ドウガネブイブイってどんな虫?
ドウガネブイブイとはコガネムシ科の甲虫で、農業にとっては作物を食い荒らす害虫です。成虫がどこからともなく飛んできて野菜の葉や実を食べ、地中に卵を産み付けます。幼虫は土のなかで越冬しながらサツマイモなどの根菜を食べます。やがて幼虫が羽化して成虫になると野菜を食べつつ飛んで移動します。
自分の畑だけ管理しても無駄
ドウガネブイブイの生態は人間が作っている野菜を食べるのにとても理にかなっていて、感心するほどですね。ドウガネブイブイを防ぐために冬の間に幼虫をすべて取り、夏場も成虫を駆除しきってしまっても草むらなどから飛んできます。そしてまた野菜を食い荒らしていくのです。
ドウガネブイブイによる悪影響
成虫による悪影響
ドウガネブイブイの成虫は野菜の葉を食べますが、主に新葉を好みます。かじられた葉は無規則な穴が開いているのですぐに分かりますよ。そしてかじられた葉は光合成ができなくなり、生育不良を起こしたり実が付きにくくなったりしてしまします。
幼虫の悪影響
ドウガネブイブイの幼虫は土の中で成長し、野菜の根やサツマイモなどの根菜を食べます。根をかじられた野菜は成長できなくなってしまいますし、表面をかじられたイモ類は商品としての価値がなくなってしまいます。さらにかじられたところから雑菌が入ると病気にかかってしまいます。
ドウガネブイブイの名前の由来
ドウガネブイブイのドウガネは銅金で、体の色から由来しているのはなんとなく想像できますね。ではブイブイってどんな意味なんでしょうか?ちょっと気になりますよね、調べてみました。
漢字にすると銅鉦蚉蚉
ドウガネブイブイを漢字で書くと銅鉦蚉蚉と書きます。銅は金属の銅で、鉦は金属の楽器のことで鐘に形が似ています。蚉の字が普段使いませんが「ブン」と読み虫の意味です、ちなみにカナブンは漢字で金蚉と書き蚉の字が同じですね。ということでドウガネブイブイの由来は、銅色の鉦に似た形の虫という意味から由来していることが分かります。
ブイブイの意味とは?
ブイブイについてはっきりしたことは分かりませんが、まずカナブンのブンの部分の由来はブーンという羽音からきているそうです。カナブンのブンの部分がなまってブイとなり、ブンブン飛ぶ虫をブイブイと呼んでいたことが由来のようです。
ドウガネブイブイとコガネムシとの見分け方
色で見分ける
ドウガネブイブイは暗銅色をしていますが、コガネムシは暗い光沢のある緑色をしています。コガネムシとドウガネブイブイの生態はほとんど同じで、成虫は葉を食べ幼虫は根を食べます。よってコガネムシも農業にとっては害虫となります。ドウガネブイブイにはアオドウガネという仲間もいて、これは色がコガネムシに似ていて見分けがつきません。
大きさで見分ける
ドウガネブイブイの方がコガネムシより少し大きいです、この大きさで見分けることができます。あとドウガネブイブイは羽に長い毛が生えています、ここに注目すれば簡単に見分けることができますよ。
他のコガネムシ科の仲間
カナブン
カナブンは体長22mmから30mmぐらいでドウガネブイブイ同じコガネムシ科の仲間ですが、ドウガネブイブイと違い益虫です。パッと見ただけでコガネムシやドウガネブイブイとの違いは分かりにくいですが、いっしょに駆除してしまうとカナブンのいい影響が失われてしまいます。
カナブンのいい影響
カナブンが益虫である由来はその食べるものにあるんです。カナブンの成虫は木の樹液を食べて、幼虫は落ち葉を食べます。幼虫が落ち葉を食べることで分解されて、土壌が豊かになるのがいい効果です。ミミズがいる土は豊かだと言われますが、カナブンの幼虫でも同じですね。
カナブンの見分け方
益虫なのであまり駆除したくないカナブンですが、簡単な見分け方があります!成虫の背中の真ん中のところに羽の付け根があり、カナブンは他のコガネムシ科の虫と違い特徴的です、あまり見たくなくてもよく見てこれが三角形ならカナブン、丸い形ならコガネムシがドウガネブイブイです。他のコガネムシと違いカナブンはキレイな三角形をしているので一目瞭然ですよ。
カナブンの幼虫の見分け方
コガネムシ科の幼虫は似ているので見分けにくいですが、カナブンの幼虫は特に土をよくしてくれるので駆除したくありませんね。幼虫の見分け方ですが見た目ではほとんど同じで分かりにくいです。そこで土からだしたら幼虫をひっくり返してみましょう。上手に戻ってサッ逃げたらコガネムシである可能性が高いです、カナブンの幼虫は歩くのが下手なのでなかなか逃げません。まれに背中で早く移動するそうですよ、見られたらラッキーかもしれません。
ハナムグリ
ハナムグリは漢字では花潜と書きます。大きさは15mmから20mmぐらいで小さく、成虫は主に花の蜜を吸います。花に体ごと潜って蜜をすうことが由来してハナムグリ(花潜)と呼ぶんですよ。ドウガネブイブイやコガネムシと違って花の蜜を吸うだけですし、幼虫は土の中で腐葉土を食べて豊かにしてくれます。
ハナムグリの見分け方
ハナムグリも益虫ですので豊かな畑の為にはぜひ働いてもらいましょう!見分け方は簡単です、害虫となる虫と違い花に集まっています。見た目での見分け方は背中に光沢がなくまだらの模様があればハナムグリです。またカナブンと同じように背中の羽の付け根が三角形になっています。むやみに捕殺せずそっとしておきましょう。
ハナムグリの幼虫の見分け方
ハナムグリの幼虫も地中でしっかり働いてもらいたいですが、やはり見分けるのは難しいです。ハナムグリとカナブンは似た仲間なので、生態がよく似ています。よって掘り出したらひっくり返してみましょう!上手く逃げたら駆除して、歩くのが下手だったり背中で移動したら土に戻してあげましょう。
ドウガネブイブイの生態
成虫のとき
大きさは25mm前後で主に広葉樹の葉を食べます。5月から9月にかけて発生して、野菜の葉なども食べるので害虫として嫌われています。30日から45日程度生きるので被害が続きやすく、ちょうど野菜を育てたいときに葉をかじられると生育不良を起こします。成虫は葉をかじりながら地中に卵を産み付けていきます。
幼虫のとき
地中の卵はふ化すると、周りの腐葉土や植物の根、根菜類を食べます。根をかじられた野菜は弱ってしまいますし、根菜類は商品価値が無くなってしまいます。野菜に虫除けネットをして成虫を予防していても、地中に幼虫がいると虫除けネットの中で羽化して、また野菜を食い荒らします。地中に幼虫がいると地表に特徴的な砂の跡ができます。これの下に幼虫がいるので目安にして探しましょう。
成虫を見つけたら幼虫がいる
時期にもよりますが、ドウガネブイブイの成虫が野菜の葉を食べているのを見かけたら卵を産み付けられていると思っていいでしょう。できれば卵を産み付ける前に駆除したいですが、いつのまにか飛んできているのでなかなか駆除が追い付かないのが難しいところです。
ドウガネブイブイの対策
防虫ネットを使う
防虫ネットを使えば野菜の葉を食べられることを予防できます。基本的にドウガネブイブイは防虫ネットの中に入れないので、虫を触りたくない方はほおっておいて大丈夫です。防虫ネットは隙間なく設置するのが基本なので、ドウガネブイブイが侵入しないように気を付けましょう。
雑草を処理する
畑の近くに雑草が茂っているとそこへドウガネブイブイが飛んできて、やがて畑へ侵入してきます。畑の周りには雑草が生えすぎないように管理しましょう。とくにドウガネブイブイ発生のピークになる時期は雑草もどんどん生えてきます。草刈り機や除草剤を上手く使って雑草を抑えましょう。隣の敷地に雑草が茂っていると手が出せませんね、なるべく離れたところに畑を作るのも対策の一つです。
腐葉土は完熟のものを使う
ドウガネブイブイの幼虫は落ち葉などを食べます。市販の腐葉土でも完熟していないものはドウガネブイブイの幼虫の好物なので注意が必要です。卵を産み付けられないように腐葉土は完熟のものを選びましょう。
ドウガネブイブイの駆除のやり方
幼虫の穴を探す
ドウガネブイブイの幼虫がいるとことは特徴的な砂の山ができます。これを探して幼虫を見つけ出し捕殺しましょう。あまり幼虫を見たり触ったりしたくない方には殺虫剤がおすすめです、穴の中へ殺虫剤をふいてやれば幼虫は駆除できます。
成虫は駆除する
ドウガネブイブイの成虫を見つけたらなるべく早く駆除しましょう。地中に卵を産み付けられると、卵を見つけるのはかなり困難ですし、幼虫も見つけるのも見分けるのも大変です。捕まえて捕殺するか殺虫剤を使いましょう、コガネムシ科が好きなフェロモンを出して集めるトラップもあるのでこれも活用するといいですよ。
ドウガネブイブイのおすすめ駆除グッズ
幼虫の駆除に役立つグッズ
ダイアジノン粒剤 400g
これは地中の幼虫に効きます。土に混ぜるだけで見つけにくい幼虫を駆除できます。コガネムシ用となっていますがドウガネブイブイもコガネムシ科で同じ生態なのでよく効きます。薬の持続期間が1週間なので定期的にまいて幼虫の発生を抑えましょう。元気の無い鉢植えや芝生の枯れたところには幼虫がいる可能性があります、この顆粒をまくと幼虫が逃げ出してきますよ。
コガネムシの幼虫予防カバー
このカバーを使えば物理的にドウガネブイブイが卵を産み付けるのを予防できます。特に鉢植えではピッタリ地面を覆えるので幼虫が発生することをほぼ抑えられます。農薬や薬剤を使うのと違い植物への影響もなく安心して使えますね。
成虫の駆除に役立つグッズ
フェロモントラップ
このトラップはドウガネブイブイの好きなニオイとフェロモンでおびき寄せて捕まえるのでドウガネブイブイを触らなくても駆除することができます。しかも薬剤を使う場合と違い植物へ全く影響を与えません。無農薬野菜を作っている方には特におすすめですね。
ペットボトルを使った簡単な捕まえ方
ペットボトルとじょうごを使えばドウガネブイブイに直接触らなくても捕まえることができます。やり方はペットボトルにじょうごを取り付けるだけです、さらに割り箸を使えば全く虫に触らなくてもドウガネブイブイを捕獲・駆除できますよ。ペットボトルの口からは飛んで逃げられないので、そのまま捕殺してしまいましょう。落ちる部分が大きめのじょうごを使うことがおすすめですよ。
まとめ
ドウガネブイブイの生態や他の虫との見分け方、駆除のやり方についてご紹介しました。夏場にかけて発生するコガネムシ科の虫は害虫になるものも益虫になるものもいます。しっかり見分け方を覚えて対策していきましょう。ところで農業や園芸には害になるドウガネブイブイも部屋の中に入ってきただけでは何も刺したりしません、光に集まる習性で寄ってくるだけです。むやみに捕殺したりせずにそっと逃がしてあげたいですね。
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