ぜウッカリカサゴと言う名前なのか
こんな変な名前になってしまったのは、ウッカリカサゴのご本人がウッカリミスしたわけじゃなく、日本の魚類学者のウッカリに起源がありました。
長らく普通のカサゴと区別されず
カサゴ目メバル科カサゴ属のウッカリカサゴは、同属のカサゴと違いが決定的ではないため、1970年代まで区別がされず、ウッカリの名もありませんでした。1978年になって、ソ連の魚類学雑誌にバルスコフ氏とチェン氏が、カサゴと違った新種として取り上げたのが最初です。
1979年に命名された
日本名でウッカリカサゴと命名したのは、ソ連の魚類学雑誌で別種なことが明らかになった事態を受けた、日本の著名な魚類学者の阿部宗明(ときはる)氏でした。著書『新顔の魚』のなかで、ウッカリカサゴの名がはじめて示されました。
ウッカリカサゴになった理由
阿部氏がこのキャッチーな名前をどうして付けたかについて、日本の魚類学者が長らくウッカリして、カサゴと区別していなかったことから命名した、と説明しています。しかし学者のウッカリのおかげで、ウッカリカサゴは一度聞いたら忘れない魚になったわけです。
ちなみにカサゴの意味は
カサゴという魚の名前の由来を知っていますか。カサゴは頭部が大きめで、笠をかぶったような三角形をしていることから、笠子の名が付いたと言われます。または全身が瘡(かさぶた、かさ)のような外見なことから、瘡子と呼ばれたとも言います。
ウッカリカサゴの特徴と見分け方
カサゴとウッカリカサゴの違いは、当初は学者でも気づかないものでしたが、今では完璧に見分ける人もいます。見分け方を探ってみましょう。
大きさでの見分け方
普通のカサゴは、大人になっても全長30センチほどにしかなりません。しかしウッカリカサゴのほうは、最大で50センチ近くまで成長すると言われています。大人になったウッカリカサゴなら見分けられますが、しかし成長途中のウッカリカサゴを釣り上げた場合には、大きさでの見分け方は不可能です。
胸びれの軟条数での見分け方
一番わかり易いのは、カサゴとウッカリカサゴの胸びれの軟条の数の違いだと言われています。軟条とは胸びれに付いている小骨で、うちわの骨のように中心から放射状に伸びています。カサゴは軟条が18本ですが、ウッカリカサゴは19本なのです。カサゴを釣り上げるたび、胸びれチェックが欠かせません。
色での見分け方
専門家によれば、両者とも赤、橙、灰などさまざまな体色を見せます。ウッカリカサゴのほうが、カサゴより全体に色がぼやけた感じがしています。水深の深い海に行くと、橙~赤の色が強くなるといいます。しかしウッカリカサゴに似た体色のカサゴもいるため、見分け方は難しそうです。
白斑での見分け方
ウッカリカサゴの見分け方と言えば、体に出ている白い斑紋と、斑紋の暗い色の縁取りを目印にすることもできます。ウッカリカサゴは白い斑紋の出ている個体が多いためです。しかしこれについてもはっきりとしない個体ならば、カサゴと見分けが付きません。
遺伝子調査で区別が決定的に
ウッカリカサゴの見分け方で決定的な方法は、遺伝子調査を行うことです。これは専門の機関が行う必要があり、一般の釣り人が行える方法ではありません。近頃では、動物の遺伝子調査を請け負う専門機関があり、ネットから依頼することも可能です。
ウッカリカサゴの生息地
ウッカリカサゴを見つけてみたくなりますが、ドコらへんでウッカリと出会うことが出来るでしょうか。
日本近海の岩場によくいるカサゴ
カサゴは日本の太平洋や日本海など、水深200メートルまでの、浅くて岩礁の多い温暖な海に生息しています。北海道南部の海から、フィリピンのほうまでも生息範囲があります。根魚なので磯釣り、防波堤釣りでは基本的にどこでも良く釣ることができて、料理でも人気の魚です。
ウッカリカサゴも生息地は同じ
カサゴとウッカリカサゴの生息地は、基本的にまったく同じ日本近海の岩の多い海。したがってカサゴ釣りをすればウッカリカサゴも釣れているはずですが、別種だと知らない人は、従来ウッカリと気づかないで釣っているはずです。
特に九州は多い
カサゴの全国の水揚げ量は九州がダントツで、なかでも長崎県は年間水揚げ量が50トンを超えます。福岡県も年間20トンを超えていますが、全国的には年間1トンに満たない都道府県がほとんどなので、どれだけ長崎で水揚げが多いかわかります。ウッカリカサゴも長崎か福岡で多いのは確実です。
ウッカリカサゴが旬な時期
ウッカリカサゴの美味しい食べ方を目指す時も、楽しい釣り方を目指す時も、旬な時期を中心にしましょう。
カサゴは春の季語だった
昔からカサゴを食べる旬な時期は、春と言われてきました。俳句の世界でも、カサゴが春の季語として使われてきたほど、春の風物詩だったのです。冬から春の寒い時期、カサゴは繁殖期を向かえて岸にやってくるため、元気のよいカサゴを春の季語としたのでしょう。
カサゴの旬は春と秋
カサゴを食べるなら、春か秋が旬の時期とされていますが、ウッカリカサゴも同じです。しかしカサゴは年間を通じて漁獲がされる魚であり、夏でも冬でも手にはいります。実際のところ、旬な時期はあまり意識しなくても良いかも知れません。
ウッカリカサゴの釣り方の準備
カサゴの中にしれっと混ざっているウッカリカサゴなので、実際にヒットするかどうかは、運に左右されるところもあります。ウッカリカサゴはどんな釣り方なのかチェックしておきましょう。
釣りに最適なワーム
カサゴ釣りなら餌よりワームです。どんなワームにも反応して、食いつこうとします。選びたいワームは単純なものならイモムシ形のグラブ系、ミミズ形のストレート系があります。水流でリアルな動きをするタイプには、シャッドテールワーム、海棲昆虫の形状をした虫系など様々です。
釣りに最適なロッド
カサゴやウッカリカサゴを釣るなら、小回りの効くロッドを選びます。例えばバス用のスピニングロッド、エギングロッドもいけます。6フィートほどの長さを目安にすると良いです。
ウッカリカサゴの釣り方
釣り場を決定する
岩場の多い磯は、カサゴやウッカリカサゴが多く潜んでいる場所ですが、釣りやすさを求めるなら堤防やテトラポットが置かれている場所を狙ってもいいです。カサゴ釣りはポイントが無ければ投げても良いですが、下に釣り糸を垂らす落とし込みの釣り方も一般的です。
海底を狙う
カサゴは海底の砂泥や岩場に生息している魚なので、海の浅いところにワームを泳がせても、ウッカリと別の魚が食いつくだけです。海底に近いところや海底に狙いを定めることを心がけます。
ワームを動かす
ジギングでの釣り方も可能です。ワームを落とし込んだ場合には、ワームに動きを付けます。ロッドを小刻みにシェイクしてワームを動かせば、ウッカリカサゴがウッカリと食いつきたくる魅力的なエサになってくるはずです。
ウッカリカサゴ料理①煮付け
カサゴの食べ方で1番人気なのが煮付け。ウッカリカサゴの場合も、和風味の煮付けを作れば、酒の肴にもごはんのお供にもなります。ビタミン群が豊富で体によい、カサゴ料理の代表格です。
ウッカリカサゴの煮付けの下ごしらえ
ウッカリカサゴの煮付け料理を作る場合、基本的に下ごしらえで取り去る部分は、内臓とエラの部分のみです。血合いの部分も切って、ウッカリカサゴのおなかの中を洗います。頭やひれなどは、そのままウッカリ付けたままでokです。
ウッカリカサゴの煮付けのレシピ
ウッカリカサゴのレシピでは、まるごと豪快に全身を鍋に入れて煮付けにできます。酒、醤油、かつおだし、みりん、砂糖、それに生姜を用意します。鍋に調味料を加えてウッカリカサゴを煮て、煮立ったら生姜を加え、落し蓋をして中火で煮込んで15分で完成です。
ウッカリカサゴ料理②刺身
新鮮とれたて旬を向かえたウッカリカサゴなら、試してみたい食べ方が刺身。ウッカリカサゴの刺身は透明感があって、比較的にしっかりとしたコリコリな食感が魅力です。
ウッカリカサゴの目利き
刺身の食べ方するなら、ウッカリカサゴの目利きから。カサゴの種類は痛むとエラが茶色くなり、目が濁ります。ウッカリカサゴもエラが赤く、目が透き通ったものが新鮮で刺身向きです。時々目が飛び出ているのは、海から出た時にそうなることがあるので、気にしなくても良いです。
ウッカリカサゴの刺身の下ごしらえ
新鮮なウッカリカサゴを入手したら、うろこを余さず削ります。頭と内臓とエラは落としますが、活造りのときには頭は飾りとします。お腹の血合いを切ってよく洗い、いつもどおりに三枚に下ろします。
ウッカリカサゴの刺身のレシピ
お好みで大葉を用意します。ウッカリカサゴの皮を引いたら、透き通ったピンク色の身が綺麗です。しかし食べ方としては皮を付けたまま、あぶった刺身にするレシピにしてもこれまた美味しいので、皮を残しても構いません。身をスライスして盛り付ければ刺身の完成です。
ウッカリカサゴ料理③唐揚げ
体まるごとカリカリの唐揚げにする食べ方も、ウッカリカサゴの人気料理の定番です。カルシウムたっぷり、ウッカリカサゴの唐揚げの、簡単にできるレシピを紹介します。
ウッカリカサゴの唐揚げの下ごしらえ
高温の油でカリッと揚げれば、頭からひれまで全部食べることが出来てしまうのが、ウッカリカサゴの唐揚げ。だからウロコを削り、エラと内臓を綺麗に取り出した後は、背骨から全てのひれまで残して、まるごと全身を使います。
ウッカリカサゴの唐揚げのレシピ
唐揚げにする時の下味は、塩コショウのみ、全体に小麦粉をまぶしていきます。油は160度で、1度揚げるだけでなく、2度揚げするのがカリカリにする方法です。全体としてきつね色になったら出来上がり。
ウッカリカサゴ料理④味噌汁
和風の食卓に必要な味噌汁も、旬を向かえたウッカリカサゴを使ってみましょう。味噌汁にするならば、カサゴ特有の出汁が出て、冷えた体もあたたまるし納得度が違います。ウッカリカサゴをまるごと使う食べ方のレシピ、おすすめします。
ウッカリカサゴの味噌汁の下ごしらえ
味噌汁の料理に使うウッカリカサゴは、器に収まる小さめサイズを選び出します。30センチを超えるものだと切り分ける必要が出てきます。ウロコと内臓とエラを取ったら、頭も身もひれもそのままで大丈夫です。食べやすさを検討すれば、ひれは取っても構いません。
ウッカリカサゴの味噌汁のレシピ
味噌、かつおだし、長ネギも用意します。長ネギは普通に刻みネギのほか、白髪ネギにすると、いっそう豪勢な印象が向上します。鍋で湯を沸かしたらウッカリカサゴを入れて中火に煮立てます。味噌、だしを入れて味を調節、盛り付けの時は器から顔を出すようにして、白髪ネギを乗せたら完成です。
ウッカリカサゴを楽しみたい
ウッカリとして、今までずっとウッカリカサゴのことをただのカサゴだと思い込んでいませんでしたか?釣りのベテランでも、ウッカリカサゴを見分けている人はいないかもしれません。釣って見分けて楽しく、食べて美味しい縁起物なウッカリカサゴ、これからの海釣りの楽しみになりそうですね。
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