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庭木でも有名な「マユミ」とは?その特徴や育て方を解説!剪定はどうする?

もともと日本の山野に自生していた生命力の強い植物が「マユミ」です。この植物は美しい樹形をもちながら四季の変化に伴って小さく愛らしい花と鮮烈な紅色の実を付け、見る者を楽しませてくれます。庭木として有名な「マユミ」の特徴と育て方をご紹介しましょう!
更新: 2021年8月18日
石倉
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はじめに

庭木として古くから愛される「マユミ」

日本は春夏秋冬、四季折々の情景を楽しめる国です。最近では気候変動から春や秋の期間が減ったと言われますが、だからこそ季節を感じさせてくれる庭木は貴重な存在。今回は秋になると綺麗に色づく紅葉を楽しめるマユミの育て方をご紹介しましょう。

庭木でも有名な「マユミ」とは?

ニシキギ科ニシキギ属の植物

マユミは「ニシキギ」という種目に分類されます。ニシキギとは、「錦木」と書き「錦を飾るにふさわしい木」という意味が込められているのです。マユミもそんなニシキギの名にふさわしい美しい植物で、「ヤマニシキギ」とも呼称されています。

「マユミ」は日本に自生する植物

もともとマユミは日本の野山に普通に生えている植物です。日本の風土に合った性質を持っているため、庭木として育てる難易度も他の植物よりずっと低いのが嬉しいポイントですね!

マユミの名前の由来は?

マユミは漢字表記では「真弓」と書きます。弓の材料として最適な材質で、この植物で作られた弓は古来より武具としてだけでなく芸術品としても珍重され、武士にとっての一種のステータスとして作用していたのです。

平安初期の伊勢物語にもマユミの名前が

125段からなる歌で綴られた物語である「伊勢物語」のなかでもマユミの名前は出てきます。約1000年もの時の隔たりがあるにも関わらず、今なお庭木として広く日本人の心を掴んで離さないマユミ。この植物の姿は、見る者に日本の歴史を感じさせます。

「マユミ」の基本情報

背の低い植物

成熟した状態でも樹高が3メートルほどにしか伸びないため、庭木として扱いやすい植物です。若い個体は鉢植えで盆栽としても愛でられています。

「マユミ」の分布

北海道から本州を中心に、九州地方にまで広く分布している植物です。国外でも中国の原生林にはマユミがよく自生しており、他に朝鮮半島にも根を張っています。

「マユミ」の花は?

開花期は5月から6月、服装が半袖に変わり始める頃に花が付き始めます。花は小さく白い可憐な姿をしています。

「マユミ」の実は?

この植物は花よりもむしろその後になる実の方が有名です。枝の下方に垂れ下がるように結ばれる実は、熟すと鮮やかな赤に染められ何とも美味しそうな風貌に変化します。

種子には毒がある

マユミの実は本当に美味しそうな見た目をしています。ただ、この植物の実の中にある種子には中毒症状を引き起こす強い薬効成分があるため、あえて果肉の部分だけを集めて食用にすることはありません。

メジロなどの美しい野鳥は、熟れたマユミの実を啄ばむためよく枝に止まります。そんな鳥の姿とあわせてこの植物は観賞されているのです。


「マユミ」の特徴

雌雄異株の植物

マユミは雌雄異株の植物だとされていました。ただ、株のなかには極小さいながら雌花を付けるものも確認されているため、近年では雌雄同株の植物なのではとの情報もあります。

一般に鉢植えの状態で市販されている株は、基本的に雌株ですが、雌株単体でも花が咲き、実を結ぶ植物なので、庭木として植える場合にはそこまで雌雄について気にかける必要はありません。

「マユミ」は耐寒性があるため育てやすい

北海道に自生していることからも分かるとおり、日本の冬を乗り越えられるだけの耐寒性を備えている植物です。そのため、特に冬越しなどの対策を講じる必要はありません。

造形美を感じられる「マユミ」の葉

楕円の形状をした造形美すら感じられるこの植物の葉は、周囲に細かなギザギザが付いており先端にかけて緩やかに突出しています。葉脈のラインも規則的で秋になると紅に染まり、より美しさを増すため人気です。

繊細で緻密な「マユミ」の木質

今でも弓の材料として利用されているこの植物。木の材質が繊細で緻密であるという特徴を持っているため、工芸品の材料として広く利用されています。マユミで作られた将棋の駒は、高い値で取引される一級の品です。

「マユミ」の育て方①:準備

庭木として日本全国で栽培できる植物

基本的にマユミは日本全国で栽培できる植物です。育て方も簡単で剪定の手間もそこまでかかりませんので初心者の方でも気軽に栽培できるでしょう。

「マユミ」の栽培環境を知ろう

この植物は、半日陰でもすくすくと生長します。ただし、花や実を多く結ばせたい場合には日当たりのよい場所で栽培するのがベストです。また、秋ごろに紅葉を楽しみたい場合でも、やはり日当たりのよい場所に植えるのが最善でしょう。

「マユミ」は乾燥に弱い

この植物は根が土壌の浅い部分までしか伸びません。そのため、地表が乾燥するとすぐに弱ってしまいます。また、乾燥すると葉や花、実の付きも悪くなるので栽培時には乾燥に注意しましょう。

「マユミ」に最適な用土は?

この植物を育てる際には水はけがよく適度に保水性を備えた腐葉土がベストです。もともと山野に自生していた植物なので、痩せた土地でも枝は伸びますが、やはり葉や花、実の結びが悪くなります。観賞用として庭木にするのなら、植え付けの際に腐葉土を用意しておきましょう。

「マユミ」の育て方②:植え付け・植え替え

植え付け・植え替えに最適な時期は?

葉が落ち始める2月から3月の落葉期が、マユミの植え付け・植え替えに最適な時期です。鉢植えの状態で市販されているマユミはもちろん、後述する種まきや挿し木の増やし方で育てた苗を庭に植える場合にもこの時期に行いましょう。

「マユミ」の値段は?

マユミ 植木

出典:Amazon
出典:Amazon

マユミはさまざまな品種が市販されています。価格帯は安くて3000円〜6000円程度で鉢植えの状態のものが通販でも購入できますので、時間がない方には便利です。

鉢植えから庭に植え替える場合の手順.1


市販されているマユミは基本的に鉢植えの状態で、鉢一杯に根が張っています。庭に植え替える際には地面に穴を掘るわけですが、穴の大きさはこの鉢の倍の深さと幅を確保しましょう。浅く広く根を張る植物なので幅は特に広めに掘っておきます。

鉢植えから庭に植え替える場合の手順.2

穴に苗を植えていき、掘り起こした土に腐葉土を混ぜ合わせ用土を作り、かけていきましょう。このときに山になるように土を被せていきます。マユミの根は生長が早いですが、浅い部分にしか伸びないためこんもりと厚めに土を盛っていきましょう。

鉢植えから庭に植え替える場合の手順.3

鉢植えから庭に植えた直後はまだ根が張っていないため株がぐらぐらと不安定になっています。最初のうちは支柱を当てて株を保護しましょう。ぐらつきが無くなったら支柱を外します。

「マユミ」の育て方③:水まき・肥料・害虫

「マユミ」は水まきの必要がほとんどない

もともと山野に自生していた植物なので、意識的に水やりを行わなくても自然の雨で十分にすくすくと生長できます。ただし、夏の猛暑期や冬の乾燥期では土が過剰に乾燥しすぎてマユミが弱る可能性があります。乾燥のさせすぎは葉や花、そして実の結びに悪い影響がありますので、その期間は毎朝水やりを行いましょう。

肥料は寒い時期に与えよう

「マユミ」は2月から3月に肥料を与えます。遅効性の化成肥料か市販されている植物用の油糟を土に混ぜ込みます。植え付け・植え替えの時期と重なりますので、あわせて行えばより健やかに植物が生長します。

おすすめの化成肥料は?

化成肥料 

出典:Amazon
出典:楽天
出典:Amazon
出典:楽天

化成肥料は一般の量販店でも購入できますが、重量があるため通販が便利です。手頃な値段で十分な効果が期待できる上記商品はマユミの栽培にも適しています。庭木として長く付き合うことになる植物なので、あらかじめ大目に購入し保管しておきましょう。

このサイズはホームセンターで買っても重くて大変です。 値段も手頃だと思います。

肥料の量で生育の仕方が変わる

肥料は与えすぎると葉ばかりが茂って花や実が付きにくくなります。紅葉を楽しみたいのなら大目に肥料を与えてもよいですが、バランスよく育てたい場合には肥料の量は少なめにしましょう。目安として片手で握れるだけの量で十分です。株元の土に混ぜ込んで与えていきます。

「マユミ」は害虫に強い植物

自然界で根を張るマユミは害虫に非常に強い性質を持っています。そのため、他の庭木用の植物のような害虫対策は基本的に必要ありません。手間のかからない植物であることも、マユミが庭木として広く愛されている理由の一つです。

「マユミ」の育て方④:剪定

「マユミ」に剪定はほとんど必要ない

この植物は枝の生え方が生来とても美しいので、人の手で剪定する必要はほとんどありません。ただ、庭木として利用する場合には、スペースに応じて剪定をしてあげることでより見栄えがよくなります。そこで、基本となる剪定の方法をご紹介しましょう。

剪定に最適な時期とは?

まず剪定に最適な時期ですが、紅葉が終わり葉の落ち始める12月から2月までの期間に行うようにしましょう。マユミは自然に生える枝の形が美しいのでその形状を生かした剪定をしていきます。

剪定は枝分かれしている部分から行う

花や新芽は若い枝ではなく、短くても年を重ねた枝に付きます。そこで長く乱れた枝の枝分かれしている部分から剪定をしていくのです。

密集して伸びた枝を剪定で間引く


基本となる太めの枝から分かれて生える細い枝が、あまりに密集しすぎると葉や花、実の結びが悪くなります。そのため、剪定バサミを利用して密集して伸びた枝を枝分かれした部分から剪定していきましょう。こうすることで枝同士の風通しがよくなり、より健やかに生長します。

「マユミ」の育て方⑤:増やし方

「マユミ」の増やし方は2通り

マユミの増やし方は2通りあります。種まきと挿し木です。種まきでも挿し木でも他の庭木用の植物よりもずっと簡単に増やせるため、ガーデニング初心者の方でも気軽に挑戦してみましょう。

増やし方.1 種まき

種まきの場合は、熟した実を使います。種まきをする前に完熟した実を採取しておき、水道でよく洗い果肉の部分を取り除きましょう。発芽は比較的早く行われますが、実を付けるまで生長するには5年程度の期間がかかります。

また、種によって雄株と雌株の違いがあり、雄株では実は結ばないとされていますので、雌株を確実に育てたい場合には後述する挿し木による増やし方を選択しましょう。

種まきのポイント!

増やし方として種まきを選択する場合には、いくつかのポイントがあります。まず、採取した種を乾燥させないことです。マユミの種は乾燥させてしまうと発芽能力が失われてしまいますので、種まきは採取後にすぐに行うか、乾燥させないように保存して2月から3月の間に土に撒きましょう。

増やし方.2 挿し木

挿し木により株を増やす場合には、元になる木と同じ性質を引き継げるため種まきより確実に雌株の選定が可能です。挿し木は2月から3月の葉が落ちる時期に行います。枝を5センチほど切ってから1時間ほど水あげを施します。そして、挿し木用の土に枝を挿し、日陰に置いて十分な水を与えながら根が出てくるのを待ちましょう。

挿し木のポイント!

通常30日から40日ほどで根が出ますが個体差や環境差により前後します。春か秋の気候が安定した時期に鉢植えに移して根が十分に育ったら庭に植えましょう。

まとめ

「マユミ」を庭木として植えてみよう!

簡単に育てられる「マユミ」は、庭先を彩る植物として大変人気があります。四季折々の色合いを見せてくれるこの植物は、古くから日本人に季節の風情を感じさせてくれる存在です。樹形も美しいこの植物を、是非自宅の庭に植えてみましょう!

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