カシワバアジサイとは
もともと日本で馴染みの深いアジサイに加え、近年多種多様な品種が増えているアジサイ。そのなかでも、梅雨のお花に加えて秋の紅葉も美しいカシワバアジサイについてご紹介いたします。
科目:アジサイ科アジサイ属
カシワバアジサイはアジサイの一種で、アジサイ科アジサイ属の落葉低木。 アジサイ科はアジサイ、ウツギなど16属190種を含む双子葉植物の科のひとつです。
学名と名前の由来
学名はHydrangea quercifolia(ハイドランジア・クエルキフォリア)=カシ属のような葉のアジサイという意味の学名をもつカシワバアジサイ。 Hydrangeaとはギリシャ語で、「hydro=水」+「angeion=容器」というのが語源です。Quercifoliaとは「Quercus=カシ属」のような葉、という意味。和名でもある通り、柏の葉に似ているのが由来です。
カシワバアジサイの主な品種
スノーフレーク
八重咲きの人気品種。真っ白な花が美しいですが、咲き進むと緑色やピンクになっていく姿もかわいいため長く変化を楽しめる品種です。
スノークイーン
こちらは一重咲きの品種です。こちらも咲き進むごとに色の変化を楽しめます。
ピーウィー
こちらも一重咲きで、小型のお花を咲かせます。
ハーモニー
ひとつひとつのお花が小さく、もりもりとしたフォルムになる品種。
リトルハニー
綺麗な黄金葉が特徴のリトルハニー。カラーリーフとしても存在感があります。
原産地は北米東部
カシワバアジサイの原産地は北アメリカ東部。寒さに強く、強健です。日本の土壌にもよく合い、日本全土でよく育ちます。北米ではナラ属アカガシワに似ているという意味で、Oak leaved hydrangeaと呼ばれています。
花言葉と開花時期
花言葉は元気な女性
カシワバアジサイの花言葉は、のびのびとした花姿にぴったりな「元気な女性」。 そのほかにも、 ・慈愛 ・清純な心 ・美 ・みんなを惹きつける魅力 など、カシワバアジサイは女性に嬉しい花言葉が多いようです。
開花は5〜7月
カシワバアジサイの花期は日本のアジサイと同じ5〜7月です。 花は咲き始めからどんどん花色が変化して、1つの花も長い間綺麗に咲いてくれます。
また、形を保ったまま茶色くなっていく枯れ姿も美しいのが特徴。 さらに秋には葉が紅葉しますので、とても長い間鑑賞を楽しむことができます。
カシワバアジサイの特徴とは?
カシワに似た葉
カシワバアジサイの特徴はやはり名前の由来にもなっているカシワに似た葉です。 深い切れ込みがあり、かたちもとても綺麗です。ほかのアジサイの葉と違ってごわごわとしてしっかりした葉っぱで、なんといっても紅葉するのが魅力です。
円錐型の花序
カシワバアジサイの美しさは、丸いフォルムのアジサイとは異なる円錐型に配列されたお花にあります。すっと上に伸びる姿も美しく、重くなってどんどん垂れ下がる姿もまた美しく優雅です。
装飾花
カシワバアジサイの紹介を見ていくとしばしば「装飾花」という文言が出てきますが、これはカシワバアジサイの特徴的な構造に由来します。 カシワバアジサイの中心部に見える緑の蕾のようなものは、実はこれ自体がお花です。「両性花」という名称がつけられています。小さいですががく、花弁、雌しべ、雄しべという構成でできていて、生殖機能があります。 一方、白く綺麗な花びらがついているように見える花は「装飾花」といいます。花びらに見えるものはがく片で、真ん中に小さい花弁がありますが雌しべが退化していて種子ができません。つまり「装飾」花なんですね。花粉を運ぶ昆虫を誘引するための構造だけが発達したというわけです。
カシワバアジサイの育て方
難易度は
栽培難易度は低めです。日本の土壌に合っていますので、育てやすいといえるでしょう。生育旺盛で、植え付けたあとはほとんど手がかかりません。
日当たりと置き場所
日なたまたは半日陰で育てます。夏は葉焼けを起こすので、どちらかというと午前か午後かどちらかは日陰になるような半日陰などが良いでしょう。日陰でも育ちますが、花付きが悪くなったり日光を求めて樹形が乱れたりします。アジサイより日向を好みます。 保湿性と水はけを兼ね備えた場所が理想的です。有機性に富む土壌であれば、乾きやすくても育ちます。
植え付け
3月の葉が出る前か、涼しくなる10月〜11月に植え付けます。大きくなっていくので庭植えが適していますが、大きな鉢で玄関のシンボルフラワーにするのも素敵です。生育旺盛なので根詰まりに注意します。保湿性と水はけの良さが必要なので、鉢植えの場合は赤玉土7:腐葉土3などの用土が適しています。地植えにする場合は腐葉土や堆肥を混ぜて土壌改良してから植えましょう。
水やり
地植えの場合は特に必要ありません。 鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水をやります。カシワバアジサイは葉が大きい分蒸発しやすく水切れを起こしやすいので、特に高温期などは気をつけましょう。
病害虫
春から秋にかけて、ハダニやコナジラミの被害がみられることがあります。葉が茶色くなりひどいときには落葉してしまうので、被害が広がる前に早めに薬剤を散布します。また、株が大きくなると株元にテッポウムシが見られることもあるので、こちらも早めに駆除します。 うどんこ病にかかる場合もあります。うどんこ病はバラや芍薬などに発生しやすい病気で、葉にカビが生えて表面が白くなってしまう病気です。早く見つけて白くなった葉を取り除き、薬剤を散布します。ムレなどで発生するので、込み合った枝は普段から切り取るようにしておきましょう。
カシワバアジサイの剪定
せっかく長く花が楽しめるのに、早めに切ってしまうのはもったいないですね。株が大きくなってきたら、花後半分は早めに剪定し半分は残してそのまま枯れゆく姿を楽しむのも素敵です。
<花後の剪定>
カシワバアジサイは花から2節下以降の芽が花芽となるので、花が終わったら早めに花柄を切り取ります。花期が長く枯れ姿も綺麗なので剪定時期に迷ってしまいますが、翌年の花芽を充実させるためにも花が咲き終わる前に7月中には切ってあげると良いでしょう。
<樹形を整える剪定>
樹高を低くしたいときは枝の中間部分にも小さな芽や小枝があるので、芽の上であれば低めに切っても大丈夫です。また、樹姿が乱れてきて整えたい場合は、落葉し終わったころに込み合った枝を株元から切ります。このころには花芽がついているので、来年も花を咲かせたいならあまりばっさり切ってしまわないよう気をつけましょう。枝を整理することで病気や虫などの予防にもつながります。
挿し木で増やしてみよう
挿し木の方法
カシワバアジサイは挿し木で比較的簡単に増やすことができます。 最適期は6〜7月。枝を2〜3節で切り取り、赤玉土に挿しておくと発根します。ポイントはその年に伸びた枝を使うことと、枝の真ん中あたりを使うことです。切った枝を1〜2時間水揚げしてから土に挿すと発根しやすくなります。その後明るい日陰に置いて、3週間から1ヶ月で発芽します。
切った花茎を楽しもう
切り花として楽しむ
切ってしまったお花は、家の中に取り込んで切り花として楽しみましょう。お花が大きくて華やかなので、素敵なインテリアになります。花もちもとても良いです。
ドライフラワーに
カシワバアジサイの花びらに見えるものはがく片なので、そのままの形と色が残りやすくドライフラワーに適しています。 綺麗なドライフラワーにするには、咲き誇っている色の綺麗なときに切ってしまうのがコツです。サンルームや除湿機、晴天の車の中など、温度が高くて乾燥したところで短時間でからっとドライにしてしまう方が花がちりちりにならずにより綺麗にドライにできます。
リースやスワッグに
カシワバアジサイを使ってリースやスワッグを作るのも楽しみです。ドライにしてから作るのも良いですが、加工をするには半乾きくらいの方が茎がしなやかで扱いやすいのでおすすめです。
まとめ
カシワバアジサイの落ち着いた色合いは和の庭にも洋の庭にも合いやすく、手入れもしやすいので庭植えにも鉢植えにもおすすめです。花が長く楽しめ、切った花でもたくさんの楽しみ方がありますので、1年通して堪能することができます。おうちにひとつあると嬉しい植物ですね。 日本の気候や土壌に合っているので育てやすく挿し木でも増えやすいので初心者にもおすすめです。ぜひ挑戦してみてください。