深海に生息する魚「マンダイ」
マンダイという魚をご存知でしょうか。名前からして「タイ科」の魚かと誤解する方が多いのですが、実はタイとは全く別種の魚です。生息水域は深海で、有名な深海魚の「リュウグウノツカイ」の近縁種に当たります。
深海魚は「アンコウ」を初め、ユニークな生態をした魚が多いですが、このマンダイも同じくかなり独特で面白い生態をしています。今回はこのマンダイについてご紹介しますので、どうぞお付き合いください!
マンダイの学名と英名
学名は「Lampris guttatus」で英名は「opah」です。学名の由来はギリシャ語にあり、「Lampros(輝かしい)」という語句から名付けられました。
名前の由来は?
そもそもなぜタイ科の魚でもないのに「マンダイ」なんて名前が付けられたのでしょうか。非常にまぎらわしいですよね。他にもタイ科でないのにタイのような名前が付けられている魚が多数いますが、その理由は「味」にあります。
タイのように味のよい魚を、タイのような高い値段で買ってもらおうと考えた商人らが、タイにあやかり「たい」がためにマンダイという名前を付けたのです。
マンダイはアカマンボウ目アカマンボウ科の魚
他にも、マンダイは別名、「アカマンボウ」とも呼ばれています。アカは体色から、マンボウというのは形態から付けられているのです。確かにマンダイは一見するとまるでマンボウのような外見をしています。ただ、タイと同じくやはりマンボウとも全くの赤の他人です。
マンダイの大きさはクロマグロにも匹敵する!
マンダイは他の魚とは全く違う独自の属目をもつユニークな魚です。煎餅のように平たい体型をしており成熟した個体で2メートル以上、重量にして300キロ近くにまで成長します。これは大型のクロマグロにも匹敵するほどの巨体です。
深海魚のなかでは比較的浅い水域に生息
分布は広く、世界中の温帯や熱帯の海域に生息しています。深海魚のなかでは比較的浅い水域に生息しており、深さにして約500メートルの場所に住んでいるため漁の際に網にかかってよく水揚げされます。
マンダイの特徴
マンダイの体表に見られる特徴とは?
体色は赤みを帯びた銀色で、夕焼けのように鮮やかな色合いをしています。無数の水玉模様が浮かんでおりヒレの形状は農具のカマのように細長くのびていて、体表を覆う鱗は細かく剥がれやすいのが特徴です。
マンダイは肉食で天敵はサメ
温和そうなイメージを見る者に抱かせるマンダイですが、肉食でクラゲやイカなどのやわらかい生物から小魚まで幅広く口に運びます。逆に天敵となる捕食者は大型のサメです。
マンダイは活発に泳ぐ魚
マグロなどと同じく常に泳ぎ続けている魚で、睡眠中もヒレを使って動き回っています。体型はマンボウによく似ていますが、マンボウよりも活発に活動する魚です。
最大の特徴は心臓と血液にある!
マンダイの最大の特徴、それは心臓と血液にあります。哺乳類や鳥類は体を循環する血液を心臓によって一定の温度に保っています。この機能によって、外気温の変化に左右されず活発に活動することが可能となるのです。
マンダイが活発に動き回れる理由とは?
ただ、通常の魚には「血液の温度を一定に保つ機能」というのは存在しません。魚類で唯一、マンダイの心臓は血液を温めなおす機能があります。
この機能によって、深海の冷たい水温環境であってもこの魚は体温を水温よりもプラス5度ほど高く保てます。この機能があるからこそ、マンダイは深海であっても活発に動き回れるのです。
まだまだ未解明な部分が多い魚
マンダイはまだまだ謎多き魚です。生態や特徴に未だ解明されていない部分が多いため、これからの研究によって続報が期待されています。
マンダイの美味しい食べ方
ひっそりと食用にされていた魚
マンダイはまるで観賞魚のように美しい体色をした魚ですが、味はどうなのでしょうか。実は、マンダイはとても美味しい魚なのです。代用魚の規制が緩かった時代には、たびたびこの魚はマグロとして市場に並べられ、本当に名前を知られることなく人々の舌を満足させていました。
刺身などの食べ方で美味しいと評判!
マンダイの身はキハダマグロに似ています。赤身で適度に脂肪分があり口に広がる風味もマグロのそれに類似しているため、刺身や焼き物、煮物など幅広い食べ方で調理される魚です。特にハワイでは人気の魚で、マーケットによくマンダイの身が並べられています。
なぜ日本では「マンダイ」の知名度が上がらないのか?
しかし、日本ではマンダイはそこまで知名度の高い食材とは言えません。その理由としては、1.巨大なマンダイを解体する設備が整っていないこと、2.日本人のマンダイ需要がそこまで高くないことの2点が挙げられます。
食べ方は簡単でも解体するのは難しい
体長2メートル以上で重量300キロ近くのマンダイを解体するのはそう簡単ではありません。加えて、日本人は聞きなれない魚をあまり食べない風潮があるので、市場にマンダイが並べられても売れ残ってしまうことも少なくないのです。
「マンダイ」は扱いに困る魚
代用魚の規制が厳しくなる前は、マグロという表記で販売すればよく売れていたマンダイですが、今では苦労してマンダイを捕獲し、手間をかけて解体しても思うように売れないため業者にとっても扱いに困る魚となっています。
「マンダイ」が脚光を浴びる日もそう遠くはない?
ただ、旬の時期に関わらず、年を通して味が安定しており可食部位も多いので食材として見た場合には非常に優秀な魚です。近年ではマグロが不漁になってきているので、マンダイが本格的にマグロの代わりとして市場に出回る日もそう遠くはないかもしれませんね。
マンダイの簡単美味しい料理レシピ6選!
マンダイは調理次第でさまざまな料理に化ける食材です。新鮮なものならば刺身で食べるのがおすすめですが、刺身以外にも美味しく食べられる料理のレシピが多く考案されています。
今回はそんな美味しいマンダイの料理レシピのなかから、特におすすめできるものをいくつかピックアップして簡単にご紹介していきます。ご家庭での調理に是非お役立てください!
マンダイの簡単美味しい料理レシピ①煮付け
マンダイの赤身は刺身だけでなく煮付けにしても絶品です。醤油と味醂、そして砂糖でコトコトと甘辛く煮込んでいけばご飯のお供にぴったりの一品が完成します。
甘辛いタレがしっとりと染み込む
この魚の身は少しだけクセがありますので、調理の際には刻んだショウガを入れるのがおすすめです。煮込みすぎると身が固くなりますので、20分ほど中火で煮込んだら火を止めて一度冷まし、味が染み込むのを待ちましょう。
マンダイの簡単美味しい料理レシピ②から揚げ
油で揚げるとまるで鶏肉のような食感になるため、揚げ料理と相性抜群です。特にから揚げは絶品。生姜やニンニクなどの薬味を入れた醤油と日本酒でマンダイに十分に下味を付けたら片栗粉をまぶして180度の油でカラリと揚げましょう。
鶏肉のから揚げよりもヘルシーな料理
簡単に調理できるわりに十分な満足感があり、また鶏肉を使ったものよりもヘルシーでカロリーも低い上に価格もおさえられるのでおすすめの料理と言えます。行楽シーズンにお弁当のメインになれる一品です。
マンダイの簡単美味しい料理レシピ③バターソテー
塩コショウを軽くふってからバターで焼き目を付けてじっくり焼けば美味しいバターソテーができあがります。加熱するとマンダイの身に含まれている脂肪分の甘みが増すため、マンダイの身の美味しさをより味わえる一品と言えます。
絶品の「マンダイ」料理はワインにもぴったり!
バジルやパセリなどの香草を付けて焼けば、風味がプラスされて美味しさが増大します。ワインなどのお供にも最適な料理です。
マンダイの簡単美味しい料理レシピ④湯引き
マグロに比べて少しだけクセがあるこの魚の身は、刺身の状態からさらに湯引きしてあげるとクセが抜けて口当たりがよくなります。
醤油とワサビを付けて食べれば締まった身の内側から甘い脂がジュワリと広がり、豊な海の風味を感じられます。もしも新鮮なマンダイが手に入ったのなら、是非とも湯引きを試してみましょう。
湯引きした刺身はワンランク上の美味しさ
湯引き調理の方法は、タイなどの白身魚の湯引き調理の方法と同じです。キッチンタオルやクッキングペーパーなどを身にかぶせてアツアツの熱湯を注いだら、素早く氷水に身を入れて冷まします。
マンダイの簡単美味しい料理レシピ⑤ステーキ
「本当に魚肉か?」と疑うほどの食感と味わいを感じられるのがマンダイのステーキです。肉厚にカットしたマンダイの切り身を使い、塩と黒コショウで下味を付けたら熱したフライパンでじっくりと焼き上げていきます。
焼き加減はお好みで、新鮮なものであればレアでも美味しいですよ。
牛ヒレ肉のステーキのような美味しさ
香草の他にもニンニクチップなどと一緒に口に入れれば牛ヒレ肉のステーキを食べているかのような錯覚に陥ることでしょう。
マンダイの簡単美味しい料理レシピ⑥照り焼き
照り焼きに適した魚というとブリを思い浮かべる方が多いですが、マンダイの照り焼きもブリに負けず劣らず美味しいことで評判です。醤油と味醂で作ったタレをかけながらフライパンで焼き上げれば美味しい照り焼きが完成します。
片栗粉をまぶしてから焼けばより味が染み込むのでおすすめです。
マンダイ料理に関するTwitter
マンダイ料理は簡単で美味しいと評判!
マンダイ料理はさまざまな食べ方で調理できます。ツイッター上でもこの魚を使用した料理は美味しいと評判です。洋風のアレンジから和風の料理まで対応できる調理のしがいがある食材なので、皆さんもマンダイを美味しい料理に調理して食卓に並べてみましょう。
洋風にアレンジしたマンダイ料理で食卓を彩る
今日はマンダイのムニエル、ミートボールのプロバンス風と我が家定番サラダ&ミートボールおかわり:stuck_out_tongue: pic.twitter.com/AAg9Y75w5M
— 近藤久春 (@HISAHARU_ELF) May 30, 2018
小麦粉をまぶしてバターで焼き上げたムニエルはマンダイとの相性も抜群です。マンダイに含まれている良質なたんぱく質を効率よく摂取できるので、ご家族の健康管理にも配慮したメニューと言えますね。
旬の野菜と一緒に炒めれば絶品の料理に!
マンダイの野菜炒めと、切干し大根サラダ♪(* ̄∇ ̄)食べるのは朝♪
— 青田ありみ (@arimi0831) August 3, 2017
しかし外は凄い雨!地震も続いてるし、、夏にしては涼しいし、また米不足とかにならないか心配(ToT)#料理 #冷夏 #栄養士料理 pic.twitter.com/T2T0Ir2SCr
旬の野菜と一緒に油で炒めるだけでも十分に美味しい料理に仕上がります。冷蔵庫にあるありあわせの食材と一緒にパッとフライパンで炒めるだけの簡単レシピであっても十分すぎるほどの満足感を得られることでしょう。
肉野菜炒めよりもさっぱりとした口当たりなので朝ご飯の一品としても最適です。
肉厚な煮付けは簡単で美味しい!
今日の晩御飯:yum::fork_and_knife:
— 96's:mouse:のぞみ (@n_1110_s) September 17, 2016
マンダイの煮付け
薩摩揚げ
ワカメと卵のお味噌汁
納豆
肉料理続いてばっかで
やっとこお魚:fish:和食:heartpulse:
ま、今日は手抜きだけど。笑
美味しかった|・Θ・)ノ pic.twitter.com/Sd31gfKVfT
上記でもご紹介したマンダイの煮付けは簡単に作れる定番料理の一つです。「手抜き」なんてとんでもない!手間をかけた料理にも負けないくらいの美味しさに、栄養もたっぷりの素晴らしい夕食ですよ。
皆さんも肉料理が続いたときには、マンダイの煮付けをメインのおかずにしてはどうでしょうか。
まとめ
マンダイの生態などについてはまだまだ研究段階であり、これからの調査次第で新しい情報が追加されることでしょう。食材としての認知度も未だ低いこの魚は、市場でも驚くほど安い値段で売られています。
ただ、味は他の魚と比較しても遜色ないほどの美味しさです。もしも、マンダイを購入する機会があったなら、是非手にとって調理してみましょう。きっと満足できるだけの味を楽しめるはずですよ!
希少で美味しい魚について知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らし~の」には他にもあまり知られていない美味しい魚についての情報がたくさん掲載されています。マンダイにも負けず劣らずのユニークな魚から美味しい魚までを特集した面白い記事だけをピックアップしておきましたので是非ご覧ください!
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