鮭・サーモンの種類
鮭と呼ばれるものの種類
鮭と呼ばれてるものは、主に白鮭、銀鮭、紅鮭です。日本では白鮭の漁だけしか行っていないため、銀鮭や紅鮭はほぼ輸入品になります。銀鮭は養殖もでき、日本では宮城県で養殖されてるんですが、
流通量が少ないためスーパーなどで見かけることはあまりありません。主な輸入先は、銀鮭はロシアやチリ(養殖)、紅鮭はロシアやアラスカです。
白鮭
白鮭は、獲れる季節などによって呼び方が変わります。秋に獲れるものを秋鮭、春から初夏に獲れるものを時鮭、産卵で戻る鮭の群れにいる希少な銀色の若鮭を鮭児、保存のために塩漬けにして荒縄で巻いたものを新巻鮭といいます。
サーモンと呼ばれるものの種類
サーモンと呼ばれてるものは、キングサーモン、アトランティックサーモン、サーモントラウトです。キングサーモンは、日本に流通してるものはほぼ輸入品で、主な輸入先はカナダやアラスカになります。
日本で全く獲れないわけではありませんが、迷い込んだキングサーモンが稀に獲れる程度なので、日本ではキングサーモンを目的に漁は行われてないんです。
アトランティックサーモン
アトランティックサーモンというのは、大西洋で獲れるサーモンという意味で、セイヨウサケ、タイセイヨウサケともいいます。日本のスーパーなどで見かけるのは、ほとんどが養殖のアトランティックサーモンです。
ただ、日本ではサーモントラウトの方が流通量が多く、手頃な価格で購入できます。では、サーモントラウトってどんな魚かご存知ですか?そんなサーモントラウトについて説明します。
サーモントラウトの正体
サーモントラウトの分類・名前の意味
サーモントラウトは、ニジマスの一種で、サケ科タイヘイヨウサケ属ニジマスに分類されます。白鮭とサーモントラウトは種類は違いますが、どちらもタイヘイヨウサケ属なので、両者は遠い親戚のような関係です。
サーモントラウトというのは、実は商品名。この商品名には、「ニジマスに鮭やサーモンの特性を持つものをかけ合わせてできたもの」という意味があります。トラウトは、マスという意味です。
ニジマスとは
本来のニジマスは、サケ科の淡水魚です。英名をレインボートラウト(rainbow trout)といい、日本で言うニジマスは英名を直訳しただけです。ニジマスには2種類のものがおり、海へ下る降海型と一生淡水で暮らす陸封型がいます。
降海型のものは、全体的に少し黒っぽい色をしてるので、スチールヘッド(鋼の頭)とも呼ばれているんです。
サーモントラウトが生まれた経緯
サーモントラウトは、ニジマスを改良し、さらに改良を重ねて作られたものです。まず、陸封型のニジマスをドナルドソン博士によって品種改良されました。その後、海で養殖できるように、さらに改良が進みます。そうして生まれたものが、サーモントラウトなんです。
サーモントラウトの養殖
サーモントラウトの生産地
サーモントラウトの主な生産地は、チリ、ノルウェー、カナダです。日本で流通してるサーモントラウトも大半はチリなどからの輸入品になります。
サーモントラウトを育てるには、水温を20度以下に保つ必要があり、日本でも養殖してるところはありますが生産地も生産量も多くはありません。現在は、青森県を中心に広島県や福井県などで養殖されています。
養殖ものは天然ものをしのぐ勢い
現在、サーモントラウト、アトランティックサーモン、銀鮭などの養殖ものの生産量が増えています。天然ものは、天候や季節によって漁獲量が変わるため、出荷量が安定しない一方、養殖のものは安定して出荷ができます。
以前は、銀鮭の生産、入荷量が最大でした。しかし最近では、出荷調整ができて銀鮭より成長が早いなどの理由から、サーモントラウトの生産量が伸びています。
サーモントラウト・鮭・サーモンの違い:特徴
サーモントラウト・鮭・サーモンには、種類の違いがあることはわかりました。では、見た目、味、食べ方、栄養はどんな違いがあるんでしょうか?鮭とサーモンに関しては、日本で一般的な白鮭とアトランティックサーモンを挙げて、3種の違いを説明します。
サーモントラウトの特徴
サーモントラウトの全長は約100cm。よく成長するため大型に育つが、日本で養殖されているものは、約30cmのものが多く小型になります。身の色は、とてもきれいでピンクに近いオレンジです。養殖ものしかないため、アニサキスなどの寄生虫の心配がありません。
鮭の特徴
白鮭の全長は、約80cm。養殖はされていません。身の色は、他の鮭などより薄いオレンジ色です。火を通すと白っぽくなるため、白鮭という名がついたともいわれています。日本で獲れるいくらは、主に白鮭の卵のことです。
アトランティックサーモンの特徴
アトランティックサーモンの全長は、約100cm。身の色は、サーモンピンクできれいですが、サーモントラウトより少し薄い色です。アトランティックサーモンの価格は、銀鮭やサーモントラウトなど他の養殖ものより高く、特に生食用のものは最も高価になります。
サーモントラウト・鮭・サーモンの違い:味
サーモントラウトの味
サーモントラウトは、適度に脂がのっていて旨みはありますが、少しあっさりした味になります。海で育てることで旨みや脂肪分が増えて美味しくなるようです。
鮭の味
白鮭は、脂のりが少なくてあっさりとした味です。白鮭は季節によって呼び方が変わりますが、味も変わります。秋鮭は、通常の白鮭よりさらにあっさりした味です。時鮭は、1番脂がのっていて、刺身など生で食べると甘味があります。
そして鮭児は、生で食べればトロのような味わい、火を通しても柔らかく甘みがあってとても美味しいです。
サーモンの味
アトランティックサーモンは、脂がのってこってりした味。食感は、サーモントラウトより少し柔らかく、火を通しても硬くなりにくいです。そのため、色も味も一級品といわれています。
ただ、日本では濃いめの色とあっさりした味を好む人が多く、サーモントラウトの方が人気があるようです。
サーモントラウト・鮭・サーモンの違い:食べ方
サーモントラウトの食べ方
サーモントラウトは、刺身やカルパッチョ、寿司など生で食べられることが多いです。火を通しても硬くなりにくいため、塩焼きやソテー、フライにも適しています。
鮭の食べ方
白鮭は、季節に関係なく塩焼きや汁物など火を通して食べることが多いです。天然の鮭は、寄生虫がいるから刺身では食べられないとよく言われます。一度冷凍すれば寄生虫は死滅するので、冷凍して解凍した鮭であれば生食もできるんです。
お店で生食用の鮭を購入、注文する際は、解凍品かどうかを確認してください。刺身で食べる場合は、時鮭や鮭児がおすすめです。
サーモンの食べ方
アトランティックサーモンは、主に刺身など生で食べられることが多いです。切身としても販売されているため、塩焼きやムニエル、フライにもできます。火を通しても硬くならず、ふんわりと仕上がるので美味しいです。
アトランティックサーモンは、加工してスモークサーモンとしても販売されています。
サーモントラウト・鮭・サーモンの違い:栄養
サーモントラウトの栄養
サーモントラウトの100gあたりのカロリーは、226kcal。特に脂質が多いです。DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。たんぱく質やビタミン、ミネラルも多いです。
鮭の栄養
白鮭の100gあたりのカロリーは、132kcal。良質なたんぱく質を多く含み、魚類の中ではトップクラスです。DHAやEPAも含まれていますが、サーモントラウトほど多くはありません。
ただ、養殖のサーモントラウトでは少ない、抗酸化作用のあるアスタキサンチンが多く含まれています。
サーモンの栄養
アトランティックサーモンの100gあたりのカロリーは、237kcal。脂質が高く、DHAやEPAも含まれています。ビタミンやミネラルも豊富です。ただ、カロリーが高いため、ダイエット中などは食べ過ぎに注意してください。
サーモントラウトを使った加工品
サーモントラウトは、スモークサーモンや塩ざけなどに加工されています。粕漬けや西京漬けなどの漬け魚としても加工でき、漬け魚としての種類が豊富です。そして、日本各地の名産品の材料にも使われています。代表的なものとして、富山県のますのすし、糀漬けです。
サーモントラウトの表示の意味
食品の表示の意味
生鮮品や加工品には、産地や原材料などが記載してあります。これらの表示には、「消費者を守るため」という意味があるんです。食品表示法や景品表示法という法律に基づき、表示されています。では、この食品表示法と景品表示法の違いとは何でしょうか?その違いについて説明します。
食品表示法と景品表示法
食品表示法(2015年施行)とは、原材料や産地、栄養成分の表示を義務付ける法律。景品表示法(1962年制定、2016年改正案施行)は、商品やサービス全般の虚偽表示、誇大広告を規制する法律。サーモントラウトなどの魚介類は、「魚介類の名称のガイドライン」に基づき種名での表示が基本です。
サーモントラウトの表示(スーパー・魚屋)
スーパーなどでは食品表示法が適用され、サーモントラウトは、主にサーモントラウトやニジマスと表示されることが多いです。しかし、ニジマスと表示されてたら川魚を連想する人もいます。
そのため、種名から商品を特定しにくい場合は、商品名でもいいんです。ただ、鮭とは種類が違うので、鮭やサケと表示すれば違法になります。サーモン(養殖)の表示はいいようです。
サーモントラウトの表示(レストラン・寿司屋)
レストランなどでは景品表示法が適用され、サーモントラウトは、主にサーモントラウトやサーモンと表示されます。景品表示法は、嘘や過大に期待させる表示はだめというだけなので、鮭と表示しなければいいのです。
そもそも、ガイドラインにサーモンの定義がありません。人によって連想するサーモンの種類が違い、過大に期待させるともいえないので、サーモンという表示は違法にはならないようです。
まとめ
鮭・サーモンについて気になる方はこちらもチェック!
サーモントラウトを中心に、鮭・サーモンについて説明しました。当サイト「暮らし〜の」では、鮭釣りの情報やレシピも紹介しています。鮭・サーモンに関する情報が気になる方は、是非こちらのリンクをチェックしてみてください。
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最後に
サーモントラウト・鮭・サーモンは、さまざまな種類があり、店で見ないことはないので、年中食べることができます。種類によって味も違うので、料理によって使い分けることもできます。ここで紹介した情報をもとに、一度食べ比べてみてください。