アジサイの特徴
アジサイの名前の秘密
アジサイとは、アジサイ科アジサイ属に分類される、落葉低木のことを指します。一般的に、アジサイ属に分類される植物は、すべてアジサイと呼びますが、厳密に言うと、「H. macrophylla f. macrophylla」という1つの品種の和名にすぎません。そのため、H. macrophylla f. macrophyllaのことは、他のアジサイと区別して、「ホンアジサイ」と呼ぶこともあります。
アジサイの原種は日本のガクアジサイ
アジサイは、日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカなど、世界各地で観賞用に栽培されています。とても華やかな見た目なので、ヨーロッパやアメリがが原産と思われがちですが、実はアジサイの原産地は日本です。日本の山などでよく見かける、ガクアジサイこそ、アジサイの原種で、そこから品種改良され、世界中で新しい品種が生み出されているのです。
ガクアジサイとは
アジサイの原種は、ガクアジサイだとご紹介しましたが、ガクアジサイとはどのようなアジサイのことを指すかご存知ですか?実は、私たちがアジサイの花びらと思っている、白や青、紫、ピンクなどの部位は、ガクが発達したものなのです。
そのため、アジサイのように、ガクが発達した花は、「装飾花」と呼ばれています。ガクアジサイの場合、装飾花が花序(花をつけている茎や枝)の周りを縁取るように並んでつくことから、ガクが「額(ガク)」のように縁取って咲く、額咲きのアジサイ、すなわちガクアジサイと呼ばれるようになりました。
アジサイの開花時期
アジサイは、日本の原種、ガクアジサイや、ヨーロッパで品種改良されたセイヨウアジサイをはじめ、ほとんどの種類が5月末~7月ごろにかけて開花時期を迎えます。日本では、ちょうど梅雨の時期に重なることから、梅雨のイメージとして、アジサイを挙げる人も多いですよね。
アジサイは、山や川沿いの近くなど、あらゆる場所に咲いているイメージがあります。人が手入れしていないような荒れ地でも、立派に咲いていることもよくありますよね。しかし、それのアジサイは、落ち葉などの栄養分が豊富だから、手入れをしなくても咲いているのです。そのため、家庭でアジサイの花芽をたくさんつけさせて、開花時期に満開に咲かせるには、剪定などの手入れが大切なのです。
アジサイの剪定が大切
「アジサイが咲かない」「アジサイの花の数が減った」など、アジサイの花にまつわる悩みを、よく耳にします。実は、これらのアジサイの花にまつわる悩みを解決できるのが、剪定なのです。
アジサイは、剪定せずに、放置しておいても、大きく育ちますし、樹形も整ったまま育つこともあります。剪定せずにいても花がたくさんつくならそのままでも環境が適しているのでいいのですが、もし、今年は例年と様子が違うな?と感じたら、剪定してあげることを検討してみてくださいね。
アジサイの剪定の時期
アジサイの剪定時期を誤ると花が咲かない
アジサイの剪定をしよう!と、思い立ったタイミングで剪定をしてしまうと、それもまた、アジサイの花が咲かない原因になるので、注意してくださいね。アジサイには、剪定しても大丈夫な時期というものがあるのです。
アジサイの剪定に適している時期
アジサイの剪定は、アジサイの花が終わって間もなく、7月半ばまでには終わらせておくのが大切です。なぜなら、アジサイは花が枯れ落ちることがないので、いつまでも花に栄養を取られ、株の体力の温存期間がなくなってしまうからです。そのため、もし剪定をする気がなくても、アジサイの花が終わる7月ごろには、花芽だけでも摘んでおくのがおすすめです。
アジサイの花がまだきれいでも剪定を
アジサイは、ほとんどが一斉に開花しますが、まれに、数日~数週間遅れて花をつけるものもあります。ただ、だからと言って剪定を遅くしてしまうと、翌年の花が減ってしまう原因になります。アジサイの花がまだ十分見頃でも、7月ごろには思い切って剪定をし、切った花は花瓶に生けて飾ったり、ドライフラワーにして楽しむことを検討しましょう。
アジサイの剪定の前に知っておきたいこと
花芽がつく枝と花芽がつかない枝
アジサイには、花芽がつく枝と、花芽がつかない枝があります。これは、前年に生長した枝は花芽がつかず、一昨年生長した枝に花芽がつくからです。簡単に言うと、アジサイの花芽は、生長して2年経った枝にしかつかないということです。
花芽ができるのは秋以降
アジサイは、夏に新しい葉芽をつくり、秋、気温が18℃以下になる頃から、花芽を作り始めると言われています。そのため、秋以降に剪定をしてしまうと、翌年は花が1つも咲かないという事態になりかねません。そのため、秋以降の剪定は、基本的に行わない方が無難です。
アジサイの剪定の方法
剪定の方法1.剪定する場所
アジサイの剪定は、切り方よりも、剪定する場所が大事です。アジサイの花から下に数えて、2つめの葉がついている場所(2枚ずつ1つの場所から葉が生えている場合は、3枚目、4枚目の葉がついている場所)で、切りましょう。
もし、脇芽が出てきているようであれば、脇芽はしっかりと残す切り方をしましょう。剪定した直下の脇芽が伸びると、翌年花を咲かせる枝となりますので、切り方には十分注意してくださいね。
剪定の方法2.枯れた枝も剪定
アジサイの花が咲いている枝を、すべて剪定したら、枯れている枝も剪定しましょう。枯れている枝の剪定の仕方は、根元から切る、ただそれだけです。枯れている枝があると、アジサイの見た目も悪くなりがちなので、開花中も気になれば、切ってあげて構いません。
アジサイの剪定の際は毒に注意
アジサイには毒がある株と毒がない株がある
アジサイの葉は青々としているのに、虫があまりつきませんよね。それは、アジサイの体内には毒があるためです。アジサイのすべての品種に毒があるわけではありませんが、どの品種やどの個体に毒があるかというのは、はっきり識別されていません。
アジサイの毒の症状
毒をもつアジサイを食べてしまうと、嘔吐やけいれん、めまいなどが起こり、最悪の場合、呼吸困難に陥り、昏睡状態になることもあると報告されています。アジサイの葉が、料理の彩りのために添えられていることがありますが、それを食べたことでそれらの症状が起きたという事故も、実際に起きています。
アジサイの剪定の際は、お子様やペットなどが近づかないよう注意し、剪定後は速やかに枝や葉を処分するようにしましょう。
アジサイの切り戻し(強剪定)の方法
アジサイの剪定と切り戻し(強剪定)
アジサイの剪定と切り戻しは、目的が異なります。剪定は、株を小さくすると言うよりも、花をたくさんつけるために必要な手入れという意味合いが強いです。一方でアジサイの切り戻し(強剪定)というと、アジサイの株を今よりもコンパクトに仕立て直すための手入れという意味合いが強いです。
アジサイの切り戻し(強剪定)はできる?
アジサイの切り戻し(強剪定)は、もちろんできます。ただ、切り戻しを行うと、翌年は全く花が咲かない可能性もあるので、その点をしっかり理解した上で、切り戻しを行うようにしましょう。
アジサイの切り戻し(強剪定)の仕方
アジサイの切り戻し(強剪定)の仕方は簡単で、株の半分程度の大きさから、3分の1くらいの大きさになるまで、切り戻していくだけです。
アジサイの切り戻しをした翌年は、花をあきらめているのですから、できれば思いっきり切り戻した方がいいでしょう。中途半端な切り方をしてしまうと、すぐにまた大きくなり、切り戻しが必要になる可能性もあります。そうすると、また花をつけない年が1年増えてしまうので、計画的に切り戻すようにすることをおすすめします。
アジサイの剪定後の枝を挿し木にする増やし方
アジサイの挿し木による増やし方は簡単
アジサイの剪定後の枝は、そのまま捨ててもいいですが、挿し木にするのもおすすめですよ。アジサイの挿し木による増やし方は、とても簡単なので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
アジサイの挿し木の仕方1.材料づくり
挿し木に利用するアジサイの枝は、色が濃く、勢いがある枝を選びましょう。花がついている枝を利用する場合は、花を切り取ってから、挿し木に利用します。アジサイの挿し木による増やし方は手順は簡単ですが、根が上手く生えないものも多いです。できれば、複数本の枝を同時に挿し木にするといいですね。
アジサイの葉を、先端の2枚(葉が小さい場合は4枚でも可)を残して、残りはすべて取り除きます。
その後、残した葉を半分切り落とせば、挿し木の材料の完成です。
アジサイの挿し木の仕方2.水揚げ
挿し木の材料にするアジサイの枝を、水を入れた花瓶などに1時間以上挿し、水揚げします。この際、枝の切り方を斜めにしておくと、水に触れる表面積が広くなるので、水揚げしやすくなりますよ。
アジサイの挿し木の仕方3.用土に挿す
水揚げしたアジサイを、用土に挿します。用土は、挿し木用の土でもよいですし、赤玉土、鹿沼土、川砂など、栄養分のない用土がおすすめです。用土に枝を指したら、しっかりと水をあげ、明るい日陰に置きます。
アジサイの挿し木の仕方4.水やりをして様子を見る
挿し木後3日間は、水をたっぷりあげますが、4日目からは、用土が乾いてから、水をあげましょう。うまくいけば、1ヶ月程度で根が生えてきますよ。無事根が生えたら、培養土に植え替え、通常通りの栽培方法に切り替えて育ていきましょう。
アジサイの剪定は冬にもできる
冬の剪定は極力控える
アジサイの花芽は、秋以降どんどん作られています。そのため、秋以降の剪定は控えるべきだとご紹介しました。ただ、どうしても樹形が気になったり、7月の剪定を忘れていて気になって仕方がない!という場合は、花芽に注意して剪定しましょう。
冬の剪定の際は花芽に注意
冬の剪定は、7月の剪定と異なり、切り方は非常に簡単です。というのも、葉がない上、花芽がもうしっかりと目視できるので、失敗が少ないからです。花芽は、葉芽に比べて大きく、ぷっくりとなっており、アーモンドのような形をしているので、葉芽と見比べると一目瞭然です。
冬の剪定の方法
花芽を確認し、枝の一番先端の花芽の直上を剪定すれば、完了です。くれぐれも、花芽に傷をつけたりしないように、気をつけて、作業を進めてくださいね。
アジサイの正しい手入れで花をたくさん咲かせよう
アジサイは、手入れがほとんど必要のない植物である分、剪定という手入れがとても重要になります。逆に言えば、きちんと正しい手入れをしてあげていれば、こちらがうれしくなるくらい、たくさんの花を咲かすことで、応えてくれる花でもあります。毎年、アジサイがたくさんの花を咲かせられるよう、正しい剪定の仕方を実践してあげましょう。
アジサイが気になる方はこちらもチェック
アジサイは、品種改良が盛んで、毎年たくさんの新種が発表されています。ぜひ、お気に入りのアジサイを見つけて、しっかり手入れして、たくさんの花を楽しんでくださいね。また、アジサイはどんなタイプでも、挿し木による増やし方が可能です。お気に入りの品種と出会ったら、挿し木による増やし方にも、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
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