はじめに
アオバアリガタハネカクシというなんとも覚えにくい長い名前の虫がいます。普通に生活している分には見掛けることは稀な虫で、聞いたこともなければ見たこともない人の方が多いと思います。ただ、体液に触れると人によっては腫れややけどの様な皮膚症状が出る危険な虫です。被害に合わないためにも生態や刺されるのか、どんな毒なのか、治療法、駆除方法などについてもご紹介していきます。
アオバアリガタハネカクシってどんな虫
アオバアリガタハネカクシは成虫で体長が7mmほどと小さく群れで生活するわけでもないため見掛けることが稀で、凝視する機会に恵まれない虫です。名は体を表すといいますが、アオバアリガタハネカクシという名前はこの虫の姿をよく表しています。体は頭が青黒く、胸は赤く、短いチョッキ(ベスト)のような短い前羽部分は青黒く、胴は赤く、お尻はまた青黒いという青と赤の帯模様になっています。
アオバアリガタハネカクシはアリっぽいけど甲虫の仲間
サイズ的にも見た目も一見アリっぽいので"アリガタ(蟻型)"なんですが、アリほど節がくびれておらず、胴が長いためアリと見分けることができます。また特徴的な短い前羽は硬く、このことからアオバアリガタハネカクシが甲虫の仲間であることがわかります。ハネカクシの仲間の多くはこのように前羽が短く、その下に下羽を折りたたんで隠しているのです。つまりアオバアリガタハネカクシは飛べるのです!
アオバアリガタハネカクシの生態
アオバアリガタハネカクシを含むハネカクシの仲間(ハネカクシ科)は実に種類が多く、世界で5万種類以上が確認されていますが、実際は未発見種も相当いると考えられています。このようにたくさんのハネカクシの仲間が存在するのにも関わらず、あまり人間の生活と絡みがないせいか、あまり研究が進んでおらず、その生態もよくわかっていないのが現状です。
アオバアリガタハネカクシはどんなところにいる?
生態がよくわからなければ、駆除するにも根本的な駆除はできません。アオバアリガタハネカクシは湿度が高くて温かい環境を好んで生息するようで、気温が高い平野部の池や河川、水田などの水辺に多く見られます。水辺の住宅街や、庭に池や湿度の高い場所があれば飛来して棲んでいる可能性も高いです。ガーデニングなどで遭遇することもあり得ます。また多くの昆虫同様に夜、家の電灯に惹かれて来ることもあります。
アオバアリガタハネカクシの食性
温暖な湿地を好むということですので、都市部の水気のない所やマンションの上階などならアオバアリガタハネカクシと遭遇する機会はほとんどない訳ですが、エサとなるものを求めて人に近寄ったり、人家に侵入してこないか心配な人もいるかもしれません。アオバアリガタハネカクシは他の多くのハネカクシの仲間と同じく雑食性で多くの場合、他の虫を捕食しているようで、人間に寄って来たり人間の食べ物に惹かれて家に入ってくることはありません。
アオバアリガタハネカクシの毒と症状
アオバアリガタハネカクシに刺されることはない
アオバアリガタハネカクシが人間から警戒というか怖がられるのは体内に毒を持っているからです。情報が少なすぎるからか、毒があって危険ということだけで、"刺される"と誤解している人が少なからずいるようですが、アオバアリガタハネカクシに刺されたり噛まれたりすることはありせん。身の危険を感じた時に体液を故意に放出することがあります。それ以外に潰してしまうと体液が皮膚に付着することがあります。
ペデリンという毒について
このアオバアリガタハネカクシが持つペデリンという毒成分はハネカクシの仲間に特有なもので、ペデルスというハネカクシの学名が由来となっています。この毒の体液が皮膚に付着すると、アオバアリガタハネカクシの俗称"やけど虫"の由来になっているまさにやけどのような水ぶくれやミミズ腫れ様の皮膚症状と痛みやかゆみが出ます。しかしこの症状が出るのは約半日後で、この虫が原因とは気づきにくいのです。特に治療しなくても通常は数日後に自然治癒しますが跡がなかなか治らない人もいます。
雌雄関係なく毒を持っています
昆虫は種類によってはオス、メスで刺す、刺さない、毒がある、ないということがありますが、アオバアリガタハネカクシはオス、メス関係なくペデリンを持っています。研究によると、ペデリンを生成するのはメスだけだそうですが、オスであってもメスが産卵する際に卵の時にすでにペデリンを受け継いでいるそうです。つまり、アオバアリガタハネカクシは卵でも幼虫でもオスでも毒を持っているのです。
アオバアリガタハネカクシの体液がついたときの対処
アオバアリガタハネカクシの仕業と認識するのは困難
この小さな虫が振り払われた際に放出する体液(毒)など微量でなかなか気づくものではありません。蚊などの害虫でもない限り故意に体に停まった虫は潰したりしないですし、また非常に独特な容姿をしたこの虫を認識した人も潰すのは避けるでしょう。そうなると知らないうちにアオバアリガタハネカクシを払ったり、圧し潰すことによる被害が多いと思われます。知らずに付いたコムシの体液なんて気が付かないか、何の汚れだかわからないので対処はしないという結果になりがちです。
体液がついたときの対処、処置
しかし明らかにアオバアリガタハネカクシの体液(毒)が皮膚に付着したと認識した場合は、できれば石鹸と水で洗い流しましょう。野外でそういう環境がない時は水洗いだけでもいいですし、ウェットティッシュでもかまいません。それさえもない場合は拭き取るだけでも必ずしたいところです。服やその他に付着した体液に二次的に触れても症状は出ますので注意しましょう。
アオバアリガタハネカクシの体液が付いた時の治療
やけど、ミミズ腫れとして対処する
ドルマイシン軟膏 12g
外傷、やけどなどの皮膚症状に!
結果的に水ぶくれやミミズ腫れの皮膚症状が出た場合、原因がアオバアリガタハネカクシだったのかどうかなんて詮索はあまり意味はありません。どれだけの体液が付着したのかにもよりますが、治療はやけどやミミズ腫れなどの皮膚症状に効く軟膏(オロナインなど)、傷薬を塗るぐらいしかありません。症状がひどかったり皮膚が弱い人は自分で治療せず、念のため皮膚科を受診しましょう。
虫刺されの薬は使ってよいのか
アオバネアリガタハネカの毒が付着したら虫刺されに効能がある薬を治療に使ってよいかは成分にもよります。毒は洗い流すことで取れ、水ぶくれやミミズ腫れは防げますが、症状が出た時はアンモニア成分が強いものは刺激も強いので、大量に塗るのはやめるか、控えましょう。アンモニアが強いと非常に沁みますし、かえってただれたりします。
目に入るのがとても危険
アオバアリガタハネカクシの体液は知らないうちに付着するケースが多いので発見が遅れます。寝ている間に侵入してきたアオバアリガタハネカクシと接触する可能性もあります。寝ている間に、もしくはずっと家にいたのにやけど傷や水ぶくれができ、且つ目が充血したり、違和感がある場合は体液が目に入った疑いがある場合ので必ず眼科に行きましょう。治療しないと最悪失明の可能性があるとも言われています。
アオバアリガタハネカクシへの対策
被害に合わないための対策は?
最初の方でも書きましたが、まだまだ生態がよくわかっていないアオバアリガタハネカクシを根本的に駆除することは困難です。刺されたり噛まれたりする害虫ほどは被害がわかりにくいこともあり、大発生して大規模広範囲の被害でも出ない限り害虫とも言いにくい虫です。被害を未然に防ぐことが重要です。この虫に対する対策は他の虫と特に変わりません。野外なら防虫スプレーぐらいしかありません。肌を露出しないことも有効ですが夏場は難しいですね。
家に入れない方法は?
さすがに家に頻繁に入ってくるようだと嫌ですね。被害の可能性も増えます。しかしアオバアリガタハネカクシは蚊のように吸血したり、アリのように人間の食料に興味を示すわけではありませんので家に侵入する可能性は低いのです。家に入れないためにはドアを開けっぱなしにしない、窓も網戸を閉めて開ける、夜は照明の光が直接外に漏れないように注意する、蚊取り線香や室内用防虫スプレーを使うなどが有効です。
フマキラー 虫よけバリア 虫よけスプレー
ガーデニングで気を付けること
家に入ってくることは防ぐことはできても、ガーデニングなどの庭いじりをする際は、平野で近隣に湿地がある場合は生態的に遭遇することは避けられないでしょう。植物があり、水を撒いていたり、池があればなんらアオバアリガタハネカクシの生息環境と変わりがありません。しかし他の虫への対策や日差し対策で十分な服装、帽子、手袋、防虫スプレーをしていれば被害は防げるので、それ以上にすることはありません。
アオバアリガタハネカクシの駆除について
多くの虫がそうであるように、アオバネアリガタハネカクも根本駆除はできません。野外で遭遇した時はとにかくまず触らないことです。好んで人に寄ってくるわけでありませんので放っておきましょう。どうしても子供やお年寄りに危険と判断したり、落ち着かないという場合は手なら素手で潰さず棒きれやうちわなどで仕留めるか、靴で踏むなどが一番よいでしょう。殺虫剤は一般的なもので駆除できます。室内なら死骸はティッシュなどに包んで捨てましょう。
お庭の飛ぶ虫コロリ瞬間落下ジェット
必要以上に神経質なる必要はない
アオバアリガタハネカクシの毒は量的にも致死するほどの猛毒ではありませんし刺されることもありません。必要以上に神経質になると楽しく庭いじりをしたり、野外での活動ができなくなります。今までこの虫に遭遇しなかったり被害にあっていないのなら、今までどおりの生活でよいということです。スズメバチやセアカゴケグモ、マムシの方がよほど危険です。アオバアリガタハネカクシという虫がいて毒を持っているという認識があればそれ以上に意識することはないでしょう。
普段から外に出たら気をつけたいこと
普段からアオバネアリガタハネカへの対策だけではなく、外で虫や動植物、その他いろんなものに触ったら必ずうがい、手洗いをすることが大事です。それらのものには少なからず菌類(病原菌)や寄生虫などがついています。かと言って野外での活動やガーデニング、子供の外遊びを控えさせるのは本末転倒です。自然に触れたり、趣味の活動をすることは人生を豊かにするうえで非常に重要なのです。
まとめ
アオバアリガタハネカクシの生態はまだ詳細がわかりません。気がつきにくいだけで、平野部の湿地があるところならどこでもいますし、近くの住宅にも飛来してくる虫です。刺されるわけでもありません。遭遇した時の対処だけ注意すればいいですね。基本は触らず放っておくことです。体液が皮膚についたと思ったらすぐ洗い流しましょう。毒の症状が出たら慌てずやけど、ミミズ腫れに効く薬を塗り、気になるなら病院に行きましょう。必要以上に気にせず、楽しくガーデニングやアウトドアを楽しみましょう。
害虫が気になる方はこちらもチェック!
家庭菜園で出会う害虫「テントウムシダマシ」とは?その駆除・対策方法を解説!
てんとう虫はほとんどの種類は益虫です。そのてんとう虫の種類の中の一部の物がテントウムシダマシと呼ばれていて害虫として嫌われています。テントウ...
アザミウマとは?野菜を食い散らかす害虫の効果的な駆除・対策方法!
名前は聞いたことがあるけど、どんな害虫か分かりづらいアザミウマの生態から予防・対処方法までを詳しく解説いたします! 野菜に直接被害を与える...