シマノ ステラ 1000SSSDH
18 イグジスト LT3000S-CXH
「ステラ」は 当時の2大メーカーに対抗するべく発売された
「シマノ - ステラ」は、1992年に産声を上げた 「シマノ」の最高級汎用スピニングリール であり、「今や釣り人の誰もが一度は名前を耳にしたことがあるリール」と言っても過言ではない存在でしょう。シマノが釣り具事業に参入したのは1970年で、それまでは「ダイワ精工」(現在は、「グローブライド」の「ダイワ」ブランド)と「オリムピック」とが、2大釣り具メーカーとしてしのぎを削っており、シマノは、タックル全般の 品質や知名度 において大きな後れを取っていました。
そんなシマノが2大釣り具メーカーに対抗するべく、満を持して発売したのが「シマノ - 92ステラ」で、当時のスピニングリールでは当たり前だった、ローターを高速で回転させた際の振動 の発生を抑え、ストッパーがオンになっている状態でハンドルを反転方向に回した際の遊びを少なくする画期的なテクノロジーである、「SBL」(シマノバランスロックシステム)テクノロジーが採用されました。SBLテクノロジーの採用によって実現した滑らかな使用感は、多くの釣り人から高く評価されたのはもちろんこと、当時は、国内メーカーのスピニングリールでは皆無だった、ダブルハンドル仕様のモデルを他に先駆けてラインナップするなど、汎用スピニングリールの歴史に新たな1ページを刻んだ 伝説の傑作リール でした。
「イグジスト」は ステラの人気への危機感から生まれた
シマノ - 92ステラは、当時の汎用スピニングリールとしては高価格であったものの、発売直後から性能の高さが注目を集め、あっと言う間に汎用スピニングリールの最高峰にのし上がり、その後の 数度のモデルチェンジ を経て、最高級汎用スピニングリールとしての確固たる地位を築き上げました。シマノ - ステラの人気に危機感を感じたダイワ精工は、シマノ - ステラへの対抗馬として、2005年に「ダイワ - 05イグジスト」を発売しました。
ダイワ - 05イグジストは、パーツ一つ一つの余分なぜい肉をそぎ落とし、極限までボディーをコンパクト化することによる圧倒的な軽量性をウリとしており、軽快な回転性能も特筆すべき特徴でした。とはいえ、当時の技術力では、軽量性と耐久性とを両立することは難しく、ダイワ - 05イグジストにおいても、軽量化を追求しすぎたことによる耐久性不足が指摘されていましたし、価格もシマノ - 04ステラよりも低く設定されており、「リールとしての基本的な性能において、全面的にシマノ - ステラと対等に渡り合えるリール」とは言い難い状況がしばらく続いていました。
ステラとイグジストとの関係は 18モデルで大きく変化した
シマノ - ステラとダイワ - イグジストはいずれも、それぞれのメーカーの 汎用スピニングリールの製品ラインナップ の中で最上位に位置するリールですが、リールそのもののグレードや品質については、従来は、シマノ - ステラの方がワンランク上の位置付けでした。とはいえ、2018年にシマノ - ステラとダイワ - イグジスト双方で行われたフルモデルチェンジによって、ダイワ - イグジストはグレードや品質が大幅に高まっており、ダイワ - 18イグジストは、シマノ - 18ステラと互角なライバル関係を構築しています (詳細は後述)。
18ステラと18イグジストとを比較!
シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストとはいずれも、ハイグレードの汎用スピニングリールであることに変わりはありませんが、詳細な特徴には違いがあります。ここでは、シマノ - 18ステラとダイワ - イグジストとを、特に注目したい「5つの要素」で徹底比較していきます。
18ステラと18イグジストとの比較1【コンセプト】
18ステラのコンセプトは?
シマノ - 18ステラのコンセプトは、「成熟は、結実する」で、1992年から続く シマノ - ステラの歴史 が形にした、成熟の域 の品質を前面に押し出したコンセプトです。シマノ - 18ステラの発売に至るまでの道のりは長く、過去の世代では、それまでの常識を覆す大胆な 設計やデザイン を採用した結果、多くの釣り人から不評を買ったこともあるなど、進化の軌跡は興味深いものです。
18イグジストのコンセプトは?
ダイワ - 18イグジストのコンセプトは、「LTコンセプト」です。「LT」は、軽量であることを意味する「Light」という単語と、耐久性の高さを意味する「Tough」という単語それぞれの頭文字を取った言葉で、軽量性と耐久性とを高レベルで実現することに、特に重点が置かれていることを示すコンセプトとなっています。
18ステラと18イグジストとの コンセプト比較結果は?
シマノ - 18ステラでは、先代である「シマノ - 14ステラ」にはない設計や各種テクノロジーが取り入られてはいるものの、性能をとことん突き詰め続けた結果、近年の世代 のシマノ - ステラは、基本的な性能の向上度合いが頭打ちになっています。一方、ダイワ - 18イグジストは、先代である「ダイワ - 15イグジスト」と比較すると、軽量性や耐久性 の進歩が肌で感じられる仕上がりになっており、「ダイワ - 18イグジストの方がコンセプトが明快である」と結論付けられるでしょう。
18ステラと18イグジストとの比較2【軽量性】
リールの重さは、素材の工夫やぜい肉のそぎ落としなどによる物理的な軽量化はもちろんのこと、重心設定やパーツ配置など、実際の重量感を軽減できる設計になっているかどうかによっても大きく左右されます。ここでは、シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストそれぞれを、「物理的な軽量性」と「実際の重量感」とで比較していきます。
18ステラと18イグジストとの軽量性比較: 物理的な軽量性
18ステラの物理的な軽量性は?
シマノ - 18ステラは、軽量化に貢献する各種テクノロジーの採用については、先代で採用していた各種テクノロジーを踏襲するにとどまっていますが、設計の見直しにより、2 - 9%の軽量化を実現しています。とはいえ、重量差は、最高でも1000番モデルの 15g ですので、軽量性そのものは高く評価できるものの、先代との重量差を大いに実感することは難しいかもしれません。
18イグジストの物理的な軽量性は?
ダイワ - 18イグジストでは、ボディーカバーのない モノコックボディー を採用しており、先代よりもボディーサイズがコンパクトになったことによって、先代よりも10 - 12%軽量化されています。モノコックボディーの採用は軽量化だけでなく、ダイワ - 18イグジストの全体的な性能の向上に大きく貢献しています。
18ステラと18イグジストとの 物理的な軽量性比較結果は?
シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストそれぞれを、双方で類似するモデルで比較した場合、ダイワ - 18イグジストの方が10 - 20%程軽量ですので、物理的な軽量性については、「ダイワ - 18イグジストの圧勝」と言えるでしょう。とはいえ、シマノ - ステラのワンランク下位に位置する汎用スピニングリールである、「シマノ - ヴァンキッシュ」が登場してからは、シマノ - ヴァンキッシュが物理的な軽量性をウリにしているリールになっている点も、考慮する必要があるでしょう。
シマノ「16ヴァンキッシュ」のインプレ!評価やレビューと一緒にご紹介
「ヴァンキッシュ」は、大手釣り具メーカーである「シマノ」の技術力が結集した上級スピニングリールです。この記事では、2017年11月3日現在の...
18ステラと18イグジストとの軽量性比較: 実際の重量感
18ステラの 実際の軽量性は?
シマノ - 18ステラには、スプールの上下運動を発生させる ウォームシャフト を、リールフットに近い位置に配置する「Gフリーボディ」テクノロジーが採用されています。シマノ - 18ステラは、リールの内部にあるパーツの中でも特に重い ウォームシャフト の重量が、リールフットを握る手の付近に集中する設計であるため、ロッドとの一体感が強調される重心設定によって、物理的な重量以上に軽量性を実感できます。
18イグジストの 実際の軽量性は?
ダイワ - 18イグジストを実際に手にしてみると、物理的な軽量性が実際の軽量性に直結している印象を受けます。特に、フィネスゲームにおけるパフォーマンスを重視した フィネスカスタムモデル (詳細は後述) では、軽快な回転との相乗効果によって、空気のような軽量性を釣り人に提供してくれます。
18ステラと18イグジストとの 実際の軽量性比較結果は?
リールは単体で使用するタックルではなく、ロッドに装着して使用するものですので、物理的な軽量性だけでなく、設計の工夫による 重量感の低減 も非常に重要です。前述した通り、物理的な重量は、ダイワ - 18イグジストの方が軽量であるものの、重心設定は、シマノ - 18ステラの方が最適で実用性の高いものとなっており、「軽量性の体感値はダイワ - 18イグジスト以上」と言えます。
18ステラと18イグジストとの比較3【耐久性】
実際のフィールドにおけるタックルの使用環境は、精密機器であるリールにとっては非常に過酷であり、いかなる環境でも性能低下や損傷を起こさない耐久性が重要になってきます。ここでは、シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストそれぞれを、「外部の耐久性」と「内部の耐久性」とで比較します。
18ステラと18イグジストとの耐久性比較: 外部の耐久性
18ステラの 外部の耐久性は?
ねじれやたわみに対する ボディーの耐久性 は、強い負荷が掛かっている状態のラインを巻き取る際のパワーにも直結する要素ですが、シマノ - 18ステラのボディーは、「"HAGANE"ボディ」テクノロジー採用ボディーとなっています。"HAGANE"ボディテクノロジー採用ボディーは、剛性の高い金属が素材として用いられていますので、ねじれやたわみに対する耐久性に秀でており、釣り人がハンドルを回転させる際のパワーを効率的に巻き上げパワーに変換します。
18イグジストの 外部の耐久性は?
従来のスピニングリールのボディー構造では、骨格となる ボディー の上に、ねじれやたわみに対する耐久性を高めるための ボディーカバー を組み合わせるのが当たり前でしたが、前述したように、ダイワ - 18イグジストのボディーにはボディーカバーがなく、ボディーのみの構造になっています。とはいえ、ダイワ - 18イグジストのボディーは、ボディーカバーを組み合わせた構造のボディーと同等の剛性があり、耐久性が不可欠な場面でも不安はありませんし、コンパクト化によってさまざまな恩恵が享受できています。
18ステラと18イグジストとの 外部の耐久性比較結果は?
結論から言うと、シマノ - 18ステラとダイワ - イグジストそれぞれの 外部の耐久性 は互角で、「上級汎用スピニングリールらしい、確かな耐久性を持っている」と言えるでしょう。とはいえ、ダイワ - 18イグジストは、モノコックボディーを採用しているにも関わらず、ねじれやたわみ対する高い耐久性を実現していますので、必然的にダイワ - 18イグジストの方が評価は高くなるでしょう。
18ステラと18イグジストとの耐久性比較: 内部の耐久性
18ステラの 内部の耐久性は?
シマノ - 18ステラの 内部の耐久性 を高めているのは、「"HAGANE"ギア」テクノロジー採用ギアです。"HAGANE"ギアテクノロジー採用ギアは、切削を一切行うことなく、金属の塊を200tもの力でプレスする 冷間鍛造 で製造されたギアであるため、耐久性は折り紙付きですし、設計も見直されていますので、先代以上の耐久性を持つ高品質ギアに仕上がっています。
18イグジストの 内部の耐久性は?
ダイワ - 18イグジストに搭載されているギアは、ダイワ独自のギアテクノロジーである「デジギヤII」テクノロジーをさらに進化させた、「タフデジギヤ」テクノロジー採用ギアです。金属を冷間鍛造によって高強度化し、高精度の精密マシンカットによって作られる タフデジギヤテクノロジー採用ギア は、ここぞという場面で耐久性の高さを証明してくれるでしょう。
18ステラと18イグジストとの 内部の耐久性比較結果は?
シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストとはいずれも、冷間鍛造で製造されたギアが搭載されていますが、シマノ - 18ステラのギアは、切削なしの全工程プレス製造であるのに対し、ダイワ - 18イグジストのギアは切削製造です。切削製造は技術面でのハードルが低いものの、部位ごとに強度のムラが起きやすく、全体的な耐久性はプレス製造に及びませんので、シマノ - 18ステラの方が内部の耐久性は格上です。
18ステラと18イグジストとの比較4【防水性や防塵性】
18ステラの 防水性や防塵性は?
先代では、素材表面へのはっ水処理加工と特殊グリスの装填とによって、各種動作機構部への 水分や粉塵 の侵入を阻止する「コアプロテクト」テクノロジーが採用されていましたが、シマノ - 18ステラでは、「Xプロテクト」テクノロジーの採用に変更されています。Xプロテクトテクノロジーは防水性に重点が置かれており、水分が入り込みにくい関門状の ラビリンス構造 と、素材表面に施されたはっ水処理加工との相乗効果によって、水分を徹底的にシャットアウトしてくれる反面、粉塵の侵入に対する直接的な有効性には、若干の疑問が残ります。
18イグジストの 防水性や防塵性は?
ダイワ - 18イグジストには先代と同様、高い 防水性や防塵性 を誇る ダイワ伝統のテクノロジー である、「マグシールド」テクノロジーが採用されています。マグシールドテクノロジーは、粉塵や水分の侵入を防止したい箇所に磁性素材を配置し、磁性を持つ成分が含まれたオイルを磁性素材の間に装填することで、長期間の使用でも剥がれ落ちる心配のないオイルの膜を形成し、粉塵や水分の侵入を徹底的にシャットアウトする 画期的なテクノロジー ですが、徹底的な軽量化が図られている フィネスカスタムモデル では採用されていません。
18ステラと18イグジストとの 防水性や防塵性比較結果は?
シマノ - 18ステラとシマノ - 18イグジストとはいずれも、初期性能の長期維持に不可欠な高い防水性を有していますが、シマノ - 18ステラについては、「防塵性が特段高いわけではない」と言わざるを得ません。水分や粉塵をシャットアウトするメカニズムを総合的に考慮すると、結果的にダイワ - 18イグジストに軍配が上がるでしょう。
18ステラと18イグジストとの比較5【回転性能】
18ステラの回転性能は?
シマノ - 18ステラには、ギアノイズの発生を極限まで低減し、滑らかな回転の実現に大きく貢献する、「サイレントドライブ」テクノロジーや「マイクロモジュールギアII」テクノロジーが取り入られています。シマノ - 18ステラの シルキーでノイズレスな回転 は、釣り人に心地よさを感じさせてくれますし、ハンドルに掛かる負荷のわずかな変化でバイトを見極めるゲームにおいても、確かな武器となります。
18イグジストの回転性能は?
従来のダイワ - イグジスト の回転性能は、「シマノ - ステラよりも若干劣っている」という意見が優勢でしたが、ダイワ - 18イグジストでは、「タフデジギヤ」テクノロジー採用ギアの搭載と、各種パーツの組み込み精度 の向上との相乗効果によって、シマノ - 18ステラと対等に渡り合える回転性能が光っています。特にフィネスカスタムモデルでは、ハンドル負荷の変化でフッキングに持ち込む繊細なゲームにおいて、回転性能の高さが大いにいきてくるでしょう。
18ステラと18イグジストとの 回転性能比較結果は?
シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストとはいずれも、「高い回転性能が魅力のリール」と評価できます。軽快な回転を実現するために不可欠である ローターの軽量性 についても、シマノ - 18ステラもダイワ - 18イグジストも申し分ないレベルになっていますので、「回転性能の高さのみを理由にシマノ - ステラを選ぶ時代は、18モデルの登場で終わった」と言えるかもしれません。
18ステラと18イグジストとの 総合的な比較結果は?
シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストとは、どちらも上級汎用スピニングリールとしての位置付けにふさわしい品質を持ったリールと言えます。価格についても、シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストとは大差がなく、コンセプト、内部の耐久性、防水性や防塵性などにおいて、一定の違いが見られる結果となっています。
18ステラと18イグジストとは一長一短
それぞれの特徴を学んで 自分に合ったものを選ぶことが肝心!
18 ステラ 1000SSSDH
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18 イグジスト LT3000S-CXH
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シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストとは一長一短で、一概に比較することは困難ですが、前述した内容はいずれも、数々の汎用スピニングリールに触れてきた釣り人が辛口に評価したものであり、趣味の範囲での一般的な使用方法では、シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジストそれぞれの差を強く感じる機会は、「ほとんどない」と言っても過言ではありません。結局は、シマノ - 18ステラとダイワ - 18イグジスト双方の特徴について深く学んだうえで、自分に合ったものを選ぶことが肝心なのです。
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