はじめに
広島県尾道市に属している瀬戸内の島「因島(いんのしま)」は、あまり知られていませんが、見どころが豊富なスポットです。村上水軍の拠点の島であり、囲碁の世界では歴史上最強レベルの人物が生まれた場所として、あるいは夏の大敵「蚊」を駆除する除虫菊の日本の「ふるさと」でもあり、八朔(はっさく)の誕生の地など、他にもいろいろあります。しまなみ海道ができて非常に行きやすくなった因島です。
しまなみ海道・因島へのアクセス
公共交通での移動
因島へのアクセスは、広島側は福山から「しまなみ海道」を通って途中因島大橋を経由します。そこから愛媛側の今治や松山まで向かう高速バスが出ています。その他にも広島の尾道からのローカルバスとして、新幹線の新尾道駅を起点に、在来線の尾道駅を経由して、向島を通って因島に入ります。このバスは因島大橋から因島の島内も循環するタイプなので、観光にも便利です。
自動車そして自転車でも行ける島
因島へ車で行く方法は、広島の尾道を起点、愛媛の今治を終点とした、「しまなみ海道(西瀬戸自動車道)」を通ります。因島に車で入る時には、尾道側は因島北IC、今治側は因島南ICと別々のインターチェンジの利用(逆方向は利用不可のハーフIC)になります。自転車でしまなみ海道を走るのは、環境が整備されているのでおすすめです。因島大橋には自動車道路の下に自転車専用道が通っています。
しまなみ海道・因島おすすめスポット① 因島大橋
この観光地の歴史・見どころ
1983年12月から利用されている「因島大橋」は、しまなみ海道の中で一番最初に架けられた吊り橋です。多くの船舶が航行する会場なので、水面下から50mの高さに保つように設計されました。この橋の技術が、のちに作られた明石海峡大橋などの海上大型吊橋の設計に活用されました。また、橋の工事中に、映画の「男はつらいよシリーズ」のロケでも利用されました。
名所周辺の景色・ルート
橋の完成を記念して作られた「因島大橋記念公園」で、橋の景観とその下を通る数多くの船の「景色」を、見ることができます。駐車場、トイレもあり、入場は無料なので気軽に利用できます。別途料金を払えば、キャンプにも利用できます。ちなみに因島大橋は、広島・尾道側からは因島の入口なので、この橋を起点に因島各地を回ることになります。
しまなみ海道・因島おすすめスポット② 灯台
この観光地の歴史・見どころ
1894年(明治27年)に点灯された大浜崎(おおはまざき)灯台は、因島大橋が架けられている、「布刈(めかり)瀬戸」の船の安全を、2018年5月現在でも見守っています。この海域は数多くの船が昔も今も航行しています。この灯台のそばに「灯台記念館」があります。3つの塔が特徴的な建物で、旧大浜埼船舶通航潮流信号所(せんぱくつうこうちょうりゅうしんごうしょ)で、1954年に操業停止しました。2011年に広島県の重要文化財に指定されました。
名所周辺の景色・ルート
この灯台からの景色を見る場合のおすすめは、手前にある灯台記念館から、その先にある「灯台」を見る方法です。小さな白い灯台とその先に広がる海と隣の向島の風景は味わい深いものがあります。少し離れた場所からこの灯台と因島大橋のセットで見るのも良い風景です。ここは因島大橋にのすぐそばなので、観光ルートとしては最初がおすすめです。
しまなみ海道・因島おすすめスポット③ ビーチ
この観光地の歴史・見どころ
因島大橋同様、布刈(めかり)瀬戸沿いに広がる「しまなみビーチ」は、600メートルほど続く砂浜で、最も海に近づくことができるスポットです。ここには、ドラえもんの「どこでもドア」を連想する、不思議なピンクのドアが設置されています。夏のイベント「SIGNA(シグナル)」の展示物だったものが、そのまま残されました。
名所周辺の景色・ルート
夏は、「海水浴場」としてにぎわいますので、それ以外の季節に、「景色」を見るのがおすすめです。瀬戸内の静かな波うちと青い空、それから青い海と先に見える青々とした島々を眺めていると、「島に来た」という確信に満ちあふれます。主に冬場に、空が「かすんだ」時も、また違った味わい深い景色が見られます。この場所も因島大橋からすぐ近くなので、観光ルートの序盤に立ち寄るのがおすすめです。
しまなみ海道・因島おすすめスポット④ 白滝山
この観光地の歴史・見どころ
因島大橋を見下ろすような山の上にあるのが「白滝山(しらたきやま)」です。標高は226m。村上水軍の6代当主、村上吉充(むらかみよしみつ)が、1569年に、見張りを兼ねた観音堂を立てました。江戸時代後期に柏原伝六が、新興宗教『一観教』を開き、この白滝山に3年かけて700体ほどの五百羅漢(らかん)の石像を建てました。その石像は今でも仁王門から山頂にかけて因島の景色を見つめています。
名所周辺の景色・ルート
ここの景色は、山の上にある五百羅漢の石像と、眼下に広がる風景や、小さく見える「因島大橋」を見るのに適しています。展望台の隣には鐘楼(しょうろう)があるので、因島の背景とセットに見ていると、日本的な美しさがあります。白滝山へのルートですが、近くには公共交通機関がないので、舌から登山道でで登ります。山頂まで徒歩30分程度です。車なら手前の駐車場まで上がれ、そこからは徒歩8分です。
しまなみ海道・因島おすすめスポット⑤ フラワー
この観光地の歴史・見どころ
白滝山の麓にある因島フラワーセンター。尾道市立のこの施設は、駐車場も入場も無料という非常にお得な観光スポットです。因島のゆるい空気に触れながら、四季を通じて様々な花が咲き誇っています。見学自体は30分程度あれば十分なので、白滝山とセットで訪れるのがおすすめです。
名所周辺の景色・ルート
フラワーセンターで見る景色は、ずばりそこに咲いている花々です。季節によって違う花が咲きますので、違う季節にも立ち寄りたいところです。このフラワーセンターまでのルートは車なら、因島北ICから5分、因島南ICからは10分で行けます。公共交通利用なら因島北ICのバス停から徒歩約20分です。
しまなみ海道・因島おすすめスポット⑥ 除虫菊
この観光地の歴史・見どころ
伝統的な「蚊取り線香」の原料は、「除虫菊(じょちゅうぎく)」です。因島はこの除虫菊の名産地でした。蚊取りとしての役割は、すでに他の薬品にとって代わってきていますが、因島の「馬神(うまがみ)除虫菊畑」では、今でもこの伝統的な除虫菊を、観光の鑑賞用として毎年綺麗な花を咲かせています。因島ではお土産用に、この除虫菊を使った「手作り線香キット」を販売しています。
名所周辺の景色・ルート
除虫菊が咲く季節は、蚊が本格的に活動する前の4月下旬から5月上旬ごろが見頃となる季節で、ちょうどGWの頃です。その時期に来れば、周りが白くて真ん中が黄色い除虫菊の花々が周りの風景に見事に溶け込んでいます。除虫菊畑までのルートですが、因島大橋記念公園から徒歩1時間くらい。車なら17分で到着です。
しまなみ海道・因島おすすめスポット⑦ 水軍城
この観光地の歴史・見どころ
因島は、中世の時代に瀬戸内海で活躍した村上水軍のうち「因島村上氏」拠点の地です。その居城「因島水軍城」が復元されました。島の高台にある本丸は水軍資料館になっていて、鎌倉時代から戦国時代まで活躍した、村上水軍のことが良くわかります。また、村上水軍以外の歴史について知りたい場合には、すぐ隣にある「因島資料館」があります。
名所周辺の景色・ルート
因島水軍城の隅櫓(すみやぐら)は展望台になっており、そこから見る景色の眺めも、かつての瀬戸内海の「支配者」が、住んでいた場所らしく、大変素晴らしいです。水軍城までのルートは、因島北ICから車で5分、因島南ICから車で10分です。城の麓(ふもと)にある「金蓮寺(こんれんじ)」は、水軍・村上氏代々の墓が残っています。城の見学の後に、たち寄るのもおすすめです。
しまなみ海道・因島おすすめスポット⑧ 本因坊
この観光地の歴史・見どころ
囲碁の世界で、頂点を極めた者を「本因坊(ほんいんぼう)」と呼びますが、因島で生まれた江戸時代の本因坊「秀策(しゅうさく)」を記念する「本因坊秀策囲碁記念館」が因島にあります。漫画「ヒカルの碁」の中で、主人公の「進藤ヒカル」に秀策が「霊」として憑依(ひょうい)するシーンがあります。そのため、囲碁ファンの間では、彼こそが「囲碁最強人物」とされました。その結果、因島が囲碁ファンの聖地となりました。
名所周辺の景色・ルート
見える「風景」としての景色を見る場所ではありませんが、囲碁最強棋士の一人ともいわれている、本因坊秀策の世界が伝わる常設の展示室や、囲碁体験ができる空間があり、その他の特別展など、囲碁の世界の景色を肌で感じることができる場所です。この記念館までのルートは、因島北ICから車で5分、因島南ICから車で10分ほどかかります。
しまなみ海道・因島おすすめスポット⑨ 地蔵鼻
この観光地の歴史・見どころ
因島の南東側に、鼻のように海側に出ている岬があります。「地蔵鼻(じぞうばな)」と呼ばれているこの場所には、女性の悲しい伝説が残っていて、「恋愛成就、安産祈願のスポット」といわれています。そのため、女性の訪問者が多く訪れ、「願いがかなえばお礼参り」の風習があります。道中には願いがかなったお礼参りの品として、小さな石地蔵が数多く並んでいます。
名所周辺の景色・ルート
「地蔵鼻」に残された、「伝説」を知らなくとも、この場所の景色は大変すばらしく、天気の良い日には瀬戸内の遠くの島を見渡せます。ここまでのルートは、車なら因島北ICから20分、因島南ICから15分です。バス利用なら、「三庄小学校前」バス停より徒歩20分かかります。自転車では、専用の自転車道の出入り口から25分ほどで到着します。
しまなみ海道・因島おすすめスポット⑩ 因島公園
この観光地の歴史・見どころ
因島の南側にある標高207mの天狗山一帯は、「因島公園」として整備されています。公園から見える瀬戸内の南側の風景は、北側とは違った趣(おもむき)が、あります。春の桜の時期や、秋の紅葉の時期も美しい場所です。それから、林芙美子(はやしふみこ)の「放浪記」の石碑や因島にゆかりのある作家達の句碑「つれしおの石ぶみ」もあり、文化的な雰囲気も味わえます。
名所周辺の景色・ルート
昼間の青々とした空と海、絵画のように点在する瀬戸内の島々と、その隙間を縫う(すきまをぬう)ように、ゆっくりと航行する船を見ながらの景色は、ついつい時間を忘れてしまいます。そして最も美しいのは「夕日」の景色です。因島公園から見える「夕日」は、「因島八景」に選定されているのです。この日の因島観光の最後にとっておきたい場所です。因島公園までのルートは、因島北IC、因島南ICのいずれからも、車で15分くらいのところにあります。
しまなみ海道・因島おすすめスポット⑪ 自転車
この観光地の歴史・見どころ
因島の南側にある大山神社は、同じ「しまなみ海道」にある、大三島の大山祗神社(おおやまづみじんじゃ)より分霊され、西暦773年に創建された、因島で最も古い神社です。この神社は、「自転車の神様」が祀られているといわれ、多くのサイクリストが訪れる聖地です。さらに「耳の神様」もおられ、3月3日「耳の日」に「耳祭り」が開催されます。
名所周辺の景色・ルート
神社のあるところから少し先に歩いた、海のそばから見た景色が非常に素晴らしいです。すぐ目の前に、小さな島「鶴島」があるのですが、その間の水路が大変狭くなっています。そのため海ではなく「川が流れている」ような不思議な光景が見られます。すぐ近くにある土庄港からは周辺の島々へのフェリーが就航していて、港の風景も味わい深いです。神社までのルートは因島北ICより車で12分、因島南ICより車で8分です。
しまなみ海道・因島おすすめスポット⑫ 生口橋
この観光地の歴史・見どころ
因島観光スポットの最後は、生口橋(いくちばし)です。この橋は、しまなみ海道の四国側からの入口になります。横浜ベイブリッジと同じ、美しい斜張橋(しゃちょうきょう)の形式で、全長490mと横浜ベイブリッジより30m長いです。橋は1991年3月に開通。当時は世界最長の斜張橋でした。車道の側道に自転車歩行者道が通っております。
名所周辺の景色・ルート
斜張橋はその形が美しいので、少し離れた所から見る景色が素晴らしいです。橋に向かう海岸線沿いの道路、高台から見下ろす風景も良いですし、橋の手前から橋そのものを雄大に眺めるなど、いろいろな角度からの景色が楽しめます。この橋へのルートは、四国側は島の出入り口になります。本州側ならしまなみ海道で因島をそのまま縦断すれば到達します。
しまなみ海道・因島おすすめスポット 番外
しまなみ海道の入口 広島・尾道
番外ですが、因島に行く手前、しまなみ海道の入口にある、広島の尾道も立ち寄りたいスポットです。昔ながらのアーケードの商店街におしゃれなカフェが出店していて、坂の上の「千光寺(せんこうじ)」からの尾道の町の風景。さらに、有名な尾道ラーメンを頂いてから、因島を目指すのも大変良いことです。
生口島 西日光耕三寺
因島の次の島「生口島(いくちじま)」は、広島側最後の島です。この島は国産レモン発祥の地といわれ、また「西日光」と呼ばれている、有名な耕三寺(こうさんじ)があります。またその先は広島から愛媛になりますが、大三島には国宝が多数所蔵されています。因島観光のついでに、これらの「しまなみ海道」の観光スポットも注目していきたいところです。
はっさく生誕の地
日本原産で、ミカンに次いで馴染みの柑橘(かんきつ)類の「八朔(はっさく)」は、因島の浄土寺(じょうどじ)で、江戸時代末期に原木が発見されました。その後、因島ではっさくの栽培が盛んになり、今でも二千戸ほどの「はっさく農家」があります。はっさくを利用したお土産も数多くあるので、因島観光のお土産におすすめです。
まとめ
以上で、因島の観光スポットを終わります。因島は本州から四国に抜ける「しまなみ海道」にいくつかある島の一つにすぎないように感じますが、実は因島には様々な歴史的な由来を持つ観光地であり、そして島のあらゆる場所からの景色が素晴らしく、素通りするのがもったいない島です。ぜひともしまなみ海道に行く機会があれば、因島にも立ち寄って下されば幸いです。
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