鮭とは?どんな魚?
日本人にとって身近な魚といえば、サンマやアジ、鯛などと同時に思い浮かぶのが、鮭!旬の時期に限らず一年中スーパーなどに出回っており、焼き鮭やお刺身、鮭弁当、鮭フレーク、スモークサーモンなど食べ方も様々で、癖もなく食べやすい魚として人気です。他の魚と違って独特のピンク系の身の色や、切り身の切り方も特徴がある魚です。北海道など北の方でとれる魚、熊が川で捕獲する魚、釣りで狙う大物、といったイメージもある鮭とはどんな魚なのでしょうか。
知ってるようで知らない鮭の生態
鮭は成長すると体調60~80cm程度になるサケ目サケ科サケ属の魚で、成熟すると体が黒くなり、雄は上あごの先が大きく下方へ曲がってきます。日本の鮭は2~6歳魚になると、産卵のために生まれ育った川に返ってきます。稚魚は小型の動物性プランクトン、成長すると沖アミやイカ類の稚仔、中型のプランクトンを食べます。なお、日本で主にとれるシロサケは、淡水域のみでは成熟できず、海洋依存度が高いことがわかっています。
鮭の母川回帰の謎
鮭といえば、川で生まれて北太平洋と北極海の一部で成長し、秋ごろの産卵期に育った川に産卵するために遡ってくるのが特徴です。産卵時には雄と雌がつがいとなって川底に産卵床を作り、その中へ雌が産卵し、雄が放精して受精卵が形成されます。生まれた川からは遠い広い海で成長したのに、なぜ元の川へ戻ってくるのかやどうやって戻れるのかには諸説あります。身近な魚ですがまだ謎な部分も多い魚です。
鮭の生息地や釣りスポットは?
鮭は日本では北海道および島根・茨城以北の本州の河川で生まれ、日本海やオホーツク海、北太平洋、ベーリング海など水温の低い海域を回遊して成長します。鮭釣りに旬の時期は、8月下旬から12月頃で、例年9~10月が釣りのピークです。国内では河川での鮭釣りは数か所しか認められておらず、調査目的でという名目での釣りとなります。抽選などで選ばれたり釣りあげた鮭は持ち帰りできないといったルールがあります。釣るとしたら増殖事業をしている河川の河口付近や港でのルアー釣りなどになりますが、旬の時期になると釣り人でごった返すので場所取りも大変になります。
読み方は「サケ」?「シャケ」?
鮭と書くと「サケ」と読む人が多いかもしれせんが、通常の呼び方は「シャケ」と呼ぶ人も多いのではないでしょうか。調査によると、「サケ」派が38.2%、「シャケ」派が61.8%と「シャケ」と呼ぶ人の方が多い結果となっています。広辞苑に乗っているのは「サケ」ですが、どちらも同じ魚をさし間違いではありません。2通りに分かれた原因としては、「さ行」が言いづらく訛った説やアイヌ語起源説、生物か食用かまたは生か加工かで違う説など諸説ありますが、地方によっても多数派が分かれるようです。
鮭と鱒(マス)は同じ?サーモンやトラウトは?
鮭と鱒、同じようなピンクの身に味も似ており区別がつきにくいですが、違いは何なのでしょうか。分類学上「サケ科」は存在しますが「マス科」というものはなく、日本では鮭も鱒もサーモンも生物学的には明確な区別はありません。日本では古来からシロサケだけを「鮭」とよび、その他の鮭を「鱒」と呼んでいましたが、北方の開拓や北洋漁業により別の種類が次々と現れ、さらに「鮭」の方が高級なイメージであることから「紅鮭」や「銀鮭」の名で販売されるようになりました。なお、英語では海洋生活をするものをサーモン、河川で一生を過ごすものをトラウトと呼び分けられています。
鮭の旬の時期や味は?
養殖や冷凍などで通年食卓に並ぶ鮭ですが、旬の時期は通常9~11月の秋頃です。日本では鮭といえば白鮭をさしますが、他にも銀鮭、紅鮭、キングサーモン、サクラマス、カラフトマスなど様々な種類が流通しており、それぞれ旬の時期も違えば味や適した調理方法・食べ方も異なります。
白鮭
一般的に日本で鮭というとこの白鮭を指します。旬は9~11月頃ですが、とれる時期によって5~6月は時鮭(時知らず)、9~11月は秋鮭・秋味・めじか、11月上旬~下旬は鮭児(けいじ)などと呼び分けられる場合もあります。赤味が薄くて脂身が少なくあっさりとした味で、石狩鍋やあら汁、ちゃんちゃん焼きや炊き込みご飯といった食べ方に適しています。
銀鮭
8~10月が旬の銀鮭は北太平洋に生息し、チリなどからの輸入物が多く、塩鮭や缶詰などの加工品に利用されます。名前の通り銀色に輝く皮が特徴。コクがありしっかりした味なので塩焼きやちゃんちゃん焼き、石狩鍋などに適しています。
紅鮭
6~8月が旬で北太平洋に生息し、ほとんどはロシアやカナダ、アラスカからの輸入物です。秋になると頭以外が濃紅色になるのが特徴で、スモークサーモンの原料としてよく使われます。銀鮭同様石狩鍋や汁物のほか、ちゃんちゃん焼きや塩焼き、お茶漬けなどによく合います。
キングサーモン
別名「ますのすけ」と呼ばれる4~6月が旬の大型の種類。ほとんどはカナダなどの養殖もので、脂身が多く舌触りが良いのが特徴です。身が厚くてボリューム感があるのでソテーやムニエルなどにすると見栄えがよく、レモンなどさっぱりとした味付けの食べ方が好相性です。
サーモントラウト
チリやノルウェーなどで養殖されたニジマスで、厳密には鮭ではなく鱒の仲間。旬は6~8月の夏頃です。クセがなくあっさりと万人受けする味なので、コンビニのおにぎりやお弁当の具、ます寿司などに使用されます。その他、パスタやクリームシチュー、マリネなどの食べ方に適しています。
アトランティックサーモン
近年日本への輸入が増えている、大西洋を中心に分布する別名ノルウェーサーモン、タイセイヨウサケ。ほぼ養殖なので旬はなく通年出荷されていますが、秋から春にかけての方が味が良いです。脂が多くまったりと甘みが強いのが特徴で、ホイル焼きやソテー、ムニエル、蒸し料理といった食べ方に適しています。
鮭の卵「イクラ」と「すじこ」の違い
鮭の生食といえば、お刺身と同時に「イクラ」も人気があります。鮭の卵として有名なイクラですが、似たようなもので「すじこ」というものがあります。実は、イクラもすじこも同じ鮭や鱒の卵です。すじこは「筋子」と書き、鮭や鱒の未成熟な卵を卵巣ごと(筋のまま)塩漬けやしょうゆ漬けにしたものを言います。筋子をとった鮭は魚としてはまだ旬ではなくおいしくないため、筋子用のためだけの鮭として使われます。一方イクラはしっかりと成熟した卵をほぐしてしょうゆ漬けにしたものをさします。
鮭は生で食べてもOK?
鮭はお刺身やお寿司としても食べているとおり、生でも食べることができます。クセが少なくとろっとして濃厚で甘みのある味で、生魚が苦手な人でも比較的食べやすい人気のある魚です。ただし、鮭のほかサバやアジ、イカなどの魚介類にはアニサキスという寄生虫の一種が潜んでいる場合があり、食後数時間後に猛烈な腹痛や嘔吐などを起こす原因となります。養殖の場合はアニサキス寄生の原因となるオキアミなど生のエサを与えていないため寄生虫はいないという説もあります。また、マイナス20度以下で凍結すれば斃死するので問題ありませんが、生の場合は気を付けましょう。
調理方法別!鮭を使った料理レシピ 生食編①
サーモンの刺身
生のサーモンを薄く切ったサーモンのお刺身は、甘味があってとろけるような柔らかさでクセも少なく、生魚が苦手な人でも比較的食べやすい刺身です。レモンなどさっぱりしたフレーバーのものを足したり、玉ねぎスライスなどを添えてマヨネーズをかけて味わうのもおすすめです。また、表面だけバーナーで軽く炙って食べてもおいしくいただけます。
作り方
1. 生のサーモン(冷凍の場合解凍しておく)を薄く切る
2. 皿に大根つまや大場、レモンなどを盛り付けておく
3. 1を2にきれいに盛り付け、わさびを添える
4. 刺身醤油を小皿に用意しておく
※お好みで玉ねぎスライスとマヨネーズを
調理方法別!鮭を使った料理レシピ 生食編②
サーモン丼
生のサーモンはお刺身としてそのまま食べる食べ方でもおいしいですが、ご飯の上にのせて海鮮丼にするのもおすすめです。鯛やアジ、イカ、エビ、タコ、ヒラスなど他のお刺身と一緒に海鮮丼としてミックスでのせて色々な味を楽しむのもいいですが、サーモンだけをのせたサーモン丼はサーモン好きにとっては贅沢な一品。刻みのりだけでなくイクラをのせて「サーモン親子丼」にするという食べ方もあります。
材料(1人分)
サーモンの刺身 ・・・8~10切れ
ご飯 ・・・お茶碗1杯程度
しょうゆ ・・・大さじ1
酒 ・・・小さじ2
みりん ・・・小さじ1
白ごま ・・・適量
刻みのり ・・・適量
わさび ・・・適量
作り方
1. どんぶりにご飯を入れておく
2. 耐熱容器に酒とみりんを入れ、レンジで加熱して沸騰させる
3. 2を冷ましてしょうゆを混ぜる
4. 1の上にサーモンの刺身を盛り付け、3をかける
5. 4に白ごまと刻みのりをかけ、わさびを添える
調理方法別!鮭を使った料理レシピ 加熱調理編①
焼き鮭
シンプルだけどみんな大好きな焼き鮭は、鮭弁やおかず、ほぐしておにぎりの具にするなど色んな食べ方ができます。ほんのり塩味があとを引くおいしさで、少量でもご飯がどんどん進みます。塩味がついた鮭の場合しょっぱくなってしまいますので、味付けはしなくても十分おいしくいただけます。味付けには注意をしましょう。
おいしい焼き方
作り方は焼くだけなので簡単です。フライパンでもグリルでもレンジでもできます。おすすめは。鮭の切り身に小さじ1杯の日本酒をかけ、予熱したグリルの端の方に置いて7分程度焼く方法。日本酒をかけることで身も味もふんわりとして、こんがりおいしく焼くことができます。
調理方法別!鮭を使った料理レシピ 加熱調理編②
サーモンときのこのバターホイル焼き
鮭といえば、ホイル焼きがおいしいお魚のひとつです。野菜やきのことの相性もよく、バターやマヨネーズなどの熱を加えるといいかんじに仕上がる食品ともよく合いますのでホイル焼きには最高の食材です。野菜をたっぷり入れてホイルで焼けば、一度に主催と副菜を調理できるので楽チンです。簡単なのに見栄えはボリューム感たっぷりなのもたすかるレシピです。
材料(1人分)
鮭の切り身 ・・・1切れ
しめじ ・・・適量
玉ねぎスライス ・・・適量
ブロッコリー ・・・適量
刻みねぎ ・・・少々
塩コショウ ・・・少々
バター ・・・適量
※またはチーズ、マヨネーズ
作り方
1. 鮭の切り身は両面に軽く塩コショウを振っておく
2. アルミホイルを広げ、玉ねぎ、鮭、しめじの順にのせる
3. 2の横の方にブロッコリーを添える
4. 塩コショウをふり、バターまたはチーズ(マヨネーズ)をかける
5. ホイルをたたむ
6. 5をフライパンまたはグリル、トースターで焼く
調理方法別!鮭を使った料理レシピ 主食編
ほうれん草とサーモンのクリームパスタ
濃厚なクリームソースとピッタリの鮭。これまた相性の良いほうれん草と一緒にパスタソースとして使うのも定番です。細めの麺でもフェットチーネなど太目の麺にも合います。簡単な調理方法だけど、魚も野菜も炭水化物も一緒にとれる栄養バランスもよい一品。
材料(2人分)
パスタ ・・・140g
鮭の切り身 ・・・1切れ
ほうれん草(冷凍)・・・適量
生クリーム ・・・100ml
粉チーズ ・・・20g
ブラックペッパー ・・・少々
オリーブオイル ・・・適量
作り方
1. 鮭は皮と骨を取り除いておき、一口大に切る
2. ほうれん草はレンジで解凍し、水気を切っておく
3. 大き目の鍋に多めのお湯を沸騰させ、パスタを茹でる
4. フライパンにオリーブオイルを熱し、鮭を炒める
5. 4の火が通ったら一旦火を止め、生クリームを入れて中火で温める
6. 5が沸騰したら火を止め、ほうれん草と茹で上がったパスタを加える
7. 6に粉チーズと塩を少々入れ、混ぜ合わせる
8. 器に盛り付け、ブラックペッパーを振る
調理方法別!鮭を使った料理レシピ 加工料理編①
スモークサーモンのサンド
ほんのりスモーキーなフレーバーと塩味がきいたスモークサーモンは、使うだけで何でもおしゃれ料理になります。クリームチーズやアボカド、玉ねぎスライスやトマトとの相性がよく色どり的にも映えるので、ベーグルやパンに挟めば簡単にインスタ映え料理が作れます。
材料(1人分)
ベーグル ・・・1個
スモークサーモン ・・・適量
クリームチーズ ・・・適量
玉ねぎスライス ・・・小1/4個分程度
トマトスライス ・・・小1/4個分程度
ブラックペッパー ・・・少々
※お好みでバジルの葉など
作り方
1. ベーグルは水平に2つに切り分けておく
2. 1の表面にそれぞれ厚めにクリームチーズを塗る
3. 2に具材をのせてブラックペッパーを軽くふって挟む
調理方法別!鮭を使った料理レシピ 加工料理編②
鮭とばマヨディップ
鮭をビーフジャーキーのように乾燥させて加工した鮭とばは、お酒のおつまみとして人気です。しっかりした噛み応えと塩味がきいていて、食べ出したら止まらなくなる珍味です。塩分が多いので食べすぎには注意が必要ですが、保存性も高く、実はアレンジ次第では色んな料理にも応用できる万能食材でもあります。でもやっぱり王道はシンプルに、軽く炙って食べるのがベスト。そのままでも十分ですが、マヨネーズをちょっとつけて食べるのがおすすめです。
作り方
1. 鮭とば適量を炙るまたはトースターで軽く焼く
2. マヨネーズに七味を少量混ぜておく
3. 1を2にディップしながら食べる
調理方法別!鮭を使った料理レシピ 加工料理編③
イクラのだし巻き卵のせ
陸の卵と海の卵の競演。意外な組み合わせかもしれませんが、甘い出汁巻き卵にじゅわっとしょっぱいイクラがとてもマッチしている一品です。柔らかい出汁巻き卵とプチプチしたイクラの食感もうまく組み合わさっています。いつもの出汁巻き卵にあきたら、イクラをちょっとかけるだけで高級感が出て味も食感も違ったものが味わえます。
材料(2人分)
卵(Mサイズ) ・・・3個
鰹出汁 ・・・50cc
しょうゆ ・・・小さじ1
みりん ・・・小さじ1杯半
塩 ・・・少々
オリーブオイル ・・・適量
イクラ ・・・適量
作り方
1. ボールに卵を溶き、調味料をすべて入れて混ぜ合わせる
2. 玉子焼き用フライパンを火にかけ、オリーブオイルをひいて温める
3. 2が温まったら中火にし、1の卵液の1/3程度を入れる
4. 卵をくるくると返して残りの卵液を追加していく(3回程度に分けて入れる)
5. 形をきれいに整えながら焼き、適度な大きさに切って皿に盛りつける
6. 5を少し冷ましてからイクラを適量かける
まとめ
身だけでなく卵や卵巣まで食べられ、色々な食べ方や調理方法がある人気の魚「鮭」。体調1m近くにもなる魚で釣り人の憧れでもありますが、日本では規制が厳しく、なかなか国内で釣り上げるのは困難な魚です。しかし最近では輸入物の色んな種類が出回っており、一年中鮭を味わうことができます。簡単で応用幅の広い料理食材ですので、ぜひ焼くだけではなく色んな食べ方に挑戦してみましょう。
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