コリアンダーとは?
コリアンダーはパクチーの英語圏での呼び方で、カレーなどに使われるスパイスです。エスニック料理のイメージが強いコリアンダーですが、実は古代ギリシャやローマ時代から使われる古いハーブで、アジアからヨーロッパまで世界各国で使われています。
コリアンダーは、よく熟した種子を摘みとり乾燥させたものです。クセの少ない風味なので使いやすく、カレーやシチューなどの肉料理や、ピクルスなどの野菜料理などに使用されています。 コリアンダーのパウダーは、甘くさわやかで、ほんのりスパイシーなので、かけると風味が際立ちますよ。
コリアンダーとパクチーの違い
パクチーがブームになり多くの人から注目されるようになったのが2012年のはじめだとすると2018年現在ですでに6年もの長い間パクチーは野菜としての好感度が高いままでいる野菜ということになります。しかし、その一方パクチーととても似ているコリアンダーという植物。この植物についてはあまりご存知ない方も多いのではないでしょうか。
植物の種類の違いはなく呼び名の違いのみ
ガーデニングをしている人にとっては、パクチーという言葉よりも前にコリアンダーという名前を知っていたという人も少なくないでしょう。筆者もその一人です。家族から「カメムシ臭い」といわれながらもコリアンダーの苗を買ってきて育てたものです。育ててみるとわかるのですが、コリアンダーはパクチーの葉そのままの植物です。そう、コリアンダー=パクチーという同じ種類の植物であることがわかります。
コリアンダーは実を指す
コリアンダーがパクチーほど知名度が高くなかったのは、コリアンダーとしての活用法が「香辛料として」だったためでしょう。日本ではコリアンダーというとカレーなどのスパイスに使われる「実」を取る植物として広がりました。カレーを食べる人はたくさんいてもその中に使われているスパイスの一つ一つにそれほど興味を持つ人もいないでしょう。このおかげで同じ植物でありながらコリアンダーはパクチーよりも知名度が低いのではないでしょうか。
パクチーは葉を指す
一方、日本ではパクチーはその葉を指して呼ばれる名前です。料理として出てくるとき、植物の葉の形を誰もが確認して、視覚と味覚の両方で覚えます。「カレーをください」とはいいますが、「コリアンダーを追加して」とはなかなかいいませんよね。しかし、パクチーは「パクチー追加で」や「パクチーは抜いてください」と言葉にする機会も多く一気にパクチーという名前と味は多くの人に知られることになりました。
コリアンダーとパクチー以外の名前
実はパクチーにはこの他にも名前があります。パクチーとコリアンダーの違いからは少し離れますが、パクチーのその他の呼び名についても少し触れていきましょう。
日本での呼び名
日本にパクチーが最初にはいってきたのは中国からです。中国でもパクチーを香草として料理の香り付けとして使う習慣がありました。パクチーよりもカレーの香辛料に使われるコリアンダーよりも先に中国産の香りの強い草「香菜(チャンツァイ)」としての歴史が古いのです。しかし、その当時はチャンツァイとは呼ばずに、漢字そのままを日本語読みにして「こうさい」と呼ばれ、野菜として登録されていました。パクチーの歴史をたどるとタイでもヨーロッパでもなく中国産の野菜「こうさい」に行き着くというのは面白い話ですね。
コエンドロ
さて、中国語では香菜と書いてチャンツァイと読むのであれば、パクチーやコリアンダーはいったい何語なのかと疑問に思うでしょう。パクチーはタイ語、コリアンダーは英語です。実はこの他にも、パクチーの呼び名で日本でも知られているものに「コエンドロ」があります。これはポルトガル語でパクチーを差すことば。日本はポルトガル語に縁がある国ですからコリアンダーよりも先にコエンドロと呼ばれていた時期があっても不思議ではありませんね。しかし、現在ではコエンドロという呼び名はほとんど使われていません。
コリアンダーとパクチーの栄養素
パクチーがブームになった一面に、その豊富な種類の栄養素と効能が注目されたということもありました。ここではパクチーに含まれる主な栄養素の種類をご紹介します。
栄養①βカロテン
パクチーは緑で香りが強い野菜。その緑色が示すように豊富なビタミンが含まれますがその中でも緑黄色野菜に豊富なβカロテンがあります。パクチー100g中のβカロテンの量は3930μg。緑黄色野菜の代表ともいえるにんじんで100g中のβカロテン量は992.8μgです。パクチーはβカロテンだけで見ればにんじんの約4倍近い量が100gで摂取できることになりますね。
栄養②ビタミンE
その次にパクチーに多く含まれている代表的な栄養素にビタミンEがあります。100g中のビタミンE量は2.50mg。ビタミンEは抗酸化作用があるといわれている栄養素で、多く含む代表的な食べ物にアーモンドがあります。アーモンドの100g中のビタミンEは30.3g。さすがに1/3もビタミンEを含むアーモンドには及びませんが、脂質の高いアーモンドを食べるよりもパクチーでビタミンEを摂取したいという人も多いでしょう。ちなみに日本人女性の1日のビタミンEの摂取量目安は6.0㎎です。
栄養③ビタミンK・カルシウム
次に注目したいパクチーの栄養素はビタミンKとカルシウムです。パクチー100g中のビタミンK量は310μg。カルシウム量は67mgです。この二つの栄養素を一緒にご紹介したのには意味があります。ビタミンKは骨を作るために必要なビタミンといわれています。そして骨になるのはカルシウム。このふたつの栄養素が豊富なパクチーは「野菜にして骨作りに役立ってくれる栄養素が入っている食べ物」ということになります。成長期の子供さんにパクチーを食べさせたいですね。
コリアンダーとパクチーの効能
パクチーに多く含まれる栄養素の種類だけ見ても「体に良さそう」という感じがしますね。しかし、パクチーが好んで食べられる理由はそれだけでなく、他にもあるパクチーの効能によるものなのです。
ゲラニオールとリナロールによる効能
パクチーにはゲラニオールとリナロールという成分が含まれています。この二つはパクチーの香り成分。パクチーの香りは独特ですね。ですから、この二つの成分による効能はパクチーだからこその効能ともいえるのです。
効能①食欲増進
ゲラニオールとリナロールの効能は、消化器官に働きかけて胃腸を丈夫にしてくれます。特にリナロールは食欲増進の効能が高い成分。ちょっと胃が疲れているなというときはパクチーを食べることで食欲も増してくるでしょう。
効能②抗酸化作用
体の老化は体のサビである細胞の酸化が原因といわれています。アンチエイジングのために抗酸化作用のある食べ物を積極的に取り入れたいという人も多いでしょう。特に女性は美肌のためにも抗酸化作用のある食品を摂取したいですね。パクチーはこの抗酸化作用が緑黄色野菜の中でもダントツに多い野菜です。女性を中心にパクチーブームが来たのはこのせいかも知れません。
効能③殺菌作用
さて、少し話が戻りますがタイ料理からパクチーの存在を知ったという人も多いでしょう。ご存知のようにタイは熱い国。食べ物の痛みも早いです。パクチーには高い殺菌作用があり、そのためにタイ料理にはパクチーが多く使われるという説もあります。パクチーの殺菌作用は、はじめにご紹介したリナロールとゲラニオールの効能です。この殺菌作用でパクチーを食べることで口臭予防もできるといわれています。
コリアンダーとパクチーのレシピ①
パクチーサラダ
パクチーの成分であるリナロールとゲラニオールは加熱することによって壊れてしまいます。少しでも体によいこの2種類の成分を効果的に摂取するにはサラダにして生で食べるのがおすすめです。
材料 (2人分) レタス1/4個 サニーレタス3枚 香菜3本 ピーナツ20g 干しえび5g ☆スイートチリソース大さじ1 ☆ナンプラー 大さじ1/2 ☆ライム汁小さじ1/2
詳しいレシピ・作り方はこちらから
コリアンダーとパクチーのレシピ②
ガパオライスレシピ
カフェめしでも人気のガパオライス。生パクチーをたくさん乗せて混ぜながら食べるのも美味しいですね。休日のランチはアジアンカフェで食べるようなガパオライスにパクチー大盛りにしてみてはいかがでしょうか。香辛料にも使われるパクチーの爽やかな香りでモリモリ食べられます。
材料 (2人分) 豚挽肉(鶏モモ挽肉でもOK)230g パプリカ(赤、黄)各1/4個 ピーマン1個 玉ねぎ1/2個 にんにく、しょうが各1片 酒大さじ1 ごま油 大さじ1 バジルの葉10枚 目玉焼き2個 ごはん2膳分 ■ 【A】 ナンプラー 大さじ1 オイスターソース 大さじ1 砂糖小さじ1 (豆板醤)(小さじ1/2)
詳しいレシピ・作り方はこちらから
コリアンダーとパクチーのレシピ③
コリアンダーシードを香辛料で使うレシピ
パクチーの野菜としての食べ方の他にもコリアンダーの香辛料としての使い方もあります。パクチーの香りが少し苦手という人でも、コリアンダーシードとして香辛料でいただくとレモンのようなさわやかや香りで食べられるという人も多いです。
材料 (1〜2) 新ジャガ中2個 玉ねぎ半分 ピーマン1個 プチトマト5〜6個 卵2個 コリアンダーシードパウダー小さじ1/3 ぐらい 塩胡椒適宜 醤油小さじ半分ぐらい パルミジャーノレッジャーノ適宜
詳しいレシピ・作り方はこちらから
コリアンダーとパクチーの栽培方法
パクチーを積極的に食べたいけれど近くのスーパーにはなかなか置いていないという人は、自分で栽培してみてはいかがでしょうか。パクチーの栽培はそれほど難しくなく苗を買ってくれば初心者でも簡単に栽培をはじめられます。
種まき・植え付け
パクチーの種まきは春4月ころからおこないます。苗を買ってきて植え付けする場合はもう少し遅く初夏~7月ころまででも十分その年の収穫に間に合います。
水やり・日当たり・肥料
パクチーも一般的な植物でよくある、日当たりが良い場所を好み、乾いたらたっぷり水やりをする栽培方法をおこないます。肥料は葉が黄色くなってきたら液体肥料を差してあげるとよいでしょう。
収穫・長持ちさせるコツ
パクチーはその成長とともに伸びてきた葉を収穫していただきます。夏の間がずっとパクチーの収穫時期です。パクチーを少しでもながく収穫したいと考えるなら、花がついたら蕾を摘んでしまいましょう。花を咲かせ実をつけるのに株はたくさんの栄養を使い、実をつけるとともに枯れてしまいます。その栄養を葉にまわすことで長く栽培を続けることができ、多くのパクチーを収穫することができるでしょう。
まとめ
パクチーとコリアンダーは同じ種類の植物で呼び名が違う、または香辛料ならコリアンダー、葉食ならパクチーと分けられて使われていました。これで心の中のモヤモヤが少しスッキリしたのではないでしょうか。パクチーは体によい栄養がたっぷり含まれる積極的に食べたい野菜です。気になるレシピがあったらぜひ、パクチー料理を作って食べてみてはいかがでしょうか。
栽培法が気になる人はこちらをチェック!
パクチー以外の植物の栽培方法もご紹介しています。気になる方はぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
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