スキンダイビングってなに?
スキンダイビングとは、酸素タンクを背負わずに、水中に潜る行為の事を指します。ありていに言えば素潜りの事です。
一般的に素潜りといえば、尼や海人などの伝統的な漁業で行うものですが、それをマリンスポーツにしたのがスキンダイビングです。
スキンダイビングとシュノーケリングの違いは?
スキンダイビングもシュノーケリングも、どちらも酸素タンクを背負わないマリンスポーツです。ですので、良く知らない人にとっては「どちらも同じなのでは?」と思うことでしょう。では、何が違うのでしょうか?
シュノーケリングとの違い
シュノーケリングは「マスクを使用して水面を泳ぐマリンスポーツ」です。スキンダイビングとは違い水中に潜ることはしません。スノーケルで息継ぎをしながら、マスク越しに水中の世界を楽しみます。どちらも「マスク」「スノーケル」場合によっては「フィン」を使用しますが、「素潜りするかどうか」が大きな違いといえるでしょう。
ただ、シュノーケリングでも潜る場合もあります。スキンダイビングとは違い浅く潜る程度ですが、水中を泳ぐこともあるのです。そのため、シュノーケリングとスキンダイビングも区別しない人もいます。あえていえば、深く潜る方がスキンダイビングといったところでしょうか?
おまけ:スキューバダイビングとの違い
スキンダイビングとスキューバダイビングの違いは、「酸素ボンベを使用しているかどうか」の違いしかありません。どちらも水中を楽しむためのマリンスポーツなのです。ただし、酸素ボンベを背負わない分、危険はあります。また、素潜りをするための道具や潜り方のコツなど、潜り方も違ってきます。
スキューバダイビングと比べ、たかが素潜りと思われがちですが、楽しく遊ぶためには色々なことを理解し、練習する必要があるのです。
スキンダイビングの魅力とは?
水中世界を楽しむ
スキンダイビングはスキューバダイビングと同じように水中を楽しむものです。水中を自由に泳ぐ、魚やサンゴなどの水中の生き物たちと戯れる、地上とは切り離された世界を満喫するなど、マリンスポーツの楽しみ方があります。
潜水を楽しむ
また、スキンダイビングでは、酸素ボンベを使用しないことから「どこまで潜れるか?」というチャレンジも楽しむことができます。呼吸を止め、どこまで潜れるかという遊びはギネス記録もあり、世界的に有名な遊びなのです。多少危険ではありますが、チャレンジ精神豊富な初心者お断りの遊びといえるでしょう。
スキンダイビングの危険
マリンスポーツには危険がつきものです。ですので、当然スキンダイビングにも危険はあります。マリンスポーツ特有の危険や、スキンダイビングならではの危険など、ダイバーになる前には必ず知っておかなければなりません。
潮に流される危険
海には海流というものがあります。波の流れが岩やサンゴなどによって遮られ、それによって独特の流れとなります。穏やかな流れの場所もありますが、中には泳ぐこともままならない海流もあり、海水浴場では離岸流として恐れられています。
この海流は、スキンダイビングにも影響を及ぼします。素潜り中は気にしなくても、水中から出てみると場所がずれていた、ということはよくあることなのです。海流に邪魔されて泳げないのもそうですが、沖に流されて帰れない危険もあり、注意が必要になります。
怪我をする危険
水中には様々な物があります。岩や海藻、サンゴなど、地上と同じように様々な物があります。もし、足をついたときに、足元に鋭い岩があったらどうでしょうか?当然、怪我をしてしまうと思います。それと同じように、海ではうっかり怪我をしてしまうことがとても多いのです。近年では不法投棄も増え、場所によっては何が沈んでいるかわかりません。慣れないうちはブーツやウエットスーツを着用し、怪我をしないように注意しましょう。
危険な生物による危険
海には危険な生物が多いです。クラゲやサメ、ウミヘビやエイなど、様々な危険な生物が確認されています。それら危険な生物に襲われないように注意する必要があります。
潜る前にダイバー同士で確認するとは思いますが絶対ではありません。毒の対処や襲われた際の対処など、潜る前に確認しておきましょう。
酸素不足による危険
スキンダイビングはスキューバダイビングとは違い酸素タンクを背負いません。そのため、酸素不足という危険が付きまといます。もちろん、自分の事ですので苦しくなる前に浮上するのが一般的です。ですが、何らかのトラブルにより、すぐに浮上できない場合もありえるのです。また、トラブルによって焦ってしまうと呼吸が乱れ、酸素不足に陥ります。酸素が不十分だと意識が失われ(ブラックアウト)、最終的には溺れて亡くなってしまうなんてことも少なくないのです。それ以外にも、酸素不足になる要因は沢山あります。
素潜り記録で無理をして、亡くなってしまうプロのダイバーもいますので、絶対に無理をしてはいけないのです。
耳を壊す危険
素潜りの潜り方は、一般的に頭を下にして垂直に潜っていきます。そのため、頭に血が上り、耳がうっ血してしまいます。うっ血することで負担が溜まり、耳鳴り、難聴、めまいなどの様々な症状を引き起こしてしまうのです。他にも、水圧により中耳炎になる場合もあります。
もちろん、治し方は存在します。「耳抜き」がそれで、耳の内外の圧力差を変化させることで、対処できます。ただ、耳に負担があるのは変わりませんし、耳抜きが苦手な人もいると思います。何度も潜ることで耳への負担が増し、そのうち、耳に変調をきたす場合もあるのです。
治らない病気ではありませんので、耳に変調をきたしたら病院で検査をするようにしましょう。
耳抜きのやり方はどうすればいい?
耳抜きは、ダイバーであればできなくてはならない必須の内容です。耳の内外にかかる水圧差により、耳に変調をきたしてしまいますので、必ずする必要があります。
耳抜きのやり方はいくつかありますが、「耳の内外の圧を均一にする」事が大切ですので、やり方は何でも構いません。最悪の場合鼓膜が破れることもあるそうですので、そうなる前に耳抜きをするようにしましょう。
耳抜きのやり方 その1「バルサルバ法」
1:鼻をつまみ口を閉じる(鼻と口から空気が出ないようにする)
2:鼻をかむように鼻に空気を送る
最も一般的だといわれているやり方です。空気が出ないことで耳に空気が送られ、鼓膜を押し出し耳の内側の圧を治します。
耳抜きのやり方 その2「トレンビー法」
1:鼻をつまむ
2:唾を飲み込む
バルサルバ法と共に有名なやり方です。唾をのみこむことで耳管が開き耳抜きをします。慣れれば鼻をつままなくても、唾を飲み込むだけでできますのでおすすめです。
耳抜きのやり方 その3「フレンチェル法」
1:鼻をつまむ
2:舌の根元(喉側)を上に持ち上げるように舌の運動をする
説明してもわかりにくいですが、大雑把に言ってしまえば、舌と顎を動かすことで耳抜きをします。舌を動かすことで空気が耳管に送られ圧を調整します。
足がつってしまったら?
ダイビングをしていると、稀に足がつってしまうこともあります。普段使用しない足の動きをするだけではなく、フィンを使うことでより足に負荷がかかってしまうのです。地上では足がつっても痛いだけですみますが、水中では足がつると泳ぐのが困難になってしまいます。いざという時のためにも、対処法は知っておいた方が良いです。
足がつる主な原因
・運動不足
・栄養・水分不足
・血行不良(体の冷えなど)
一番の原因は運動不足にによる筋肉の衰えです。普段運動しないことにより筋肉が固くなっている状態に、激しい運動をしてしまうと筋肉が疲労し痙攣(足がつる状態)してしまいます。また、栄養や水分が不足していたり、栄養を運ぶ血液に問題があっても、筋肉を動かす電解質のバランスが崩れ痙攣をおこしてしまいます。
運動不足も栄養不足も、忙しい社会人にはよくある症状です。自覚がある人は普段から注意して体質改善をしておくことをおすすめします。
対処法
足がつってしまったら、痛い部分をゆっくり伸ばします。ただし、無理に、そして急に伸ばすと余計に足を痛めてしまうため、注意が必要です。
もし、泳いでる最中に脚の後ろ側がつってしまったら、慌てずに痛い方の足を前に伸ばし、フィンを自分の方へ引っ張ります。足の先やふくらはぎの裏側のつりならこれで対処することができます。反対に、すねなど脚の前面がつっているようなら、足の裏を尻に付けるようにして脚の前面を伸ばすようにしましょう。
上手くいかないようならフィンを脱いで伸ばしたり、すぐに浮上するなど、絶対に焦らず無理をしないようにしてください。
スキンダイビングをするために必要な道具
スキンダイビングは素潜りですので、極論を言ってしまえば道具は必要ありません。呼吸と潜り方のコツを練習すれば、いつかはできるようになります。ですが、それまでが大変です。マリンスポーツとして楽しむためには、初心者でも楽しくできなければいけません。そのため、フィンやスノーケルといった道具を使用する必要があるのです。
必要な道具 その1「フィン」
スキンダイビングに必須な、3点セットの1つです。フィンは水を掻くために必要なものです。人間の足は水を掻くのに向いてはいませんので、フィンが無ければうまく潜ることもできません。無駄に体力を消費しないためにも、フィンを用意しましょう。
フィンには「バラクーダ」「ミューフィン」「ワープフィン」などの種類や、「ゴム」「プラスチック」「カーボン」などの材質の違いがあります。それぞれ特徴がありますので、店員やインストラクターに確認してからフィンを選ぶと良いです。
必要な道具 その2「マスク」
スキンダイビングに必須な、3点セットの1つです。マスクは水の中でも目を開けやすいようにしてくれます。水の中で目が開けられない人も、マスクがあれば安心です。また、マスクには水の抵抗を防ぐ効果もあります。水に潜るときは水の流れに逆らうため、顔に水圧がかかります。目が開けられないだけではなく、圧が痛いですので、マスクは必ず用意しましょう。
顔にフィットするだけではなく、耳抜きがしやすい、曇りにくい、視界が広い、光の反射を抑えるなど、様々な特徴から選ぶといいです。
必要な道具 その3「スノーケル」
スキンダイビングに必須な、3点セットの1つです。スノーケルは水面に顔を付けたまま息をするために必要になります。水面は光を反射するため、水面上から水中はとても見にくいです。ですが、素潜りをするのに、水中に何があるのかわからない状態では、怖くて潜ることもできません。そのようなときに、スノーケルを使用します。顔を水の中に付けたまま息ができますので、潜る場所をしっかり見ることができるのです。スノーケルが苦手の人もいると思いますが、練習してコツをつかむようにしておきましょう。
マスクとセットされている場合もありますが、水が入りにくい、咥えやすいなどの要素から選ぶといいです。また、分解して掃除しやすいと後々便利です
必要な道具 その4「スーツ」
スーツは水中で体を冷やさないために着用します。水の中は想像以上に冷えますので、体調を崩さないためにも必要です。また、水中で怪我をしないためや、浮力をえるためなど効果もあります。
スーツを選ぶ際は少しキツ目のサイズが良いです。余裕があると水が入り込んでしまい、スーツの意味を成しません。また、泳ぎにくくもなってしまいます。冬用にもっと断熱効果の高いドライスーツもありますので、季節によって選びましょう。
必要な道具 その5「ブーツ」
足を怪我しないために、ブーツも必要です。また、ブーツが無いとフィンによって足が擦れてしまう事もあります。スーツでは足を守ることができませんので、ブーツを履いて足を守りましょう。
フィンはブーツの上から履きます。そのため、フィンに合ったブーツを選ぶといいです。丈夫で足にしっかりフィットする物を選びましょう。
必要な道具 その6「ウェイト」
ウェイトとは錘の事です。錘を付けることで重くなり、沈みやすくします。スーツには浮力を上げる効果もあるため、そう簡単には沈みません。ですが、それだと潜ることもままならなく待ってしまいます。そのため、錘を身に着けることで、少しでも潜りやすくするわけです。
ウェイトは潜れる人には必要ありません。ですが、浮力によって疲れますので、できれなあった方が良いです。特に、初心者は付録のせいで潜ることも難しいですので、用意しておくことをおすすめします。
レンタルもできる
道具は購入してもいいですが、レンタルできる場合もあります。大体の体験教室ではレンタルできますので、本格的にダイバーを目指さないのならレンタルした方が良いです。決して安い買い物ではありませんので、よく考えてから購入しましょう。
スキンダイビングのやり方
スキンダイビングの主なやり方は
1:潜水場所も見定める
2:潜水する
3:水中を楽しむ
4:焦らずに浮上する
の流れで行います。見てわかる通り、難しいものではありません。潜り方が初心者にとっては難しいですが、練習すればできるようになります。スキューバダイビングよりかは覚えるものや練習が少ないですので、初心者でも簡単に楽しむことができます。
スキンダイビングの潜り方と練習法 その1「心構え」
まず、潜り方の前に基礎的な部分を整える必要があります。健康面や体力面に問題が無いことはもちろん、どのような場面でも慌てない精神が必要になります。
水中は地上とは違う別世界です。地上とは違い、トラブルになってもすぐに助けられるとは限りません。もし、何らかのトラブルにより、呼吸が続かなくなってしまったらどうでしょうか?多くの場合、慌てると思います。ですが、慌ててしまうと正常の判断ができなくなってしまい、その結果溺れてしまう危険があるのです。
他にも、正常な判断ができない可能性は多いです。練習の成果が出せないなんてことのないように、冷静に判断し、練習通りに行えるようにしておくことがコツといえるでしょう。
焦るのは仕方がない
どのようなプロダイバーでも、トラブルは焦ります。下手したら溺れてしまうのですから当然でしょう。ですが、多くのダイバーはそれでも問題なく解決しています。それは、トラブルを想定し、事前に練習を繰り返しているから対処できるのです。
焦らないためには、何度も潜り自信を付けることが大切で、焦ってもいいように、体で対象方法を覚えることが大切です。
スキンダイビングの潜り方と練習法 その2「呼吸法」
ただ潜るだけなら難しいことはありません。ゆっくりとお腹の奥から呼吸をするように酸素を取り入れます。
コツとしては、腹式呼吸の練習や腹筋のトレーニング、息を止める練習など、吹奏楽の学生が行っているような呼吸の練習をするといいです。
より深く潜るには?
プロのダイバーはハイパーベンチレーションという呼吸法を行うことができます。この呼吸法は、深く早く呼吸をすることで意図的に過呼吸の状態を作り出し、体内の山荘濃度を低下させることで、普段よりも多く酸素を取り入れられるようにします。やりすぎると過呼吸性症候群になるため初心者には向きませんが、より深く潜る方法として多くのダイバーはできるようにしています。
スキンダイビングの潜り方と練習法 その3「潜り方」
スキンダイビングの潜り方は「ジャックナイフ」と呼ばれるやり方をします。
1:水面にうつ伏せになり呼吸を整える
2:体を縮め、頭を下へ向ける
3:水面を蹴り、頭から直角になるように潜水する
4:少し沈んだら手で水中を掻き、さらに潜水する
5:フィンまで沈んだら、フィンを動かしながらもっと潜水する
コツとしては直角に潜水することが大切です。ズレても問題はありませんが、ズレた分、余計に浮力がかかり、潜りにくくなってしまいます。潜れないと感じたら、垂直に潜ることを意識してみましょう。
スキンダイビングの潜り方と練習法 その4「目線」
自然とできている人も少なくありませんが、潜水する際は、目標物を決めておくといいです。特に気にせず潜っても問題はありませんが、初心者は目標物が無いと、垂直に潜れない場合があります。慣れてしまえば自然と目標物を見つけたり、目標物が無くても垂直に潜れますので、それまでは、真下にある目標物を注視しながら潜るようにするといいです。
スキンダイビングの初心者向け教室
スキンダイビングは潜るだけですので、誰でもできると思います。ですが、それだけではスキンダイビングの面白さがわかりません。また、事故も多いスキンダイビングに、知識もない初心者が挑むのは少々危険といえます。安全に、そして楽しくスキンダイビングをするためにも、初心者向けの教室で学ぶことをおすすめします。
潜り方や耳抜きのやり方、呼吸のコツなど素潜りするための知識から、スキンダイビングの魅力まで教えてくれます。初心者向けに体験教室もありますので、試しに受けてみてはどうでしょうか?
ライセンスの取得?
スキンダイビングにも、スキューバダイビングと同様にライセンスがあります。所得することで安全に素潜りできる証明になるでしょう。ですが、スキューバダイビングとは違い、ライセンスが無くてもスキンダイビングをすることができます。規模は違えど、素潜りをしたことがある人は多いと思います。スキューバダイビングとは違い、道具を必要としないスキンダイビングは、いつでも誰もが気軽にできてしまうのです。
ライセンスは必要ではなく趣味の領域となってしまいますが、興味がある人は受けてみてはどうでしょうか?
フリーダイビングとは?
フリーダイビングとは、潜水記録を競技化したもの指します。別名「アプネア」とも呼ばれ、競技性の高い素潜りをフリーダイビング、競技性の低い素潜りをスキンダイビングと分けたりもするそうです。
フリーダイビングの種類
フリーダイビングには様々な競技があります。
・呼吸を止めたまま潜水し、浮上までの時間を図る「スタティック・アプネア」
・フィンなしでガイドロープをたどって潜水する「フリー・イマージョン」
・潜水距離に挑戦する「ダイナミック・アプネア」
・座ボーラという昇降機にのって潜水し、ロープをたどって浮上する「ヴァリアブル・ウェイト」
などがあります。ギネス記録もある世界的な競技であり、多くのダイバーが潜り方と呼吸法を研究し、コツをつかむため、日々練習をしているのです。
まとめ
スキンダイビングはスキューバダイビングより、ある意味難しいです。水中で息継ぎができないのもそうですが、それ以上に、ジャックナイフが初心者には難しいのです。コツもありますが、多くの場合上手く潜れず、満足に水中を満喫できずに終わってしまうことも少なくありません。そのため、マリンスポーツを楽しむのならスキューバダイビングの方が初心者にはいいのかもしれません。
ですが、スキンダイビングの魅力は身軽さにあります。機材を背負わない分自由に泳げるため、より水中を身近に感じることができます。
スキンダイビングはライセンスも必要ありませんので、コツさえわかればすぐにできます。初心者だけではなく、スキューバダイビングなど、他のダイバーも是非スキンダイビングにチャレンジしてみてください。
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