで、そのままにしておきましょう。さなぎが透明になると羽化が始まります。最大の観察ポイントです。
まとめ
モンシロチョウの幼虫と卵についての見つけ方と見分け方、そしてさなぎから成虫になるまでの育て方をご紹介してきました。モンシロチョウを飼うなら、幼虫より卵を採取して1から育てた方がよいです。
エサはアブラナ科植物の葉っぱになります。エサを与える際の注意点も守るようにしてください。他の管理は虫かごを清潔にしておくことです。モンシロチョウを卵から育て、改めて生き物の命について学んでみましょう。
アブラナ科植物の栽培方法が気になる方はこちらもチェック!
今回はモンシロチョウの幼虫の育て方について解説しましたが、エサとなるアブラナ科の植物について栽培方法などを知りたいという方は、下記のリンク記事を読んでみてください。
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