球根の土
ヘメロカリスとは
ヘメロカリスとは、5月~8月ごろに真っ赤や黄色の、大輪で華やかな花を咲かせる、美しい植物です。ワスレグサ科の植物ですが、花の形がユリに似ているため、ユリ科に分類されることもあるくらい、見事な花を咲かせますよ。
ヘメロカリスには、「デイリリー」という別名があり、この別名も、ユリの花によく似ていて、1日花(1日だけ咲く花)であることから、名付けられたと言われています。そう考えると、ヘメロカリスのイメージにはかなさも加わり、愛おしささえ感じてしまいます。
ヘメロカリスの品種の特徴
ヘメロカリスは、とても華やかな見た目なので、輸入された植物と思う方もいるようですが、実際は日本にも野生種が自生している植物です。日本では、「ニッコウキスゲ」や「ノカンゾウ」「ヤブカンゾウ」の3種類がよく見られ、どんな環境でもよく育つため、野山でよく見かけることができます。
また、先述の通り、ヘメロカリスは1日花なので、1日で花は枯れてしまいますが、1つの花茎に、複数の花芽がつくため、1本枯れても、次の日にはまた新しい花が次々咲きます。
このように、ヘメロカリスは、長期間花が楽しめ、かつ育てやすいため、園芸用にもとても人気があります。ヘメロカリスの園芸用品種は、20000種以上存在しているとも言われており、品種選びも楽しい植物です。また、各地のヘメロカリス生産農家では、園芸用品種の新品種が、続々登場し続けているので、球根や苗の購入の際は、インターネットなどで情報を探すのもおすすめです。
ヘメロカリスの人気の品種
人気品種1.ジョアン・シニア
赤や紫、黄色系が多いヘメロカリスの中では、珍しい白色寄りの品種が、ジョアン・シニアです。草丈は60cm程度と、鉢植えでも楽しめるサイズですが、花は15cmと大輪です。深緑の葉と白い花のコントラストは、とても華やかですよ。
人気品種2.アネット
アネットは、ヘメロカリスの中では珍しい、スパイダー咲の品種です。スパイダー咲きとは、花弁が、クモの糸のように糸状に細くなっている花のことを差します。濃いワインレッドの花弁は、高級感があり、植えていると、注目されること間違いなしです。
人気品種3.ニッコウキスゲ
ニッコウキスゲは、ヘメロカリスの野生種です。しかし、野生種とは思えないほど、美しいですよね。ニッコウキスゲは、ヘメロカリスの中でも、格段に育てやすいので、ガーデニング初心者の方にもおすすめの品種です。
ヘメロカリスは食べることができる
ヘメロカリスの原生種は、食用として利用されることもあります。ヘメロカリスの一種、クワンソウは、沖縄など一部地域では、睡眠導入剤のような役割を持つ薬草として、古くから食用にされていたそうですよ。
クワンソウのつぼみを摘んで、おしべを取り除き、茹でて、サラダにしたり、炒め物に利用すると、おいしいそうです。ヘメロカリスの中でも、クワンソウが一番食べやすいそうなので、クワンソウを育てた際は、一度食べてみてくださいね。
ただ、ヘメロカリスは猫にとってはネギ類と同じくらい毒になるようです。猫を飼っている方は、ヘメロカリスやユリ科の植物に猫が近づけないよう、工夫して育てるようにしましょう。
ヘメロカリスの育て方1.好む環境
ヘメロカリスは、日本の山野で元気に育っているのを見てもわかるように、たいていどんな場所に植え付けても丈夫に育ちます。地植えの場合も鉢植えの場合も、できれば日当たりの良い場所に植えてあげたいですが、地植え、鉢植えともに、半日陰でも花数は減るものの、しっかりと育ちます。
ヘメロカリスの育て方2.用土
ヘメロカリスは、地植えの場合も、鉢植えの場合も、何年も植えっぱなしで大丈夫です。ただ、特に鉢植えの場合は、肥料切れになりやすいので、植え付けの際の用土には、しっかりとたい肥や腐葉土といった、有機肥料を入れておきましょう。
ヘメロカリスを植え付ける際の用土は、肥料分さえあれば、特にこだわらなくても問題ありませんが、より美しい花をたくさん咲かせたい場合は、「赤玉土(小粒)6:腐葉土3:たい肥1」くらいの割合で、通気性と排水性に優れた要道を用意しましょう。市販の培養土を使用する場合は、球根用の土を使用するのがおすすめです。
球根の土
ヘメロカリスを鉢植えにする場合は、通気性や排水性を保つためにも、鉢底には必ず鉢底石や軽石を入れましょう。鉢底の穴に、鉢底用ネットを入れれば、害虫の侵入を防ぐことができるので、鉢底用ネットの使用もおすすめです。
ヘメロカリスの育て方3.植え付け
ヘメロカリスの苗の植え方
ヘメロカリスは、春と秋、年に2回、ホームセンターや園芸店に苗が並びます。ヘメロカリスは、強い植物なので、植え方についてはコツはあまりありません。ただ、植え付ける場所の広さには注意が必要です。
ヘメロカリスは生長が旺盛なので、鉢植えの場合は、苗より2~3回り大きい鉢に植え付けましょう。ただし、ヘメロカリスの大型種は、高さが1mを越えることもあるので、そういった品種は、地植えにした方が無難です。地植えの場合は、苗同士の間隔を50cm以上開けて、植え付けましょう。
ヘメロカリスの球根の植え方
ヘメロカリスの球根も、春と秋に出回ることが多いです。球根の植え方でも、気を付けるのは、植え付ける場所の広さです。小型のへメロリスの場合は、鉢植えの場合、6号鉢(直径約18cm)に1つの球根を植え付けましょう。球根の場合も、苗と同様に、高さが1mを越える品種のものは、地植えにした方が無難です。地植えの場合も、球根を植える間隔は50cm以上開けましょう。
球根の植え方で気をつけたい点はもう1つ、深さがあります。鉢植えの場合は、5cm程度掘った場所に、地植えの場合は、15cm程度掘った場所に植え付けると、生長がよくなりますよ。
ヘメロカリスの育て方4.肥料
地植えの場合の肥料の与え方
ヘメロカリスを地植えしている場合は、元肥をしっかり入れておけば、あとは、3月ごろと9月ごろに、緩効性の肥料を与えるだけで充分です。緩効性の肥料の種類は、化学肥料でも有機肥料でも構いません。お好みの肥料を、肥料のパッケージに記されている通りの分量、与えましょう。
鉢植えの場合の肥料の与え方
鉢植えの場合は、地植えに比べて、肥料切れが起こりやすいので、月に1回程度、緩効性の化学肥料や有機肥料を与えてあげましょう。
ヘメロカリスの育て方5.水やり
ヘメロカリスは、屋外の雨が当たる場所で育てている場合は、さほど水やりを気にする必要はありません。ただ、土の表面がしっかり乾くような気候の時は、土の表面が乾いたら、たっぷり水を上げるようにしましょう。秋~冬の間は、水やりは控えてもよいですが、土が乾燥すると株が弱って花がつきにくくなるので、ある程度土が湿っている状態を保つようにしてくださいね。
ヘメロカリスの育て方6.ふやし方
ヘメロカリスは株分けが必須
ヘメロカリスは、株分けによってふやすことができます。ヘメロカリスは、株を増やすために株分けをすることはもちろん大丈夫ですが、株が混みあってくると、花の数が減る傾向にあります。そのため、ヘメロカリスの根元を見て、詰まっている感じがしたら、株分けをしてあげるようにしましょう。
株分けの時期
ヘメロカリスの株分けは、3年~4年おきに行うのがおすすめです。また、株分けに適した時期は、3月~4月、または9月~10月ごろです。
株分けの方法
ヘメロカリスの株分けをする際は、まず、根を傷つけないように広めに掘り返し、株を引き上げます。根の間の土を落としたら、木のヘラやマイナスドライバーを根元に差し込み、4株~5株ずつに切り離しましょう。
株分け後の植え方
ヘメロカリスの株をすべて切り分けたら、葉を3分の1の長さになるよう切り落とし、50cmくらいの間隔を開けて、根が乾かないうちに植えなおします。株分け後に植え付けるまで、時間が空きそうなときは、ポットなどに仮植えすると、根の乾燥が防げますよ。
ヘメロカリスの育て方7.植え替え
植え替えの時期
ヘメロカリスの植え替えをしたい場合は、3月~4月、9月~10月ごろに行うと、株へのダメージが最小限で済みます。
植え替えの方法
ヘメロカリスの植え替えは、新しい植え替え場所をしっかりと用意してから行うのがポイントです。ヘメロカリスを、根を傷つけないように、丁寧に株を引き上げたら、古い土を落とします。その後、根をしっかりと広げて、新しい植え替え場所の土に、根を這わせるイメージで植え替えます。その後、しっかりと水をあげましょう。
ヘメロカリスの育て方8.病気と害虫
ヘメロカリスがかかりやすい病気
ヘメロカリスは、とても丈夫なので、病気にかかりにくい植物ですが、まれに夏の長雨が原因で、赤さび病にかかってしまうことがあります。赤さび病にかかっても、放置していれば徐々に回復し、翌春にはまたしっかりと花を咲かせてくれます。ただ、見た目は少し悪くなるので、気になるようであれば、鉢植えの場合は雨が続く日には軒下などに移動させてあげるのも、よいかもしれませんね。
ヘメロカリスにつきやすい害虫
ヘメロカリスには、アブラムシがよくつきます。つぼみにアブラムシがつくと、花が変形することもあるので、粒状の殺虫剤を春先にまくと、被害を防ぐことができますよ。
また、赤や紫のヘメロカリスには、スリップスがつくことがあります。スリップスは、つぼみの中に入り込み、花弁の表面を食べてしまう害虫で、花が咲いても、色がムラになってしまうことがあります。スリップスも、粒状の殺虫剤で対策をすることができるので、赤や紫のヘメロカリスを栽培している方は、しっかり対策をするようにしましょう。
ヘメロカリスの育て方9.花がら摘み
ヘメロカリスの花は、1日花なので、夕方や翌朝に、花がら摘みをすると、見た目の美しさを楽しめます。同じ花茎についている花がすべて咲き終わったら、花茎の根元から、折り取ってあげましょう。
ヘメロカリスで庭を華やかに!
ヘメロカリスは、1株でも存在感があるのに、数年経てば、株もどんどん増え、庭のシンボルの主役になりうる植物です。その上、植え方や育て方も簡単となると、植えない理由は見つかりませんね。ぜひ、ヘメロカリスを育てて、庭をより華やかにしてみてください。
ヘメロカリスが気になる方はこちらもチェック
ヘメロカリスが好きな方は、ユリのような形状の花にも興味があるのではないでしょうか。ユリも、とても育てやすいので、ぜひ、ヘメロカリスと共に、育ててみてくださいね。
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