あんこうの生態や調理方法が知りたい!
あんこうといえば、冬の鍋の具の中でも人気が高く高価な具材として珍重されます。吊るし切りでも有名なちょっとグロテスクでユニークな形をした魚です。実はこのあんこうは道具を使う賢い魚という生態の秘密があるのをご存知でしょうか。今日はあんこうという魚の道具を使う生態とともに、旬の時期やその味、料理方法・食べ方・レシピをご紹介します。鍋以外にもあんこうの身を美味しく食べる方法は必見です。
あんこうの生態
あんこうには他の魚にはなかなか見られない特徴や、その特徴からくる英語名がありました。今まで知らなかったあんこうの生態に触れてみましょう。
食べられるあんこうの種類
あんこうはあんこう目の魚のことを差しますが、食べられるあんこうはすべて「あんこう科」のあんこうだけ。300種ほどいるあんこうの仲間の中でも25種類ほどしかいません。その全てが海水魚で深海魚。その代表的なものにキアンコウやクツアンコウがいます。日本では一般的にあんこうと呼ばれているのはクツアンコウのこと。キアンコウは本あんこうとよばれています。
あんこうの英語名は釣り師?
あんこうの英語なには「Monkfish」や「Goosefish」などもありますが、「Angler」と呼ばれることもあります。これはあんこうの捕食を例えたことばです。最近では日本でも釣りをする人のことをアングラーと呼びますね。このアングラーと同じことば。あんこうが道具を使って自分の餌を釣ることからこの名前が付けられました。
あんこうの使う道具とは
鼻先についている棒状のものの先にヒラヒラがついている道具であんこうは自分の餌をおびき寄せます。その様子が釣りをしているようだということでAngler(アングラー)=釣り師と名付けられました。自分の体の一部を捕食するための道具として使う面白い生態を持っている魚、それがあんこうなのです。
あんこうの旬
あんこうの旬って漠然と「冬によく見かけるから冬じゃないのか」と思っているのではないでしょうか。あんこうの旬は冬で間違えないのですが、その理由を知ることでもっとあんこうが食べたくなるかもしれません。
あんこうと言えば鍋!鍋といえば冬!
あんこうといえば鍋料理という人も多いでしょう。そのくらいあんこうは鍋で食べられることが多い魚です。鍋が美味しい季節といえば冬ですね。当然あんこうの旬の時期もこの鍋の旬とかぶることになります。あんこうの美味しい旬の時期は12月から2月の寒い時期。鍋の美味しい時期となっています。
旬のあんこうが美味しい理由
ほとんどの魚の旬は出産を控えて脂がのった時期とされています。あんこうの旬もこの例にもれないのですが、この他にも理由があります。冬場の寒い水温により身が締まるということ。あんこうの肉も味が良くなること。あんこうの珍味「あん肝」も春に向けて肥大化してくる時期だということです。もうあんこうを食べるには冬しかないというくらい美味しさがアップしているのが旬の時期ということなんですね。
あんこうの調理
あんこうの調理方法といえば、その変わった捌き方があります。あんこうが吊るし切りにされるのにはそれなりの理由があったのです。あんこうの吊るし切りの仕方とその理由についてご紹介します。
あんこうの触り心地
あんこうの調理方法を説明するには、まずあんこうの皮膚の様子やその触感について語らなければいけません。なぜなら、あんこうの調理方法はその皮膚の触覚によって考え出され、選ばれた調理方法だからです。あんこうの皮膚はとてもヌルヌルしていてすべりやすいです。うなぎを想像してもらえばよいでしょう。うなぎのようなものならまな板の上に釘で打ち付けて捌くこともできますが、あんこうは体も大きいのでそれは無理。ということで考えられたのがあんこうの調理法吊るし切りです。
あんこうといえば吊るし切り
あんこうの吊るし切りをするには、まずあんこうを高所から吊るした状態で体の中に水を入れます。その状態で調理人は道具は出刃包丁1本で見事に調理していきます。これをあんこうの吊るし切りといいます。動画の中でもいっていますが、あんこうの身がやわらかいこと、体が大きなこと、皮膚がヌルヌルでよく滑ることから吊るし切りの調理法が出来ました。
吊るし切りとはどんな調理方法?
あんこうは調理する場合7つの部位に分けて捌いていきます。まずは1つめの部位「ひれ」をとり、その次に「皮」を捌いていきます。魚の皮をはぐのは大変というイメージがありますが、あんこうの吊るし切りにおいてはあっという間に皮をはぐことができます。その後、「えら」や「きも」、「胃袋」。その次にさばくのが「ぬの」と呼ばれる部位。これはあんこうの卵巣のこと。ひらひらとした布のようなものの内側にびっしりと卵がついています。最後の最後でさばくのが「だい身」。あんこうの身です。これであんこうは頭と骨だけの姿になり吊るし切りが終了となります。
あんこうの七つ道具ってなに?
あんこうの七つ道具とはあんこうの吊るし切りにして切り取る食べられる部位のことです。詳しくは以下のようになります。
あんこうの七つ道具一覧
ひれ | 付け根の部分が美味とされています |
皮 | ぬるぬるのあんこうの皮膚には コラーゲンが豊富に含まれています |
えら | あんこうはえらも食べられる魚です |
肝 | ご存知あん肝はこの部分 |
胃袋 | あんこうの胃袋は食べた小魚に 逃げられないように返しがついています |
ぬの | あんこうの卵巣。 平たい形をしていることからこの名前で呼ばれます |
だい身 | あんこうの身です。白身でプリプリ。 生でお刺身で食べるにはひと手間必要となってきます。 |
あんこう料理・レシピ①刺身
新鮮な骨の周りの身だけが刺身になる
あんこうの吊るし切りの中でも一番最後に取られる部位があんこうの身です。このあんこうの身は白くて柔らかく、とても美味しそうです。このあんこうの身を刺し身にして食べる食べ方もとても美味だといわれています。しかし、あんこうの刺身は血抜きをしたり湯通しをしたりするので完全な生でないことも多いです。あんこうは刺身を食べるのに部位が限られ、尚かつ手間がかかる魚なんですね。
肝と一緒に!あんこうの刺身
あんこうの刺身を食べるとき、ほとんどといってよいほどあん肝と一緒に出されるでしょう。他の魚でも肝が食べられるものであればよく刺身に肝じょうゆを付けて食べる食べ方をしますね。あんこうもそんな肝じょうゆで刺身を食べるのが美味しい魚。あん肝はとっても大きいので肝じょうゆにするくらいの量は気にせずに美味しく食べましょう。
あんこう料理・レシピ②友酢
身や皮と肝のハーモニー
あんこうの皮の部分はコラーゲンがたっぷりのプリプリの食べごたえで美味です。その美味しいあんこうの皮の部分をさらに美味しく食べる方法がこの友酢や友和えとよばれる食べ方です。肝と酢味噌を合わせたものとさっと湯通しした皮などを和えていただく調理法。水戸の郷土料理といわれますが、他にも和食料理店などであんこうメニューとして出しているところもあるようです。
あんこうの代表的な一品料理
あんこうは鍋にされることが多いですが、肝以外の部位を一品料理にするものはあまり料理の数がありません。友酢はそんなあんこうの一品料理やお酒のアテとしても人気の高いよく作られる料理です。作り方も簡単ですので、あんこうの皮やあん肝が手に入った時にサッと作れるのも良いですね。
あんこう料理・レシピ③唐揚げ
プリプリした身が口の中でとろける!
あんこうの身の食べ方として鍋の次にポピュラーなのは唐揚げではないでしょうか。色んな料理屋であんこう料理として提供されます。唐揚げという味つけをして揚げるだけという調理法が手軽であることもあるのかもしれませんが。何にしろ、白身のあんこうの身には揚げ物がよく合います。大人も子供も好きな人が多いあんこう料理メニューでしょう。
から揚げ粉は片栗粉+クレイジーソルトがおすすめ
あんこうの唐揚げは鶏のから揚げ用の粉でも良いですが、少しピリッとスパイシーなものが淡白なあんこうによく合います。もしあんこうの肉が手にはいりご家庭で作る場合は、クレイジーソルトなどスパイスやハーブを入れたから揚げ粉で作ってみてはいかがでしょうか。いつものあんこうの唐揚げが一味違った味に仕上がります。
あんこう料理・レシピ④どぶ汁
あんこうの肝を炒ってドロドロにした汁
元々は漁師料理として食べられ始めたのがどぶ汁のはじまりだそうです。鍋であんこうの生の肝を乾煎りしてから具材を入れた汁で、汁といっても一切水分を加えずあんこうの身から出る水分だけで作った汁です。現在はこの製法ではお店では出すことが出来ないため、水や酒など水分を加えたものをどぶ汁と呼んでお店で出されています。
どぶ汁に入れたい具材
船の上で作るのにはそれほど材料もないでしょうが、家で作るならおすすめの具材は長ネギと豆腐です。どぶ汁はあんこう鍋の素朴なものと考えるとよいでしょう。その他のお好きな材料も入れて、あんこうの部位をすべて入れて煮込みます。コラーゲンたっぷり、栄養抜群の汁物料理です。
あんこう料理・レシピ⑤あん肝
あんこうと言ったらあん肝!
トロッとした舌触りとじゅわっと滲み出る旨みでお好きな人も多いのがあん肝。あんこうの生の肝が手に入ったら自宅で作れたら料亭の半分以下の値段で思い切り食べることができちゃいます。あんこうの肝が手に入ったらぜひ作りたいのがあん肝料理でしょう。
ジップロックで簡単調理
あん肝は臭みとりの意味も含めて塩をまぶして放置してから水洗いをします。酒としょうゆを同量の分量で混ぜ合わせたつけ汁を作り、ジップロックに入れたあん肝をつけ汁で半日ほど冷蔵庫の中で漬け込みます。あとは電子レンジで3~4分(お使いの電子レンジによって加減してください)チンしてあとは冷まして切り分けていただきます。お酒としょうゆにあん肝の旨みが染み出して、噛むとにじみ出る汁がとっても美味しいあん肝です。
まとめ
道具を使う賢くて面白い魚、あんこう。その美味しい食べ方もご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。もちろん、あんこうといえば鍋が美味しい食べ方なのですが、鍋以外にもあんこうの食べ方があるということを知っていただけたかと思います。機会があればぜひ、鍋以外にもあんこうの食べ方に挑戦してみてくださいね。
魚が気になる人はこちらをチェック!
暮らし~のではあんこう以外の魚についてもたくさんご紹介しています。珍しい魚、よく知っているようで知らないことがある魚など、魚の生態やその食べ方、釣りに関しても色々な情報をご紹介しています。気になる方はぜひチェックをしてみてくださいね。
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