こんな状態は害虫『アザミウマ』の仕業!
ナスの実に傷:interrobang:︎
台風の後などには、実が擦れて傷がつくこともありますが、心当たりがないのにナスに傷がついているような状態にあれば、アザミウマが原因かもしれません。
キュウリの葉に斑点が!
葉の葉脈に沿って白く色が抜けていたり、葉が黄色の斑点模様になっている場合にはアザミウマを疑い、表面に虫が確認できなくても葉裏まで確認しましょう。すぐに葉全体に広がります。
バジルの葉が白くなってきた…?
コンパニオンプランツとしても活躍するハーブの一つ、バジルもアザミウマの被害にあいやすい植物のひとつです。 白い小さな斑点が広がり、全体的に葉が白くなってきり、くしゃくしゃになる葉が出てきたら、葉の表面や裏面までぐるっとアザミウマを探してみてください。
花も例外ではありません!
花びらにしみ?色が抜けてきた?と思ったら、アザミウマかもしれません。 蕾にも侵入するので、花が開いた!と喜んで見ると、小さな虫が群がっていた!!ということも発生します…。
そもそもアザミウマって?
英名はスリップス
英語ではThirps(スリップス)と言います。 アザミウマは日本名で花のアザミと動物のウマを合わせてできた言葉と言われています。昔、手に持ったアザミを「ウマ出よ!」と言いながら振り、アザミから出てくる虫の数を競った遊びがあったようで、そこからアザミ+ウマで、アザミウマという名前が誕生したと言われています。
小さくて見つけにくい…
体長は1〜2mm程しかなく、細長い外観をしています。色は灰褐色や黒色、黄色など種類により様々です。花の中や葉の付け根など、見つかりにくい場所に潜んでいます。
蕾や葉を吸汁します
植物の組織を壊す:interrobang:︎
吸汁する虫といえばアブラムシを思い描きますが、アザミウマの吸汁方法は少し異なります。 アザミウマは植物の表面に口を当て、吸汁だけでなく植物に傷をつけたり唾液のような液体を植物に流し込んだりします。そのため、植物が変色したり、萎縮や変形といった凸凹状になったり、光沢が出たりと様々な症状を引き起こします。
厄介なのはウイルスを媒介すること
アザミウマが吸汁することにより、二次被害が発生します。それが、ウイルス病を媒介することです。アザミウマが小さいこともあり、一見病気だけが発生しているように見えますが、実はアザミウマが原因ということも多いのです。
アザミウマの種類・見分け方
種類は200種以上!
一口にアザミウマといっても、アザミウマ目として考えると、世界には約5,000種類のアザミウマがいるそうです。その内の1割程度が野菜や花に被害をもたらします。
交尾しなくても増える…
前途した通り、たくさんの種類がいるアザミウマは、なんと交尾をしなくても増えることができる種類がいます。その場合には、受精した場合と未受精の場合で、オス・メスのどちらが孵化するか決まるようです。
ネギアザミウマ
ネギと付いていますが、ネギやタマネギだけでなく、キュウリやトマト、ナスなど様々な野菜に発生します。 被害部分は白い傷のような状態になります。 体調は1〜1.5mm程で淡黄色や黄緑色をしています。冬には黒褐色いなります。6〜9月の発生が多く、無性生殖でどんどん増えます。
ミカンキイロアザミウマ
こちらもミカンと付きますが、ナスやピーマンなど様々な野菜に発生します。 体長は1〜1.7mm程度で、高温期には淡黄色に低温期には褐色となります。5〜6月、9〜10月は特に大発生に注意しましょう。 このアザミウマは花き類にも被害が及びます。
ミナミキイロアザミウマ
体調は1mm程度で、体は橙色に翅が黒いアザミウマです。 野菜によく発生し、ナスなキュウリ、ピーマン、ほうれん草などとてもたくさんの野菜に注意が必要です。葉だけでなく、実にも被害が及ぶアザミウマです。
チャノキイロアザミウマ
体調は1mm以下で、全体的に黄色の体をしています。 名前の通りお茶のほか、カキやブドウ、イチジクに発生し、葉だけでなく実や新芽にも被害が及びます。 雨が少ない年には大発生する可能性があるので、注意が必要です。
アザミウマの生態
成長サイクル
種類や気温にもよりますが、活動期には世代交代を15日程度で繰り返します。さらにメス1匹で100〜200の卵を産むとされているので、増殖スピードはかなりのものと言えます。
卵期
成虫は、葉だけでなく花弁や柔らかい茎の内部に卵を産みます。
幼虫期
幼虫はすでに成虫と同じような見た目ですが、一回り小さく翅がないのが特徴です。さらに成虫と同じような被害をもたらします。
サナギ期
厳密にはアザミウマはサナギにはなりません。 しかし、成虫になる直前の幼虫期に動かなくなることから、その時期をサナギ期とすることもあります。動かないために、葉から落ち土中の暗いところで2〜3日後には成虫になります。
成虫期
サナギ期を経て成虫になったアザミウマは、気温にもよりますが1ヶ月ほど生きています。その間にメスは卵を産み、すぐに新しいアザミウマがどんどん増えていく…というわけです。
発生しやすい時期
ほとんど年中生息している
ある程度の気温があれば生育できるため、ほぼ年中生息していると考えても良いでしょう。高温で乾燥した条件を好むため、活発に活動するのは春から秋口にかけてですが、真夏の酷暑には一時活動が鈍くなります。
発生したら農薬で駆除する!
農薬は怖くない!
家庭菜園であれば、できるだけ農薬は使いたくないという方が多いと思いますが、農薬も使用方法を守れば怖くありません。もちろん、まずは農薬以外の方法で予防や対策をしっかり行っておきたいですが、発生してしまったら使えるうちに農薬で対処しておく方が、結局収穫できなかった!ということを避けられるのではないでしょうか。
農薬利用の前に
アザミウマの種類が多いのは前途した通りですが、厄介なのがアザミウマの種類によって効果のある農薬が異なるということです。重要なのは、アザミウマの種類を見分けることですが、家庭菜園であればまずは「アザミウマ類」に効果があるとされる農薬を試してみると良いと思います。
農薬のローテーション
同じ農薬ばかりを使用していると、アザミウマにも抵抗性が発達してしまいます。そこで、使用できる農薬をローテーションすることもおすすめです。 栽培している野菜の種類を考えながら、大発生する前に防除しておきましょう。
駆除・予防の効果のある農薬
「オルトラン粒剤」で予防する
野菜の植え付け時に植え穴に施すタイプの農薬です。どちらかと言えば予防剤としての効果を発揮します。昔からある農薬なので、耳にしたことのある方やお家に常備してある方も多いかもしれません。 キュウリやナスであれば、定植時に植え穴へ1〜2g程度入れて使います。似たような農薬にはアドマイヤー1粒剤などがあります。
「オルトラン水和剤」で駆除する
発生後に散布して使える水和剤タイプですが、登録されている野菜が粒剤に比べると少ないので注意しましょう。キャベツには収穫30日前まで使用できます。花き類にもしっかり使えます!
「ベストガード粒剤」で予防する
オルトラン粒剤と同様、定植時に植え穴へ施すタイプの農薬です。キュウリやスイカの、ミナミキイロアザミウマに登録があります。
「ベストガード水溶剤」で駆除する
こちらも散布できる農薬です。 ブロッコリーやカリフラワーなどに収穫前日まで使用できます。トマトでは「アザミウマ類」で登録があり、キュウリやナス、スイカなどには「ミナミキイロアザミウマ」で登録があります。いずれも収穫前日まで使用できます。
「スミチオン乳剤」で駆除する
家庭菜園をされている方は常備薬として使用している方も多い、昔から馴染みのある農薬の1つですね!スイカやカボチャ、キュウリなどに使用できます。アザミウマ以外の様々な害虫や、登録野菜が多いのも使いやすい特徴の1つです。
「ベニカベジフルスプレー」で駆除する
希釈不要でそのまま使えるスプレータイプの農薬です。ピーマンやゴーヤなどのミナミキイロアザミウマに効果があります。
バジルには無農薬のスプレー剤で対策!
農薬ではなく、含有成分が害虫を包み窒息させて駆除するタイプのスプレー剤もあります。農薬成分ではないので、なかなか登録のないバジルなどのハーブには使いやすいのではないでしょうか。 またできるだけ農薬を使用したくない場合に、ひとまず試してみるのも良いかもしれません。農薬ではないので、どの野菜にも使えたりするのが嬉しいですね!
アザミウマの天敵
天敵「捕食ダニ」で駆除
スワルスキーカブリダニという0.3mmほどの小さなダニが、アザミウマのまだ大きくなる前の幼虫を捕食するので天敵となります。アザミウマの他、コナジラミやミカンハダニにも効果があります。 他にも、ククリメスカブリダニという捕食ダニもアザミウマの点滴として駆除効果があります。
天敵「ヒメハナカメムシ」で駆除
アザミウマの天敵になる虫の1つで、体長は1.5〜2mm程度です。ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマなどのアザミウマ類の他、アブラムシやダニの天敵でもあります。 野菜を広く育てている場合には、アザミウマ対策用としてヒメハナカメムシが販売されているので使用してみても良いかもしれません。
まず発生させない対策を!
対処が難しいことを理解しておく
気温さえあれば冬眠することなく増殖し続けることや、卵やサナギの間は農薬がかからず効果が期待できないこと、また寄生できる植物も多く、一度畑からいなくなっても周囲の雑草に潜んでいる場合もあるからです。 さらに農薬の抵抗性を持つ種類が増えているようで、またその進化スピードもとても早いと言われています。
それでもできる対策を!
まずは周辺の除草はこまめに行っておくことが重要です。また、畑の水やり時に、洗い流すようなイメージでキツめに水をかけてみるのもひとつです。アブラムシにも効果があります。 またサナギ期に土に隠れるのを防ぐために、マルチを使用するなどの方法があります。
防虫ネットで対策するなら…
アザミウマは体長1〜2mmととても小さいので、防虫ネットを使用する場合には目合いがかなり小さいものを探す必要があります。
銀色で予防する
アザミウマだけでなく、銀色やギラギラした色を嫌う害虫は多くいます。園芸店やホームセンターでは、そんな害虫の性質を生かして、しきわらがわりの銀色のシートや、野菜を支柱に誘引するときの紐を銀色にした商品がたくさんあります。 他にも、畑の周りや通路などに銀色の紐を鳥よけの要領で張り巡らせている方もいるようですよ。
その他の代表的な害虫とその対策
一番目にする「アブラムシ」
夏野菜を育てるなら、切っても切れないのがアブラムシですね。 アザミウマと同様、小さくて駆除するのが大変なので予防がとても大切です。植え付ける時にオルトランやアドマイヤーといった粉剤を施しておくと効果的です。天敵がてんとう虫であることも有名な話ですね!その他、アブラバチという虫はアブラムシに卵を産み付けるというアブラムシの天敵です。
ウリハムシ
キュウリやかぼちゃなどのウリ類の野菜につきものな、オレンジ色のてんとう虫サイズの害虫です。 いつの間にか飛んでくるので農薬での予防は難しいですが、野菜が小さいうちは防虫ネットをかぶせておくと良いでしょう。被害は葉を食べることなので、野菜がある程度大きくなればそんなに気にすることはありません。 農薬で対策するのであれば、発生時にトレボン粉剤を葉にしっかり散布しましょう。
コナジラミ
葉の裏にびっしりと潜んでいるのがコナジラミです。多くの野菜の大敵です。 発生した時にはトレボン乳剤やベストガード水溶剤を散布しましょう。てんとう虫はアブラムシだけでなくコナジラミの天敵にもなる頼もしい存在です。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は効果的な駆除・対策方法をご紹介させていただきました。家庭菜園などで被害に困っていた方も多いと思いますが、この記事を参考にしていただけると嬉しいです。